縮刷版99年7月上旬号


【7月10日】 天野嘉孝さんの表紙絵にひかれて藤川桂介さんの「シギラの月」(廣済堂出版、上下各1600円)を買う。装丁は京極夏彦さんでタイトルがエンボスかけてるのが凝ってて面白い。けど天野さんの絵って最近目つきが悪いねー、南方の宮古島を舞台にしてそっちの人たちを主人公にしていてこの顔で良いのか悪いのか、中国っぽい顔だけど南方って雰囲気じゃないし、うーん。お話は中国でまだ明が健在ながら北方より元が押し寄せて来ている激動の時代、沖縄から宮古列島、八重山列島でもさまざまな勢力が勃興して狭い島内で独自の社会や文化や政治を育んでいたものが、琉球を介して明の圧力がひしひしと押し寄せ、否応なしに世界に汲み入れられていく様が描かれる。

 盛んに「島の誇り」を叫び頑なに支配されることを拒む昔ながらの勢力がいて、沖縄ひいては明の力をバックに島を統治しようとする勢力がいて、両者の対立を軸に大国の思惑に翻弄される小さな国がどうやって生きていけば良いのかが語られる。それはいたずらに争わず誇りは持ちながらも譲ることは譲り、平和裡に永続を目指すべきとの立場であって、突撃特攻大好き民族にはいささか歯痒くかつまた軟弱な展開と思われるかもしれないけれど、それがかつて占領という事態を招いた某国の歴史を鑑みると、突っ張るよりも妥協、という言葉はどこか諦めのニュアンスが漂うから好きじゃないけど拘らずおもねらず、したたかにまったり生きていく事の大切さも解る。上巻の過去の歴史が長く全体にエピソードを淡々と羅列する展開にダレもあるが、下巻は一気に話が進むから我慢して読もう。アニメ化ってホントかなあ。

 目覚めたらすでに半分が過ぎていた双子の弟の誕生日はイトーヨーカ堂でユージンの「機動戦艦ナデシコ劇場版」ガシャガシャをプレイしたら艦長ルリちゃんがゲット出来てちょっと嬉しい、でも「神風怪盗ジャンヌ」のカードダスの1番はまだ出ず気分も相殺。本屋で「アニメージュ」と「AX」とデコース・ワイズメルが久々の登場でダグラス・カイエンとはまた違ったカッコ良さを発揮していた「ファイブスターストーリーズ」に惹かれて「ニュータイプ」も久々に買う。「宇宙海賊ミト2」は「AX」の女子校生葵ちゃんの絵が「アニメージュ」よりマル、あと「課長王子」は「AX」に中沢一登さん描くセル版権が載ってで田中王児の課長ぶりが光る、ってうーか臭う、あの顎の無精ひげがいかにもバンド崩れの中年おっさんしてて良いです、でもギターがフライングVじゃないのは何故?

 「アニメージュ」の火乃紀ちゃんポスターはローアングルからのアオリにクラリ、もちバックのペッタンコの紗孔羅にも。なんだって「超時空世紀オーガス」がDVD? 名古屋じゃ日曜の午後2時とかってな時間にやってて最初は見てたけどラストはあんまり覚えてないんで買うか、安いし(5話入り5800円)。バンダイビジュアルも古いをはこれくらいの値段で出してくれると有り難いんだけどなー、「ウルトラセブン」も4話で3800円だし、ルパン1stも廉価版ビデオじゃなくってDVDで安く出してくれたら即買いなんだけど。「AX」冒頭グラビアの櫻井智さんがソフトフォーカスなのは写真家の腕前が悪かったから? それとも?? 謎。しかし決定的な謎はやっぱり「アニメージュ」の表紙が「To Heart」ってことですか、やっぱり藤原センセイじゃー売れないと踏んだか、あるいはいしいひさいち描く鈴木プロデューサーの「契約しろー!」でも。今回が最終回の堺三保さんコラム下にギターを買ったとあるが果たしてフライングVか? 

 ってなアニメ雑誌読みをしこしことやっているうちに双子の弟の兄の誕生日ははや夕方、ってのは去年とも一昨年とも実はあんまり大差がないのはまだまだ自分が若いって証拠だろー、進歩がないとも陰では言うが。「噂の眞相」を読んであの5月29日の「キディランド」での大騒動に筒井康隆さんが近所を散歩していたことを知る。奥さんのじゃっかん惚け始めている母親のことを書いている筆は身も蓋もなさそうに読めて実は気にかけていることが伺える筒井さんらしいひねくれた感じにちょっともらい泣き。ひとり寂しい義母のために話相手になるかもしれない「ファービー」を買ってやりたいと思ったものの、すでに日本語版は売り切れたとあってどうにも残念がってるみたいだから、トミーは1つといわず100個くらい箱につめた「ファービー」を筒井邸に送り賜え叶え望みの性器ピアスだ誰だったっけ? もとい「ファービー」はあの巨大な縫いぐるみを差し上げるって手もあるな、中に人入れて、僕入ります。


【7月9日】 説明不足かつ前掲の文章との連絡が耐えていたせいで誤解があったみたいだけどサンスポに移動したのは別の記者で、その彼が忙しくなったんで芝居に行けなかったんでチケットをもらってつかこうへいに暇な僕がいってまだチケットの金を払ってないって話なんで、決してご祝儀に花とかビール券とか「スター・ウォーズ」のチケットとか「ダース・モール」のチャンバラ人形とか発表間近との噂も出ている「iMACポータブル」なんかを贈ってこないで下さいな、欲しいのは山々だけど、うん欲しいんだけど。日本語って難しいなあ(違う)。ちなみにサンスポ運動部に移動した記者こと川田尚市氏は演劇も得意ながら本業は骨法の達人で格闘技に詳しくそこいらの若手格闘家は弟弟子くらいに小指であしらう偉丈夫ぶり。かつ「格闘技通信」なんかに記事も書く仕事もしていたりするんで、そっち方面の文章のご用命があればそちらへ。なーに殴りゃしませんって。

 男の子ならやっぱり1つくらい持ってなくっちゃと急に思いついて「G−SHOCK」を今頃買う。最近カジュアルで出社してるんで普通の時計じゃー合わないってのもあったしね。で、何を買うのか迷うのがここでも優柔不断でブランド好きなスノッブ俗物野郎の薄気味悪いところで、30分ばかりショーウィンドー前をうろうろとして、結局はその店で1番人気らしー「蛙男」のチタンで出来てる奴を買う。1つ買うと別のが欲しいとなるのは実は自明の理で、すでに別のもうちょい違う機能をついたのが欲しい気持ちがムクムク起こってるのが恐ろしい。まあ夏で時計も鬱陶しい季節だってのが気持ちを殺ぐのに働いてくれれば幸いか。Baby−Gの黒いのカッコ良いなー(いかん!)。

 昼間の「ヴェルファーレ」でコーエーの次世代プレイステーション向けソフト「決戦」の発表会。数々の歴史シミュレーションを手がけて来た「シブサワ・コウ」がはじめて人前に姿を表すってんで集まった雑誌の記者の数たるや、これまでのコーエーの発表会になかったくらいの規模に達し、関心の高さを裏付ける。さて派手なMCを受けていよいよ初登場らしー「シブサワ・コウ」、その長身を包んだ出で立ちは、黒いパンツに黒いジャケット、襟川恵子社長がデザインした紋のついた黒いTシャツとゆー黒尽くめがクリエーターっぽい。そしてその上に乗っかった顔の、長い髪にややエラの張った顎は前にどっかで見たことのある人とソックリで、喋った声も調べれば声紋までも同じに違いないとゆーソックリぶりに、唖然呆然とした空気が場内に広がる。きっと指紋も同じだぜ、それからDNAだって、襟川陽一会長に。

