縮刷版99年11月上旬号


【11月10日】 とりあえずアニメ「デ・ジ・キャラット」は7話だけじゃなく12月23日までの放映だから約1カ月は続くってことだけどマイナーさは変わらないからやっぱり編集部に熱烈なファンか操られている下僕がいるに違いないぞ「電撃アニメーションマガジン」。語尾に「にょ」と付けるからすぐばれるにょ、って俺だったのか? 折角なんで本屋を回ってアニメ雑誌背比べを観察、秋葉原デパートの本屋では夕方に「アニメージュ」より「ニュータイプ」より「アニメディア」より「AX」より背が低かったけどこれって売れたのかそれとも入荷が少なかったからなのいか。向かいのビルにある「ゲーマーズ」では当然ながらも3段のラックに1列ズラリと並べられてて真下にも積み上げられて壮観、1人お買いあげに心から感謝を送る、巻末もちゃんと読めや。メールソフトの「でじこのへや」も欲しかったけど持ち合わせがなくって断念、でもラブラブなメールが来たら目からビームで消去しちゃいそーでラブラブな人は買わない方が良いかも。

 「噂の真相」でラブラブな場面を披露していた枡野浩一さんと南Q太さんのボケボケな写真を立ち読みしつつ背中にあったラックから「月刊山田まりや」(新潮社、600円)を買う。山田まりやと言えば大磯ロングビーチのポスターで見せてくれたド迫力のボディとりわけダイナマイトなバストが特徴中の特徴だったけど、斎門富士男さんがシリーズで撮ってる「月刊」シリーズはそーいったアイコンともいえる部分から目を離して女優でも歌手でもアイドルでも一切の虚飾を排した「おんな」を見せてくれる点が特徴だけあって、胸と特別の強調した写真がないどころかむしろ胸なんか気にならないくらいにトータルとしての「山田まりや」とゆー人間を写し撮ってくれていて、なかなかに新鮮な気持ちで対象を眺められる。2日に分けて撮った1日目の、「素」に近いビクビクとしている顔とタレントとしての度胸が出ている2日目の写真の差なんかに関する話が、山田まりやの仕事へのスタンスなんかと相まって面白い。1枚お尻かと思ったら胸だった写真にはそれでもゴックン、メラニンちら見えでコジャレ大帝大ヨロコビ?

 「少年マガジン」最新号の「金田一少年の事件簿」に登場のノーブラ美雪にぽよーんとしつつ会社へ。行ったけど仕事も面倒なんで適当に適当なことをして逃げる。綾辻行人さんの「どんどん橋、落ちた」(講談社、1700円)なんかを別な仕事で読んだり。手がかりはすべて提示された、さあ答えなさいと言われて明かされた謎解きにマジかよと切れそうになっても決してアンフェアじゃないと開き直られると二の句が継げられない展開は、これぞ新本格と讃えるべきなのかだから新本格派と貶すべきなのか、人よっても気分によっても大きく別れるだろう分水嶺のよーな短編集。書いている本人が頂きのさてどちら側へと滑り降りようとしているのかが見えないところが謎めいてはいるけれど、そこはそれ奇想が天だけじゃなく地をも動かすミステリ界のルネッサンス、おそらくはタコでもアドバルーンでも持ち出して、「はははははは」とか笑いながら天空の高みへと登っていくんだ「また会おう明智くん」とか良いながら。でも実は上がって行くのは人形で本人は穴掘って地下へと逃げるんだ。だから結局どっちやねん。

 ちょっぴり反省して「無限のリヴァイアス」を見る、でもいきなり途中なんで何がなんだか分からないないんで昔録画したまんま放っておいた第2話も見てアニメ雑誌の情報で間をつないで理解に務める、けどわかんないあのポッと出て来てブツブツ喋ってはすーっと消える「つぶやきネーヤ」っていったい何? あとどーしてリヴァイアスが爆雷で攻撃を受けるのかって点も飛ばしてたんで分からない、けど不思議っぽい船なんで潰そうとする人がいるってことだと理解しておこー。謎の船で逃げ出すのは「イデオン」で子供ばかりってのは「バイファム」ってなどっかで見た意見もなるほどとうなずける展開で、けれども中の天才秀才凡才不良に男女動物ほかな群衆が織りなすフクザツな人間ドラマを追いかけるのが正解らしいお話らしーんで、まずはとにかく今後も見つつ人物の配置心理の理解に務めていこー。ユイリィ好きですでも天才少女が眼鏡っ娘じゃないのがちょい残念、パイロットだから仕方ないのかな。


【11月9日】 明日発売の「噂の真相」には多分、特殊歌人の枡野浩一さんが結婚して子供ももーすぐ生まれるらしー乾燥機一体型全自動洗濯機とか食器洗い機とかを持っている女性とのショットが掲載されているらしーけど、神保町あたりの本屋をざっくり探しても早売りのところを見かけなかったんで確認するのを断念し、こちらは早売りな10日発売のアニメ雑誌を何冊か買い込んで傾向と対策を勉強する、秋スタートの新番組ほとんど見てないんだよねー特に6時台、あと衛星系。今や地上派でも「テレビ東京」なんかで放映するよりWOWOWとかNHK衛星第2の方がよほど全国区になる時代だし、雑誌の予告を見ると冬番組もドンドンと衛星に流れるみたいでますますアニメから足が遠くなりそー。なになに加入すれば良い? アパート暮らしにゃ無理だわな。

 しかしそー来るか「電撃アニメーションマガジン」は何とあの「デ・ジ・キャラット」が表紙にドーン! 「電撃コミックガオ!」とかで原作のコゲどんぼさんの漫画が連載されている深いふかーい関係にあるとは言っても、「ワンダフル」って番組の中の短い時間にそれもたったの7話しか放映されないアニメのヒロイン(性格は狡猾で目からビームを出すけど)が、かつてアニメ雑誌の表紙を飾ったことがあっただろーか、いやない聞いたことない存じ上げない。加えてバストショットの掟を破って全身が足の先まで掲載されてゲマを踏みつぶしている凶悪さ。キャプションにもばっちり「バッチリだにょ!!」などとデジコ口調をパクってしまっているあたり、「電撃屋」を繰り出し「ゲーマーズ」としのぎを削る会社とは思えない入れ込みようが伺える。けどインパクトは今月発売の中でもトップクラス、前号の「ブギーポップ」が平台の背比べで結構いい勝負をしていた流れをまたもや掴めるか?

 しかし「コミック高岡」勘違いしたのかサボったのか付録の「セラフィムコール」ポスターが8部も入っていてラッキーっちゅーか迷惑っちゅーか。他の人には挟み込まれてないって訳でこれで売上が落ちたら申し訳ないけど僕のせーじゃないからね。ちなみに「アニメージュ」はメイドさん特集ってことで「デ・ジ・キャラット」を「鋼鉄天使くるみ」と並べて紹介。けど「でじこ」は実に4ページにも渡って紹介されてて「パワーストーン」に潜り込んだシーンも抜かれていてとなかなかの取りあげぶり、加えてホウキ片手に回ろうと著作権ギリギリだろうと浮いていよーと何であろうと「可愛いので良し」を断じるそのハマりぶりに、着々を「でじこ」による世界征服が進んでいることを伺わせる。うーん「ニュータイプ」は却下か、まーいーいずれ秋葉原あたりから総武線に乗って飯田橋を経て富士見市ヶ谷方面にも及ぶはずだから「でじこ病」、1人でも「にょ」と語彙に付け始めたらもうキマリだにょ。にょ。

 ついでだったんで店内を見回しても「児童ポルノ法」の施行を受けたヤバ系漫画への影響は確認できず、ってゆーかもともとどーゆー漫画が置いてあったかをあんまり思い出せないだけなんで、よく使っている人にとっては微妙ながらも確実な変化が起こっているのかもしれない。18禁のコミックとか、ゲームのノベライズなエロ小説とかなかったよーな、いやあったかなってな憶測のレベルでは疑心暗鬼の世界へと陥る可能性もあるんでホント詳しい人の調査とか、大マスコミの大キャンペーンってのが出てくるのを期待したい、って何なにお前がやれ? メディアの力がないからなー、朝日がやればイッパツだけどどっちの見方か分からないし。共産党の見方だったら「児童ポルノ法」の見方でもあるのか。

