erem27





織刻(しょくこく)トップページ  言葉工房トップページ  ファンタジーのページ


『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー 闇地神(やみちかみ)〜』


                 第二十七旋承壁陣(だいにじゅうろくせんしょうへきじん)


                               たかさき はやと






ジョルディーは笛を吹く。
やって来た鳥人になにか話すと、案の定鳥人はミラルを担(かつ)いで飛んでくる。
ミラルは寝間着姿だ。
「なによ〜」
まさに寝起きといった感じだ。
「大神(たいしん)ハーバイトのゆくえを知らないか」
ジョルディーが聞く。
「ん〜その光が教えてくれるでしょ」
見るとジョルディーとエルフィールの手が光っている。
二人が手をあわせると一筋の光が一直線に伸びる。
「その先にいるんじゃない」
ミラルの指摘に「そうか」とエルフィールはうなずいた。
「あたしも同行しましょう」
ミラルが提言する。
「着いてきてもなにもでないぞ」
ジョルディーはミラルにそう言う。
「なんだかおもしろそうだから」
ミラルはそう言って笑った。
「お初にお目にかかる」
ダリルが会釈(えしゃく)する。
「よろしく」とミラル。
「私は神の子ハイベル。よろしく」
「あ、ども」
なんにしろぞんざいにあいさつするミラル。
さっさと歩き出すジョルディーとエルフィール。
三日三晩歩いて、一行は花が多彩な色の花が咲く花園にいきつく。
「光が……」
花畑の中心で光が真上を指す。
「ここにいるのか」
エルフィールは辺りを見回すが花の世話をする老人が一人いるだけだ。
「あれがそうか?」
エルフィールがまずいものでも食べたようなニガい顔をする。
「そうだろう」
ダリルが断言する。
さっさと老人に歩き出すエルフィール。
「おまえが大神ハーバイトか」
ヒゲもじゃ眉毛(まゆげ)もじゃなぼうぼうの白髪の老人が振り向く。
「そうだが」
「ちょっとこい」
エルフィールが腕をつかむ。
雷鳴が轟(とどろ)いた。
花が木々がざわめいた。
その存在自体がざわめいたというべきか。
「なんだ?」
エルフィールが辺りをうかがう。
「敵か」
エルフィールは殺気立つ。
「違うな」
「違うわね」
ダリルとミラルが言う。
「世界がハーバイトの手を離せと思っている」
ハイベルが補足する。
「そ……うなのか」
エルフィールがハーバイトの腕を離す。
「なにをしてるんですか」
ジョルディーが笑顔でハーバイトに聞く。
「花がな、育つのだよ」
ハーバイトはそう言う。
「花どころではないのだ。
花などがなんだというのだ」
エルフィールはハーバイトをその腕をつかむ。
雷がエルフィールを直撃する。
ミラルがダリルがハイベルが三方から手を出し、雷撃を弾(はじ)く。
それがなんの力なのか、エルフィールはびっくりして倒れかかるところをジョルディーがささえる。
「貴様の攻撃か!」
エルフィールがハーバイトに食ってかかる。
「今日は天気がいまいちじゃな」
ハーバイトは花に水をやる。
「この事態が貴様の不在だと知らぬものでもあるまい。
いいから貴様が神殿に戻れば……いいのだ!」
「星がな」
「な、なに?」
今度はエルフィールがキョトンとする。
「星が自然がな、重力から解き放つのがいいと言うとる」
「この後におよんで戯言(たわごと)を!
いいからおまえをひきずってでも連れていくぞ」
「よせエルフィール。
世界から攻撃を受けるぞ」
エルフィールはハーバイトの腕を再びつかむ。
なにも起きない。
そのかわりハーバイトが光っている。
そして光はエルフィールさえ包む。
「だいじょうぶか!」
ジョルディーがエルフィールをつかむ。
ジョルディーも光る。
ジョルディーも光に包まれる。
この星が揺れた。
いや星が積み重ねた時が揺れた。
「これはなんだ」
エルフィールがとまどっている。
「なあ、花が必要じゃろ」
ハーバイトが笑った。
クシャッとシワが何重にも笑顔を作る。
「星をなんとかすればいいんだな」
エルフィールが問う。
「木を植えてごらん」
「そんなことできるか!
もっとなにかないのか」
エルフィールがいらだつ。
「ならばワシをこの星を斬ってもらえんかな」
「解りました」
ジョルディーがそう言う。
エルフィールもうなずく。
「でも手が光らないぞ」
エルフィールの疑問にミラルが「ちょっとその花を持ってみ」
ジョルディーとエルフィールが花を持つ。
花は光へと変わる。
さらに光は空へとのび、光は地平線に星を斬る。
ザキン!
星はすべての人をその気持ちを横ぎる。
無数の人の気持ちが入っては出ていく。
星はその力を木に花に解放していく。
「これが星のすべてなのか」
エルフィールはボケーッとしている。
「どうかしたか」
ダリルの言葉に「星が求めている」
「なにを?」
ミラルが聞く。
「それをこれから斬りにいく」
エルフィールは歩き出す。
ハーバイトは相変わらず花に水をやってる。
ミラルもダリルもハイベルもとにかくエルフィールの後に続く。
「ハーバイトはいいのか」
「だからハーバイトを神殿に帰しにこれからいくのだ」
エルフィールはそう言うと歩き出す。
ハーバイトが木々に見えなくなる。
五人は歩き出した。









↑ダーエレ27 トップ↑ ファンタジーのページ    第28話へ

織刻(しょくこく) トップページ 言葉工房 トップページ

























↑ダーエレ27 トップ↑

























↑ダーエレ27 トップ↑

ファンタジーのページ 織刻(しょくこく) トップページ 言葉工房 トップページ