 事情はあんまり知らないけれど、「シブサワ・コウ」ってこれまで取材に応じる時には覆面だったりサングラスだったりしてたのかな、ともかく正式な顔かたちで表に出たのは一応これがはじめてってことになる。実のところ陽一会長が本当に「シブサワ・コウ」と等価なのかどーかは今もって釈然とせず、あるいは会長をメインプロデューサーに据えた一種のチームのことを指してるんだろーかとも思えて来る、サンライズの矢立肇っぽい感じかな、ちょっと違うか。ともあれこれをもって「襟川陽一=シブサワ・コウ」と決定した訳で、早速色紙を持って行ってクリエーター憧れのプロデューサー「シブサワ・コウ」のサインをもらってる某「週刊ザ・プレイステーション」(写真下)とかがありました。本人が目の前で行った世界でも初のサインって訳で、さても編集部に飾るかプレゼントするか。するなら応募しちゃおかな(自分でもらえよ!)。

 そろそろおじさん記者たちも気付き始めている東芝ユーザーサポートへちゃむくれ事件はネットでのあまりの反響に拙いと思ったか東芝が公式見解を表明したけど今までだったらこれで納得しちゃってた世間も、ユーザー側が既にして圧倒的なアクセスを誇るメディア、すなわちホームページを持ってリアルタイムに反論できる環境にあるため、すぐさま反論を返され逆に墓穴を掘ってるってのが見ていてなんだかとっても痛快(東芝にとっては悲惨)。もちろん全てのユーザーがネットで権威筋にプレッシャーをかけられる訳じゃなく、反論に理がありアクセス数があってはじめて大企業をも無視できない状況に追い込める訳で、その点この件では早くから丁寧に順を追い、いたずらな罵倒もせず冷静に対処し、ジワジワと観客を増やして行ったって点が今の隆盛につながっている。

 そーいった既にネット上では平等、いやいや弱者とゆーユーザーの立場を鑑みれば東芝側が反論をすればするほど泥沼にはまっていくのは自明で、今回の対処はちょっぴりネットの口コミ力(ちから)を見くびっているんじゃなかろーか。下手をすれば泥仕合になってユーザーも傷を負うけど東芝側だって深い痛手を追いかねい。かといって1ユーザーのいいなりになってしまえば後から類似の苦情それもためにする苦情なんかが寄せられた時に、どー対処すべきか解らなくなってしまう恐怖感が先に立ち、素直になれない事情もなんとなく伺えるだけに、しばらくは泥縄な言い合いが続きそーだなー。

 それにしても「度重なる電話」とか「VTR本体を一方的に当社及び製造子会社の社長に送付されるというような経過がある」といった、言葉では相手にネガティブな印象を与える言葉を不用意に用いるのはやっぱり脇が甘いね。謝罪するかしないかのゴタゴタは最近だと「悪徳会議室」での「スーパーJチャンネル」を巡るやりとりがなんともスカ。悪徳な会社を特集したいからと協力を求めた番組が釣果あったか番組を放映したまでは良かったが、番組内で自分たちが悪徳な会社を追跡するためにページを立ち上げたとナレーションを入れたバックに、こともあろーに「悪徳会議室」の絵を流したらしー。

 当然騒いだ常連さんや管理者が抗議するとスンマセンとは言ってはいるものの自分たちは制作プロダクションでテレ朝に謝罪を求められても困る的逃げの発言に終始。例え悪意があっての事ではないにしろ、悪徳を糾弾した自分たちが悪徳な会社と同類と見られかねない対応をとってしまうのは、いくらマスコミが滅多なことでは謝らないとは言え、経緯が経緯だけにやっぱりまずかろーと思う。これも今ん所は現場レベルでのやりとりはあっても決定的な部分で納得が得られたとよーには見えず、とりわけ前述の東芝の例もあってネットでの監視の目の厳しさ速さへの関心が集まっている時期だけに、対処を謝るとベトナム的泥沼長期戦化もありそーな情勢。ただ他のメディア関心を持って取りあげる場合、叩き合いが見苦しいからなー。しばし観察。


【7月8日】 念願かなってサンスポ運動部に移動したは良いものの、締め切りが早く夕方が頑張って原稿を書きさえすれば暇になるわが社と違って夜が勝負の職場だけに、週に1本は確実に見ていた演劇観賞を諦めなくっちゃいけないみたい。ってことで巡り巡ってまだ金払ってないけど回してもらったつかこうへい作「新幕末純情伝」を代わりにセゾン劇場で見る。実は今まで見たことなかったつか芝居、ってゆーかこっちにまで金が回らなかった関係で舞台にはほとんど演がなく、月蝕はともかく大きなキャパでやるメジャーな芝居を見るおそらくは最初が本作と言っても過言じゃない。

 前回を見た人なら違いも解るんだろーけど、キャストなんかを見るとだいたい一緒なんで違うのは衣装ぐらいか、中身のこなれかたもまず進歩してるのかな。とにかく坂本龍馬を演じた筧利夫に圧倒されっぱなしの2時間半、勝海舟の春田純一桂小五郎の木下浩之を両輪に山崎銀之丞が土方歳三吉田智則が岡田以蔵でガッシと固めた布陣が見ていてこゆるぎしない。岩倉具視のデビッド伊東が赤フン姿で登場するとわき上がる拍手ってのは一体何だろーとも思ったけれど、終盤近くの春田との絡みでのアヤしさはヒロミがガラ悪い不良の尻尾を引きずりながらもいい兄貴な方角へ抜けようとして見せるみっともなさの対極の、己がキャラクターの探求への徹底が見えて面白い。

 で藤谷美和子は衣装がなんだか「十兵衛ちゃん」もち変身後バージョン。大股ひらいて刀を振り下ろす姿に深夜のアニメを思い出すのは根がそっち系な人間なんでつかファン藤谷ファンはお許しあれ。ラストへとなだれ込むあたりの叫びに泣きはさすがベテラン堂に入ったもので若さはともかく年季の凄みはちゃんと見せてくれる。しかし舞台で「ポケモン」の歌を聞けるとは思わなかったなあこれぞつか芝居。国のためだ幕府のためだなんだかんだと理由を付けて人殺しなり思想改造を行ったところでしょせんはご都合主義、そんななかで自分の気持ちに素直にどんどん行っちゃいましょうよ、ってな多分内容だったと思うけど、今のこのキナ臭さと偽善が身にベトベトまとわり付いて鬱陶しい季節に、なるほどピッタリの内容だと思えてしまうのもやはりつかこうへいならではの主題選びの冴え、なのか。とりあえず良い物見せてもらいましたちゃんと金払いますよって。

 光瀬龍さん死去、享年71歳は意外に歳くってるなって印象だけど、「ロン先生の虫眼鏡」とかってな作品があるように、記憶だとどっかの学校の教鞭を取ってから作家になられた方だから、それくらい行ってて不思議はないのか。いわゆる第1世代な先頭に立って日本SFを引っ張ってきた人たちでは、早世した広瀬正さん大伴昌二さんに「SFマガジン」初代編集長の福島正実さんらをのぞけば去年の星新一さんに続く訃報。まだ名作と呼ばれる作品群が文庫でもハードカバーでも読めた時代に育った身としては、いわゆる御三家と並んで必ずや右から左へと背表紙を舐めて読み切った人の1人で、血肉への入り具合も相当あってその死には寂しさ以上に悔しさを覚える。

 光瀬さんと切っても切り離せないのがやっぱり「少年チャンピオン」に連載された萩尾望都さんのマンガによる「百億の昼と千億の夜」。それまで少女マンガなど一切読まず存在も知らなかったマンガ家の圧倒的なスケール、流麗なタッチを持ったその作品によって、SFとは別に「萩尾ワールド」から少女マンガの世界へと、引き込まれていった男子も結構いるんじゃないか。これはマンガをセレクトした萩尾さんの慧眼とも言えるけど、その原作があってこそのマンガ化である以上は光瀬さんが僕らに果たしてくれた功績も決して小さくはない。「ロン先生の虫眼鏡」のマンガも面白かったし。読んで昆虫学者になった人って、いるのかなあ。

