縮刷版2010年6月上旬号


【6月10日】 いやあ面白いぞ川原礫さんの「アクセル・ワールド」第5巻は裏切りと策謀の第3巻第4巻からちょっと休憩気味に新しく立ち上がった宇宙フィールド目指しての大競争。今まさに立ち上がりつつある東京スカイツリーが出来上がってから幾年月、起動エレベーターなんてものが出来て宇宙にもカメラなんかが設置されてはそこから見渡せる現実空間に重ねて例のバトルフィールドがオープンするかもしれないってんで張ってた主人公の前に現れるルート。そしてそうした現象につきもののイベントってのが始まって、10チームが宇宙の天辺を目指してマシンを操り空を飛ぶ。

 当然ながらも黒のレギオン「ネガ・ネビュラス」の面々も参加したいところだけれど果たして黒雪姫は出られるの? ってところでそこはポイント削りはない場と分かって行く行く行くと大乗り気。前にテーマパークの開業何十周年記念かで行われたイベントには、潜伏中ってことで参加できずに悔しい思いをしたってあたりに、あれでなかなか女の子なんだなって思わられもするけれども、そんな黒雪姫に変わって辞退したいと言いかけたのがようやく復帰のスカイ・レイカー。でもハルユキには思いがあってそれは空を目指した彼女に今度は、より高い空を目指して欲しかった。

 そして説得そして納得。始まったレースは「F−ZERO X」の如くに光速で激しいバトルが繰り広げられたけれどもそんな過程に潜んでいた敵の影。そして発動した邪悪な力。押さえ込みはしたけれどもそこから始まる一斉攻撃にハルユキは耐えられるのか、黒雪姫は彼を見殺しにしないで共に歩んでいけるのか、ってところでしかしどうしてハルユキばかりがモテるのだ。強いけれども最強って訳でもないし、性格が天真爛漫って訳でもない。跳びたい気持ちが飛行能力に表れるくらいの逃げ志向。けどでもそんんあ性格と見た目の丸っこさが女の子たちに母性だか嗜虐心を与えるのかも。うらやましい。太るかいっそ。

 いやあ最高に面白いぞ蒲池和馬さんの「ヘヴィーオブジェクト」第2巻はたった2人の生身の人間が巨大にして最強の兵器オブジェクトを相手に獅子奮迅の活躍を見せてこれを撃破するものの、いろいろあって名誉はそっちのけで相変わらず最前線で日本趣味のSな上司にこき使われながらエリートってオブジェクトを操縦するお姫さまのおもりもしながら闘っているという展開。そして現れた謎の敵はいるはずなのに姿の見えないオブジェクト。攻撃はされても敵影はなくどこだどこだと言っている間にも南極で撃破し南米で再戦となってそして見えてきた敵の正体は!

 エリートの奇妙なしゃべり方は相変わらずでお姫さまはかわいくても見方ながらも鼻持ちならない男のエリートはどこか珍奇。そんなエリートから求婚されているどSな上司の出生とそして体質なんかも明らかになって、人にはそれぞれ事情があるんだなあと思わされる。2人組で闘っている貴族の兄ちゃんも許嫁めいたものがいたけれどもそのしゃべり方がエリート以上にぞんざいなのが笑えます。そういや前にお姫さまとは別に出てきたあれは敵方のエリートだったっけ、彼女のしゃべり方も高飛車っぽくって良かったなあ。こういうしゃべり方をさせられる作者に喝采。それとも周囲に似たしゃべりをする女の子が多いんだろうか。うらやましい。そればっか。

 けど重要なのはそんなキャラクターの配置だけじゃなくって、絶対無敵と思われていたオブジェクト、歩兵とか使ったちまちまとした戦い方の概念をひっくり返して騎士同士の闘いのような戦場に変えたオブジェクトでも、弱みがあってそこを付く闘いが人命の損耗を減らしていた戦争に今再びの変化をもたらしかねないということ。2人の若者にできるのだったら本気でかかれば国にはできるしテロリストにだって出来るかも。人海戦術でオブジェクトを撃ち破る闘いが凄惨な戦場を呼び戻し安定しつつあった国家間のバランスも崩してしまって起こるは最終戦争か。それともより完璧なオブジェクトが生まれて人間の立ち入る好きをなくするのか。発明は進歩の母というけど発見も変化の父なのだ。って意味分からない。ともあれ次の闘いぶりとそれから女性陣のしゃべりに注目。

 ちょっと前なら光学迷彩って呼ばれていたのに今日行ったら透明マントに変わっていた。何が言っているか分からないが俺にもさっぱり分からない。まあ透明に見えるんだったらどっちだって言いってことで日本科学未来館で始まるドラえもんのひみつ道具を現実に作ったらどんな感じか展覧会のプレビューを見物したところ、前にデジタルコンテンツエキスポだかで見た光学迷彩が割にしっかりしたブースの構えのなかにやって来ていて割に注目を集めてた。見たのは2年とか前だったんであれから改良も進んでいるのかどうなのか。分からないけど特殊なマントに背景と同じ映像が映し出されてあたかも透き通っているように見せるという仕掛? だったっけ。まあ見えないこともないって感じだけれどあらゆる状況に対応できるかっていうとそれはまだまだ。本体に全方向のカメラを仕込んでつねに背景が前面に来るように、それもリアルタイムで映し出されるようにしないと現実世界では誰も隠れられないなあ。毛利さんも。

 その毛利さんが会見で透明マントがあれば電車でサインしてっていわれなくなるかもと話していたのに興味。今でも人気があるんだなあ。でもこれが秋山豊寛さんだったら。何となくは覚えていてもはっきりとは覚えてない。どこか脇をすり抜けるようにソ連から宇宙に行った秋山さんでは第1号の栄誉は得られても、やっぱり正統性がないように見受けられてしまうんだよなあ、毛利さんは今でも館長とかって栄誉をバリバリ受けていっぱいメディアにも出ているのに、秋山さんはどこで何をしているのやら。いっそだったら毛利さんには秋山さんの着ぐるみ迷彩をまとってもらえば誰にも注目されないという……。それもまたなかなかに。


【6月9日】 ヂリヂリと近づいてきているFIFAワールドカップ2010南アフリカ大会は、やっぱりどれくらいのジャーナリストが事件に巻き込まれて捕縛され、エビ異星人のたむろする第9地区へと引き吊り込まれるのかってあたりが注目だけれど、そうし外野的な話題はさておいて、やっぱり気になる日本代表の動静だけれど、南アフリカに入ってから観光もせず移動もしないで練習に励んでいる模様。その内情までは把握できていないけれども、今頃になって例えば本田圭佑選手をワントップというかゼロトップ気味のトップに置いてみたりとか、過去に試したこともない布陣を採用したりと相変わらずの日進月歩ならぬ日退月止。激しく後ろ向きに全力疾走している感じすらあって、これで本番となっていったいどんな布陣によるどんな戦い方が飛び出すか、今になってもまるで想像がつかないところに「世界を驚かせる」岡田サンの本領が潜んでいそう。

 あるいは本田ワントップに岡崎をトップ下で右に大久保右に森本、ボランチに矢野中憲剛と来てサイドバックに松井と阿部で、センターを中澤闘莉王といった感じに、守備的な人間が中澤選手しかおらずその中澤選手もコーナーキックでは前に出て後ろにゴールキーパーしか残らない超候劇的布陣って奴を見せつけては、世界に驚きを与え相手チームに得点を与える凄みたっぷりの試合なんかを見せてくれたら面白いけど、それはあまりにも神風過ぎるんでここは押さえてワントップに闘莉王で、トップ下に今野左に内田右に今野にボランチは稲本阿部でサイドバックが駒野と長友センターバックは中澤に岩政でゴールキーパー楢崎という超守備的な布陣で臨んでは、闘莉王選手がゴールを決め味方ゴールにも決める大活躍を見せてくれたら後世への語りぐさになるのになあ。どっちに転んでも印象に残らないチームになりそうな今大会。7月には誰も見向きもしていないに違いない。うん。