 ふと思ったのが書店レベルでの判断に加えて流通すなわち出版界に大きすぎる影響を持っている取次あたりがどんな判断をしているのかって点で、過去に猥褻な写真集がパクられた時に取り次ぎとか印刷会社とかも取り調べを受けたってな話を聞いたことがあるから、「児童ポルノ法」で何か動きがあった時に出した出版社、売った書店といっしょにやっぱり取次への影響もあるんだろー。ってことは畢竟「触らぬ神に」ってなスタンスと、これは仕方がない部分があるとは言え末端の流れ作業的に本を並べているだけの本屋さんから「何を売っちゃいけないの」ってな相談を受けた時に卸先に迷惑をかけないために、流通レベルである程度商品をセレクトする、強い言葉で言えば「検閲」を行わざるを得ない事態も出て来るんだろー。とにかくスタートしたばかりでどこにどんな影響が出ているのかが見えないのがブキミで怖い。やはり大マスコミの活躍を願うぞってこっちはなんか逃げ腰ですが。

 モノレールに乗って東京流通センターへ。本紙既報どーりに(本業では仕事サボってたけど)タカラから前社長の佐藤博久さんを迎えたセガ・エンタープライゼスのアミューズメント施設向け新製品を見物に行く。先の水棲生物大虐殺ゲームに最近登場の野生動物大捕獲ゲームに続く「ドーブツぽかすかゲーム」の新製品で、おそらくは「霞網大作戦」とか「フォアグラ食べまショウ」とかってな鳥虐待ゲームを期待してたけどWWFから言われたかグリーンピースに叱られたかして今回は見えず。代わりに「消防士」「救急車」とバカっぽいけどやればハマる「職ゲー」に、アメリカの大地をゴロンゴロンと突き進む「ワッパ人生」な職業、そーレッツ! コンボイなトラック運転ゲームが登場して、相変わらずに立派なボディーごとドテンと置かれて会場の目を引いていた。

 家庭用なんかと連動してデコトラっぽくトレーラーに自分で絵を描いてそれがゲーセンの画面にも出る、なんてコナミった遊びがあればあったで楽しかったかもしれないけれど、どーせ自分の運転してるトラックは見られないんだから一緒か。高い着座位置で下を走る車をけちらし人を弾き飛ばし、はしないけど中央分離帯なんぞ気にせずガンガンと突き進む快感はトラック野郎じゃないと分からない。高いだろーけどやっぱあのデッカいボディーに乗り込んで、ゲーセンで楽しみたいゲームでしょー。「サンバDEアミーゴ」は胸の谷間もクッキリなマラカスガールズが遊んでいたど眩しくって近寄れねーぜ、おやあのアフロは「ダンスマン」? 厚底ブーツも履いていたけど背が高かったなー、ダンスも歌も見せてくれなかったのはちょい残念。目立つ品物はないけどスポーツゲームで品物結構揃いそうだし、ゲーセンをマニアのコクピットからライトなゲーマーの楽しい遊び場へと変えていくための地歩固めが進みつつあるってこと、なのかも。


【11月8日】 楽して鍛えられるなんて旨い話は存在しないとは思うけど、テレビの通販番組で紹介されているエクササイズ商品なんかを見ていると、1日5分でムキムキのモリモリのボンボーンになれるってな品物がときどき取りあげられていて、嘘だろーと訝りつつももしかして本当かもしれないと、ついついメモをとってでもやっぱり夢だろーと眉に唾し、結局は頼まないってな繰り返し。それが今回たまたま目にした商品は、楽さの突き抜け方がハンパじゃない上に、効果を宣伝する人間があの三振王ランディ・ジョンソンだったりするから、もしかしたら本当に効くんじゃないかと思えて仕方がないんだけど、さてはてどーなんでしょーか「ボディブレード」。

 形はそーですね、ダース・モールが使っていたダブルブレード・ライトセーバーの刃の部分が平ぺったい板バネ状になっていて、中央のグリップを握って水平だったら上下に、垂直だったら左右にブンブン振るだけで、振動が体の筋肉を1分間に270回も動かして引き締めるんだそーな、腹筋を立ったまま1分に270回も行っただけの効果があると宣伝文句は言っていたけど、これはさすがに、ねえ。立てておけばスペースいらないし、持って振り回すだけなんで「アブドメナイザー」「アブアイソレーター」みたく運動する場所もいらないって点に、ちょっぴり心惹かれるけれど、でもやっぱり千里の道も1歩から、王様の耳はロバの耳、楽すれば苦ありの人生なんで、買って使っても効果はやっぱり、なんだろーなー。まーそーなったら「ダブルライトセーバーだよー」とかいって売り抜けるか、禅寺の坊主に売って打ち据える板か何かに使ってもらおー。14800円、うーん。

 テレビ東京で割かし新人だかデビュー前だかのバンドが登場してつのだひろさんが批評している番組を見ながら、ふと頭に浮かんだのがもうとてつもなく大昔のえっと1984年の頭くらいに、名古屋の東海テレビで真夜中に放映されていた新人バンドが登場する番組で、名古屋じゃ当時結構グイグイとテレビCMに顔を出していた東名商事とかゆー会社がスポンサーになっていて、まだ「ウェラム・ボート・クラブ」を唄っていた「レベッカ」とか、「ギザギザハートの子守歌」でデビューしたばかりの「チェッカーズ」とかが登場していたんだけど、ある時突然登場した兄弟っぽいフォークデュオの歌が、何故かスポンサーのCMで流れていた曲と同じで、後にそれが社長だかの曲だったか本人が唄っていただかってな話を聞いて、「あんたはジャガーか」と思ったことよ。「ジャガー」なんて知ってたあたしもあたしだが。記憶に錯綜と混乱があるかもしれないから、本当に社長デュオでその番組だったのかも今では不明、でもなんかバブル前にありがちな感じでしょ? 今はもー無理な道楽でした。で「ジャガー」ってどこいったの?

 博報堂が珍しくもコンテンツ作りにお金を出して作ったインディビジオって会社のデジタルコンテンツ流通サイト「FRANKEN」が11月1日から本格オープンとかで話なんかを聞いてみたり。士郎正宗さんがいてまつもと泉さんの「きまぐれオレンジロード」があって「天地無用」があって「永久家族」もあってと、何が何やら分からないセレクトがとってもキャッチーだったりするけれど、「太陽の船ソルビアンカ」やGAGAとクリーク&リバーの共同プロジェクト「A.LI.CE」の情報提供サイトもあったりするから、どっちかってーとこないだの「東京ファンタ」に登場した「ヌーベル・イマージュ」系(池田爆発郎池田爆発郎池田爆発郎をよろしく)の作品に早くから目をつけてたってことになるのかな。でも「サラリーマン金太郎」もあってなんか古いところと最先端とがゴッチャになった某「フラッパー」な感じもちょいするねぇ。

 漫画なりイラストをネットで売るって商売は他にも幾つか立ち上がっていて、現実問題こーゆーデータを人が果たして喜んでパソコンの上で見たり読んだりして楽しむ気分が情勢されているかってことがあるんだけど、漫画に色をつけたり押井守さん原作で作画はたしか森山ゆうじさんだったよーな「とどのつまり」とかの絶版入手困難漫画を提供したりと、オリジナリティを持たせてある分まだネットでネットならではのコンテンツ提供をしていこーってな気分はあるみたい。CGムービーとかはやっぱりパソコンの上で楽しんでナンボな面もあるから、容量と回線速度が確保されればそーゆーコンテンツを提供するポータルとして機能するって可能性もある訳だし、今はまだとにかく品物を集めて客を集めてポータルとしての価値を高めていくことが重要かと。某「サイゾー」連載「今月のボス」で横向きに屹立してた社長の人とかにも挨拶、横向きで立ってと言えない自分は小心者です(フツー言わん)。