 朝刊に訃報が掲載されたのが朝日と読売だけだったのは他紙には連絡が行ったのからなのか、それともネグったのか。産経は元警視総監の訃報はでっかく扱ってもこーゆー人は朝刊では間に合わなかったのか扱ってない。8日付けの夕刊でようやく載せたけど、同じページに元警視総監の葬儀を3段で扱う一方で、光瀬さんは写真は入っているけどベタという、普通の人よりはやや長いという程度の扱いになっている。まあそれが直木賞も取っていないSF作家のバリューと言えば言えない訳でもないけれど、ファンとしての思いはやはり元警視総監以上の扱いこそが相応しいと思うねえ、いやこれはあくまでも私情の上でのことだけど。元警視総監には700人が弔問に訪れたとか、ならばSFファンよそれを上回る数を束ねて10日の告別式に花をそえようぞ、とは思うものの会場の都合もあるしいきなり来られたって迷惑なことこの上ないだろうから、近親者なり関係者に葬送はまかせて心で弔意を示すに止めよう。合掌。福島さんが「未踏忌」なら光瀬さんはやっぱり「宇宙年代忌」とかって呼ばれるのかな。

 保坂展人議員の盗聴疑惑でやっぱり出てきた「盗聴法に反対する陣営が法案潰しのためにヤラセをしくんだんじゃないの」発言。おそらくは与党筋あたりに記者が嗤いながら「んでしょ」ってな面で聞いて引き出した答えっぽい嫌らしさが漂っていて、中立とはすなわちこーゆー具合に両論を併記することで結果としてネガティブイメージを醸成できるんだってな、新聞が使う世論誘導のテクニックを見せられる印象を強く持つ。そこでさらに穿って見せればそーゆー反対派のヤラセのように見せることで反対はを潰そうと推進派がしくんだヤラセかもしれず、疑惑のキャッチボールの果てに結局は本質が議論されないまま時間が過ぎて知らず成立、なんてことも起こりかねない。勝負はもはやスピードが命な段階、立ち止まるな、足踏みするな、内ゲバするな、そして何より理解を得よ。

 六本木から遠く離れたアオイスタジオでCGと実写を合成したアメリカ製ガンダム「G−SAIVOR」の日本航空ハワイ−日本便でのチャリティ上映発表会があったんで覗く。すでに上映の件は水着でプールに飛び込むアングルがオヤジ心をそそるJALハワイのCMを告知する駅張り店頭張りポスターなんかに小さく書かれているから周知だろうけど、今回は日本語版ってことで出演する俳優さんも交えての会見になったんで、「ガンダム」とゆー客観的には偏ったコンテンツの発表会にしてはメジャーかつ王道の会見者に、時代も変わったものよと20年追い続けて来た身としてスタッフと同様の喜びを感じる。だって緒方拳さんだぜ、ナレーション、でもって目の前に立ってるの。思わず「梅安」とか「藤原純友」(大河ドラマだよー)って名前を思い出して居住まいがピリリと引き締まったぜ。

 世代として「ガンダム好きなんで出られて嬉しい」と言った萩原正人さんには納得、あと山本未来さんは「女の子だったのでガンダムは見てないけど」と言った反面「楽しみ」と期待のほどと表明してくれて、これて1人珍しくも美人をガンダムワールドへと引き込む布石が打てたと内心ほくそ笑む、ってもロフトプラスワンのガンダムイベントに未来ちゃんが来たり「G20」にハマーン様のコスプレで出てくれたりってことはなさそー。うーん残念。肝心のお話は見てみないことには評価のしようがないけれど、ドラマ部分はテレビドラマを見ているよーで強い印象はまだ持てない。

 ジャブロウの基地みたくCGのモビルスーツがハンガーにずらりと並ぶその下を人間が歩く遠近感とかはなかなか、あとコロニー周辺でガンダムと敵モイルスーツが繰り広げるCGによる戦闘シーンも宇宙だからなのか重量感がなくてもそれなりに格好良く、スピード感もあって見ていてアニメ好きにも違和感がなく楽しめそう。ハワイ帰りじゃないと見られないのが難なんで、ここはハワイに取材でも作って行くか、例えばスクウェアとか。無理だなー金ないし。しかしこの夏のこの作品を見たいがためにハワイに缶詰のスクウェアの「FF映画」のスタッフが、8月1カ月に限って続々と日本に帰省を始める可能性がこれで浮かんで来たなあ。金田伊功さんだったら果たして乗って見て何を思うか。どこかのアニメ雑誌さんよー、日本に呼びつつ見せて話を聞いてくれー。


【7月7日】 公と個とか国家と個人とかの関係性に悩んでいたんで稲葉振一郎さんの新刊らしー「リベラリズムの存在証明」(紀伊國屋書店、4200円)を買ってみる。期待する内容について論文で触れられてるかは不明だし、どういった方向性で答えが導き出されているかも稲葉さんが持つユートピアへの造詣から曖昧に予想することぐらいしか出来ないけれど、帯にある「最小福祉国家」という思想はおそらく「最大権力国家」なる今の政治が目指そうとしている方向性に反対するもんだろーとのイメージはあり、これなら今じわじわと広がりつつある「国の為に死ね」的論理と戦い、理想ではあるものの優しい社会を是認肯定するための、道が示唆されているんじゃないあと思ってる。さてどーなのか。分厚く難しいんで読むのは今月いっぱいかかりそー。宮台さん姜尚中さんの本も近いし、キナ臭さが一段と増す8月15日までには叩ける精神的な支柱は立ちそう。

 銀座の数寄屋橋交差点から東映会館に向かってちょい歩いたところにある協会の1階ロビーでちょっぴり衝撃的な写真展が開かれているんでお知らせ。そこに写っているのは拘束用のベルトが付いたベッドだったり手足に巻くバンドがセットになった椅子だったり密閉可能な部屋だったり足下がパコンと開く台だったりするけれど、人は1人も写っておらず部屋はチリひとつなく清められベッドも染み1つついてない無機的な冷たさを放っていて、その部屋そのベッドその椅子の上で失われた数多くの人命の、ベルトコンベアに載せられパツッと奪われて行くあっけなさが写真からにじみ出ていて、しばし目を惹き付けられる。

 撮影はルシンダ・デヴリンで今はニューヨーク州立大学で教鞭も取るフォトグラファー。写真展の主催はアムネスティ・インターナショナル。勘の良い人そちらの方面に関心のある人だったら多分気付いただろうこれら部屋なり椅子なりベッドとは、つまりはガス室であり電気椅子であり薬物注射台。そういずれも米国内の刑務所で実際に使われている死刑のための施設で、写真展「最期の部屋」は死刑制度が今なお活発に人命を奪っている米国の実状を、そこで用いられている施設なり道具のいかにも機械然としたイメージを人々に見せることによって、制度が持つ非人道性を広くアピールする目的の元に開かれている。だから主催はアムネスティって訳ですね。

 例えば何故かは知らないけれど木製のものが多い電気椅子はガランと他に何も置かれていない、せいぜいが部屋の隅の机の上に電話機が何台か並べられている程度の見るからに空疎な空間に、ポツンと置かれて人が縛ら高圧電流を流され鼓動を停止させるその瞬間を待っている。薬物を注射するためのベッドはどう見ても人の命を救う手術室のような空間に据え付けられ、ベルトの金具を輝かせながらそこに縛られ薬物を体内に送り込まれて苦悶かそれとも昏睡のうちに死へと至る人が来るのを待っている。そして絞首台。19段ある階段の上の櫓は床が抜け落ち丈夫から滑車を経てツルされたロープが下までダラリと下がっている。そこにぶら下がった人はいったい過去に何人か。そしてこれから釣り下げられる人は何十人か。

