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『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー =闇螺旋(やみらせん)〜』


                 第十三旋承壁陣(だいじゅうさんせんしょうへきじん)


                               たかさき はやと






 ディグラウドは商人たちが旅の交流地としてよく利用している、旅人にもお馴染みの国であった。
 赤い砂漠や聖者の山脈、エルフ遺跡の森などと接していて、観光や宗教者にもお馴染みの国である。
「こんなところに……伝説の魔法使いが本当にいるのか?」
 エルフィールはミラルに難色を示す。
 しかし先の一件でミラルには世話になっている手前、これでも控えめな意見だった。
 街は活気を呈していて、テントや屋台の並ぶ道をミラルたちが行く。
 ジョルディーはそこの屋台で買ったリンゴをかじっている。
「あそこよ」
 ミラルは一つの小さなテントに入って行く。
 ジョルディーも後に続く。エルフィールは恐る恐るといった感じで続いた。
 テントの中は真っ暗だった。いや、小さなランプが一つ灯っている。
 テントの中は以外と広い。
 テントの一番奥に、一人の老人が座っていた。
 白いヒゲが伸びている。頭には白いターバンを巻いて白い服を着ている。
「師匠、おひさしぶり」
 ミラルが老人に挨拶する。
「よっ景気はどうだい……?」
 老人はどうでもいいようなことをどうでもいいように言う。
「ぼちぼちでんな」
 ミラルが答える。
「紹介するわ、螺旋法の使い手で私の魔法の師匠のガイアよ」
「よろしく」
 と、ジョルディー。
「あ、ああ」
 と、エルフィール。
「ラセン法って高次元魔法のラセン法?」
「そうよ」
 エルフィールの疑問にミラルが即答する。
 ミラルの話しが本当なら、伝説の魔法使いであるのは間違いない。
 エルフィールはそんなことを考えていた。
「それで、何か用かい、客人どの」
 ガイアは座布団を進めるが、ミラルしか座らない。
「私はダリル様の意志を継ぎし者」
 エルフィールは意志を示す。
「私はそれに力を貸す者」
 ジョルディーがそれに続く。
「私は螺旋に身を置く者」
 ガイアがさらに言葉を継ぐ。
「争いを無くすにはどうすればいい?」
 エルフィールが話しの核心をつく。
「そうじゃなマウはどう思う……?」
 ガイアは虚空に向かって誰かと話しだす。
「そうか、そうか……うん、うんうん……」
 さらにガイアの独り言は続く。
「ボケているのか?」
「さてね、どうかしらね」
 と、ミラルが立ち上がった。
ザザスッ!
 いままでミラルが居た場所を三本の槍(やり)がつく。
 テントの中へ三人の若い槍を持った男たちが入って来る。
「エルフィールとジョルディー、来てもらおうか」
「やだと言ったら?」
「力づくでも来てもらう……。  手加減出来る相手ではない……急所を狙え……」
 槍を剣で受け流すジョルディー。
 必殺の一撃をおもしろいようにかわすジョルディーとエルフィール。
 すでにミラルとガイアは茅の外である。
 三人の襲撃者たちが突然倒れる。
「やりますねマウさん」
 ミラルは感心する。
「誰だって、マウ? どこにいるんだ?」
「ここにいる」
 エルフィールの疑問にガイアが答える。
 エルフィールとジョルディーの手が光った。
 クリスタルの剣が生まれた。
 二人は三人の男たちを斬る。
 男たちは起きあがると外へ出て行く。
 すでに男たちに闘争心はなかった。
「おもしろい物を見せてもらった。ありがとう」
「そんなことよりこの争いはどうしたら……」
「それは私には解らない。私には何も示せない」
「そうか……」
 エルフィールとジョルディーはテントから出て行こうとする。
「しばらくゆっくりとして行きなさい」
「いや、答えが無いのなら……なんだ?」
 暗闇がエルフィールとジョルディーを包む。
「どこだここは」
 ミラルとガイア、誰もいない。
 後ろを見る二人。光りの螺旋がまわっていた。
「誰だ?」
 ジョルディーは螺旋に向かってそう言った。
「あなたたちが答えと成る日が来ます」
 螺旋はそう言う。
「赤い月が落ちる日にあなたたちは見るでしょうその瞳で……」
 螺旋は続ける。
「この日々は争いのために……それがあなたとなります」
「それは……つまり……」
 エルフィールが聞き返す。
「行きなさい」
「……解りました……」
 エルフィールは螺旋に感謝する。
 なにか、いままでのもやもやが取れた気がした。
 瞬間、二人は街にいた。
 人々の活気がそこかしこを彩る。
「行くか」
 エルフィールの言葉に。
「そうだな」
 ジョルディーが答える。
 二人はまた旅立った。









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