 銀座の「ギャラリーGAN」だかで開かれた土屋公雄さんの展覧会をのぞく、岡崎な人とか来ていて挨拶とかしてステルスはできず、でも代わりに代官山で開かれるイベントのチラシももらったから良いか。展示してあるのは枕木のよーな木を壁状態にして積み上げて作った立方体で、上も塞がれていつから中ががらんどうになった木の箱ってな感じになっていて、燃やせば遠藤克利、刻めば戸谷成雄にもなりそーだけど、土屋公雄さんなの作品はその立方体からときどき水蒸気だかを吹き出して、場の空気に動きを与えてくれて面白い。原始っぽい雨ってのは多分シダとかの生い茂る原生林を今のよーな水滴じゃなくドンヨリと霧状の雨が漂うってな感じだったんだろー、たぶんそんな雰囲気を作り出そーとしていたのかな。2メートル四方の存在感、けれども木の素材が持つ温もりと吹き出す水蒸気の動的なイメージが重なって、しばらく見続けていても飽きない不思議な作品です。


【11月7日】 警告あります、なんて牧野修な書き出しはなかったけど枡野浩一さんより指摘があって訂正あります「サイゾー」の現在発売中の号について、10月29日に「ロフトブラスワン」で開かれた枡野さん仕切りのイベントで聞いた話の中で、確かに真心ブラザーズは枡野さんがファンだそーだけど、同じ「Jまごころ系」な人々に含まれている浜崎あゆみさんは、彼女のほうが枡野さんの短歌のファンであって、浜崎あゆみさんの「TO BE」とゆー曲の歌詞には、短歌集「ますの。」に収録されている作品からの「本歌どり」が見られる、とか。こないだはAIBOエキスポで実物をみかけて先週末はライコスジャパンに角川書店が出資するってな記者会見で出演中のCMが流れてビデオメッセージも送られて来ていた浜崎あゆみさんには何かと縁があるのやもしれず、ならば今月のマイブームに浜崎さんを認定して、そのまごころぶりにタップリに浸ってみることにしよー。今さらって気も、するけどなぁ。

 うーんそんなに内輪で閉じていたとは思えないんですが「ロフトプラスワン」のイベント、でも7時過ぎに入っていきなり10人に満たない観客数には10回以上は行ってる中でもやっぱり極めて少ない方で驚いたこたぁー事実です。予定だと1月8日の土曜日に今度は作詞家や作曲家になりたい! ってなテーマで仕切り直しの「枡野浩一プレゼンツ」が開かれる予定なんで(ココに告知アリ)、おそらくは発売中になっているだろー枡野さん全編作詞のCD(チラ聴いたけど曲も良い)の話のリバリバルとかアヤシイ事務所で作詞の仕事をしていた時代の話とかも聞けるかもしれないから教祖様の信者であってもなくてもゴー!、 でしょう、新年早々ってこともあるしピカピカの目出たいオヒサマ拝めるし。

 その枡野さんところの書き込み可能な掲示板とか、同人誌生活文化研究所の掲示板とかに紀伊国屋書店18歳未満チョメチョメ(死語?)表現入り漫画撤去の書き込み。同じ人の同じ文面だから他にも同じ書き込みがあるかもしんない。目で見て確かめた訳じゃないから紀伊国屋でホントーにそーなっているのか定かじゃないけど、起こり得る事態であることはあることなんで適宜情報を集めに行こう。けど18歳未満の性行為を表現することが禁止ってな法律があって、一方で日本じゃ確かまだ女性は16歳以上なら結婚できたんだよね? 例えば16歳になって結婚しましたセックスしました子供が生まれましたって憲法的にぜんぜん問題ない話でも、なんだい漫画に描くと自主規制されちゃうってことなのかい。江戸時代とか明治大正昭和初期でも18歳未満の母親話なんてフツーにあっただろーしそれも一種の文化だったはずなのに、漫画に描いた途端に法に触れかねないから規制するってんならもはや時代物は描けないってことにならないかい。息苦しさを通り越して滑稽ですらある事態、なのに笑えなくなっているやっぱり日本はマズいよなー。

 地元だったってことでどんな媒体でも「ナゴヤ話」を目にしたり耳に聴いたりするとピピッと反応してしまう哀しいサガよ。「週刊文春」は椎名誠さんのコラムで赤福を買ったけどあれは1つ食べるならまだしも幾つもまとめてだと食べられず、折を持ったまんま合間に天むすやら味噌カツやらを食べてもやっぱり赤福だけは残っていたエピソードには心から同情及び同感します。モチモチした白いお餅の周りをベッタリとこしあんが覆っていて、フタを開けると見えるのは段々になった紫色の餡ばっかりってな食べ物だもん、誰だってあれは5つか限界だよね(5つもかよ)。天むすについては遅れて来た名物だから食して旨いのは認めても味噌カツあたりと同列で語って良いかどーかにはなお逡巡、むしろ語るべきは「タレかけスパ」なんだけどこっちについて椎名さんが何か書いてるのって読んだことがないからなー、アレどー思ってるんだろ。餡クリーム抹茶のスパは最初から却下だ。

 都の西北早稲田の杜で開かれた大地丙太郎監督の講演会をのぞく。自分より確実に偏差値が10は高い(20かも)人々の群集う町だけに歩いているだけで上から頭を押さえつけられているよーな気持ちになって気分はもー「たれぱんだ」。ペタっとそのままアスファルトの上で押しつぶされたまんま動けなくなってしまうけど、そこはそれ大人なんだからを気を取り直してガウディもどきな建物の角を曲がって大隈講堂へと向かう。ををこれが大隈講堂とゆーあけあって入り口には重信侯の銅像がずらりと並んで来る人々に語りかけてくれているぞ天は人の上に人をつくら……違ったこれは万札だった大隈死すとも自由は……違うこれは100円札、決して2人に劣る業績じゃないのに未だお札になれないのはやっぱり何か理由があるんだろーなー。同情はしないけど。

 おっと銅像があるのは全くの嘘であったのは中に安珍でも閉じこめられていそーな釣り鐘。でも触ると早稲田アニメーション同好会の学生さんなのに鯱ばって背広を着込んだスタッフの人たちに怒られそうだったんで静かに遠くから眺めるに止めて、さっさと着席して開始を待つ。待っていると場内はみるみると人で埋まり、最終的には実にほとんど満員に近い600人くらいが入ったとのこと、前に東京都写真美術館で開かれた有名監督まとめ喋りなイベントでは50人も集まらなかったのにこの賑わいってのはそーか皆さんそんなに「りりか」が好きなのか? それとも「紗南」のファンなのか。決してカルトな作品は作らないのにこの人気ってのはフツーであってもアニメは十分にファンをそれも熱心なファンを掴めるってことなでしょーから、奇をてらった作品でないと数字はとれないんだって考えているスポンサーがいたら、決してそればっかりじゃないんだってことを知っておく意味でも、この講演見ておいた方が良かったかも。

 なるほど「こどものおもちゃ」のマシンガンをも上回るスピードでいっぱいのトークとか、「すごいよマサルさん」「十兵衛ちゃん」等などフェイントな作品もあってフツーじゃないじゃんて言う人もいるかもしれないけれど、トークの中で監督自身が実に真面目にフツーの口調で淡々とこれまた良い声で話した自分自身がアニメの中に盛り込みたいと考えているテーマが、「命」と「笑い」をどうやって作品の中で表現していくかってなことだったと知れば、だからこそかくも大勢の人たちを集められたんだって納得できるだろー。とか言って実の所僕自身、そんなに重たいテーマが大地監督の作品に込められているなんてこれっぽっちも考えちゃいなかったんだけどね、単純に面白い演出をする人だなぁってことぐらいしか思ってなかったから。

 大地監督によれば、人生とか個性とかをひっくるめた個の人間が折角生まれて来たて得た「命」をどう使うかって考えた時に、出来る限り大事に使って欲しい欲しいってな気持ちがあって、そんな人生の中で一番幸せなのは何かって考えた時に、それは「笑えること」じゃないかってな思考に至ったんだとか。笑える人生を得るのってそれはそれは大変なことだけど、辛いこと大変なことを乗り越えて笑える境地にたどり着く、そんな「命」を描くことこそがアニメとゆー表現形式で大地監督がやりたいことなんだろー。と聴くとなるほど結構シビアな展開もあった「こどちゃ」にしても母親の死とかを乗り越えなくっちゃいけないかった「十兵衛」ちゃんとか、ちゃんと監督のポリシーに従った作りになっている。ラストの哀しい「ナースエンジェルりりかSOS」も同様。重いテーマを軽く見せつつ重いテーマに思い至らせる、なるほどその腕前があってこそ心に響く作品が出来上がって来るんだろーってなとりあえず結論に至る。