 死刑制度についての意見はただいま明確に持ち合わせている訳では決してなく、ただ冤罪のもとに執行される死刑の取り返しのつかなさだを強く認識している程度で、これをもって今日ただいま死刑は残酷だからやめるべきだと声高に叫ぶ気分にはなっていない。ただ椅子にしてもベッドにしてもガス室にしても絞首台にしても、そのあまりの装置ぶりがひどく気に掛かる。人間が人間を裁き処罰するとは言いながらも、現場では処罰される人の怯えも処罰する人の迷いもすべてが機械装置を駆動させる流れの中に埋没し、例えば自動車工場でエンジン部品を組み付けるが如き感情なき環境の中で、執行されている状況があるとすれば、それはなかなかに恐ろしいことだとは思う。いつまで開かれているかは不明だけど、お近くに寄られた方はのぞいてみるのも一興、でも300円も取るんだよなーアムネスティ。

 こうなるともう怒りを通り越して気持ち悪さすら覚える産経新聞の土田国保元警視総監の死を悼む礼賛記事の土砂崩れ。一昨日の大量報道でもまだ気がすまなかったと見えて、7日付け第2社会面に一昨日もコメントを寄せていたばかりの福井惇元産経社会部長(帝京大教授)の今度は「土田元警視総監をしのぶ」と題された寄稿を6段ものスペースを使って掲載している。一昨日のコメントがまだ土田氏の人柄なりをしのぶ言葉だったのに比べると、寄稿はどちらかと言えば自分及び新聞社の自慢話に終始していて、ここまで自慢できるとはよほど当時の報道合戦で勝利を治めたことが嬉しかったと類推できる。

 無論故人の業績をことごとく否定するつもりは毛頭なく、また新聞が主義において他より一線を画した記事を掲載するのも決して認めない訳ではないが、こうまで1人の官僚に過ぎなかった人間の死を持ち上げる神経が、どうにも読んでいてしっくりとこない。その死を巡る物語からは新聞がどれだけ頑張ってスクープを取ったかという自賛の気持ちは伝わって来ても、自らが盾となり存亡の岐路にあった国家を守りぬいた1人の人間の義侠心を讃えようとする気持ちが伝わって来ないのが気分的に宜しくない。どうにも透けて見える意図が嫌らしい。ましてや2度もの登場を果たした福井なる教授に、産経新聞はどれだけの負い目があるのだろうとの邪推すらも浮かんでくる。

 或いは現在の社会部長が、社会部長から編集局長へと歩み今は東京情報大教授の青木彰氏、そして福井帝京大教授を讃えつつ自らもその後を襲って第2の人生を、なんて考えているのかとも穿った見方ながら思えてくるのは、自分が相当に意地悪だからなのか、それとも可能性があるからなのか。ここに乗っかり更に例えば土田氏の名でも関した懸賞制度でも作ろう物なら、自己都合による個人の神格化ここに極まれりといった印象で、さてもその延長にある国家を背負いながらも政治屋として内ゲバに血道を上げる者共すら、讃えすり寄りこの国を間違った奉公へと導かせかねない危険も浮かぶ。新聞はモノを言う。けど言ったモノの正否は新聞が決める訳じゃないって事を、重ねて読者の皆さん考えましょう。難しい事の二乗でまたまた脳味噌がユルんで来た。ぶりゅー。

 中吊りを見て「SPA!」に好評連載中の福田和也センセイが17日の土曜日午後6時から青山ブックセンター本店でトークショーを開くとゆー案内が載ってたんで早速メモして電話。おっさんが出て「読売カルチャーサロン青山」の主催と知り、頼むとまだまだ空席があるよーで電話番号とか住所とか聞かれたけれどどうにか席を確保できた。すでに書評のコーナー向けに1冊編集部からもらい「この福田和也は文藝春秋では読めません」なんて失礼にも程のあるコメントを書いてはいたけど、当日は必ず1冊「罰あたりパラダイス」を持って来いとの大センセイのお達しがあったそーなんで、書評用の表紙なしではマズかろーと近所の本屋で新品を1冊買い求める。サインでもしてくれるのかな、それとも定員の200冊でも売れれば大喜びくらいの売れ行きなのかな。どっちにしても行くつもりですんで当日は虐めないで下さいね。申し込み先は03・5485・5513。


【7月6日】 しつっこくなるから嫌なんだけど朝日新聞6日付け、会社が潰れたリストラされたでタクシー運転手になった素人が道解らないと乗客に怒られるエピソードを、この不況に翻弄される人々の悲しい様よってな具合に極めて情動的な記事に仕立て上げているけれど、ちょっと待ってと言いたいのは1つにタクシー運転手って職業を、敗残者の吹き溜まり的にとらえていやしないかって事で、そりゃー確かにお笑い好きなら吉本へ行け、稼ぎたければ佐川に行けってのと同様に、一種形式的に会社首んなったらタクシー運転手でもって言われているしこっちも言ってはいるけれど、ことのほか日頃より人権にキビしい朝日をしてからがこの職業に対する差別意識は、やはりすっきり看過はできない。見とがめたって築地はビクともしないけど。

 何か素人でも出来る甘い仕事って思われて、タクシーに命をかけてる人たちはどーして怒らないのかちょっと不思議。引き合いに出される英国は道を完璧に記憶した人でしか試験に合格できない厳しい資格だとタクシー運転手の事を聞いているし、業界だって地位向上を目指してキャンペーンもすれば請願だって繰り返しているだろーに、この記事はそんな努力をぶち壊しかねない毒をはらむ。まあ雇う奴がいるからそーいった素人が仕事につけるんだろーけど、だったら記事ではそーゆー事ではいけません的啓蒙を、どーして果たしてあげないのか。やっぱり「でもしか」な仕事であり続けてくれた方が、いろいろと都合が良いんだろうか。まあ20代の若い兄ちゃんが黒塗り転がし運転手を深夜まで引っ張り回してお礼の1つも言わないような風潮を、新聞社自体が作り出しているんだから現場の思いは解らんか。とにかく情動的に扇動的な記事の鬱陶しさが目に付く今日この頃、単に歳くって愚痴っぽくなってるだけなのかも。まあ良いけど。あっちは愚痴られたって屁でもないし。

 おそるべしっ、榎本加奈子さん。キャイーンがホストを務める番組で所属の浅井企画を掃除に行って初対面の見栄晴に「あんたいらない人だよ」とハッキリと正しいことを言い、手に持っていたスケジュール表を「あんたが出ている番組だからもう終わっちゃうよ」とか言いながら奪い取って引きちぎってポイ。社長の部屋に飾ってあったキャイーンの色紙を何ら逡巡もせずに真っ二つにへし折って、飾ってあった重鎮御大のパネルをポイポイと捨ててしまうその傍若無人ぶりに、ただひたすらに嗤い転げてヘソが歪む。小堺一機を「ハゲー」と言い切るその口が、会議室の窓を掃除する時に靴も脱がずにソファーへと上がったその足が、もう可愛くってかわいくって仕方がないぜ全く。一発でエノモト菌にひたされた頭で明日以降、正しい社会人生活が送れるのか今はちょっと心配。でも折角の感染だ、ここは社長室へと榎本よろしくズカズカ入り、「あんたいらなーい」とかって言ってやってしまおーか。

 イーヴィネットって会社の会見をのぞくために経団連会館へ。聞いていたのはボイスメールをやってる会社の事業展開って事だったけど、発表されたのは何と驚きの「ストックオプション」を入会した会員に適用してしまうって内容。先着の1万人は会員になって3年間を継続した時点で、この会社の株式を50株無償でもらえる資格が発生するんだとか。5年後の公開を目指しているそーでヤフーじゃないけど公開後に初値が数百万円でその後数千万円になったら、果たして濡れ手にどれだけの泡を得ることができるのかと、瞬間皮算用としてしまったけれど、よくよく考えて50円額面で発行数の結構ある株式が50株で、例えば1000円になったとしても5万円しか届かないんだと思うと得か損かは判断に悩む。毎月1500円の会費を3年払い続けた分くらいは回収できるかもしれないけれど。つまりはそーゆー計算もしておかないと、単純に「ストックオプション」=「創業者利潤」=「億万長者」と惑わされる人も出かねないって訳で、やっぱり世の中は甘くはないみたい。さても他の新聞がどう伝えるか。「夢のシステム」「3年たったら億万長者」。ヤバ乗りレースのゲートが明きます。