 前の「一騎当千GG」のエンディングも梅津泰臣さんの描くキャラクター達の虚ろ気ながらも強さもたたえた表情が素晴らしい上に歌も翼ってCDを買ってしまったけれど、今やっている「一騎当千XX」のエンディングもテンポの良さに加えて転調気味に入る後半の部分とそこから戻って奏でられる終わりの部分の流れがとても耳に心地良くって、ついつい聞き入ってしまっていたりする。でもってなおかつ流れる映像が「一騎当千」のワールドを彩る美少女闘士たちの連続になっていて、後ろ姿ですっくと立つ関羽の短めのスカートから白いのも見せつつにょっきりと伸びる脚の立派さとか、暗器使いの夏侯淵のチャイナドレスからすらりと伸びた脚の立派さとか、ドラエ・ドリャーエフ・タチバナにも似た衣服に髪の色という雰囲気のメイド服姿から、すっくと伸びてニーソックスに包まれた呂蒙子明の脚のこれまた立派な様に目が釘付けになって、歌とともに強く脳裏に刷り込まれてしまっている。

 そんな歌とそれから映像が、セットになったCDが何と発売されていると知ってようやくもって購入に走った今はまだあるけど夏には無くなる渋谷HMV。確かオープンした時に見物に行った建物でもあるけれども、あの渋谷ですら音楽をCDで購入する人が減ってしまっているのか、それとも渋谷は大丈夫なんだけれどもトータルで売上が減少しているときに、渋谷の店舗をイジするのもままならないという判断なのか、閉店が決まってしまった店の4階に、まあまあの品揃えで置いてあるアニソンやらアニソン歌手の棚で見つけたエンディング及びオープニングのCD。それ自体をCDプレーヤーにかけても流れるのは音楽だけだけど、パソコン用のCD−ROMドライブにいれるとエクストラトラックに映像が入っていて、再生すると流れ出したよビートが利いた音楽と、そして立派な関羽や夏候淵の脚が。

 そのメンバーをざっと見ていると、名前はともかく存在くらいはだいたい認識していることが分かるけれども、途中で南蛮高校の2人の後に出てきてジャンプしている少女が誰なのかが分からない。学校別に並んでいるはずなんだけれど位置的にはともかく制服的に許昌とあ違うし……って調べてどうにかこうにか于吉と判明、『DD』以降は出ていないんじゃあ知らないよ。それをいうなら呂布だってさっさと退場しているけれど、『GG』でもて復活してたしあの裸ブレザーっぷりが強烈だったんで強く激しく覚えている。こいつといい夏候淵といい、正義よりは悪な側に近い闘士に惹かれるんだなあ自分。まあ昔からだけど。キシリアさんもハマーンさん超最高。

 そんな渋谷HMVに立ち寄る前に、近所のクラブめいた場所でロングテールライブステーションっていう長い名前とそれから山科誠さんをトップに仰いだ会社の発表があったんでのぞく。アナログの映像をデジタル化するのみならず、モノクロ映像をカラー化したりしてデジタル化する上に、タグ付けなんかもしてコピーされないようにしたり番組内のセリフからとかキャラクターの映像なんから見たい映像を検索できる仕組みを開発しまあした! ってふれこみの発表なんかもあったりして、その技術的なスゴさだったらすぐにでも万人が注目してグーグル並の会社になっていたりしても不思議じゃないんだけれど、理念が先走っている感じもあって明確なサービスも、技術の実装もあんまり感じられずどうなっているんだと訝っていたところに、あのFIFAと組んでワールドカップ関連映像を流すサービスをはじめるてことになったんで、これは真っ当な世界で首を持ち上げて見せたぞって印象を持って行った会見は。

 なるほどワールドカップ関連の情報についてはちゃんとFIFAからの許諾も得て映像ともども流してくれそう。コラムなんかもあってそれを楽しみつつ試合が始まったらダイジェスト映像なんかをまずは流して結果なんかを知ってもらい、そして8月になったら試合の映像そのものも流すってことになっているらしくって、あの海千山千のFIFAとどういう交渉をして、どれくらいのお金を積んで権利を獲得したんだろうかって不思議も浮かんだけれど、まあそこはそれ、ちゃんと出来たってことに理解を示した上ででは本当に8月から、ダイジェストじゃない試合そのものの映像を流してくれるのかて期待と、あと無料でサービスをしていったいどこで儲けてそれでFIFAの権利を買えるだけのキャッシュを得たのか、なんて想像も浮かんでちょっとやっぱり評価に迷う。これだけのサービス内容にも関わらずメディアの数も多くなかったし。それともここから爆発が始まる予定なのか。うーん。要観察。ずっとそう言ってるなあ。 【6月8日】 どうにかこうにか録画分から「一騎当千なんとかかんとか」を見たら、もーちゃんこと呂蒙子明がまだメイド服を着ていない恰好でウジウジしてた。電話をかけたら出たあれはいったい誰なんだ? もーちゃんとオバカな孫策、関羽に張飛に趙雲といった成都の面々とあとチャイナドレスから暗器をのぞかせたオールバックストレートな美女の夏侯淵、あと裸ブレザーの呂布あたりはちゃんと分かっても、バトルしないその他となるとあんまり分からないんだよなあ。やっぱり原作を読んで見分けがつくようになった方がいいのか。でもアニメのあの展開は破天荒で支離滅裂だけれど、バトルのシーンだけはむやみやたらに格好いい映像が好きなんだ。動かない漫画でどこまで我慢できるか。同じ白でも描かれた絵より動く絵からチラリと覗いたものの方が1億倍…(以下自粛)。DVDボックスそろそろ買ってしまいそうだよ。

 でもって「荒川アンダーザブリッジ」は無駄に河川敷の火の勢いが凄まじい。それからあの空間だけは治外法権であり地球域外でありファンタジー世界だから別にロケット兄弟がいて巨大な教会が建っていて橋桁に優雅な部屋が出来ていたって、世間は誰も気に留めていないと思っていたらちゃんと社会にリンクして、国土交通省が管理していて胡乱な輩はちゃんと胡乱だと認識しているようで、意外だけれどもそれが当然なんだとしても、そうやって世間とつながってしまった世界観でいったいどんな無茶をやれるのか、ってあたりに興味がわいてきた。銃器に手榴弾を持ってるシスターとか、ヤバいでしょ。子供も侍らせているし。ああでもそういう部分はやっぱり特殊シールドを張って常識の埒外に置くのか。うーん。

 そういえば見たけど見たなあって実感もだんだんとなくなりつつある「刀語」は蝦夷の極寒の地で1人頑張る少女が健気で可愛らしかった。家族も仲間もみんな死んでしまって思う気持ちは絶望にも近いものがあったはずなのに、明るく強く生きている振りを七花やとがめに見せていた。見習いたいなああの前向きさ。そんな少女の強さに七花も負けかけたのには驚いた。人間上には上がいる。というより人間なのかあの少女。でも真庭忍軍の狂犬よりあ人間か、本体がないんだから狂犬、でも子供に入る目前の美女姿が良かったのに、写ってしまってちょっとガッカリ。もっと躍動しているところを見たかった。でも女性だったら次回で七実が大活躍の様子。活躍どころか……。折り返し地点を過ぎて粛々と進むアニメ化に果たしてマーケットは、ファンはついてきているのか。これからの展開でファンを捕まえ続けられるだけのクライマックスがあるのか。見ていこう。買うかどうかはそれからだ。

 そういえばちゃんと完結した毎月刊行の「刀語」には倣わず1年近く刊行が止まっていた定金伸治さんの「四方世界の王」に続刊が出た模様。というか出ていたんだけれど物語がどこまで進んでいたか、すっかり記憶から抜け落ちてしまっているんでシリーズ講読を再開するには過去の読み直しが必要かも。どこを掘ったら出てくるんだろう。最初の方については雨音たかしさんって人が漫画を描いた「四方世界の王」がコミックシリウスの単行本として出たばかりなんで、それを読んで復習復習。そうか学校に通う少年は目つきの悪い少女に出合って彼女が包体だか何かを介して自在に肉体をいじれる存在で、それに少年は魅入られていくって展開だったか。あと少年の正体までも一気に明らかにされているけど、小説版ってそんなに性急だったっけ。ともあれ漫画で読めばシャズにもいっそうの興味が沸く。ビジュアル重要。そこからフィードバックして単行本を読み直し、そして完結の時を待とう。4年後くらい?

