参考フレーズ集(好きなキーワード・参考フレーズなど) 橋本康男のトップページ
 −いろいろな場面で思いついた表現を集めてみました。− ひとり言
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広島大学での4年3か月



1.変革について
・新しい取り組みは必ず壁に直面
 新たな挑戦は最初はうまくいかないのが当たり前,周囲と対話を積み重ねながら無理せず根気よく,どこかで独りになってしまうことはあるもの,孤立への耐性
・紙やすりとのこぎり
 のこぎりで新たな形を切り出そうとすれば途中で小さなトゲは沢山出てくるもの,紙やすりでトゲを削っても小さくなるばかり,小さなトゲを問題にするのではなく切り出すものの形を議論することが大切
・次の曲がり角まで
 先々まで緻密な設計図を書いていても取り組んでいるうちに環境が変化していく,先の先まで見えなくても,方向性を大切に行動してみる
・あと1mの壁
 ジャングルの中をかき分けて進むような先の見えない取り組みに,あと1mの所で諦めて引き返しているかもしれない恐さ,方向性に信念があればもう一息頑張る気力,「百里の道は九十九里をもって半ばとす」(徳川家康の言葉とされている)
・成功は偶然の産物ではあるが,その偶然は努力の産物
 新たな何かができた時は,いろんな人に助けられいろんな幸運が積み重なった感じがするもの,それはそれまでの努力の積み重ねが生み出した環境
・百発一中
 空振りや失敗をしなければ当たりも出ない,失敗から学びながら進む,諦めれば「失敗」だが諦めなければそれは「経験」,成功の唯一の秘訣はできるまで止めないこと
・緻密な正しさの危険
 緻密で間違いのない選択の積重ねが正しい結果を生み出すとは限らない,出会い頭の成功もある,完璧なフォームの練習だけでなくバットを実際に振ることも大切
・チャレンジの前には皆平等
 挑戦においては,個人の能力や過去の経験や実績に関わらず,成功の保証のない不安は皆同じ,成功の保証があるということは新しくないということ
・難しい仕事は難しい顔をしていてはできない
 難しい顔をしてれば誰も寄って来ない,方の力を抜いて,必要な情報が気軽に幅広く自主的に集まる明るく楽しいオープンな雰囲気が大切
・変化の中の孤独に耐える仲間,励まし合いのネットワーク
 「みんな」は3人から,仲間を性急に広げようとし過ぎず,高いレベルで目的意識を共有できる仲間を自分以外にまず2人探す,それから輪を広げていく
・明日の選択
 明日が今日と同じなのは,数多くの選択肢の中から今日と同じ日を選んでいるから
・お山の大将
 より高い山に登るためには,一旦登った山を降りて登り直すことが必要,できない自分を認めて受け入れて泥臭く地道に努力していくことが必要
・半歩先,中腰の姿勢,舞い上がらずへたり込まず
 背伸びすれば足をすくわれ,へたり込めば前には進まない,先に進み過ぎれば誰もついてこず,皆と一緒では何も始まらない
・農耕社会の調和重視の行動様式
 横並び,分をわきまえた則を越えない振る舞い,序列意識,「群れる」と「個のネットワーク」の違い
・めざしたからといって叶う訳ではないが,めざさなければ何も始まらない

2.考え方について
・「できること,やりたいこと」と「やるべきこと」
 できる研究,やりたい研究だけをやる研究者とやるべき研究をする研究者(東北大 大見忠弘教授)
・信念と良質な怒り
 あるべき社会への信念と,理不尽なことを許さない社会の不条理に対する怒りの蓄積が原動力,安易な怒りの噴出ではなく良質な深い怒りに基づく静かな迫力
・未来・現在・過去
 将来のビジョン,現在の取り組み,過去の実績を3点セットで説明,「自分は何をめざしておりこれまで何をやってきたか,今何を議論したいのか」,議論の基本
・多様性の力
 均質な一枚板よりも複合材の強さ,しなやかさ,多様性,非均質性の評価
・単純化しない,決め付けない我慢
 馴染みのないことは「絶対,みんな,全部」などと安易に決め付けやすいもの,英語がペラペラかどうかの二項選択など,囲碁なら何級か何段かまで聞くのに
・川を渡るか渡らないか
 「川を渡った人はとことん頑張れ,自分は渡ってないのだから関係ない」ではなく,川の幅を狭めて橋を架け,より多くの人々が参加できる環境づくり
・長距離バスにトイレを付ける
 実際には使わなくても付いていれば安心,長続きするために無理し過ぎなくてもいい工夫,安心感の提供が必要
・棟上げの最中に壁紙の色を議論
 大きな骨格を組み立てようとしている時に,台所の壁紙の色の議論にならない