 仕事で読んだ「世界の不思議なお守り」(進藤幸彦、コロナ・ブックス、1524円)に今南米選手権で湧いてる国々のいろんなお守りが載っていて、こーゆーの付けて選手も頑張っているのかと思うと、成田山ではやっぱり効き目が弱すぎるのかもしれない。だって例えばペルーにボリビアで人気の「エケコ」ってお守りは、口髭を生やしてマユゲは細い、いかにもあやしげな南米の白人って顔立ちの小さな人形に、どれでも欲しい物のミニチュアをぶら下げておくと願いがかなうって代物で、現地には熊手につける小判にも似て全然違う自動車とかテレビとかギターとかパスタとかお札とかってなミニチュアが、街角の煙草屋レベルのお店にいっぱいたくさん売られて、人形にはこれらがもうたくさんとばかりに引っかけてあり、とっても賑やかで華やか。並びのよい歯をむき出して開いた口には、火曜と金曜には煙草をくわえさせると喜ぶとゆー伝承もまた胡散臭げで、こーゆー海千山千のお守りが相手では、精神性だけの日本のお守りではちょっとニッポン勝てません。ってことでやっぱり日本が誇る似非お守り、それぞれが出身地のお土産屋に売られている「通行手形」に「孫の手」「キーホルダー」「ペナント」「プリクラ」を持って、U−22は五輪最終予選に臨みましょう。


【7月5日】 午前の4時あたりまでかかって八重洲とか八重洲とか銀座とかの仕事をありゃこりゃ、いずれ8月頭あたりに出てくる雑誌にあちゃこちゃと結果が見えるでしょー。そんな真夜中の仕事をこなしつつ、適当に本も読む。文學界新人賞を受賞したって触れ込みの「脳病院へまいります。」(若合春侑、文藝春秋、1095円)は漢字遣いこそ難しかったものの文体は平明な現代仮名遣いだった平野啓一郎さんとは違って、漢字も結構難しくまた文体が旧仮名遣いで言い回しも旧弊で、そんな雰囲気が昭和初期あたりの女給さんが若い男にいぢめられる耽美退廃な世界を見事に活写している。お話はよくわかんないや。誰か学生作家さんにはモデルな人がいるのかな、谷崎潤一郎を心の師を仰ぐ若手の文士な人らしいけど。

 併録の「カタカナ39字の遺書」の方が金持ちの家へと奉公に入った娘が人権をも蔑ろにされる仕打ちを受けながらも無知なのか、あるいは無知に振る舞わせているのか決してはなれず主が死ぬまで身の回りの世話と続け、その死とともに明らかになった事実に憤るものの、世間はやっぱり解ってくれないという何とも理不尽な世界を暴き描く。がめつい死んだ主の息子たちの姿はだけど、主観的になれば或いは正しいふるまいなのかもしれず、そーした人間らしさが突出して見えるほど、主人公の今は老婆の芙蓉は自分を滅し過ぎていて恐ろしい。個人的にはこっちの話の方が好き、ただし性格歪みそうになるけどね。

 新聞がモノを言うことには、蓮根か金太郎飴みたく見出しも構成も中身までもが一緒な新聞ばかりが横行している現状を打破する意味では大いに賛意を贈るけど、だからこそ新聞がナニを言っているのかを読者は見極め、それが正しいのか違うのかを判断する知識なり見識を深く求められるようになる。これまでは大過なくある一定層を代表するかの如き平均的な意見を載せていた新聞が変わるなら、そんな新聞を信じてもさほど間違った道にはいかなかった読者も、変わって新聞の言い始めたモノに巻き込まれないよう細心の注意を払い、見極める必要がある。これまで通りによきに計らえをばかりに状況に身を委ねていると、連れて行かれる先はそう、ガス室かもしれない。

 なんて大袈裟なことを言って何を警告したいのかっていうと、今朝の産経新聞に巨大なスペースを費やして掲載されたある記事を見てヤバいことになりかねない土壌が、ちょっとでも生まれて来ているとゆーこと。その記事は、1面で3段抜きの見出しを持ってまず掲載されているのが目についた。「元警視総監 ミスター警視庁 土田国保氏が死去」。その文化人も芸能人も及ばない破格の扱いぶりに、よほど凄いことをやってのけた人なのかもしれないと、見た人に思わせてしまう効果が滲む。そして驚いたのは社会面。なんと第1社会面のほぼ8割と、第2社会面の半分を使ってその業績を讃えるコメント、その業績を振り返ったグラフがドデカンと掲載されている。最近死んだ石ノ森章太郎でも谷岡ヤスジでもここまで破格の扱いはされてなかった、ように記憶しているけどどうだったっけ。

 いやいや、あるいは単にこちらがその価値を知らないだけかもと他の新聞を見てみると、不思議というか当然というか扱いは社会面に大きくで3段、せいぜいが2段の扱いぶりで行数も40行程度と今までの感覚で納得できる水準に止まっている。つまりは産経だけが突出した扱いを行っている訳で、ちなみに同日のサンケイスポーツも、社会面に産経の社会面と同程度のスペースを使って、言ってはなんだが官僚が出世の果てにたどり着いただけの警視総監を経験し、その職責において当然の仕事をしただけの人間が、ちょっとは奥さんが爆破事件で死亡するという悲劇も経験したけれど、それとて事故死した妻を持つ男性の山といる現実を踏まえれば、言葉を選ばず言えば異常なほどの扱いでもって取りあげられている。

 邪推は出来る。編集幹部によほど現役時代の土田元警視総監と親しかった人がいるのかもしれず、あるいは昨今の破防法改正やら盗聴法制定といったキナ臭い動きのなかで、正義と平和を守った警視総監を大々的に取りあげることで、警察への市民の親しみを増そうとする意図があるのかもしれない。重ねて言うならば新聞がこうして1つの事例を他紙の扱いなんかを気にせず大々的にやるのは「モノを言う」ことで画一的な風潮を打破するという1点において、いささかも否定するものではない。だがそこで語られているモノの正否を、今度は読者自身が己の感性に照らし合わせて判断しなければならない。

 正直に言って、かような元警視総監ごときを大々的に取りあげる新聞を、どうして心から信頼し信用できようか。他にもっと、市井の庶民の生なり死の方に、より重要な意味が包まれている可能性が高いのではないか。そして新聞は、そうした市井の庶民の生なり死から、もってドラマを紡ぎだし、問題を浮かび上がらせる役割を持っているのではないか。なんて格好良いことを言ってる自分が、実はそんな庶民の生活なんて、興味の埒外にあって関心の何もないんだけれど、ここで語った激はあくまでも新聞を見る視点は1つではなく、クロスさせながら自らの価値観を養っていって欲しいという、そんな気持ちからなんだとご理解頂き、心の片隅にでも止めて新聞を開く時に爪の先ほどでも良いから思い出してもらえたら幸いだ。なんてマジな事書いてたら脳味噌が融けて流れて来た。ぷしゅー。

 今敏さんの最旧作とも言えそーな「海帰線」が美術出版社から再刊なったんで買う、実はリアルタイムでヤンマガを読んでなかった時期(もうちょっと後なら記者クラブに入ってたんで読んでたゴリラーマンとか)の掲載だったんでこれが初見だったりするけれど、もしもリアルタイムで読んでたとしたら絵的な影響なんかを気にして素直には読めなかっただろーなー、それが歳くって客観達観できる目だと、物語そのものが持つ意味に素直に感動できちゃうから、時代の雰囲気に押し流されるのは楽しいけれどちょっと怖い。夏美さんのハイレグじゃないスクールっぽい水着姿と、まん丸になるフジ丸の目が好き、あと人出をヒトデと勘違いする時のガン黒マキちゃんの丸目とかも。今は「千年女優」に渾身の今さんが背景さんを募集してるんで腕に覚えの人はトライしよー、見かけはちょっぴりおそぎゃそーだけど。