 2年が経って日曜日ではない秋葉原は通勤途中の人と外国からの観光客が入り交じって歩く、そんな中を交差点まで近づいていくと早速テレビカメラが誰か女性をとらえて話なんかを聞いていた。信号をわたった場所にもこちらはスチルカメラをかかえたカメラマンとテレビカメラを担いだカメラマン。花に近寄り撮影している横でしゃがみ込んでの長時間の黙祷もしづらく、立ち止まり帽子をとって胸に抱え両手を合わせてお祈りしてから、すぐにその場を立ち去ろうとして背後をみると、メモ帳を手にした記者らしき人が2人。何か手ぐすね引いて待っているって空気があって、あるいは自分がそうした立場になった時も似た感じの空気を出しているんだろうかを鏡を見た気分にとらわれる。

 信号の向こうには献花台が作られその背後にもテレビカメラが三脚を置いて待機中。想像するにおそらくは遺族のどなたかが訪れ献花する場面を待っていたんだろう。あとは秋葉原にいかにもな人物の登場? 遠目に体型がとても豊かな男性がテレビカメラに向かって何かを喋っていたのが見えたかれども、それもやぱり秋葉原的なイメージを受けてのものなのか。もしもメイドさんが通りがかって祈れば、きっと凄まじいばかりの注目を集めたに違いない。

 祈る気持ちはメイドでもオタクでもサラリーマンでも主婦でも誰でも変わりがないはずなのに、場所から来るイメージを象徴する存在へと向かいがちなのはそれがメディアの性質だからなのか、その性質は本当に真なるものなのか、マスイメージの自家撞着に過ぎないだけではないのか、などと考えたけれどもこれが自分が尋ねる側に回ればやっぱり似た行動を取ってしまいそう。見たいと思っているものを見せたいと思っている気持ちがとった行動が、見たいと思っているものはそういうものなんだだと思わせ、そしてメディアはそんな思いを汲み上げて見せてしまうという観念の連環と濃縮。そこから流れ出した強い文脈に囚われた世界をどうやって壊せば良い?  葛藤は続く。

 デジタルデータ化もされていない文章を身ながら写して細かいところを手直しするよりも自分でキーボードを打った方が圧倒的に速いんだよなあ、だからどうしてそんな手間をかけてまでヤってしまったかどうかってところが不思議なんだけれども結果としての類似とそしてそれにジャッジを下した版元および謝意をしめした著作者の言葉から実際にヤってしまったことは確定してしまったと言えそう。差別や区別に対しての見解なんかに好ましい部分もあって、キャラの配置も含めて似たものがあってもそうしたメッセージ性を紡げる腕は買いたかったんだけれど、そうした主張がよりくっきりと出てくる前に引っ込んでしまいそうなのが残念。ただ訴えたいものがあればそれを訴える言葉さえつかめばきっと届くはずなんで、訴えたいもののために筆を磨いて再トライ、していって欲しいと激。


【6月7日】 買ったばかりの45巻は、山本元柳斎重國総隊長殿が未だ頑健な肉体を誇示して刀なんて使わず肉体言語でアランカルのワンダーワイスを相手に大奮戦。そこは裏の裏のまた裏まで見通して策を練り、一考する藍染総右介だけあって、総隊長を憤死の瀬戸際まで追い込むけれども頭でいくら正解は出せても、総隊長のその肉体はあらゆる深淵なる思考すら超越していた様子。必殺技を繰り出した総隊長から藍染が逃げようとした所に現れた一護の剣は、藍染をとらえてそして事件は一段落……。

 にならないことは「週刊少年ジャンプ」の連載を見ていれば一目瞭然。健在どころか虚(ホロウ)化までしてさらに強くなってしまった藍染に、一護の父親の一心は退けられ四楓院夜市も浦原喜介もまとめて叩きのめされ、向かうはいったいどこなんだ? そうだ本当の空座町か。そこを消滅させて得たエネルギーで王鍵だか聖杯だかを取り出し、霊王や王族にとって代わろうとしているんだった、藍染総右介。けどでも総隊長すら従え秩序を護らせている霊王や王族に、藍染といえども楽に勝てるかどうなのか。そもそもどうして王族にとって代わろうとしているのか。代わって何が起こるのか。そんな藍染を退けたところで王族は死神たちを前のとおりに扱うのか。

 なんて考えると今の藍染を敵としたストーリーのさらに向こうに、より強大な敵めいたものを想定した闘いが、延々と繰り広げられていくなんてこともあったりしそうで終わるのはだから10年後か15年後か。長いなあ。30巻までたどりつかずにちゃんと完結させてみせて、そしてしっかりストーリーもある「鋼の錬金術師」ってやっぱり凄いよなあ。あれがジャンプに連載されていたら、今頃エルリックはひたすらにラスト相手に戦いを繰り広げていたりと、物語的な序盤をうろうろしていたよ。それはさすがにないか。しかしどこまで行くのやら「BLEACH」。

 それを言うなら「ONE PIECE」だって似たようなものか。最新刊でいよいよエースとルフィの兄弟コンビが復活したものの、ちょっとだけイジられたからって激昂したエースが立ち止まっては、赤犬から手ひどい仕打ちを受けて後は雑誌で読んだとおりの展開へ。単行本でストーリーを変える訳にはいかないのなら、次巻でエースはああなり白ひげもそうなり黒ひげがどうにかなってそしてルフィはジンベエとともに女護ケ島。その間に回想が挟まって、エースは成長しルフィも自覚してそして現代へと戻って新たな闘いが始まるんだけれど、そのためにはやっぱり仲間が必要。いろいろな国に散らばったゾロにサンジにウソップにナミにチョッパーにニコ・ロビンにフランキーにブルックと、あとこれは散らばっていないビビはどんな再会を果たしそして何に向かって動くのか。そんな辺りが示されてようやく残り50巻か100巻かも見えて来そう。数週間後の漫画が楽しみ。

 6月8日がまたやって来る。2年前のあの日、あるいはフクダ電子アリーナへと向かう前に時間があれば立ち寄っていたかもしれない秋葉原。そうなれば時間も重なりなりなにがしかの影響を被っていた可能性をまず考えれば、決して他人事とは思えない。また一方でバブル世代のまっただ中でさえなかったら、性格的能力的に同じ境遇へと陥っていた可能性もあったりして、そちらの側からもやっぱり他人事にできない状況が、2年経った今も心にひっかかって記憶から振り払えないしきっとこれからも振り払えないに違いない。

 この2年の間に通った回数も数えきれず。以前とさほど変化の見えない賑わいも、細かいところでは建物が変わり、売られているものの中身が変わり風景も変わっていってそして10年後、20年後には記憶も薄らぎあるいは忘れ去られてしまうのかもしれない。シャッター町が急速に増えているのだよ、とりわけ秋葉原駅の周辺に。けれども今はまだ覚えている。鮮明に覚えていてそして逡巡と当惑の最中にある。どちらかだったかもしれない可能性。その思考があるうちはやっぱり行って佇まずにはいられない。行こう。秋葉原に。でもいっぱいメディアとかいそうだなあ。その時だけの闖入者として。興味本位の騒乱者として。遠くから手を合わせるだけにしておくか。