3.仕事について
・箱庭の完ぺき主義
 自分の守備範囲を自分で決めてそれ以外には無関心・無責任,自分の満足のためだけに仕事をしており,高く掲げるべき目標を持っていないから
・選択をしないという選択
 無責任,先送り体質,右肩上がりの時期には通用した行動様式,無為の責任
・責任を取らない責任者
 自ら判断をしない責任を取らず御輿に乗るスタイルの限界,情報価値理解力の違い
・パックツアー症候群
 既存メニューから旅行パックを選び,後は何か問題が起きれば全て添乗員と旅行会社の責任だと主張するのでなく。自分でゼロから情報を集め試行錯誤でプランを作り手配する「無駄」の多い作業の中から,責任感や厚み・深みと学びが生まれる
・あったらいいけどなくてもいいもの,やらない我慢
 あったらいいけどなくてもいいものも多い,資源集中のためにはやらない我慢も必要
・ジャングルの曲芸運転
 木や穴や崖をよけて片手で上手に運転できるのは自慢にならない,木を切り切り株を掘り起こして道を作れば誰でも容易に運転できるようになる,資料や段取りの整理,マニュアル化など地道な道づくりが大切
・時間がない
 忙しくて時間がないのではなく,そのことよりも他のことを優先しているだけ

4.その他
 ・消防団員と消防署員
 住民と行政職員の関係をうまく表す言葉がないかと考えていて思いついた言葉です。フルタイムで社会のために行政職員として働く人々と,いざという時には行政にも関わっていく人々というという感じが出ないかと考えています。
・個性と連携
  ネットワークの時代は個性の時代でもあり,その個性が連携していくことが刺激となり励ましになる。
・将来への夢とオープンな明るさ
  周囲を説得し実際に変化を生み出していくためには,不条理に対する良質な怒りと社会への夢や気迫・忍耐が必要。
・一生懸命が恥ずかしくない環境づくり
  最近組織風土の大切さを感じています。未来に向かって一生懸命頑張ってる人や組織の「張り」を大切にしたいと思ってます。
・農耕社会での調和重視の行動様式 ⇒調和維持のための横並び,分をわきまえた則を越えない振る舞い,序列意識
・選択をしないという選択 ⇒右肩上がりの時期には通用した行動様式
・責任を取らない責任者 ⇒自ら判断をしない責任を取らず御輿に乗るスタイルの責任者の限界
・ガラスの壁 ⇒自分自身で見えない壁に閉じ込める
・緻密で間違いのない選択の積み重ねが正しい結果を生み出すとは限らない

(仕事について)
・できることとやるべきこと(東北大・大見先生) ⇒自分にできること,自分がやりたいこと,自分がやるべきこと
・出口のタンク ⇒人の気力や体力はメインタンクから出口のタンクに移されて使われる。メインタンクはまだ空になっていないのに出口タンクが一時的に空になることで簡単に限界と感じてしまう。出口タンクの拡張とメインタンクからの供給パイプ拡大が必要
・時間がない ⇒忙しくて時間がないのではなく限られた時間の中でそれに優先度を与えられない

(新しい取り組み)
・明日の選択 ⇒明日が今日と同じなのは数多くの選択肢の中から今日と同じ日を選んでいるから
・競馬場と放牧地 ⇒整備されたコースで速さを競うのでなく自分で動機付けをし道を拓く
・お山の大将 ⇒より高い山に登るためには一旦登った山を降りて登り直すことが必要
・ハードよりもフード(風土) ⇒一生懸命が恥ずかしくない環境づくり
・半歩先,中腰の姿勢 ⇒舞い上がらずへたり込まず
・決め付けない我慢 ⇒「絶対,みんな,全部」などと安易に使わず
・やらない我慢 ⇒資源とエネルギーを集中し焦点を絞るためにはやらない我慢も重要
・孤立への耐性 ⇒新たな取り組みに一時的な孤立は避けがたい
・頭と心と体 ⇒知識と熱意と経験
・ゼニとおどしとまごころ ⇒市場原理と法的強制力と共感
・百発一中 ⇒失敗をしなければ当たりも出ない
・人間を大切にするのか人間関係を大切にするのか(柴田昌治) ⇒個人の持っている力の発揮よりも集団の秩序を優先し,人間関係の調和を乱さないようにと暗に言っている場合も。