【7月4日】 嫌いなのはある状況なり現象を証明するために無理にでもパーツを持って来てどうだってな具合に書いてしまうフレームアップ的な記事。といきなりの反発で悪いが説明すれば「朝日新聞」7月4日付け社会面に「不況風 駅は見た 缶コーヒー1本、ガム1個、『領収書くれ』」って見出しの記事が掲載されていて、これが読むだに気色の悪さを起こさせる内容なんだよね。なるほど記事のよーに駅にあるキオスクで、100円200円の商品に領収書をくれって言うサラリーマンがいたって不思議はないけれど、それが出張中の購入物として後で経費で落として自腹の節約につなげられるの? って疑問が浮かぶ。ガムだ缶珈琲だってな領収書を通す会社が逆にこの不況下にあったら、そっちの方がニュースだぜ。

 網棚の新聞や雑誌を探すサラリーマンは昔からいたし、今も元気な立ち食いはバブルの時は元気なかったかっているとそんな事はない、忙しい人が短時間で食べられる場所ってことで散々っぱら利用してた筈だから。缶ビールならぬ安い発泡酒が売れるのだって本当に不況だけの影響か? 価格破壊がもてはやされるのは今も昔も変わらないぜ。あと肩がぶつかったから、鞄が邪魔になったからってケンカが起こるのを、暗に不況でサラリーマンの心がささくれだっているからだってな事への理由付けにしたがっている節がありありと見えて嫌らしい。駅員が殴られた事件が4月以降で8件なのは例年の倍近いペース? あれだけ電車が止まってるんだむしろ少ないくらいじゃないか。

 よほど電車に飛び込むサラリーマンの数が増えている事の方が不況を反映していると思うんだけど、それならば駅員の数を増やして見回りをしっかりしろと叱咤するならまだしも、そこはそれ田中康夫さんがときどき言ってるよーにJRからたんまりと広告で金をもらっている新聞が、JRを悪く書ける訳がないんだって事を勘案すると、駅員の悲哀を書いて不況に責任を押しつけるのがストーリーとしては正しいのかも。朝日が悲惨なリストラの事例として取りあげた某羽田なゲーム会社の記事も、実は不況とは無関係に極めて属人的な事だったとの説明を聞いたしなあ、事実かは不明だけど。されも駅員の見たってゆー不況風、もしかして築地の方から吹いてるんじゃないの?

  DVDで「ウルトラセブン」などをつらつらと。おーワイヤーが見えるぞ光ってるぞキラキラと。とはいえ最初の1巻の4話を見て気になったワイヤーは「ウルトラホーク1号」が分離した時の真ん中だかの機体をつった奴くらいで、後はデジタルのパワーでフィルムを綺麗にしても見えない辺りに、流石は特撮の円谷との評を改めて抱く。ポインターが山道を走っていったら崖崩れで道を塞がれ、それをビームで吹き飛ばすあたりは実写から模型への場面展開が実に見事で、っても解らないほどリアルじゃないけど納得の出来る繋ぎになってて見ていて違和感を抱かない。むしろ岩を吹き飛ばした時の衝撃でポインターが浮き上がる辺りに、逆のリアルさすら見えてしまう。CGIの超リアルさも良いけれど、こーゆーアナログな雰囲気ってのがやっぱり日本の夏にはしっくりくるねー、単なる懐古趣味なんだけど。

 飛行機は相変わらず上手く飛んでくれずニッポンの風土気候には合わないかもと我が未熟な腕前を棚上げしてあきらめの境地に至る。日曜日で快晴とあって公園には人も多く狭いニッポン工業ニッポンの都会では、場所探しからまず始めなくっちゃならない遊びは難しい。アウトドアーな髭面お父さんがミニバンに積んで田舎でブンブンだったら合うかもね、ただし山奥は空がないから無理だけど。帰りがけにイトーヨーカ堂でユージンの「ナデシコ」フィギュアをガシャガッシャ、2000円をあっとゆー間に注ぎ込んで出てきたのが普段着ルリが4つにユキナにユリカに艦長服ルリ1制服ルリ1とほかはクリアバージョンの何か。クリアーはこーゆーのに出てもらってもあんまり嬉しくないんだけど、上手い人ならこれに色塗って遊ぶのかなー、金魚が熊だ水玉だって(何の色だよ)。


【7月3日】 ふりゃふりゃと神田神保町、森博嗣さんが「そして二人だけになった」(新潮社、2000円)の刊行を記念して開いた「名刺交換会」なるサイン会とはちょっと違ったキャンペーンを開くってんで、前にしっかりと整理券をゲットして待つこと約2週間、いったどんな名刺を渡せば良いんだろーと考え名刺屋に注文でも出すかそれとも「キョロちゃん」の描かれた「プリネーム」でも探してウケを狙うかと、考えたけれど結局は会社の名刺と裏仕事用の名刺を渡すことにして、当日は行列に並び名刺入れから取り出して順番を待つ。

 本業の名刺を去年だかに開かれていた文房具のイベントでキティちゃんのキャラが入ったパウチで真空パックにした、永久に腐敗しないバージョンもあったけど、これはサイズが大きく後の整理が面倒だから遠慮する。総会屋系の和紙とか木とかってのも良かったかなー、あと3つ折り肩書き100とかをでっちあげて入れたのとか。果たして他の人がどんな名刺を渡すのかも興味があったけど、当日箱に入れて配っている紙に手書きする人も結構いて、名刺を持たない学生さんとか女性とかへの配慮も行き届いていたのが良かったですね。

 待つことおよそ30分、スタートした交換会は流石に森さんがよく言っていたよーに、列の進むスピードが早く、かつ交換している間に言葉も交わせるメリットを身を持って実感できる。並んだのが早かったこともあって、15分もしないうちに順番が回って来たので2枚まとめて差し出すと、ふーんと見て森さんこっちの正体に気付いたみたいで、「ホームページ読んでます」と言ってくれて、(悪口書いてなかったけ?)と思いつつ赤面して恐縮する。さらに「名古屋なんですって」とまで言われ、そこまで読んで頂いているのかと恐悦至極に顔から火を吹き汗を出し、最近は個別の本の感想が滞っていてすいませんと言い訳して、手に持っていたアニメ版「キョロちゃん」の団扇を迷惑を省みず押しつけて退散する。ヘンでしょアニメの「キョロちゃん」って。

 明るく軽やかな喋り口調は、本とかエッセイを読んでもしかしてキツい人? ってな多くの人が持っていただろー先入感を吹き飛ばして、より親しみを増したことでありましょー。ダンマリしながらペンを走らせひょいと顔を上げて本を返すサイン会もそれはそれで緊張感があるけれど、こーゆーイベントも作家と読者のコミュニケーションという本来の目的を考えると、なかなかに効果あるかもと納得する。なお頂いた名刺は「N大学工学部建築学科助教授」の肩書きで裏面は新潮社の宣伝が入ったPR用のもの。英語で書かれた職業のトップが「Model Craftuman」で最後が「Writer」ってのがなるほどご本人の内在する順位付けなんだろー。それでいてこれだけの人気を得るとは羨ましい。”本業”の仕入れに銀座の模型屋さんとか、行ったかのな?

