A Student-to-Student Guide to Medical School からの引用

行動科学

医学校では、基礎あるいは臨床科学に当てはまらないものはなんでも“行動科学”ということになり、生物統計学、心理学、進化論、社会人類学、倫理学、法学、文学、性行動学などがあります。医学の社会的側面に対する認識も深めてほしいということでしょう。医学校では普通このような単位をとることが必修です。しかし、医学校の行動科学の科目は、コアカリキュラムの科目ほど厳格なものではないので、ただ必修単位を満たすだけか、あるいは後で役に立ちそうなことを学ぶかを決めるのは、こうした科目に対するあなたの心構えしだいです。医学校の行動科学科目がもつ問題の一つは、行動科学は医師にとって重要な知識であるということが口先だけですまされてしまうことです。行動科学科目が一つの課程としてのまとまりもなく、学生が得るものといえばジェネラリスト的なうわっつらの知識だけで、次のような諺もあります。多くのことについて知れば知るほど、一つのことについて少ししかわからなくなり、最後にはすべてがわからなくなる、というのです。一方、肯定的な立場からみれば、少なくとも社会科学や人文科学について学ぶチャンスになる。また、文学、歴史、あるいは面接法などに費やす時間は、膨大な生物学的科目から解放される楽しい一時です。

医学校によってまちまちなので、特定の行動科学科目については述べ難い。統計学の知識は、研究論文を評価する力をつけるのに役に立ち、とりわけ研究の道に進もうとする人には重要です。精神科や患者と密接につきあうような分野での仕事を考えている人ならば、心理学的理論の基礎を広げるような科目や、人とかかわることに関する知識を増やすような科目が役に立ちます。さらに、実験室に埋もれてしまわない限り、遅かれ早かれ医学の社会的あるいは倫理的ジレンマ、例えば、妊娠中絶、安楽死、費用効率論と医療の質、患者の権利、乏しい健康管理財源の適正配分等に直面するでしょう。国際保健論の講座は、世界保健の要求に対する意識を高め、病院に入ってからそこで行われる医療を考えるとき、本当に必要な展望を与えてくれます。

最初のうちは広い意味での医学知識の学習に重きをおくことも可能であり、行動科学の科目はその探求の骨格となるものです。


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