(国際化と情報化)
・国際化と情報化 ⇒英語やパソコンができればよいというものではないという点で共通,マニアやオタク,「専門家」に振り回されない
・相手の反応は自分の心の鏡 ⇒まず相手を好きになることから
・融合ではなく共存 ⇒一つに溶け合うのではなく違いを受け入れ共存
・違うけど同じから同じだけど違うへ ⇒人は皆同じから違いを認め合い受け入れあうことへ
・以心伝心では伝わらない ⇒論理的自己表現力が必要
・黒塗り公用車でのテープカット ⇒立派な施設を不便な所に作って黒塗りの車でテープカットに行く人が満足するだけではだめ。どんなに立派なシステムを作っても普段使いにくければ意味がない。
・ベンツと軽自動車 ⇒ベンツよりも軽自動車の方が使い勝手が良い場合もある。また,オプションも付けすぎれば使い勝手が悪くなる。

(コーディネーター)
・説得の気迫・厚み・根性・忍耐
・問題点の抽出,資料収集,課題整理,中長期ビジョンの提案,実施案作成,行動のための関係者調整
・崇高な理念と脅し・すかし・懐柔
・変革のキーマン(世話人)の資質(柴田昌治)
@課題達成主義でないタイプ,A変革への思い入れが人一倍強い,B制約条件を絶対視しない柔軟性,Cフットワークの良さ,D人と人の橋渡しをする力,E起承転結の組み合わせ(いろいろな個性と強みを持ったキーマンがお互いに助け合い,補い合い相談し合って前に進んでいくこと),F違いを認める幅の広さ ⇒強い問題意識と自分自身に対する誠実さ

(お役所仕事)
 田舎の駅で目の前に電車が止まっているのにぐずぐずして乗り遅れておきながら,夕刻まで次の電車が来ないのを知って「電車が来ないんだから自分の責任ではない」と言い訳するのがお役所仕事。渡る気もないのに石橋をたたくふり。箱庭の完璧主義。グループ内お友達主義。

(大企業の本社)
 以前,県商工労働部で産業振興を担当していた際,外国では大企業の多くは首都以外に本社を置いているのに対して,日本ではほとんどの大企業は東京に本社を置いており,地方でスタートした企業も大きくなると東京に本社を移転するということに疑問を感じていました。
 これには,迅速な情報の入手・他の企業との競争や刺激などの理由が挙げられますが,逆に何故外国の大企業は地方都市に立地していても世界的に活動できるのでしょうか。
 このあたりに,日本の国際化や国際理解について考えるヒントがありそうです。

(自らの座標軸と緊張感の維持)
 企業が自らの座標軸を持ち緊張感を維持できれば,その立地場所は問題にならないはずです。ところが,その行動様式が,横並び主義や序列意識,依存体質になっていれば話は異なります。地方に立地し地域社会での評価に満足してお山の大将になって緊張感が緩んだり,東京中心の序列意識の中で萎縮し自己規制したり,逆に肩に力が入り過ぎたりしてしまうことはないでしょうか。地方にいても世界的な視野を持ち,固定観念にとらわれない柔軟で幅広い視点で,横並び主義や依存・従属ではなく自立して考え行動していくことが必要です。これは個人や地方行政についても同じです。
 国際的な視点は,地域独自の座標軸での取り組みを通じて地方の自信とプライドを生み出すものであり,国際化とは,単に外国旅行や国際交流事業をすることではなく,地球的な視点で自分自身と地域のあるべき姿を考え行動することだと思います。

 1991年8月に,商工会議所や行政が東南アジアとの経済交流のために共同で設立したシンガポール広島事務所の初代所長として,妻と小学生の子供2人を連れてシンガポールに赴任しました。当時37歳でしたが,英会話は33歳の時に初めて勉強を始めたという状況であり,海外旅行経験も1度だけという極めて不安な状況でした。初代の事務所長のため相談する人もなく,靴屋さんに熱帯では暑くて合成ゴム底の靴では溶けてしまうと言われて素直にそれを信じる始末でした。  加えて,他県に比べて予算が少なく当初はアシスタントを雇うお金もなかったため,ビザの申請から電話等の手続きまで全て自分でやり,事務所の机や本棚も中心街のショールームでは高いので郊外の家具工場に直接行って安く売ってもらうよう交渉するという状況でスタートしました。