 近所の本屋を徘徊、買いのがしていた東浩紀さんの「存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて」(新潮社、2000円)の初版を書泉グランデで山積みの最下層から発見したんで買う。上の方は3刷4刷になっているから積み足していった時にたまたま残っていたものだろー。読むのはともかく理解は永遠に無理かもしれないけれど、頑張って読もう暇になるのを見計らって。すでに名刺はもらっているからそのうちサイン下さいな。ほかに古本屋で天野喜孝さんの表紙が目についたんで川又千秋さんの「夢魔城」(中央公論社、1450円)を買ってみたり、やっぱり表紙のこっちは七瀬葵さんが描いた水着の女の子のはみ乳&Vゾーンにクラクラッと立ち眩みして「電撃G’sマガジン」の8月号を買ってみたり。この娘って何からのキャラなの? 胸の紐ひっぱりてー。

 青山のスパイラルガーデンで開かれた「G9ニューダクレクション2」をのぞく。小山登美夫ギャラリーでは予告のあった落合多武さん制作の1枚だけTシャツが50種類かかってて、中にアニメっぽい描き書けの顔を描いたやつと、写真の美女をプリントしたやつがパッと目に飛び込んで来て、ほかの作品に迷いつつも第1印象に引っ張られて1枚6000円のところを2枚も買ってしまう。まー白馬の山奥に断食に行ったと思えばこれくらい。ソニーの犬にもまだ遠いしね。ただあんまり染料の質が良くないのか止めてないのか擦ると色が落ちてしまいそーなのがちょっと懸念。本当に来て洗うとすべてがパーになりそーなのは製品として問題だよ、って着てしまうのかアートを? だってそれがTシャツでしょ。うーん悩ましい。


 ギャラリー小柳の人が「エルメスのバッグ買うんだったらアートを買って欲しいよねっ」的発言をしていて、値段ならよっぽどアートの方が安くかつ、将来値上がりだってありえることを現在取り扱っている写真がすでに1・8倍の値上がりになっているなっている事実を交えつつ、語ったあたりが単に武士は食わねどな良く言えば純粋、けれども実状は尊大なイメージを払拭する必要をちょっぴり感じる。これに敷衍して寄せられた質問に、バッグやファッションを身に纏ってカッコ良さを演出するモデル的存在がアートにいるの? ってのがあって確かにスターが現代アートの1つでも買ってくれれば、注目されるんだろーとの考えは浮かぶ。

 難しいのはそーゆー外部の価値観それは海外での評価でも同じだけど、純粋な作品への目とは違った価値観によって左右されかねないとゆージレンマを内包している点で、それでもとにかく売れてそれから価値をと考えるか、じっくりやって価値を育てるかといったスタンスの葛藤を繰り返すことで、少なくとも前へと進むことだけは出来るから、意味のあることだと認識し、アーットって金か、アートって量かってな忸怩たる気分を抑え、納得し賛同も辞さない。それにしてもマスなメディアが少ないって嘆くくらいなら、ホームページの1つでもオープンして独自に情報発信すれば良いものを、これだけのネット時代にあって、9つのギャラリーのまだ3つしかホームページを開設していないってことに、未だマスをこそ信じて効果を感じたい、半ば権威主義めいたものも感じてしまったりするんだが。ユーザーも変わるから、ギャラリーも変わろう。


【7月2日】 バンダイの今浅草にある本社正面のショーウィンドーは累計で5000万個を達成した「ガシャポン」の恐らく全てのラインアップがずらりと並べられてものすごく壮観、へーこんな奴もあったんだ、あっこれ欲しいなー、今だといったい幾らなのってな様々な思いを見る人に絶対に抱かせてくれる。気がつかなかった「セーラームーン」シリーズなんて今見ても結構な出来の良さだし、ブラッククリアなこれはウルトラマンだったっけ? 違ったかもしれないけれどそんなシリーズもあったってことが解ってその奥深さに身震いする。イベント限定なんてのもあるからなー、完璧にすべてを揃えている人って日本にどれくらいいるんだろー? やっぱ鑑定団やるべきだよ。

 1個200円が5000万個だと売値だけを単純にかければ100億円か。消しゴムみたいなチビ人形が某左前な新聞社の売上を越えて売れてしまっている現実を、某地盤沈下な新聞社ももっと理解してエンターテインメントにキャラクターの凄さを認識しなくちゃいけないのに、某ブラックホールな新聞社はそーゆー分野を毛嫌いしている節があるからなー。えっ単純に担当している記者が口五月蝿いんで毛嫌いされているだけだって? それもあるね。「ガシャポン」に戻ってこれに最近だとトミー系の「ユージン」も加わってちょっとしたバトルが始まっていて、買う側はどっちも集めなくっちゃいけないんでちょっと大変。最近は「ナデシコ」のバラエティールリちゃんにユキナユリカのセットがお気に入りだけど、パンツの出来が極めて花丸よくできましたなため相当な人気が出そーなんで、急いで探してゲットしよー。

 浅草で遊んでから神保町へ。課長が来るってんで「電撃アニメーション」の編集部に立ち寄って課長様が来社して名刺を配る様を見物する。流石に課長でもこの田中王児(既婚、一児の父)は「課長王子」として宇宙の平和を守るとゆー尊い使命を課せられてている人らしく、その痩身長駆にして眼鏡な冴えない風体の癖してかのマイケル・シェンカーが足で挟んで自前ビブラートをグイングイン言わせて一世を風靡した「フライングV」を神保町はビルの7階にあr「電撃」関連の雑誌が入ったフロアーで、フェンダーだかのアンプをならし小さなCDラジカセから流れてくる伴奏に合わせて弾いてくれましたよ魂に染みるマイケル・シェンカー・グループの名曲「into the arena」を。あとお約束な「パープルヘイズ」とか、但し左手じゃなく右手でだったけど。

katyou  何故に某デフレスパイラルな新聞社の人間が「電撃アニメーション」の編集部に「課長王子」のライブを見物に行っていたのかは永遠でもないけど謎。それはさて置き伺うとこの課長王子な田中王児さんは、宝物だった「フライングV」を奥さんに捨てられてしまったしがないサラリーマンだったのが、ある日宇宙から謎の美女レイラ様が「フライングV」を持って現れ「王児、弾いて、あなたの音が宇宙を救うの!」と言われてしまったことから、「課長王子」としてとりあえずは世界の前にアニメ雑誌を救うべく、こーしてオフィス街をキャリアーにアンプとラジカセを積み、いささかグラマラスさが爆裂しすぎなレイラ様をお供に連れて、営業活動に回っているのだとか。夏の盛りに大変ですねー。

 どーせだったらついでに某スカイダイビングな新聞社にも来て演奏して欲しかったけど、お忙しそーだったのでお誘いするのを諦めて、エレベーターに同乗したレイラさんを横上からチラ見するだけに止める。どこを? そこを。さても忙しさのあまり本業が手に付かない王児に喜んでもらうために、ホームページにあるレイラの画像の大切な場所を邪魔している名刺を剥がす必要があるんだけど、これを1枚剥がすためにはリアルな世界の肩書きの、課長の名刺をパイオニアLDCまで送る必要があるんだとか。100枚のレイラの名刺を剥がすために必要なリアル課長の名刺は10000枚。ちょっち大変な数だけどここは世の課長さんたちに願う、課長王子のためでもあるし他ならぬ自分たちの為でもある。名刺を恵比寿のパイオニアLDCまで送り賜え。昼間取材で会った浅草はB社の高橋課長さん、どうね?