 どうして猫が喋るのか分からず、どうしてご主人として屋敷に暮らしているかも不明。でも猫は主人として倒れていたメイドを拾い、快復させてメイドとしてご奉仕させている、ように見えてその実メイドはメイドでご奉仕しつつ、自在に振るまいつつ最強のパワーでもって寄ってきた謎の男を懐柔し、そして奪いにやって来た狩猟者を撃退するんだけれど、メイドがだからどうして最強で、寄ってきた男はどうして人間を喰らい、そして狩猟者はどういう背景から狩猟をしているのかはほとんど暗然。ロールがあって立ち位置があって、スタートとカチンコを成らせば自動的に繰り広げられるドラマを読んでいる気になったと言えば妥当かも知れない三輪山和さんの「黒猫曰わく、メイドは微笑む」(幻狼ファンタジアノベルズ)だけど、それでもメイドのキャラがとても良いので案外に好き。人をいっぱい殺めているのに男を助けて執事にするとか。人間の良識を超えたところで繰り広げられる饗宴もまた愉快。仄めかしの上で定型に近いロールによって描かれる調和感漂うドラマを味わい満たされた気分になりたい人に。


【6月6日】 雨ざあざあ降って来ない。とても素晴らしい天気。なので部屋(というより玄関)の掃除を続行してダンボール箱に3箱ほどの荷物を倉庫へと運んで力つきる。体力ねえなあ。せっかく「ツマヌダ格闘街」を読んで重たい荷物は踏ん張るんじゃなくって体全体を上に引き上げるようにして持ち上げるんだと教わったのに、腕にかかる加重だけは変わるはずもないみたいでしっかり残っていた筋肉痛の上重ねをしてひりひり。まあでもそうやって使っておかないと脂肪とか溜まる一方なんでここは頑張って来週も運ぼうあと6箱ほどを。

 とはいえさすがに披露も激しいのでフクダ電子アリーナへと行ってJ2のジェフユナイテッド市原千葉vs愛媛FCの試合を見るのは遠慮。したんだけれど会場に蜜柑と蛙が来ていたと知ってちょっと悔しがる。愛媛にいかないと見られないと思っていたのに一平くん、頑張ってやって来てたのか、でもってお約束のように脚をひきつらせて退場していたのか、見たかった見たかった。水戸ホーリーホックの試合を水戸まで行って見て走れ走れホーリーホックと歌って踊っている様も見たかったけれども愛媛はもっと見たかったので来年も来てね、ってそれは来年もジェフ千葉にJ2にいろってことか? うーんそれはまずいんだけれどここから負けが急に混み始めるとそれもあり得るからなあ。せめてヴァンホーレ甲府の上を伺っておいきたいなあ。次の直接対決が鍵だな。

 なので遠出せず宅配便屋にダンボール箱を受け取りにいったくらいであとはご近所を散歩。知らないうちに「かつや」が出来ていて吃驚。ちょっと前にペッパーランチが別ブランドでやっていたステーキ屋がやっぱりペッパーランチ系のとんかつ屋に変わってはいたけれど、こっちは本家の「かつや」なんで行けばあの美味しいメンチカツがいつでもが食べられるって寸法。あとは分厚いカツが重ねられたカツ丼とか。最初は渋谷で見つけてそれから新橋六本木でも通い時々神田と池袋西口にも行ったけれども都内でしか出会えなかった「かつや」にご近所で会えるとは。行くから待ってろ早々に閉店なんてするんじゃないぞ。

 でも昼ご飯はそこに入る前に入ったラーメン屋の「戯拉戯拉」でぶっとい肉の入ったラーメンを所望。全粒粉の小麦粉で打ったらしい麺はどくとくの歯ごたえを味がある上に濃厚なスープがこれまた味わい深くって、同じ船橋にある「麺屋あらき」系統の「竈の番人」に煮ているけれども玉葱がしっとりって「竈の番人」よりもよりは肉系の濃厚さが出ているって言ったらあっているのかどうなのか、ラーメン評論家じゃないんで分からないけどともあれ美味い。

 入ったのはたぶん2度目で最初の時はご近所の「無限大」のたっぷり野菜な角ふじ系のラーメンに慣れていたんでそれほどピンとはこなかったけれど、ご飯もついてきた今回はチャーシューをご飯にうつしてチャーシュー丼っぽくしつつラーメンの麺をしっかり味わえたことでスープの濃厚さにも感じがいって、トータルとしての完成度みたいなものに近づけたって感じ? やっぱり表現が難しい。ここを含めて本当に船橋駅前にはラーメン屋が増えて徒歩で10分圏内に軽く2桁の店がありそう。1番近い船橋ラーメン横町にあったくにがみ屋も店が変わってつけ麺の店になってなかなか美味そう。決して安くはないけれど、切磋琢磨から新たな挑戦が生まれて来るのを真っ先に楽しめる街として、格闘に燃える津田沼を超える知名度を得ていって欲しいもの、ってだから格闘は津田沼じゃなくってツマヌダだってば。

 21世紀も10年が経ってまさか「ダンスインザウインド 翔竜伝説」の岩佐まもるさんがあんまり男っぽくない少年が進学した高校で空手部に入ろうとして間違えて新体操部にはいってそこで女装されあれレオタードを着させられて新体操の演技をさせられる女装物の小説を書いて読ませてくれるなんて思いもよらなかった。「ブルースター・ロマンス」で「ブルースター・シンフォニー」の岩佐まもるさんがそうやって無事に演技を終えた美少女に見える少年を少年と知らずお姉さまと慕って少女たちが集まって来る百合物の小説を書いて読ませてくれるなんで想像も及ばなかった。時代は確実に進んでいるのだなあ。

 でも面白いから良いのだ。「MiX!」(角川スニーカー文庫)。少年を新体操部に引っ張り込んだ部長はどもかく、部長とは同級の他の部員2人の本質がまだくっきりとしていないし、主人公の少年自身が持つ潜在的な能力が爆発もしていないんで、そんな辺りを出しつつ先輩の凄まじい演技も本格的に見せながら、部員が一致団結して全国を目指すサクセススポーツ青春部活ストーリーへと発展していくことに期待だ、って名前を騙っているだけの学籍も戸籍もない変身後のキャラがどうやったら全国に行けるんだ? まあそこは小説的事情でもってクリアしていってくれるだろうから気にしない。確かさより面白さ。それが鉄則。

 しかし凄まじい転がりっぷりだ林トモアキさんの「ミスマルカ興国物語7」(角川スニーカー文庫)。帝国が動き始めて教団は急進派がのっとり異端として追いつめられたマヒロたちは命からがら逃げに逃げてやって来ました旧神殿。そこにも追ってがかかって危機一髪ってところで発動したのはデウス・エクス・マキナ、すなはち機械仕掛けの女神様。卓袱台ひっくり返すってよりはむしろ卓袱台返しのコントが行われたセットごと笑って崩して次だ次って感じに持っていってしまう強引さで、マヒロと仲間達の冒険に決着をつけてそしてマヒロのリアルでシリアスな試練へと話を持っていく。

 とにかく唖然呆然のクライマックス。グランマーセナル帝国が3女の猪突猛進に2女のウニ攻撃だけじゃなくって長女の聡明さと苛烈さもあってそれが帝国に汚名を追わせつつ栄光も担わせマヒロをぐわっと飲み込んでいく。けどそこはゼンラーマンにして大うつけのマヒマヒでありながらも蛇と畏れられたマヒロ王子。すべてお見通しといった風情で周囲に起こった大どんでん返しを柳に風と受け止めむしろ帆を張る追い風とすらとらえて身を流し、その先に大逆転を得るだけの深慮遠謀を既に巡らしていたりするんだろー。そんな成果をデウス・エクス・マキナはちゃんと見届けるのか今再びの卓袱台返しを発動するのか。第2部がとてつもなく楽しみになって来た。ちゃんと出るよね。俺たちの闘いはこれからだ(林トモアキ先生の次回作にご期待下さい)じゃないよね。ね。


