erem28
織刻（しょくこく）トップページ 言葉工房トップページ ファンタジーのページ
『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー 闇神話(やみしんわ)〜』
第二十八旋承壁陣（だいにじゅうはちせんしょうへきじん）
たかさき はやと
「ほんわかわかわかじゃん！」
「そこはねハイベル、こうよ」
ミラルがそう言うと歌う。
「じゃんじゃかじゃんとかね！」
森を歩く五人。
ビルほどある巨木がそこかしこに立ち並ぶ。
「おい！ 遊んでるんじゃないぞ！」
エルフィールは怒鳴る。
ハイベルとミラルは最大音響で歌っている。
「まあいいじゃないか」
ダリルの声に「は、はあ……」と言い平服するエルフィール。
「お、なんかあるぞ」
ジョルディーが見つけたのは木の門だった。
「ここだ」
ハイベルが意気揚々と言う。
「？ なにもないぞ」
エルフィールがはてなを頭にのっけている。
緑の苔（こけ）だらけの木々の開けた場所にいる五人。
静けさと、葉の隙間から光りのカーテンが幾重にも織り重なる。
「ここか」
ダリルが木の門まで来る。
「あ、そこまでで止まってください」
ミラルが静止する。
「どうして？」
「心が曇った人は通れません！」
『あ〜』
四人がエルフィールを見る。
「な、なんだその目は！」
「しかたないな」
「そうだな」
「うんうん」
「あーんーむ」
四人が悩んだふうだ。
「なんだなんだなんだというのだ！」
「いや、人は困った時は天にも助けを求めるのだ」
ダリルがうながす。
「そんなに私の心は曇っていたのか……」
と、どっと笑う四人。
「？ どうしたみんな」
「いいから門を通るぞエルフィール」
ジョルディーが笑いながら言う。
「だましたか!? だましたのか!!」
「それでね、この店がうまいのよー」
ミラルがハイベルと談笑している。
「みんな斬ってやる！」
と、ジョルディーとエルフィールの手が光る。
ギイン！
小さな木の芽が一瞬で大木に成長する。
「この木が門だ」
「アーメッドデザイア」
「なんだ？」
エルフィールがジョルディー言葉にジョルディーを見る。
「神話の門だ」
「そうか。伝説は伝説のままがいい時もあるが、な」
木はしゃべった。
「どこへどこからどこへきた」
言葉たらずな大木が、手足のある木、ウッドワーカーがしゃべる。
「地が踏むんだから！
花を植えなければならん人が神がいる！
どういうことだ！
それを正しに行くのだ！」
「そうか」
木はウッドワーカーはうなずく。
「ならば存在となす曇りを晴らし、門をとらえよ！」
ウッドワーカーが叫ぶ。
「そうか」
エルフィールはウッドワーカーを大木を通る。
キイン
闇の中、誰かが駆けて来る。
それは少女のエルフィールだ。
――どこへ行く？
エルフィールは思った。
少女のエルフィールは「世界へ」と言った。
「そうか！」
エルフィールは門を越える。
光りがあった。
緑あふれる世界だ。
残りの四人も門を越えて来る。
「ここが死の国か」
「そうだな」
太陽に照らされた世界だ。
「なんだキサマら！」
黒ずくめの忍者が数えきれないほどいる。
「うるせえ！」
エルフィールとジョルディーの手が光る。
ザキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキン！！！！！！！
ダリルには見えなかった。
一瞬で無数のニンジャが光りに斬られる。
「なんだ？」
ハイベルが目をしばたたかせる。
それはジョルディーとエルフィールの手から光りの星が生まれ、三百六十度方向へ大きくなり、一瞬で実際の星と一体化したのだ。
「これが神の力ってわけだ」
ミラルがうなずく。
「まあ、いい、話しを聞こう」
エルフィールが問う。
「どうした！」
エルフィールが憤慨（ふんがい）する。
「おいおいみんなのびてるんだよ」
ジョルディーがニガ笑いする。
「ふん！ 最近のヤツは不甲斐ないな!!」
「それはおまえに比べればな」
ジョルディーが笑う。
「なんだと！」
「まあ、この国々のことならまかせてもらおう」
ダリルが言う。
「お願いします」
エルフィールがダリルと並ぶ。
ダリルは歩き出す。
続く四人。
世界はただあった。
存在。
世界はゆっくり鼓動した。
それをハーバイトは感じていた。
世界は目覚めを空と化す。