 去年はかの珍々作「マイ・ロンサム・カウボーイ」が出展されて世界を話題に導いた、最先端を行くギャラリーが集まって合同展を開く「G9ニューダイレクション2」が3日から青山の「スパイラル・ガーデン」で開幕の予定。去年みたいに誰も彼も抱えているアーティストを出展する訳ではなさそーで、いつもお世話になります小山登美夫ギャラリーは落合多武さんをフィーチャーし、ペインティングにビデオに1点もののTシャツなんかを見せるとか。他のギャラリーはギャラリー小柳がデジタル数字が走る宮島達男さんのビデオ、佐谷画廊が前に荒木経惟さんと合同展を開いて注目されたボリス・ミハイロフの写真なんかを出して来る。圧倒とゆー作品があるかは不明だけど確実に今の先端が見られるらしーから、行って寄って見て買って。3日は夜のレセプションをのぞこーか、その後は渋谷で「エピソード1」か? じゃあギャラリーでも振り回そうダブルセイバーをブンブンと。


【7月1日】 風邪が直りきらないんで早めに寝て起きて仕事は神田駿河台の日本出版販売で記者発表。トーハンが虎の尾を踏んだ感じなインターネット通販に遅れ馳せながら参入するのかと思いきや、新会社設立は設立でもこっちは絶版やら品切れやらの書籍をオンデマンド印刷で1部からでも刊行・販売してしまう仕組みを作って運用していく会社だった。名付けて「ブッキング」って新会社には、出版社から寄せられた本がデータになってストックされて、読者の注文があった時にデータを引っぱり出してオンデマンド印刷機で出力して簡易製本機で閉じて本の形にして書店経由で届けてくれるとゆー。200、300刷るなら印刷コストは合うけど代わりに在庫の山ってな重版の注文が入りにくい専門書でも、これなら電子データ化だけしておけば、「品切れなんす」と言い訳しないでいつでも作って売ってお金を得ることが出来る。

 いわゆるデータ販売とどこが違うかってゆーと、現物を売るって点が違うのも当然ながらストックしておくデータがPDFとかT−Timeってなフォーマットじゃなくどーやらスキャンしたまんまの画像って点。データ量こそ嵩むけど代わりに実物の本そのまんまに、難しい漢字も複雑な数式も図表だって再現した本に仕立て上げてくれる。出来上がる本もゲラをプルーフにしたなんていい加減なものじゃなく、ソフトカバーながらちゃんと表紙もカバーもついた本格的なもので、装丁とかを凝らない専門書、学術書とかだと気にせず買って1番重要な中身だけを手に入れられる。気になる値段は1冊2500円程度。より下がるって話だから価格だけを思えば少部数で高い専門書だと、それほど実物と遜色のない値段で一応は新品を手に入れられることになる。

 データ化の費用が出版社持ち出しでストックも1冊につき1カ月200円くらいとかってかかるけど、それとて何百って在庫を倉庫に積み上げておくよりは安いかも。システムに乗せて良い本向かない本などいろいろあって、どこの出版社がどんな本を乗せてくれるのか現時点では未定。本当に学術書専門書の類ばかりになるのか、それとも詩集のようにテキストデータだと組み方とかが複雑だったりするため向かない本も乗せられるのか、考えようによってはいろいろな使い方が考えられるから、9月とゆー立ち上げを今は期待不安入り交じりな気分で眺めたい。昔のやっぱりSFとかってのを期待したいけど、やってくれるかなー早川創元あたりとか。

 タカラの今冬向け商品の展示会をのぞく。見せられたばかりの毛色が違ったリカちゃんには後別にオレンジやら緑やらってな色もあって順次リリースの予定とか。なるほどロンブーじゃないけど若者たちが平気で髪の色を変える時代に子どもたちだって昔だったら不謹慎かもしれなかったブリーチっぽり遊びを嗜んだって良いんだろー。時代は変わった。髪変わりにはチビチビリカちゃんもあってお風呂に突っ込んで遊べるみたい、男でも一緒に入って、良い? あとジェニーに文字どおりの新顔が登場したみたいで、目の大きさがちょっと違っているよーだったけど、はっきりしたことはファンじゃないからイマイチ不明。研究な方々は研究して下さい。

 期待の新作では見なかったけれど今日からスタートの「キョロちゃん」関連グッズが山。アニメの方は「はれぶた」「ポポロ」「剣心」のSPE・ビジュアルワークスがタック制作で手がけていて、クレしんの監督が担当していて中身は安心できそーだけど、いまいちマーチャンダイジングがうまくいってなかっただけに(はれぶたグッズ、なかったなあ)、今度は是非とも成功させようって意気込みはヒシヒシと伝わってくる。何よりその大量のアイティム数。ぴょんぴょん飛び跳ねる縫いぐるみから音声に反応して目をつぶったりする人形、背中にレバーがついていてマジックハンドみたく引っ張ると口を閉じる縫いぐるみ、ゼンマイを巻いて走らせるとパタリロよろしくケタケタっと凄いスピードで走っていくトコトコ人形ほか多数。いずれもアニメのキャラクターをまんま模しててアニメ人気が上がればまんま人気が爆発しそー。

 心配なのは従来既存の「チョコボール」から育った「キョロちゃん」と若干イメージが変わっている点で、そっちのファンの森先生ほかが果たして納得してくれるかって点。グッズは山と出てもそーゆーファンが嫌って言ったら売れ行きもちょっぴり減ってしまう。気になるなあ、土曜日の名刺交換会にもらったキャラ絵の団扇を渡して反応見てみるか。ほかにいろんなキャラやら流行の電子ペットものとかが登場していてキャラと科学万能な玩具の傾向をまんまとらえている感じ。いやいや「サンダーマスク」「スペクトルマン」「猿人ゴリ」なんかの「変身サイボーグ」衣装とか、オスカル様とか出ていてホビーなジャンルも元気そう。秋より期待の「メタルス」も始まる「ビースウオーズ」もあってさて、「ミクロマン」「スーパードールリカちゃん」「メダロッド」のアニメもバックにどこまで伸びるかタカラのチャレンジ。しかしベーゴマは。

 この夏1番期待の新作映画と言えばそう「ポケモン」ですね。ってことでトミーから回って来た試写状で「劇場版ポケットモンスター 幻のポケモンルギア爆誕」と「ピカチュウのたんけんたい」を見る。まずは「たんけんたい」。うーん泣けるぜ助け合って頑張るって涙を誘う要素120%の展開は、場内をきっと「がんばれー」「がんばれー」ってな子ども叫び声の渦に巻き込むでしょー。エンディングテーマのバックの絵のピカチュウの、顔が「ねんねこ姫」(みたく丸かったんでへんだなーと思って見ていたら「ねんねこ姫」のふくやまけいこさんの絵でした。ポケモン描いてもふくやま調。可愛いけれど丸顔のピカチュウは劇場でしか見れません?

 さて本編の「ルギア」の方は展開は劇場で見て頂くとして「こよいのキッチンスタジアム」なおっさんとか、スパイクの声をしたポケモンとかいろいろ新キャラが登場して面白いけど何か妙。ダウンタウン浜ちゃんの「ヤドキング」はいい味出してます。3DCGバリバリのラピュタ島みたいな飛行宮は2Dと結構馴染んでて見所かも。重量感はちょっとないけど。ウチキドさんでしたっけ、オーキド博士より下の科学者の横下から煽った胸の大きさは大人のお友達にとって見所でしょー。とにかく3大怪獣激突っぽい迫力のある展開とシーンはアニメながらもCGIのポッドレースを上回って今夏トップの興奮を子ども達に与える可能性が結構大きい。ふにょふにょ動く「山田くん」の絵にスピード感は感じないし。17日公開。

 ちょっとだけマジな話。こーゆー人事がある新聞社を読者に結構おられるマスコミ業界の方はどう思われますか。営業局次長兼開発部長兼編集局次長。嘘じゃないです本当にこーゆー職責の人が今度の人事で誕生して、発令されて掲示もされているんです。同じく読者の相当おられる企業の方は、こーゆー肩書きの人をどーゆー気分で処遇しますか。営業の人? それとも取材の人? ちょっぴり恥ずかしい話だけど、広く問題を提起し現状を知らしめ大勢の人に考えてもらいたくって書きました。かく言う自分も未だに編集局の記者であり事業局事業部の部員である奇天烈な立場なんだけど、現時点において金儲けな仕事を求められて名目とはいえ中立公正であるべき記者の立場を裏切るよーな仕事は押しつけられていない。或いは幹部のこーゆー人事が発令されてしまう会社だ、現場にも稼げ稼げな風潮が生まれてこないとも限らず、現実問題こーゆー身分な自分にもそろそろ驚くべき指令が下るかもしれない。そーなったらどーする? 決まってるさ。


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