【6月5日】 女性のそれもAKB48のメンバーのお尻だったら許せるけれど、どこの誰とも知らないわけではないにしても、AKBとは無縁なサッカー好きのお笑い芸人の尻を向けられながら手前らサッカーをパブリックビューイングして楽しいか? ってきっと現場にいたら思ったんだろうなあ、例のAKB48とコラボレーションしたサッカー日本代表のジャージーを着てのパブリックビューイング。当たらなかった私怨もバリバリ入っていることは承知としても、それほど広くもなさそうな空間数百人を詰め込んだ会場の、最前列を広めに仕切って椅子を並べてそこでAKB48の11人は優雅に観戦。その背後に儲けられた柵の後ろから、突っ立って眺めるだけってそれでファンは満足したのかどうなのか。

 段差も何もない場所で平場に座ってのご鑑賞では、柵のすぐ後ろに立っているファンにしか、AKBメンバーが応援する姿は試合中は拝めなかったって雰囲気で、たとえ前後に壇上とかでのセレモニーがあったとしても、試合中に一体感をもって応援するなんてことはできなかったっぽい。あまつさえ2人ばかりメンバーでもないおっさんが混じって、広々とした空間で椅子に最前列でご満悦。いったい何様? って空気がそこに起こりさらにふがいない日本代表の闘いぶりに、柵を押し倒しての大争乱が始まったって不思議はなかったんだけれど、その闘いぶりがもはやふがいなさを通り越して諦観すら生みかねないものだったからなんだろー、イベントは静かに粛々と進行したもよう。見えないAKBのどうでもいいおっさんに呆れかえる試合。発狂しそうな空間で行ったみなさんご苦労様でした、って行けなかった悔しさを苦笑で晴らす。性格悪いな。

 つか何だったんだあの試合。長谷部がトップ下と繰り返ししつこく書いた記事も直前には出ていたけれど、それがそのとうりに長谷部選手がトップ下となっていったい何が変わったのか? 記事自体にも長谷部トップ下と連呼する割にには、それによる効能なんかがまるで書いてない。例えば左右にボールを散らすなり、見事なスルーパスを送るなり、トップに当てて自分が飛び込みシュートを放つなり、見事なフリーキックを決めると行ったトップ下ならではの役割も含めて書いてあったらまだしも、ただトップ下と書いてすべてを説明した気になっているから始末に終えない。

 それこそトップ下=オールマイティの大魔導師とでも世間的に了解されているかの如くの書き方に、いったいこれで読者は何が分かるんだこれでサッカーの何を分かってもらえるんだって思えたけれど、そういう疑問をもはやデスクすら抱けないくらいに、スポーツ新聞の報道に分析性はおろか文学性すら消えてしまっているんだなあと嘆息するばかり。滅びの日は近い。いや新聞がいくら滅びようともサッカーが滅んでもらったら困るんだけれど、それこそ配置する監督の方ですらトップ下というポジションを一騎当千の大将軍の如くにとらえているのか、そこにただ当てはめるだけで戦術戦略なんてまるで与えていない様子だから、なおのこと当惑してしまう。

 結果、長谷部トップ下が何かの機能を果たした風はなく、ボランチに入った遠藤保仁選手は試合から消え去り両翼の大久保嘉人選手も本田圭佑選手も躍動せず両サイドバックも前に上がらないまま攻め手を欠きつつ押し込まれ、フリーキックからブラジル出身のニンジャアサシンとして全世界的に知られはじめた田中マルクス闘莉王選手の見事すぎるオウンゴールが決まって1点を献上。かといってニンジャであることがバレては拙いとバレていることに気づかないまま闘莉王選手が良いところを見せようとして大会屈指のフォワードにしてアフリカでの開催の象徴でもあるディディエ・ドログバ選手を、武藤譲りのシャイニングウィザードか、あるいはジャンボ鶴田に学んだジャンピングニーパッドによって粉砕。荒れた試合はニンジャではなく真面目さが取り柄の今野選手を報復気味に粉砕されつつ、さらに1点を献上して0対2という完敗スコアで敗れ去った。

 これでいったい何連敗? それも善戦してのものならまだしも、相手を崩すなり突破するなりしてのサッカーらしい得点を奪えず、そういった得点機会すら得られないまま闘莉王選手がセットプレーから蹴り込んだ1点くらいが関の山。もはや次はワールドカップの大舞台って段階で、そんなふがいないフォワードを未だにちゃんと使い続けて平気なの? って言いたいけれどもそれで平気だからこそ、1年前からアジア仕様だワントップは無理だ横にヨンセンでもケネディでも平山相太でもハーフナー・マイクでんも置いておけって指摘されながら、かたくなに岡崎選手のワントップにこだわり続けてなおかつ今もこだわりまくっているんだろー。何と狭量。何と融通無縁。これでワールドカップの舞台で全アフリカの怨嗟を浴びて真っ当な判断ができるのか。いやいやこれだけの馬耳東風を浴びてなお考えを曲げない信念があれば、顔色ひとつ買えないで岡崎ワントップの長谷部トップ下のガチャピンボランチの赤紙大久保左のハーフニンジャアサシンセンターバックを貫き通してしまうんだろー。

 中村俊輔選手を使わないって決めて使おうとしなくなった英断は買いたいけれども、だったらどこで使うんだ? って時に選ばなかったトゥルシエ監督の炯眼がようやくもって浮かび上がってくる。やっぱり凄い監督だったんだなあ、トゥルエ。いっそだったら壊れた今野選手の変わりにサイドバックで使ってみるとか。前さえ向ければ仕事ができるなら、ずっと前を向いていられる最後列もありなんじゃない? それだけの覚悟がないなら今野選手の変わりになれる徳永悠平選手とか、香川慎司選手とかを入れて戦力を整え直すのもありなんだけれど香川選手はともかく、徳永選手はもう遅いんだったよなあ、うーん。

 戸袋に入っている本を片づけようとしたらダンボール箱に4箱分にもなった。どう考えてもそのスペースにダンボール箱は4つも入らないはずなのに、本って引っ張り出すとふくらむのか。それを運んでもまだ目の前には本の壁。これを片づけないと夏は来ないと頑張りたいけど近所のロフトに売ってた宅配便用の箱が製造中止になったみたいで入らず。ヤマト運輸に宅配便用の箱を注文したけど届かないんで津田沼のユザワヤに行けば何でもあるかと思い至って2つばかり電車に乗った津田沼駅では誰もストリートファイトをしていなかった。残念、ってそれはそうだよそこは津田沼、ツマヌダじゃないんだから。

 せっかくだからとアニメイトまで行って上山道郎さんの「ツマヌダ格闘街」を既刊の7巻まで一気買いしてこれでまた部屋が狭くなると嘆息。性懲りもないとはこのことだ。んでもって読んだ漫画はドラエさん可愛すぎ。白いのとかいっぱい見せてくれるけれどもその見せ方にあざとさはなく闘いの中で必然として見せたりするから得に官能は……感じるか、やっぱり。ああでも新聞をパンチで貫く鍛錬の手本でまくれあがったスカートから見えた場面はしっかり必然性があってちょっと感動。それも含めて闘いの極意をよくも調べて書いたものだと感動。これを書ける作者は多分とっても強いんだろうなあ、津田沼で闘っていたりするのかなあ。


【6月4日】 という訳で笹本祐一さんの「ミニスカ宇宙海4 漆黒の難破船」(朝日ノベルズ)を読んだらリン・ランブレッタが電子戦で大活躍していた。知的な少女って好き。アニメだと声、誰があててくれそうかな。そして物語は……終わってない。弁天丸に元白鳥号のオデット二世号といっしょに120年前の独立戦争を闘ったらしい黒鳥号からSOS信号が入電、っていったいどこから誰が打っているのか謎めきながらも、かつての経緯があるから無碍にはできず、弁天丸とは同業のバルバルーサ号がかけつけたら120年前に消えたものとよく似た宇宙船がいて、そして消えてしまった。
 期を同じくしてオデット二世号を尋ねて税務職員がやって来ては何やら差し押さえるだの妖しいことを言い出した。探るとどうやら偽税務員。でもこれはヤバいかもって頭が働きリン・ランブレッタを部長とするヨット部員は、我らがミニスカ宇宙海賊の茉莉香も含めて停泊しているオデット二世号をこっそり港から出して逃がそうとしたらそこに偽税務員が現れて、だまし騙されの電子戦が始まった。そこはリン・ランブレッタの叡智でもって切り抜けたかに思われたけれど、敵もさるもの上手者。抜きつ抜かれつの攻防が繰り広げられる中で見えて来たのは、かつて独立戦争時に行われようとした、赤色巨星を超新星にむりやりしてしまおうって計画で、それがまた行われるのか違うのか、分からないまま物語は初の続編へと向かうので張った。お預けかよ。