 そんな思い詰めるタイプの監督だからこそ、「りりか」のクライマックスと制作期間が重なった「こどちゃ」では、「りりか」に気持ちを思いっきり乗せてた反動で倉田紗南役に起用された小田静恵さんが「大嫌いだった」とか。「それは曲げようもない事実」を今になって明かされる「こどちゃ」黎明期のエピソードで幕を開けた、小田さんを迎えての第2部は、何百人から選ばれた最後の5人のうちで絶対にダメだと言った小田さんが、原作者とか他のスタッフの押しによって起用されにも関わらず、とにかく嫌いで8話を録る2カ月後まで口も聴かなかったとゆー話が披露され、場内爆笑の渦に包まれる。半分イジメな気持ちもあって、とにかく言葉を詰め込みかつ言いにくい言い回しなんかを多様したってな話も初披露。「こどちゃ」で2年の間を共に疾走した今だから明かされる真実とは言え、何であれ物を表現する人間のこだわりなり心の機微が分かるエピソードってことでしょー。

 「こどちゃ」では沢山出演している本人だけど他の作品には出ないと宣言「監督が声出しちゃいけない、聴いてるかナベシン」と声どころか本人すら出まくっているワタナベシンイチ監督に向けて牽制球を投げる、けどそれで聞くナベシンじゃねーからなー。そんなこんなで2時間半を司会が段取りにおわれる余りに話が転がらない点をややあったけど、満遍なさでは極めて良心的なトークショウに仕上がっていたって印象です。お疲れ様でした企画した早稲田アンメーション同好会の方々様。凄いのはイベントだけじゃなく講演会のために作られたパンフレットで、サムシング吉松さん描く菜花自由&十兵衛のイラストの中表紙に始まって麻生かほ里さん石田敦子さん高橋良輔さん安原麗子さんほか関係者多数のコメント漫画イラストなんかが寄せられていて、小田さんの絵はさっきの話を裏付けるよーに「第一印象」として鬼目の監督の顔の絵があったりして、まんま売っても500円くらいで売れそーなパンフに仕上がっている。これがタダとはスポンサー様持ち出しただろーOBの皆様、ほんとご苦労様でした。来年はやっぱワタナベシンイチ監督を招いて「監督は声出さなきゃいけない」ってな話で盛り上がってやっちゃーくれまいか。くれまいな。


【11月6日】 金曜の真夜中に定番の「聖戦士ダンバイン」は、物語の半ばで1つの佳境だった地上シリーズの「東京上空」で健気にパイナップルを運ぶチャム・ファウの可憐さに目頭を押さえつつ、来週の「閃光のガラリア」への期待を膨らませた後に、これまた金曜深夜の何故か先週から定番になってしまった「トラブルチョコレート」を見る。うーん原作があるのかも知らない番組で世界観をイマイチ理解できないんだけれど、金持ちの美形が剣を振り回し主役の男は奇妙な女の子につきまとわれているって設定のあからさまぶりにはヘゲヘゲ。デジタルっぽい塗りと絵には表現技術の上できっと奥深いものがあるんだろーけど、それを一切感じさせないクダラなさが全編を彩っていて、同じデジタルを駆使しつつその雰囲気を感じさせない作品ながらも、中身の説教臭さが観客を100歩も200歩も弾かせた某お茶の間アニメを思いつつ、これがニッポンのアニメだとその割り切りっぷりにカンドーする。気軽がイチバン、だってアニメじゃん。

 タツノコ系のリメイクで有名な梅津泰臣さん初の画集「梅津泰臣 ART WOEKS」(リイド社、2500円)はアダルト物も最近いっぱい手がけている梅津さんらしくそっち系のイラストもあって大人も楽しめる1冊、ってもモロな絵は流石にないけれど、見えそうで見せていてでも肝心な所は見えないギリギリ感が官能を呼び起こして気持ち奮い立たされます。「新・破裏拳ポリマー」に「GATCHAMAN」にキャシャーンは天野さんっぽさ爆発のキャラを梅津さんっぽさ炸裂のキャラへと改変してなお「ポリマー」であり「ガッチャマン」であり「キャシャーン」であり続けている辺りに、仕事の上の苦労と同時に元のキャラなり作品が持っていたインパクトの強さを改めて覚える、トリコロールに塗れば全部「ガンダム」に見えてしまうってな刷り込みが、筋肉とポーズとデザインが独特なタツノコキャラに対してどーもあるみたい。新ガッチャマンの南部博士ってなんか蒲腐博士に似てるなあ、揚力ヘアーは小さいけれど。

 ムック続きは「少女革命ウテナ ヴィジュアルメイキングブック アート・オブ・ウテナ」(美術出版社、2500円)、も美麗なイラストと作画監督の手になる原画や動画がたっぷり収録されてファンならずとも注目の1冊、あのキレまくってた美術の世界も小林七郎御大と幾原邦彦さんの対談で収録されていて、背景や美術にかける御大の熱意とこだわりが行間に至るまで対談ページに満ちている。版権イラストは毎回テーマ性とストーリー性の感じられる絵が涙物だったLDジャケットの絵を、候補にあがったラフ案も含めて紹介していてアートとビジネスのせめぎ会いが決定までのプロセスから感じられて面白い。しかし原画にしても動画にしても同じ人間があーも綺麗な絵をどーして正確にどーやって何枚、何十枚も描けるんだろアニメーターの人って。これが技術で育成すれば育つものなら日本は100億円、1000億円注ぎ込んでも人材育てて海外に向けて大いにアピールしていくべきだぜ。

 タツノコで脚本なんかを書いていた酒井あきよしさんが脚本とは別に書いた「魔装機神サイバスター」(メディアワークス)のノベライズを仕事なんで読む。テレビシリーズは一切見ていないから「スパロボ」なんかとの関係は全然知らないけれど、ノベライズを読む限りではやっぱりどーしてドジでノロマでカメな野郎が人気の環境保護団体のロボット運転手に最初は落ちたとは言っても2次試験をクリアできるまで残ってしまうのかが、どうにもご都合主義に思えて仕方がない。アムロの偶然もシンジの必然もないロボット乗りってのはやっぱ気になるんだよなー。まあ補欠で選ばれても結局はウマが会わず別に別次元から飛び出て来た「サイバスター」を操縦するよーになるんだから、何かしらの関係がそっちに昔からあったんだとすれば、必然となるからまだ許せる。来月だったか今月だったか登場の下巻にその辺の回答はあるんだろーか、なくっても感想文は書かなくっちゃいけないんだけど。しかしもっと許せないのはノロマでドジでも美少女にモテるって点、嗚呼俺もロボット、作って自分で操縦するか。

 10月22日に死去した元同僚(大先輩)の永松久記者のお別れ会に出る、昔馴染みの証券担当記者がドバドバと詰めかけた盛大な会に改めて兜町30余年の記者生活がもたらした繋がりの広さを思い知る。山一証券で株式相場の概況をレクチャーしてもらっていた何人かの1人も来ていて、山一証券って会社が存在しないことを思い出してこの10年に金融業界がとてつもなく変動したことを強く感じる。バブルを前に文系だろうと3流だろうと金融だ、証券だと採用されたり入社していった時代が92、3年頃を境に一転して、一流大学を一流の成績で卒業して入った銀行だったら長銀、証券だったら山一が相次いで潰れて路頭に迷い流浪の民となってしまった。超一流を自認し肩で風切ってた興銀もやがて名前は消えよーとし、東京海上も1番の座から転げ落ちよーとしている21世紀にさて、学生は働く場所を選ぶ基準をいったい何に置くべきなのか。30までに手っ取り早く10億稼げるベンチャー、ってのが苦労はあってもアタリだと、思えるよーになれば日本から山と再び発明も生まれてニッポンの未来はオウオウオウオウ、世界も羨むんだろーイエイエイエイエ。何のこっちゃ。


