"Bevavioral Science" の勉強会について
ここでは、私が産業医科大学で組織しているBehavioral Science の勉強会について紹介したいと思います。

そもそもBehavioral Science とは何なのか


A heterogeneous mix of epidemiology/biostatistics, psychiatry, psychology, sociology, psychopharmacology, and more falls under this heading. Many medical students do not study this discipline diligently because the material is felt to be "easy" or "common sense."  

単純に訳せば、「行動科学」である。これは、日本では専門的に習わない学科として非常に未知な印象を受けるものだが、A Student-to-Student Guide to Medical School で紹介されているように雑学的な側面があり、決して日本で学ばれていない教科というわけでもないのである。たしかに、生物統計学、心理学、なんて公衆衛生や精神科でやるしね。でも、倫理観や、性行動学なんて、「体験的」にしか「実感」できない(自分のみならない)からって、それを知らないってコトは、後述するように、全人格を求められるような「お医者様」には許されそうもない。進化論は高校の生物でとっくに習っただろうから知ってると言う大人には僕は生物を高校で選択しなかったって言いたい。社会人類学、法学、文学は医学の対象外だから、医学部では関係ないなんて言ってる人には、臓器移植法が通ってやっと移植医療ができるようになったからって、なかなか移植が行われないのは政治的な駆け引きがあるからだよって教えて上げたい。人類学的な見地にたたなければ、熱帯でしか起こりえない感染症が日本で起こったときに対応が遅れるかもしれない。しかしながら、振り返って考えてみると、「事実」は、確かに習った。夏目漱石は吾輩は猫であるをかいたと教えられた。で、それがどこがおもしろくって、どんな社会背景があってというコトまでつっこんで語った人には出会わなかった。この「行動科学」とは、そういう信念を持って活動する医者のための根拠であるとまとめることができると思う。とくにアメリカの医学や医療の「常識」や社会の抱える「問題点」の認識が浅い私のような無知の者にとっては非常に重要な科目であると考えます。

 

なぜBehavioral Science なのか


私の夢は「医学」ではない「医療」の実践と哲学する医師になることです。Most office patients get well with or without you. といわれるように、patuient を手助けしているにすぎない医者、そして、我々医学生は医学を学んでいるのにも関わらず、近い将来、実際に直面する「現実」は政治、経済、信仰、工学や倫理などの様々な要素で成り立っている「医療」現場での問題だと思うんです。そうすると、医者っていう存在は全人格を求められる、いわゆる、いい意味での「お医者様」の世界が広がっていて、救急の現場では熟練した医者も新前の医者も求められる技術は全く同じものを求められる世界があるはずで、そうすると、そういう世間の要求というのも認識した上で「医療」従事者としては純粋に複合した世界に身を置くことが必要だし、1つのこれだけっていうものを持った人も確かにエライとは思うんですが、それはあくまでも全体を見渡す力があった上での1つのことをなす力だと思うんです。

Know those things you can change.
Know those things you cannot change.
Develop the wisdom to tell the difference.

そうして「哲学する力」を持ちたいなって考えています。
昔は脳の研究をしたいとか色々考えていたけれど、いまは特にこれを専門にとは考えていません。興味が向くかに行くべきだし、さっき書いたようにある種の複合体が医療の原点であると知れば、医学も同じであるし、ただ、西洋医学の根幹をなすと考える「内科」、そして、「精神科」はしっかりとやっていこうと考えています。私が所属している産業医科大学という専門大学で、総体とした「産業医学」を語れる人間が少なくというよりも皆無であるように思います。だから、産業医学にもあまり関心を示せずにせっかくのスペシャリティーを活かす機会を逸しているように思います。今はそれが少し寂しい気がしています。

大企業があれほどつぶれた昨年('97)、1つはっきりしたことは企業のリストラで盤石だった終身雇用が崩壊してきたように、医局におとなしくしていて就職口を待つという制度はこれから崩れてくるのではないかと思います。だから、「安定」を考えて医局でひっそり暮らしていても、「つぶれ」ることさえままならなくなるかもしれません。

とにかく、所属している集団がどうということではなく、あくまでも自分の腕をより一層磨いていこうと思います。

海外臨床留学を目指している私たちはもともと、普通にあるレールから外れてしまう道ですから、「つぶし」を考えていてはもちろん不安はつのりますが.....

そこで、私は、Behavioral Science の対策を始動させました。


勉強会は


医学概論という、言ってみれば、倫理とか哲学とかを教える講座がうちの学校があるのですが、その助教授の藤野先生という先生(うちの卒業生で日本で初めて産業医学の分野では先進的なイギリスの大学院で学位をとられた先生)にアドバイザーをとお願いしたところ、ご指導いただけるようになりました。やっぱりこのような未知の分野はナビゲーターとなる方のサポートを受けるのが一番でしょう。さらに、話が進んでいて先生のご存じの方でBehavioral Scienceに造詣の深い学外の先生も呼んでいただけるようになるようです。

Williams & Wilkins のNMS のBehavioral Science in Psychiatry と言う本を使用しています。1回の勉強会ではChapter 1つがテーマになります。まず参加している学生が、担当のSection ごとのまとめをしてresume を配布して、それに関する説明、解説をします。この際に先生はあくまでも傍観者の立場をとっていただいており、最後の総評や、Personal Disorder など、分からない部分についてのみ先生に解説をお願いするという方式をとっています。


実際の学習風景


Ethics in Medicine

The Physician-Patient Relationship

Social and Family Behabior

Human Sexuality

(以下進行中......)


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