erem15





織刻(しょくこく)トップページ  言葉工房トップページ  ファンタジーのページ


『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー =闇出会(やみであい)〜』


                 第十五旋承壁陣(だいじゅうごせんしょうへきじん)


                               たかさき はやと






 「あれは……ブライアント軍の紋章……」
 森の下にある道をブライアント軍の兵士たちが行進していく。
「なにかあるのかな」
 エルフィールの質問に。
「解らないな」
 ジョルディーは答える。
「この先には森以外なにもない。ましてや軍事行動をとる相手など……」
 エルフィールは疑問に思う。
「それはあなたたちとは関係ないことですよ」
 いつのまにか、ジョルディーとエルフィールの後ろにブライアント軍の兵士がいた。
 どうやら一人らしい。
ガガギン!
「くっ!」
 ジョルディーが抑えきれない剣撃をその男はいきなり放つ。
 エルフィールも、こう二人が近くてはサラマンダーも使えない。
 ジョルディーの髪を相手の剣がなぐ。
 ジョルディーのカウンターの一撃が兵士をとらえた。
「なに!?」
 手応えがない。
 兵士は七人七色に分身していた。
 どれを斬っていいのか迷うジョルディー。
 七本の剣がジョルディーに迫る。
「とあっ」
 ジョルディーがバランスをくずす。
 ここぞと兵士の剣がジョルディーをとらえる。
 兵士の剣撃を一本の槍が防いだ。
「誰だ!?」
 茶色のフード付きマントにすっぽりおおわれた大男が立っていた。
 いや、もしかしたら女性かも知れない。
 兵士は分身しながら槍の大男に迫る。
 七本の剣が斬る。
 そこに誰もいなかった。
 空に男はいた。
 背中に翼があった。
 男はフードが付いたマントを空へ投げる。
 マントによって森の薄明かりが消え、兵士の分身がとぎれる。
ザギンッ!
 男は槍の一撃で兵士の剣を叩きおる。
 そこに顔は鷲(わし)で体には翼があり、全体は人の鳥人(ちょうじん)が立っていた。
 まるで屈強な戦士が鳥の仮面でもかぶっているようだ。
「これはこれはそちらから出向いてくださるとはね」
 兵士が苦笑いを浮かべた。
「ここは我らが聖地……三人とも出て行け」
 兵士にとどめをさそうと槍を構える鳥人。
 その時、エルフィールの手が光った。
 ジョルディーの手も。
 二人は手を合わせる。
 クリスタルの剣が現れた。
 鳥人は動かない。まるで見とれているように。
「ほう、これが例の……」
 兵士は魔法で炎を二人にあびせる。
 そのすべてが二人には届かず、クリスタルに吸収される。
「まさか、こんな……ことが……」
 クリスタルの剣が兵士をつらぬく。
 兵士は倒れた。
 兵士はよろよろと立ち去って行く。
「これが人の欲望を斬るというヴァディールの剣……」
 鳥人は後ろを向く。
「あ、あの……」
 エルフィールの言葉に無言で歩き出す鳥人。
「どうやらついて来いってことらしい」
 ジョルディーの言葉にうなずくエルフィール。
 鳥人の足どりはゆるやかだった。
 森の奥に入っていく鳥人。
 ジョルディーとエルフィールは後に続くのだった。









↑ダーエレ15 トップ↑ ファンタジーのページ  第16話へ

織刻(しょくこく) トップページ 言葉工房 トップページ

























↑ダーエレ15 トップ↑

























↑ダーエレ15 トップ↑

ファンタジーのページ 織刻(しょくこく) トップページ 言葉工房 トップページ