【11月5日】 長続きしない愛のたっぷりと込められた「アニメ批評 #002」にも登場している大地丙太郎監督のどーやら講演会があるそーで、実は前に秋葉原のボークスでチラシを見て知ってはいたんだけど、改めて某社の某方よりご案内を頂いたので覗いてみたい気がしちゃったり。残念にも小西寛子さんが登場されないみたいだけど変わりに「倉田紗南」ちゃんのマシンガントークが聞けそうなのでファンもファンじゃなくっても行って見て聞いておいた方が良いぞ。個人的にはほら、やっぱり早稲田の杜ってのは敷居も塀も高くってお呼びじゃないって雰囲気があって、高田馬場からちょっと近づいただけで場違いな雰囲気に押しつぶされそうになる、かもしれないんだけど、折角のお誘いでもあるし2000円札でも登場できず今なお三田の後塵を拝しつつ、2万円札での雪辱を密かに期しているらしー大隈公のお姿を見るのも楽しいかもしれないし、ひっそりと行って静かにステルスしてるかも。仕事片づけなきゃ。

 ウイっすエクセルっす毎週木曜深夜のお供は「エクセルサーガ」に、CMとかで話題の「エクセルガールズ」が登場したけど絵になっていたから誰が誰やら。あのナベシンが監督してんだからいっそ実写で取り込み動かすくらいの爆発ぶりを発揮して欲しかったねぇ。お話はいよいよアパートの男3人が市役所に入って蒲腐博士の宙返り大失敗を見るエピソードへと突入、したけど美咲はまだ登場してないし、物語も本編にはない市役所の中で繰り広げられる陰謀にエクセル&ハイアットが巻き込まれているのか巻き込んでいるのかドタバタした中でラストはお子さまも安心な始末を付ける、やっぱりもって訳わかんない展開になっている。スリリングさと纏まり具合では過去のどのエピソードよりも好きかも、けど蒲腐博士のヒゲがあーなっていたとは知らなかったよきっと六道神士さんも知らなかったに違いない。投げると回転しながら戻ってくるのかな? このままいくときっと揚力なあの両脇の髪も本編とは違った活用法があるに違いない、期待いっぱい夢いっぱい。

 溝口肇さんプロデュースによるインストアルバムの流れか、ちょい前に「デビルマン」「タツノコプロ」のクラブミックスアルバムと一緒にコナミミュージックからもらっていた、丹下桜さんの2年ほど前に出たアルバム「MAKE YOU SMILE」なんかを聞き込んでいるこの数日。インストでも感じた宮島律子さんって人の作るメロディーの良さに、唄うと「はにゃーん」とも「おねにーさま」とも言わず媚びない丹下さんの透明な声が加わって、なんとも気持ちよいアルバムに仕上がっている。「I Feel the Wind」好きですねぇ。声優さんのアルバムってゆーとやっぱり人気は林原めぐみさんで最近ニューアルバムも出てヒットしていたりしたけれど、キャラのファンとか声のファンとかいった気持ちが一切ない単純に歌が好きってなファンにも十分な作品って結構あるのかも。かといって探し出して聞くのも恥ずかしいし面倒なんでとりあえずは丹下さんをちょい、おっかけてみっか。コンサート、あったっけぇ。

 「池袋ウエストゲートパーク」から「うつくしい子ども」(文藝春秋、1524円)へと順調に作品を発表し続けている石田衣良さんの新作が割と早くも登場。集英社から発売の「エンジェル」(1600円)はある日突然自分が死体になって埋められている姿を目撃した幽霊が、その原因を探るために都会へと戻って犯人探しを始めるとゆーストーリー。甦った時に過去2年の記憶が飛んでしまっていて、いったいどーゆー理由で殺されてしまったのかが分からない。実は彼は、強欲な事業家だった父に疎まれ縁を切られる時にもらった10億のお金をもとでに幾ばくかの財産をこしらえ、それを有望なプロジェクトへと投資する仕事をしていた。投資に絡むなにかいざこざがあったのか、幽霊になって現実世界に手も足も出ないもどかしさのなかで、理由をつきとめ復讐を果たそうと懸命になる。最初はコミュニケーションできなかった幽霊が、電気に触り声まで届けさせられるよーにある展開は、よっと都合良すぎるって気もするけれど、それなくしては始まらないから仕方がない。

 誰が何のために殺害したのかってな謎解きの部分は早々に真相が明らかになるから、ミステリーとしての楽しみはそれほどない。兄の老監督が最後に取りたがった映画の完成のためにやっきとなる弟のプロデューサーにしても、親切そうでいてその実陰ではいろいろあった弁護士にしても、息子を10億円の手切れ金で一切の相続権を放棄させて捨てた父親までも、本来だったら憎々しげに描かれてしかるべき人物たちが心に傷とか負い目を感じて生きているように描かれているため、読んでいてあまり苛立ちを覚えない。オチも含めて人間の心がちょっぴり綺麗過ぎる面もあって、そんなもんじゃねーと苛立ちを覚える人もいるかもしれないし、若干の物足りなさも感じるけれど、それはそれ、人間は際限ない欲望を持っていても、心の奥底には弱い部分を抱えているんだってことを、登場人物の諸相から読者に見せよーとしているんだろー。端正な掌編。ゲーム業界のごちゃごちゃはやっぱ「高天原なリアル」(霜越かほる、集英社、533円)の方がすげーと思うな。


【11月4日】 「まねきでじこ」がほしいにょ。目からビームで悪運を滅ぼすにょ。いかんまだ頭が眠ったまんまの中を10分でまわしして(名古屋語)新宿は三角住友ビル47階で開かれたCSKの関連会社とアスキーがいっしょに始める「Shes.net」の発表会をのぞく。部屋の隅にある窓から真下に新宿西口公園がひろがり先に伸びるは武蔵野の丘陵地帯に平べったく散らばった民家を見ていると、そのまま「愚民どもよー!」を叫びだしたくなったけど大勢のプレスとCSKの人とかアスキーの青シャツ社長(だったかは忘れた)とかがいたから心の中でつぶやくだけにしておく。世界征服までの道は険しい。

 女性だけが無料でアクセスできるってなインターネット接続サービスは、かわりに自分だけのポータルを作ってそれからアンケートにも答えるのが義務になっているだけ。それでも企業は個別の属性にあわせてこの人がこんな情報が欲しがっていると分かった上で情報を発信できる訳だから、例えば化粧品なんか全然買わない男30過ぎにコスメな新製品の案内なんか送ってビットの無駄遣いをするよりは、よっぽど確実に顧客に情報を届けられることになる。まあ30男が突然のコスメに目覚めて女装クラブへと通い始めて美人より余計に大量のヌリカベになれる程の漆喰、じゃないファンデーションを買い込むお得意さんになる可能性だってあるんだけど。あるのかな。あるかもな。

 ああやっと売ってたよ「アニメ批評 #002」はデジタルの大御所大口孝之さんによる「となりの山田くん」批評が載ってて「誰の目にも無理と思える企画に、むりやり理由を見つけて、苦しみながら作品を作り上げた高畑監督を責めるのは間違いだろう」ってあるけれど、でも企画がどーでもCGが使いにくくっても説教にしたのは高畑監督で説教が鬱陶しかったのは事実なんで、責任から除外して良いのかどうかって思うんだけどどうでしょう。あさりよしとおさんと、がっぷ獅子丸さんの対談でも触れられていて「とりあえず面白いもの作れよ」ってあさりさんの言葉に集約されているよな。

 しかしちゃんと出たにも関わらず編集後記はさいとー編集長が「応援して下さった皆様どうもありがとう!」って言っててすぐ下にある漫画も悪のみっふぃっぽい×口な兎が「また会えるよね・」と泣いててちょっと前にあるふれあい読書コーナー担当の罵倒ウケがナイスな岡田英健年齢不詳がラストで「次があればな」とぼやいて直後にやっぱり兎が「あーもうヤル気がない」とボヤいてて、読めば読むほどに読むほどな印象が伝わって来て嗚呼八丁堀に陽は沈む。アニメ情報誌は5誌も出ていてそのうちの1枚に荷担している身ではあるものの、カテゴリーを変えたこーゆー雑誌が季刊であっても「恋が長続きしないもの」(悪のみっふぃ)って状況はやっぱりちょっぴり哀しい。謹んで冥福を祈ろう(ってまだ死んでない)(死んだの?)。