(「よそ者」に優しい社会)
 シンガポールに赴任して感じたのは,「よそ者」への優しさです。全く実績のないところで新たに事務所を立ち上げることについてかなりの困難を予想していたのですが,全くの杞憂でした。もちろん,英語もおぼつかなく海外経験もない者が一人で取り組むのですからスムーズに行く訳はないのですが,シンガポール側の対応には本当に救われる思いをすることが数多くありました。
 政府機関の部長級や大学等の学部長クラスの人でも,レターを出せば気軽に会ってくれ,極めて気さくに相談に乗ってくれます。シンガポール自身が若い国であることもあり,新たな取り組みについて極めて寛容で受容的であり,また,多民族国家として,言葉や容貌・習慣・文化の違いへの慣れがあります。
 言葉についても,家庭では中国系は中国語(それも北京標準語と方言である福建語や広東語などの両方),マレー系はマレー語を話しながら,学校や会社では英語を使っていることもあり,いわゆる第2言語でのコミュニケーションについての慣れや寛容さがあります。また,個人を重視しそのセンスや実力を問う体質があり,会話の端々に相手の名前を織り込むなど西洋風の行動様式を持っています。

(責任者が気軽に会ってくれる訳)
 シンガポールで政府高官などが気軽に会ってくれるのは,当時はシンガポール人のフランクさからだと思っていたのですが,別の側面もあるのではないかと考えるようになりました。
 それは,個人の成果が厳しく問われる風土において,チャンスや情報の大切さを充分認識しているため,大切な情報の収集・判断は他人任せにせず,新しい情報を持って来る人には自分で会い自分の責任で判断しようとしているというものです。責任者の判断が重視され問われる社会ならではの行動様式です。

(人と地域の張り)
 世界の中には,色々な経済状況の中で様々な歴史や文化を背景に暮らしている人々がおり,社会があります。人の価値は,その人がどの社会に所属しているのかではなくてその人がどのように頑張っているのかという個人の勢いによって評価されるべきだという基本を再確認する必要があります。
 人々はそれぞれの環境の中でそれぞれに工夫をしながら一生懸命に生きており,特に伸び盛りの国では,将来へ向かっての一生懸命さに裏打ちされた「人や地域の張り」を感じることがあります。
 固定観念と序列意識の打破 世界的視点から見れば,東京一番・大阪二番というような日本の中の序列意識は意味がありません。もし私たちがそう思うとすれば,長い間に身についた私たち自身の自己規制か萎縮なのかもしれません。  これからは,地域の工夫を生かした新たな取り組みが求められており,世界の中で最も良い見本を探し世界水準での見直しをしていくことが必要です。 地域のあり方を国任せでなく地域自身で考え,地域の自信とプライドを持ち,自分たちの責任の下に,固定観念,序列意識を打破し地域資源を有効活用していことが大切だと感じます。

(成熟社会の制度疲労と自己変革能力)
 日本社会の中だけで過ごしていると,世界との違いを意識する機会に乏しくなりがちです。社会の成熟化の中で進行している保身や内弁慶,官僚主義,箱庭の完璧主義といった弊害への危機感が生じにくく,自己変革能力が弱まり,驕れるもの久しからずとなりかねません。  また,多様な視点からの方向性のチェックを続けていなければ,個別の判断としては正しいものを積み上げていても,結果としては大きな失敗を生み出すことにもなりかねません。ぬるま湯の中の甘えが,局所的な完璧主義や異質なものの排除主義を生み出したり,小山の大将で終わらせたりしかねません。  海外との交流を通して異質なものを受け入れ共存することを学び,安易に決め付けない判断,論理的な自己表現による意見交換など世界の常識の中での行動様式を身に付けるとともに,日本の社会を見直し変化を生み出していくことが必要なように感じています。  単一の価値基準の中で緻密な完成度の高さを追い求め異質なものを排除していくのではなく,多様なものの交流の中で逞しく変化して新たなものを生み出し広げていけるような社会づくりが求められているのではないでしょうか?
*学生交流の経験から(シンガポールとの学生交流)
 シンガポール広島事務所では,経済交流と共に学生交流にも力を入れ,シンガポール唯一の総合大学であるシンガポール国立大学日本研究学科と,日本では国立高専に相当する国立シンガポールポリテクニック校との交流を進めてきました。 現在では両校から,1か月間広島の企業で実際に働く企業研修プログラムと1〜2週間広島の家庭に滞在するホームステイプログラムのそれぞれのプログラムで,計4グループ約60人が毎年広島に来ており,これまで広島に来た学生の累計は,国立シンガポール大学239名,国立シンガポール・ポリテクニック校260名と,合計400名を超えています。これらの学生はすべて自分のお金で来ています。