 お姫様のグリューエルはお姫様らしさを発揮し金も度胸もたっぷりなところを見せてくれて可愛いらしいし格好いい。リン・ランブレッタの格好良さはいわずもがな。そんな中にマジって茉莉香はちょっぴり引っ張り回され気味だけど、後編では船長を務める弁天丸に戻ってきっと敵を相手に大活躍をしてくれるだろう。そして復活のキャプテン・リリカにも期待大。いったいどんな海賊っぷりを見せてくれるのか。イラストでのその若さその美貌そのグラマーぶりを本編でも存分に発揮して、闊歩し揺らして楽しませ、叱咤し叫んで奮わせてくれることに期待。それにしてもメイド刑事に並ぶくらいの設定先で1発勝負みたいなミニスカ宇宙海賊の物語が、銀河をめぐる深淵で壮大できっと壮絶な物語へと発展していくとは。「機動戦艦ナデシコ」みたく上っ面のコメディの裏側に潜む科学で宇宙な設定を、感じさせてくれる作品になっていってくれそう。アニメもそんな佐藤竜雄さんだけに期待しまくり。

 強も強とて「インテリアライフスタイル」ってイベントに行ってタジン鍋の行列を見てくる。インテリアとあと食器類とかキッチン周りとか部屋を彩るグッズなんかが集まる展示会なんだけれども、去年あたりから行った印象でいえば割にギフトショーなんかに出ていても不思議なさそうなグッズ類雑貨類があったりして、新しめのグッズなんかを見つけるにはこっちの方がコンパクトな上にブースも大きめで見やすく選びやすいって印象。ギフトショーはちょっとデカくなり過ぎたよなあ。行ってもいつもキャラクター関連のコーナーしか見ないんだよ、もうずっと。

 んでタジン鍋。モロッコあたりで使われているという鍋で、三角帽子みたいな蓋をかぶせて火にかけるとあら不思議、材料から出た水分が蓋にあたって戻って料理を蒸らし煮るような感じになって、水を使わなくても鍋ができてしまうというすぐれもの。おそらくは水が貴重な砂漠の国ならではの料理器具ってことなんだろうけれど、それがどういう理由からか日本で去年あたりから流行はじめていて、町のショップなんかにも入ればすぐに売れてしまうって状態が続いているんだとか。誰かが何かで紹介したのかな、魔法の鍋だとか言って。

 僕がはじめてみたのも「インテリアライフスタイル」で見かけたショップに取材に言った時が最初で、奇妙な形が気になって調べたらそれがタジン鍋で流行はじめているって分かった。去年の今頃の話。そして今や大人気。そこで見かけた信楽焼のタジン鍋は出せば売れてしまう状況が続いているみたいだし、他の陶器会社からもタジン鍋が出ていて競い合っていた。これだけの流行物なら是非に家でも使ってみたいところだけれど、残念なことにコンロが本で塞がれていて近づけないのだ我が家。もうずいぶんとガスを使ってないよなあ。風呂も壊れたまんまだし。まあそこはそれ、鍋で作っても食わせる相手もいないんで、ここは誰か鍋パーティーでもやりそうな人間の家に潜り込んで試させてもらうのが……そんな知り合いもいないや、ははは。鬱。

 ぶわっと見て回った印象ではリサイクル系が割とあって、インドネシアあたりで使われているしらす漁の船の材料を使ってテーブルとか棚とか椅子を作って持ってきている会社があって、船の材料がそのままだからいい具合に塗り重ねられた塗装が味になっていたりして欲しくなったけど置く場所などないのだ1部屋の我が家には。インドネシアではあと日本の会社が原型を作った兎とか熊とかを、向こうの材料と職人によって作ってもらって日本に持ってきている会社があって、見かけのかわいらしさと値段の安さに感動感涙、アフタヌーンティーとかにいるそうなんで見に行ってみよう。

 自然系では高知の杉だかを薄板にして曲げわっぱの容量で膨らませてそれをブリーフケースの外板に使ってしまっているものとかがなかなかの素材感。同じデザイナーによる紙紐を寄ってベルト丈にしたものを使ったトレイとかバッグなんかが見た目も綺麗さと紙ならではの質感で良い風合いを出していた。スバルのレガシーなんかを設計したインダストリアルデザインの人なんだけれどそういう方面でも仕事をしているのか。デザインって幅広い。他にもいろいろ楽しげな品があって、ドイツあたりの職人が作った玩具というかオブジェなんかはでっかい器の内側に溝が掘ってあって、その中を3段になった鉄球がぐるぐる回る仕掛があってケプラーの法則のモデルなんかを思いだした。

 うまく操ると1つだけ逆方向に回せるようになっていたのが不思議というか。物理的にどういう仕掛になっているんだろう? 薄めの皿の両端におかれた下が平たくはんっていなくて丸みがつけられた2つの三角錐が、斜面をずり落ちていって出合うオブジェもなかなかに神秘的。眺めて1日だって遊んでいられそうだけれど、これもやっぱり我が家に置く場所などないのです。だから貧乏って嫌いだ。3億円の宝くじが当たったらまずはデカい部屋に引っ越し真ん中に置くぞテレビと冷蔵庫とパソコンとDVDプレーヤーとPS3とWiiとLDプレーヤーと……もう一杯でおけません。6億円のtotoを当てるしかないかなあ。官房機密費っていくらくらいもらえるんだろう。


【6月3日】 そして届いたAKB48の日本代表レプリカジャージーにはコートジボアール戦のパブリックビューイングに参加できる招待状は同封されておらず落選が決定。500人とか招待するはずのイベントで落ちるってことはつまり、1万5000円もする高額商品を500人以上が買ったってことなのか、恐ろしいなあAKB48ファン。まあでもおきに入りのメンバーを選挙で上位に押し上げるために、100万円とかCDに注ぎ込んだり何十種類もあるポスターだかをコンプリートするためにやっぱり何万何十万も注ぎ込んだりするファンも普通にいたりするから、1万5000円くらいは別にどってこともない金額なんだろう。凄いなあAKB48ファン。そのパワーを少しでもBon−Bon BLANCOに傾けてくれていたら、今頃はまだMAKOちゃんもステージでマラカス振っていられたのになあ。

 あるいは参加するメンバーの分を頼んだ人に招待券が優先的に回って、まるで無関係な押しメンの名前が入ったジャージーを着た人が紛れ込んで来場しているメンバーの期限を損ねないように配慮したとか。来場しない篠田麻里子さんのジャージーを買った僕はだから落選したとか。それが正しいか間違っているかは現場に行ってみないと分からないけど、落選した以上は確かめようがないので仕方がない。着る機会を失ったジャージーは、日本代表にいつか篠田って選手が入ってくるまで封印しておくことにしよう。個人的にはいったいどんな層がわざわざ1万5000円も出してジャージーを着てパブリックビューイングに集うのかに興味があったなあ。1人で48種類だかをコンプリートした人が10人いてその人たちだけで招待券をもらい占めた上に、何十人かが加わった数十人しか会場に集まっていなかったらちょっと不思議な光景だったかも。見てみたかったなあ。

 死ぬには良い日なんてないけれど、死にたくなる日ってのはあるのかも、雨が降っていたり黒猫が歩いてたりカレーが辛かったり月曜日だったり。本岡冬成さんって人の「黄昏世界の絶対逃走」(ガガガ文庫)の場合は世界全体がどうにも死にたくなる気分とやらに覆われていてちょっと心をポッカリさせるとそのまま動けず死んでいきたくなるんだという。それで世界が滅亡しないのかっていうと、都市だけはそうした死にたくなる黄昏って奴を撃退する方法を知っているようで、主人公の少年もそんな町に暮らして偉い人の手駒になって暗殺やその他の悪事を請け負っていたりする。