 アニメが熱狂的なファンに支えられつつもその熱狂的さ故にタコツボ化して深いけれども狭い人気に止まり中心的なファン層もどんどんと年齢が上がっていて未来が心配されていることは巷間指摘されていそーなことだけど、かの大朝日までが賞を作って今やメインカルチャーとして堂々を表通りをダンスしながら闊歩できるくらいにまで地位を上げて裾野も広がっていそーに思っていた漫画が、意外や子供たちにあんまり読まれなくなってるってな記事を4日付日経新聞の夕刊で読んで愕然とする。記事によれば子供の8割以上が漫画よりゲームが好きと言って理由に「共通の話題がある」ことを挙げているのは、つまり漫画に「共通の話題」になりえるだけのパワーがないってことなのか。

 漫画が想像力を膨らませる余地を持って夢を託せることが出来たのにゲームは過剰に演出されて受け身の楽しみに止まりがちってな指摘は、裏返せば高尚さを意識して「うち(漫画)のほうがまだマシ」ってな相手を見下したニュアンスが感じられてあんまし好きじゃない。同じ受け身のメディアである映画がかくも世界で隆盛を誇り地位も名誉も得ている現実を踏まえれば、それよりも抱負な物語を自ら演出して答えを探ることの出来るゲームが漫画に比して程度が低いとはとても思えないからね。あと大人が読むようになったんで子供の独占物じゃなくなったって指摘も因果関係がよく分からない。だって力石のお葬式で哀しんだのは大学生じゃん、そんなおっさんたちが山といたって僕たちは「ジャンプ」を読んで「チャンピオン」を読んで「サンデー」読んで「キング」も読んでたんだから。「リュウ」も。

 結局は「ドラゴンボール」に代表された、かくも大勢の子供たちを巻き込み毎週毎週を楽しみにして待たせるだけの漫画、ゲームよりも携帯電話よりもインターネットよりも塾よりも面白い漫画が今それほどないってことに集約されちゃうんだろーけれど、そうこう言ってもかつて自分が子供だった頃は100万部ですっげーっと言ってた雑誌が、かつて600万部なんて時代を見たから少ないって思われるかもしれないけれど、今だって200万、300万、400万部は出ている訳で決して衰えちゃいないと思う。けど子供いないんで家で子供が漫画読んでるか、何が好きなのかってな実感が持てないのがちょっと辛い。あなたのお宅の子供さん、漫画、読んでます? 読ませてます?


【11月3日】 「東京ファンタ」で大口孝之さんが言ってた話で今度の「トイ・ストーリー2」は北原照久さんが裏主人公めいて登場するとかしないとか。ってな話も覚えているのか覚えていないのかハッキリしない虚ろな気分で朝の7時に渋谷から地下鉄に乗って自宅へと帰り日記を更新して午前9時に就寝しつつも急な仕事が入る可能性もあった関係で正午には起床、3時間睡眠とはまるでナポレオンみたいと自分を鼓舞するもその前の日も数時間睡眠だったため意気消沈。それでもモカっぽいドリンク剤をグビグビやって気持ちを奮い立たせる。奮い立ったついでに近所の本屋でフランス書院文庫から「電脳M奴隷麗美」(綺羅光)を購入、「ゲーム会社を興し、電脳マニアに絶大な人気の麗美」って主人公の設定があの人を想像出来て何とそそられます。なんか逃避してるなあ。

 気分を変えて真っ当な本でもと思って早川書房から出た「Fとの秘密」(エヴァン・ジムロス、宇佐川晶子訳、1900円)なんかを読む、カリスマ的なバレエ教師との狂おしい愛の日々を綴る衝撃のノンフィクション、ってどこが真っ当だ。いやまあ確かに「12歳の少女がバレエ学校で知ったこと」ってな帯の文字だけ読むと相当に淫靡でポルノグラフィックな内容を想像しがちだけど、そーゆー描写はなくむしろ厳しくストイックにバレエを教えようとする教師に対する憧憬の発展とも言える思慕の情が妄想へと変化する様を描いた、一種の青春ストーリーに近いから読んで騙された、じゃない少女の気持ちを探る上でとっても勉強になりました。ってもどこで少女なんかから憧れられる機会を作るんだよ。

 まあ現実には無理だろーからせめて小説世界で少女への関心を満たそうと思い少女が絡んだ文学のガイドにもなる高原英理さんの「少女領域」(国書刊行会、2800円)を買う。評論の対象になった少女小説は川端康成でも決してメジャーじゃない「浅草紅団」からこれは有名な尾崎翠さんの「第七官界彷徨」、倉橋由美子さん「聖少女」、さらには松浦理英子さん「ナチュラル・ウーマン」に大原まり子さん「ハイブラッド・チャイルド」などなど時代もジャンルもそれなりに目配りが聞いていて、どこかを切り口にして「少女小説」の一端に触れようかなってな気を起こさせる評論集になっている。中森明夫さんの「オシャレ泥棒」が含まれているのは他のメジャーな作家センセイの列から見れば以外だけど。

 夕方に会社を経て池袋で闇仕事。前に某所ですれ違っていたらしー、模型の世界じゃ超有名な人から、キャストキットってな見本に出ている完全塗装済みのフィギュアに比べれば組立前なんで当然に中途半端な出来の製品を売る行為を詐欺じゃないかと繊細な神経で感じとり、より完成品を出来れば売りたいってなことを聞くにつけて、既製品にない品物を作りたいんだってな所からスタートしたガレージキットの意味なり「ガレージキットス・ピリット」ってのが、すべての人間に決して共通じゃないってことが分かり、記事のまとめに苦労しそーな予感にプレッシャーを激しく受ける。市販品にないからキットを買うんだったらもし製品としてあれば作るにめんどいキャストキットなんか買わないで完成品を買うんでしょ? ってな意見は言われてみればなるほどな言葉。そんな気持ちを詰め込んだ遠からず出るアクションフィギュアの製品(当然塗装済み)が、当然にとうてつもなく凄いことになってることは必定で、今から発売がすっげー楽しみ。


【11月2日】 真夜中過ぎまで本読みの仕事。堺屋太一経企庁長官が書いた本なんかを読んでいると、かつての体制をタニマチに媚びる大相撲型と言ってこれからはお金を払って来てくれるお客さんに媚びなきゃいけないプロレス型と言うあたりに、実は女子プロレスが大好きな堺屋さんの本性が滲む。あと新しい物珍しい物をスノッブって下心を漂わせる感覚よるは単純に「おもろいやんけ」と受け入れる関西気質を尊ぶあたりに大阪出身の遺伝子がのぞく。かといってそんな人間が加わっている小渕政権が経済でやることといったら空前な地域振興券に絶後の2000円札をすでにからぶった施策とこれから空振りそうな施策ばっかし。何だって楽しめる関西人でも「おもろ」がれない施策を次から次へと繰り出す小渕さん、あるいは空前にして絶後のコメディアンなのかもしれないなー、総理やめたら「小渕ぃー、吉本へいけー」。

 珍しく「東京ファンタスティック映画祭」などのぞく。デジタル関連なアニメがばんばん上映される企画に来ませんかってなリリースと電話があって言ったらどーやら席なさそーだったんで早めに行ったメリットを生かそうと当日券売り場に並んだら、どーやら誰か勿体なくも来場しなかった人がいて余ったらしく席がもらえてラッキー。キレずに済んだ。しかしギョーカイな人が大手を振って華やかに闊歩する、なんかとっても大人な世界と映画祭ならではの雰囲気ってのはマイナーな人間には毒が多くなかなかに疲れる。 次は当てにしないで金払って入ろー。会場にニッポン放送の常務な人とか来ていて挨拶、「梟の城」の試写会後のパーティーのよーな生真面目な集まりだけじゃなく、オタクな集まりにも顔を出しては様子を伺う行動力はやっぱり見習わなくっちゃいけないね、尊大っぽさがどーにも漂うどっかの社長さんも。

 さてさて「ヌーベル・イマージュ」と題された「東京ファンタ」オールナイトのイベントは、1つは最近のCGを取り入れた映像作品を紹介することが目的で、2次元と3次元のCGアニメーションの合成や3次元のフルアニメーション、実写とCGIの合成といった現在用いられている様々なデジタルの手法を一晩で見ることができるって点が勉強になるためか、フツーのアニメのイベントに通う人たちだけじゃなく、CGや映像関連の学校に通ってる学生さんたちも含め、席もないくらいにお客さんが詰めかけていた。コアなファンが来そーな作品もなく、またコアなファンを呼びそーな声優さんのイベントもないのにこの盛況は、企画した人も驚いていたくらいだから、やっぱり時代が今大きく変わろーとしているってことなんだろー。