(汗はかくけど金は出さない)
 こちらがお金を出しての交流であれば,相手も少々のことは我慢して言うことを聞いてくれますが,それでは対等の関係にはなりません。シンガポールでは,相手の意向を聞かない日本側の思い込みや独り善がりの「交流」プログラムというケースも少なくないように感じました。シンガポールの学生との交流を,「汗はかくけど金は出さない」というポリシーで進めているのも,「金の切れ目が縁の切れ目」にならないようにという面もありますが,むしろ互いに対等な関係で緊張感を持って交流をしたいとの思いからです。

(日本人との交流で一番悲しいのは歴史を知らないこと)
 シンガポールの新聞に地元の女子学生が「日本人との交流で一番悲しいのは歴史を知らないこと」と投稿したことがあります。シンガポールでは,昭和17年2月の日本軍の占領直後に日本側の資料でも6千人以上の中国系住民が虐殺されていますが,そのような事実を学ぶことなく無邪気にはしゃぐ日本側の学生を,シンガポールの学生はどう見るでしょうか。対等な関係で付き合っている時には表面化しませんが,日本側が無知の上に傲慢不遜な態度を示した場合には,相互信頼は生まれません。 これに関しては,同じ時期に「忘れることはできないが許すことはできるのでは」という被占領体験者からの投稿もありました。戦争の狂気と悲惨さを知る者同士としての,未来へ向かった建設的交流が求められています。

(成熟化と衰退)
 豊かになった社会では,ジタバタすることは格好悪く,他人や組織・社会に対して耳の痛いことを言ったり角の立つようなことはしたくなく,分をわきまえてスマートに行儀良く過ごすようになります。 mso-font-kerning:0pt;mso-ansi-language:JA'>失敗の危険をあえて侵さなくてもそれで済んでしまいます。しかしながら,現在の社会の豊かさは過去の努力の成果であり,現在に生きる者は未来を創り出していかなければなりません。もの知り顔のスマートさが,未来への挑戦ではなく現在の豊かさの消費でしかなければ,無駄や非効率・硬直化が生まれて社会や組織の基礎体力を蝕んでいき,活力や競争力を失わせていきます。これは,歴史上,成熟した文明が滅んでいったメカニズムだと思います。大切なのは,筋の良い議論を続け,自己変革能力を持続させていくことです。

(窓を開き風を入れる)
 小さなコップの中ではちょっとした動きも大きな波として受け止められ非難を受けることがあります。コップの大きさは変えられなくても,国際的な感覚を持ち込むことにより,窓を開き新しい風を入れていくことはできるのではないでしょうか。交流には,他から学ぼうとしなければ大切なものを見過ごし変化への活力を失ってしまうという危機感が基本だと思います。国際交流はきっかけです。バーベキューの着火剤のようなもので,着火材だけ燃やして肝心の炭に火をつけずに終わってしまえば仕方ありません。世界から学び具体的な変化を生み出していく必要があります。

(一生懸命が恥ずかしくない環境づくり)
 社会における未来への思いは,人や地域の張りとして伝わってきます。そこでは無数の新たな取り組みがなされその多くは失敗に終わりますが,何かが生まれています。このような取り組みは,スポーツと同じで普段からやっていないと急にはできません。 筋肉が硬直化しないよう,地方行政も新たな取り組みを生み出す風土づくりが必要であり,国際化はその推進力の一つだと感じます。国際化を一つのきっかけとして,地方行政と地域に新たな変化への取り組みが生まれてくることを願ってやみません。

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