 新しく請け負った仕事もそんな一つで、鉄道で運ばれるある少女をさらって来いっていったもの。どういう存在かというとそれは黄昏を浄化して青い空を生みだす力をもっていた少女。もっていたと過去形なのは力を失いお払い箱になっていたから、それで運ばれていくところを別の何かに使うため、かっさらって来いって命じられた。そして少年は出かけて行って少女をつかまえてはみたものの、すぐには引き渡さないでいっしょに黄昏世界へと旅に出る。その行く先々で様々な人が黄昏に絶望していく姿を見つつ、人間にとって大切なのは何かってあたりを浮かび上がらせ考えさせる。

 どうにも健康そうな美女が、あっという間に黄昏にとらわれてしまうところにこの世界の生きづらさが見える。だからこそ黄昏の君がどうしてそうした黄昏を浄化できるのかって仕組みに興味が及ぶし、そもそも黄昏ってのが合理的に説明できるものなのかって疑問もわいてでるけど、そうした当たりは説明されていないんで、そういうものだと想像してみるしかなさそう。そういうものだといった仮定の上に組み立てられた世界で、起こる出来事と向かう方向性を見定め、浮かび上がるメッセージを噛みしめつつ、今をどう生きるのかって考えるのもまた、SFのひとつの効能だと思うことにしよー。僕にとっての黄昏って何だろう? どうにも生きづらいんだけれど何が黄昏になっているんだろう? ってそりゃあ思い当たる節がいっぱいあり過ぎ。それでよくしゃがみ込まないよなあ。

モリミーの戴冠  ばばっとやっつけてから神楽坂に出て出版クラブで開かれた「大学読書人大賞」の授賞式を見物する。なんだこの人だかりは。挨拶に経った永江朗さんが「おかしいなあ」と言って「討論会にこんなにいたっけ」と笑いながら疑問を投げかけたのも分かるくらいの人人人の波が出来ていたけど、当日も広い教室にそれなりの人数が詰めかけていたから、出版クラブの会議室を埋めるくらいの人は当日もいたかもしれない。同じかは知らない。ただ当日はいなくても、全大学生が神と讃える森見登彦さんが出てくる授賞式に、出てみたいって学生が増えても当然。書店員ですら作家に出会える機会があるなかで、大学生が作家に会う機会なんて滅多どころかまずないから。その意味でよく立ち上げよく運営しているよ大学読書人。

 そして登場した森見さんは飄々とした万城目学さんとはまた違った柳のように原恵一監督のように細身で長身のゆらりとした面もち。しゃべりも訥々として誠実そうで、見てファンになった文学女子大生もきっと大勢いたんじゃなかろうか。そう会場には大学生がいっぱい着ていて女性もそれなりにいて、文学系のサークルに所属しているってことはつまりこれって全員が文学少女ってことじゃんと、文学少女に恋いこがれる身としてはついつい小躍りしたくなってしまったけれども、よくよく眼をこらしてみればそこにいたのは……だったので気を取り直して仕事モードに戻って森見さんが受賞の記念という学帽を受け取る様を見る。ちゃんと金糸で受賞作の「夜は短し恋せよ乙女」の文字が入れられた貴重な帽子。メダルもバッジもない他の文学賞とは違って身に着けられる賞品がある以上は森見さんには今後あらゆる公の場に、この帽子を被って出ていってもらいたいもの。日本SF大賞とか星雲賞とか取らないかなあ。取って授賞式で帽子を被っている姿を見たいなあ。

 サイバラ容赦ない。バンド結成のはずが途中で企画がポシャり気味だった西原理恵子さんの「できるかな」に横入りの企画、っていうか今合いたい人ってことで何故か挙がった現代美術の山口晃さんに西原さんが会いに行くって企画なんだけれども到着したアパートのボロさに現代アート儲からないって言ってみたり、親からの仕送りが10万円もあってもそれで買える絵の具なんて微々たるもの、それでどうして美大生が出来たんだと問いつめ薄くぬったからだと答えさせる暴露っぷりに敵には出来ない女性だという意を抱く。まあ敵にするも見方にするも、接点は一切ないんだけど。

 そんな山口晃にせんとくんを描かせガンダムを描かせてみるのも画力対決の延長みたいで面白いんだけれど、そうした直接的なイジりとは別の展開の中で年収が200万円になったと喜ぶ山口さんを相手に「肉は食いたくないのか酒は女はええおべべはあー」と呟いている場面の西原さが、草間彌生さんだったのが素晴らしい。草間さんならいいかねないってことなのか。でも草間さんだって儲けて肉を喰らって喜ぶタマじゃないし。あと「そうなの絵かきってバカなの」と2人して呟いている場面で、後ろに待っている花がムラカミ花で2人の恰好が偽DOBクンなのが痛快というか素晴らしいというか。自虐にこっそり他虐も混ぜるサイバラ流。受けて立ち上がって画力対決を挑んでくることを願います、村上隆さんってば。


【6月2日】 六さん道場六三郎の日。そんな日があるのか。道場さんの料理って本当に本当に美味しいのか。食べたいけれど食べられません高そうだし。ボーナス? そんなものはない。あっても消えてしまうのだよAKB48の日本代表レプリカユニフォームとかの代金に。そんなもん買ってりゃあなあ。けどしかし売れているのかこれ。コートジボワール戦に一部を招待していっしょにパブリックビューイングするんだってあったけれど、会場をいっぱいにするくらいの人が集まるのか。いくらなんでも1枚1万5000円だからなあ。買って誰かを選挙で1位にできるものでもないし。CD1000枚買うのとは訳が違う。招待されているかどうかまだ届かないから分からないけど、行って10人とかだったらどうしよう? でもって見る場所はカラオケボックスのパーティールーム。うーん。ちょっと良いかも。

 「ザ・スニーカー」とか向けのあれやこれやを仕上げてから、読み残しているライトノベルを片っ端から読み込んでくウイークエンドに突入。鷹見一幸さんの「地球の切り札」(角川スニーカー文庫)は、合併するか存続できるかの瀬戸際にあった高校が、生徒会長の女子の英断と、むしろこっちの方が凄かった軍師の男子の策略によって、強敵の男子校と女子高を次々と撃ち破っていったストーリーが痛快だった「会長の切り札」と同じ世界観らしいけれどもどこまでも現実に依拠していた「会長の切り札」とは違って、ちょっぴりレイヤーを重ねたか化けの皮を剥がしたかしてあって、何と世界に宇宙人が平気で来ていたりして、人間に化けて暮らしていたりする。をを。

 そして、そんな地球へと入り込んできた危ない宇宙人を追いかけていた警察らしい組織の乗った円盤が、道を走ってきた少女とぶつかり生命の危険にさらしてしまう。そんな少女を拾った円盤に乗った若くてイケメンの警官は、治療のために彼女の肉体から精神を分離し自らの肉体と同化させ、肉体の方はポッドに入れて治療を実行。自分は地球へと降り立ち日ごろは明るい女子高生、けれども事あれば変化し本性を現し宇宙捜査官として地球の危機に立ち向かうのであった……ってそれならはバーディーがやっていた。だったら肉体を修復される過程で女子が男子に……ってそれも「かしまし」が。「地球の切り札」はそれらとは違って、まさしく地球の切り札になってしまうのでだった。

 それは彼女に注入された治療のためのナノマシンが、予想を超える威力を発揮し彼女の潜在能力を引っ張り出して、近所の宇宙を消滅させてしまうくらいの能力を与えてしまったとう事態。制御しようにも心と関連しているものだから、身に危険が迫ればパワーが発揮されて行き過ぎればドッカンとなってしまう。どうにかできないかってことで友人の少年に白羽の矢が当たり、少女とかつて過ごした記憶から彼女の力を真っ当な方向に導くことを求められる。その方法が中二病。かつて物語というか妄想というか逃避の果てに生みだし、少女に聞かせてなぜか喜ばれていた邪気眼的アトランティスの戦士的物語が、彼女のの中に染みこんでいて、それを思い出させることで戦士的な力を制御しながら使えるようになるのだった。中二病もこれでなかなか捨てたもんじゃないね。