 もう1つの目玉が今回のイベントでは実はいわゆる「フィルム」による上映がないってことで、普通の映画館が備えている巨大なスクリーンに向かって、巨大な超絶明るいプロジェクターでもって映像を直接投射する方式での上映とゆー仕掛けが導入された。アメリカなんかだと「スター・ウォーズ エピソード1」や日本だと年末の「ターザン」で実際に導入されているらしーけど、日本では初の試み。それが今度どーゆー意味を持つのかについては専門家じゃないから分からないけれど、例えばフィルムに焼いてないビデオの素材であっても立派に商業ベースに乗る上映会が開けるって意味で、ミニシアターのムーブメントをさらに自主上映レベルまで押し下げて解放する可能性なんかがあるのかも。映像作品自体がフィルムを使わずデジタル上でリニア編集された後にアウトプットされる時代でもあり、それをダイレクトに上映できる仕組みってことでも有用性は高いだろー。要勉強。

 さてスタートした「ヌーベル・イマージュ」は最初にビルドアップのパワードスーツ格闘映画「D」を上映、すでにギャガで試写を見ている作品だけど、プロジェクターの性能が圧倒的なためか画面が明るくなって、夜の場面が多く見づらかった部分も少しは見やすくなった。あと1回目では気になった乱暴なセリフとタメのないいきなりな暴力も、2度目とゆーこともあって心構えができてた分だけ、安心が先に立って違和感をそれほど感じず見ることができた。今回の一般公開で気にしていたのがフツーの映画好きな人たちの反応で、例えばニワトリな怪獣がドグワンと立ち上がってペチャペチャ歩き出すシーンでは、やっぱり笑いが場内を包んでいたし最後の主人公が××な××になってしまった古典SFでは時々見かける手段でも、やっぱり笑いが漏れていた。

 「スターシップトゥルーパーズ」でもできなかったパワードスーツの格闘戦を、まがりなりも実現していることへの反応はそれほど見られず。固唾をのんで見守っていたのか思っていたより格闘シーンが少なく残念だったのか、それはこれからあちこちに出るだろー招待されて取材に入っていたメジャーなメディアの人たちがちゃんと書いてくれるだろーから期して待ちたい。上映終了後に出てきた進行役の大口孝之さんが開口一番「監督の岡部暢哉のキャラクターそのまんまの映画」と言ってやっぱり笑いが出ていたのはあるいは知り合いが結構いて同感と思ったからなのか。「まんま岡部さん」ってしゃべっていた女の子もいたし、決して何度も会っている訳じゃないけどそのストレートな物言いから判断してこーゆー映画を撮りそうだと判断した僕以上に、映画へのキャラクターぶりを感じているんだろー。見てから会うか会ってから見るか、どっちでも選んで話聞いてみませんか。分かるはずです。

 休憩時間に「SFオンライン」の添野知生さんが来ていたから「D」の感想を聞くと、巷間伝え聞いていたよりは普通で面白かったとの声が。いったいどんなことを聞いていたのか興味のあるところでもあるけれど、とりあえずは戦闘シーンの迫力なんかはまずまず合格ってことらしい。上映版は前に見た試写版と第3話のラストシーンでちょっと違っているよーな気がしたけれどこれは何故? おまけに「つづく」なんて字も入れられてるし。一応のカタはちゃんとついてしまった作品をあるいは岡部さん、双房がスケサブロウまで視野に入れた続編なんかを考え初めているのかな、残念にも会場には米国でTVシリーズ(スピードファイターかな)の打ち合わせをしている関係で来ず、久々の挨拶ができなかったのが心残りであります。帰って来た頃を見計らってやっぱ感想聞いておくか。

 何故かいきなり始まった課長王子の演奏会、前に「電撃アニメーションマガジン」の編集部を襲来した時に見たのとは使っている音響装置の関係で迫力が違い、貧相なおっちゃんの手すさびが一応はちゃんとしたロックの演奏に聞こえてさすがは「課長王子」のこれで面目躍如といったところかも、放映は終わっちゃっているけれど。同じパイオニアLDCの流れで始まった「太陽の船 ソルビアンカ」の新版上映は、「アミテージ・ザ・サード」以来の長な潜伏からよみがえった越智博之さん監督で恩田尚之さんキャラデザによるあのテイストがグレードアップしてスクリーンに登場。アメリカ受けしそーなキャラは慣れないとコレステロールたっぷりなバタートーストくらいの満腹感があるけれど、「アミテージ」で慣れていたせいもあって動きが良くなり絵も崩れなくなった「ソルビアンカ」は絵に関しては安心して見ていられた、絵に関しては。

 けどお話の方は説明無用でパキパキ進む展開が、繰り返し見て理解に及ぶことが可能なOVAらしさ満載でただ流れていくだけの上映会ではちときつい。主人公を含む女性のチームがどーやら海賊らしーこと、地球っぽい星が舞台でもそこはテラフォーミングされた惑星で地球はどーかなっちゃっているらしーこと、海賊な女の子たちは誰かに追われているらしーことは分かっても、どーして海賊なのか、地球とどんな縁があるのか、追いかけているちょんまげ野郎とはどんな因縁があるのか等々、謎とゆーか一見では理解できなかった処も多々ありで、これはやっぱり買わなきゃいかんかと減る一方の財布の中身とにらめっこする。2話はそれでもまとまっていて海賊一味の少女の過去を好かして見つつ、アルコール大好き女性の秘められた能力爆発なシーンも用意されてて満腹感はより健全な方向へと高まっている。全6話のストーリーでどこまで何を解明するのかがまだ見えないけど、少なくとも前とは違って完結だけはさせて頂きたい、でないとほら、おいそれと買えないじゃん。

 森本晃司ナイトっぽい雰囲気もあった今回のイベントは、超絶ショートアニメ「永久家族」をつないだ長編版が上映されてそーゆー話だったのかと気付いた人も多かったかも、ビデオ化なんかも近いよーなんでこれは買いだ、絵でも音楽でも森本節炸裂で正直慣れない僕には辛いけど、これも進化への痛みと甘受しよう。鋭意制作中の「鉄コン筋クリート」は松本大洋のあの絵が森本テイストになって動いていて仰天、一部にまだCGキャラっぽさが残っているけど、これをよりアニメっぽく仕上げて名作「ハッスル!!とき玉くん」以上のCG利用アニメへと発展させてくれるだろー。松本大洋読まない人でも気にはかけとけ。あとこれが今回1番の収穫かもしれないのがその名も池田爆発郎(わはははは)の「PiNMeN」。ピンの男たちの哀愁漂う生活を短い中簡単な線と色遣いだけで超絶見事に表現した傑作、仲間って何だろう? って思えてくること必定。表現自体は紙に描く普通の漫画でも出来そうな気もするけれど、動いて震えてナンボなアニメだと迫力が倍増し、いや10倍増し。上映会があったら絶対に見ておけ損はない。

 前の「VISITOR」が伊藤和典さんによる脚本を評価し短期間でフル3DCG劇場アニメをちゃんと仕上げた価値を評価しつつも、キャラの造形演出の方法で納得し切れなかったギャガとクリーク&リバーが手がけている新作アニメコンテンツ発掘プロジェクトから、待望の第2弾が登場して国内にて初披露。「VISITOR」がWOWOWでの放映とビデオ化だけだったから上映を前提にした今回の作品は「国内で初のフル3DCGアニメーション映画」ってことになるのかな。加えて初ってだけじゃない意味が今回の作品「A.LI.CE」にはあって、それはキャラクターの表現力、3DCGキャラの演技力、演出にカメラワークがわずか1年で格段に進歩していることで、なめらかな肌に口も含めてよく動く表情は、前だとキツかった顔のアップになる場面でも苛立たず直視できた。動きの方も「フィギュアニメーション」を標榜してカクカクさも特徴と割り切った「VISITOR」と違って、モーションキャプチャで人間の動きを取り入れていたから滑らかさ3倍増(当社比)。限界から生まれた「アトム」が1年で90年代テレビアニメレベルにまで上がった印象すらあって、機械でも人間でも技術の進歩恐るべしってな印象を抱く。これなら「FF」いらんがな。

 まあそれは大袈裟としても表現において納得できるレベルに達した一方で、ストーリーに分かりやすさはあってもSF的なハードさは前作よりずいぶんと下がっていた感じ。2000年、スペースシャトルに乗って宇宙観光へと出かけた少女が目覚めた場所は雪原で、教われる謎の一味から逃げて匿われた先で、そこが2030年の地球で、ネロと言う男によって人類が大粛正されていたことを知る。ってな展開からあとは想像のよーなタイムパラドックスを内包しそーな結末へと進んで行くんだけど、そんなストーリーを「こんなのはSFじゃない」と言わずに納得できるんだったら、可愛いスチュワーデスロボットの活躍やバトルシーン、チェイスシーンなんかもあって結構楽しめるでしょう。声、岩倉玲音だったし。

 劇場では来春にも公開とかで、監督の不満足な部分を手直ししたディレクターズカット最終版になるだろーからまた見よー、だって半分眠ってたもん明け方だったから。同じプロジェクトでは別の1本「マリス・ドール」ってな作品がビデオ化発売を控えていてこっちはファンタジックで耽美でホラーな奮起が強まった作品っぽくコアにアピールしそうな気配。脚本がチラ見では小中千昭さんだったのもストーリーへの期待を後押しします。映像は「A.LI.CE」並だから十分、むしろ媚態な美少女キャラはこっちの方が買ってたかも。ともかくも30億近くを有名監督2人に注ぎ込んで未だ作品の進行を見ないアレとかミリオンな億円がマカデミアナッツとサトウキビの畑に消えて行くソレとか、話は山とあっても未だどれも実現していない現状の中で、立派に作品としてフル3DCG長編アニメ映画を送り出せる底力は評価して、後はちゃんと売ろうね、権利バラ巻きすぎて収集つかなくなるなんて事態にはもーせずに。


【11月1日】 株に車に本に玩具とインターネットで色々な物を売り出し始めよーとしているソフトバンクが相変わらずの突然にまたしてもネット関連で発表を行うとのリリースが舞い込んでさて次は何を売る気なのかと考えて、もうこーなったら残るはアメリカなんかで大流行の精子卵子のネット販売しかなかろーとの結論を勝手に導き出して以下妄想モード。やはり既存の事業とのリンクを考えるんなら、立ち上げ時期がグラグラしつつも寄席られた期待タップリな「ナスダック・ジャパン」と関連して、そこへの上場を目指す優れた頭脳と行動力を持った若手ベンチャー企業家たちの才能を受け継ぐであろー優れた遺伝子を内包した、精子卵子もいっしょにバンクしておいて、そーいった優秀な子供が欲しい人たちにネットを通じて販売するビジネスなんか、結構流行りそーな気がしませんか、事業名は息子とバンクの総帥の名前を引っかけて「e−son」ってのはどーでしょー。

 価格については、事業が立ち上がる前でも事業計画書なんかを元にアナリストが審査して決めてみたり、立ち上がったら立ち上がったで四半期ごとに決算を報告してその度ごとに価格が変動する仕組みを導入すれば悪平等が是正されて良いかも。買って種付けして例えばその時の価格が100万円だったとしても、25年くらい立ってそいつが事業を立ち上げ30歳で株式を公開して10億円とかの公開益を手に入れれば、うち半分を親だからといって横取りしたって5億円、計算苦手だから知らないけれど、年平均の利回りは銀行なんかに預けておくよりも土地買っ運用するよりもずっとずっと良いんじゃなかろーか。でもやっぱり取り扱い精子卵子数あれど、常に1番人気で値段もちょい高めだけど、それでも購入希望者の後をたたないのは孫さん自身の種だったり。いっそ本人1人だけの遺伝子を扱う「e−son」にしちゃうって手もあるなー。でもマジにアメリカなんかだと立ち上がりそーなビジネス、でもって1番になったところで「1番と手を組む」のが大好きなバンクがやっぱり提携するんだ。

 本当の発表は何だったか知らないけれど関係ないと放っておいてインプレスの発表会。間違えて九段センタービルに行ったら最近とみにアニメーション製作会社としての活動が目立って来た「SPS・ビジュアルワークス」と同じフロアだったんで吃驚、遠目にのぞいた受付の床に巨大な「はれぶた」やら巨大な「キョロちゃん」が置いてあってピンポンダッシュしたかったけど盗人野郎と白川隆三御大に打擲されてしまうから我慢、それに発表会場も本社から別会場へと変更になっていたんでそそくさと挨拶にも寄らず「はれぶた」に背を向ける。インプレスの発表は持ち株会社化と事業規模の拡大が中心で、デジタル局なる部門で情報の編集エンジンとそれを配信・課金するシステムを作ってデジタル部門で2年後には150億円を稼いで出版部門を合わせて300億円を稼ぎましょうって話、でした。

 コンテンツそのものを集める手段よりインフラ面への投資が目立つ点にやや懸念が浮かんだものの、設立から10年経たずしてすでにグループで100億円を越える会社に育っているって点で、ネット周りのビジネスの成長度合いも伺えるからあながりハズレではないのかも。しかし元職場のアスキーがCSK傘下で急速にネットビジネスを拡充しているだけに、「インターネットマガジン」をいち早く創刊して唾つけたインプレスとしても、巨大資本との戦いがこれから本格化を迎えるんだろー。ゴールドマンサックスからの資本受入なんかもやった訳だし、あるいはもう1波2波あったって不思議じゃない。西さん無き(亡きは大袈裟)今、塚本さんに到来する10年後はさてどんな未来?

 南陀楼綾繁さんから日記本ガイド「日記日和」(物数寄工房、700円)を拝領、世にかくも多くの日記本があったことを改めて知る。いわゆるプロな作家さんたちの日記本が中心だけど、冒頭にドーンと持って来ているのが塩山芳明さんの「嫌われ者の記−エロ漫画業界凶悪編集者決闘ファイル」(一水社、1600円)だったりするところが何ともアヤシゲで、真ん中では著者との対談もやっているから或いはこれを紹介したいが為だけに編まれた冊子なのかも、なんてな想像もできる。実は読んでないんだけどこの「嫌われ者の記」ってやっぱそーとースゴイんでしょーか業界関係者の間では。もちろん本編の有名作家パチプロ風俗嬢写真家漫画家さらには南陀楼さん本人の「帝都逍遥放蕩目録」加えて「『日記日和』編集日記」まで丁寧な収集と徹底した編集が薄いながらも行き届いたミニコミ誌、勉強になりますねー、日記者として。

 思い立って丹下桜さんの夏に出たインストアルバム「SAKURA TANGE INSTRUMENTAL TRACKS」(コナミミュージックエンタテインメント)を買う、嫌まーべつに丹下さんの歌のファンって訳じゃ今のところはなくってサウンドプロデュースが溝口肇さんだったことを最近知って今月だか来月には深田恭子さんのアルバムだかビデオのプロデュースをしていてビデオには顔出しでチェロ引いてる姿も写ってたりして、どんなプロデュースをしているのかに興味があったんだけど、冒頭の「Be Myself」でイントロ部分が終わって本編に入った瞬間にギューンと鳴ったチェロの音色がまんまミゾグチだったんは、別にこっちの耳が良いからじゃなくってプロデュースが溝口さんだと知っていたからです。何せ「世界の車窓から」だってあれだけ聞いていたのに聞き分けられなかった愚か者だから。

 それでもそう思って聞いてみると流れとかサウンドの強弱とかいった部分にヨーヨー・マが弾くのとは絶対に違う雰囲気が篭っているなーって程度の事くらいは分かって来る、あとアレンジの仕方とか。フカキョーのピアノを合わせるアルバムがさてどーなるのかは見物ではあるけれど、少なくとも溝口肇のチェロが被っている以上はそれなりにそれなりな作品へと昇華しているんだろーと信じたい。たまたま偶然「ヘイヘイヘイ」でドラマ音楽四天王めいた人物紹介があって名前忘れた1人に日向敏文・大介兄弟と並んで溝口さんも紹介されてて、イージーリスニングとかニューエイジ・ミュージックのコーナーでは圧倒的なスペースを誇る日向さんに比べて少ない溝口コーナーが、こーゆーメジャーな場での紹介を通じてジワジワと盛り返していってくれればと思ったり。やっぱ「エスカフローネ」買わなきゃいかんか。別の意味でセッションおもしろそーだし。


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