 っていうかそうした妄想の力が地球人類にとって進化の源になっているって設定もあって、今なお妄想にひたってうろうろとしている現役中二病患者から、未だ抜け出せない大きな中二病患者までを喜ばせてくれる。俺はこのままで良いんだって。良いわけはないんだけれど。だってそれで進化はできそうもないし。ただそうした思う力を前向きにとらえ、何かを動かす原動力にしようって発想は嫌いじゃない。逃避ではなく突破のために使う中二病。それが普通になれば、世界にもさまざまな妄想が理想となってあふれだし、もやもやとしたこの空気を吹っ飛ばして楽しくも愉快な世界にしてくれそうなんだけれどなあ。でもって3悪トリオとドクロベエみたいな悪をいったんは退けならがら、次に迫る危機に向けて地球の切り札は立ち向かう。どんなドラマが彼女を動かすか。どんなドラマを少年は彼女に与えるか。楽しみ。

 前の作品との世界観の地続き度では、こっちの方が濃さそうなのが六塚光さんの「スギュラ・ダークリー」(一迅社文庫)。えっと「スキャナー・ダークリー」の間違いじゃ……いやいやそういや六塚さんって「ペンギン・サマー」なんてのも書いてたな……ってつまりはで誰かがまたタイトルでやらかしたってことなのか。もちろん「ペンギン・サマー」がジョン・クロウリーの「エンジン・サマー」とはなんの関係もなかったように、「スギュラ・ダークリー」には暗闇のスキャナーは出てこない。「Le;0 灰とリヴァイアサン」と同様に、地軸が傾き日本列島が海で寸断されて日本諸島になってしまった上に、海の生物が変化してリヴァイアサンって化け物になって人間を襲うようになった一方で、人間からも吸血鬼って超常的な力をもった存在が現れ、対決しているっていう設定が使われている。

 ただ舞台がちょっと違って、3つに分かれた勢力のいちばん東にあるらしい共和国だかが舞台になって、そこで起こったある事件を実は吸血鬼なんだけれどそうと分からなくしてしまう力を持った少年と、同僚の少女とが解決していくってミステリー仕立ての探偵と助手プラス海獣退治ストーリーになっている。さて第1巻で起こった事件は、学園の生徒が死んでしまったという事件でどうやら殺されたらしいんだけれど犯人が不明。加えて吸血鬼の配備がスギュラって勢力に漏れていて、それをもとに吸血鬼が手薄になった島に海獣が襲いかかっているって事態が頻発。誰かスパイがいるのかもってサスペンスも繰り広げられた果てに、海獣が持つ意外でそして恐ろしい特性が明らかになって世界の行き先に恐怖をもたらす。

 ただの化け物ではないらしい海獣。そしてただの反政府勢力でもなかったらしいスギュラ。その真相が意味するものって何だろう、地球に住まう生物が向かう新たな可能性って奴? 日射しを浴びて戦う吸血鬼ってありえねえ設定を物語にしてしまう強引さが愉快で、それさえあれば笑っていられた最初の頃から、設定に一気に奥行きが出て人類の命運、そして地球の将来ってなところまで話が広がっていきそうな可能性を感じさせてくれたけれども、そうした辺りまで描いていくのか、それともそうと仄めかしつつ、可愛い美少女があられもない姿で走り回ったりする展開に止めるのか。できれば世界を見せてくれ。アメフト話はだいたい分かった。ライスボウルに通ってるから。チアリーダーを見にだけど。

 「星の舞台からみてる」(ハヤカワ文庫JA)が傑作すぎた木本雅彦さんの久々のファミ通文庫からのライトノベル「くあっどぴゅあ」(ファミ通文庫)は、ロボットを操作しバトルする少年少女の物語。そりゃあ「プラレス三四郎」かい? って人は年齢高すぎ。せめてROBO−ONEとかっていわないと。ああ、でも一時ほどROBO−ONEも世間的には目立たなくなっているから、知らない人もいたりするのかも。AIBOだASIMOだって世間が沸いた日が懐かしい。んで「くあっどぴゅあ」は、ロボットで戦う娯楽が浸透している日本で、ジュニアながらも全国4位までいった少年が、それでも偉大な父親の叱責に嫌気をさして止めてしまい、高校では明るい男女交際を目論み声をかけまくったが誰も相手にしてくれない。

 何の取り柄もないくせに、目だけギラギラさせている少年に振り向いてくれる人なんていない。そう思ったところに少年を相手にしてくれる少女が出現。橋の下に住んでいて名前は別にニノではない静華って少女で、少々強引なところもあって少年を引っ張り回して再びロボット格闘の世界へと連れ戻す。とはいえブランクもあり知識もないチームが勝つには大変と、新たな仲間を引っ張り込み、修行も積んでそして勝利を目指そうという団結青春ストーリー。それはそれで面白いんだけれど、静華が鮎見勇って少年に執心する心理が、たんに自分の借金を返したいからなのか、それ以上の感情に支えられているのかが、ちょっと見えづらくって愛都やらを原動力に一丸となって進む感覚がつかみづらかった印象。

 愛なんてなくても構ってくれる女子の、それも美少女がいて肌とかさらしてくれちゃうんだからそれはそれで嬉しいんだけれど、やっぱり欲しいよねえ、愛。それは雪音ってややストーカー気味の少女にもいえること。どうしてそこまでご執心? 高校デビューに苦労していたくせにモテモテじゃないか勇ってツッコミたくなるけれども、それにもきっと理由があるんだろう。ってことで次に期待。どんなロボットが戦うか。名前は今度こそ柔王丸か。違います。


【6月1日】 6月だよ水無月だよ立夏も過ぎて芒種だよ。それなのに寒くて電気毛布のスイッチを入れて電気ヒーターのスイッチを入れてしまったよ。どうなっているんだろう今年の天候。ここんところしばらく暑い日もなければ梅雨らしい蒸し暑い日もない。その影響ってやつがどこに出るかは分からないけど、作物とかは多分値上がりするだろうし、季節物がうれないユニクロなんかにも売上面に影響が出て、それが喧伝されて気分をいっそう暗いものいんしていくんだろうなあ。iPadとかは売れてもそれで世の中の空気一気には変わらない。大切なのはやっぱり天気。明日こそは晴れるかな。

 こんな天気だと荒川のアンダーなブリッジの面々もきっと寒さに震えているんだろうなあ、なんてことはなかったみたいでアニメ「荒川アンダー・ザ・ブリッジ」で星かヒトデか謎の生物は、時にマスクを脱いでコンビニに出かけていろいろ買い物をしてから、河川敷にとめられたキャンピングカーだかに入って気持ちよさげ。リクはリクで橋げたの上に囲いを作ってすっかりマンションといった雰囲気にしているし、シスターはでっかい教会をぶったてそこで暮らしてる。なくたってあの筋肉なら別にどこでも平気だろう。マリアさんは? ちょっと分からないけどこれもシスターと同様に鍛えてそう。

 だってまるで動きが見えないんだも。でもってその瞬間にヒツジの毛まで刈ってしまうんだもん。超速エスパー。加速装置009。いったい何をしていたのやら。そして今はどうしてそこにいるのやら。ともあれだいたいひととおりの過去が確か明らかになったところで物語の方はどこへと向かっていくのか、っていうか原作ってどんなストーリーが描かれているのか。リクと家族とにまつわる物語とかって原作にはしっかり描かれているのか。ここでやっぱり読んでみたいと手を出すのは、スクウェア・エニックスの思惑にハマっているようでちょっと釈然としないんだけれど、それにハメられて「夏のあらし」も「隠の王」も「セキレイ」も買ってしまっている人間が今更言えた話しじゃないから、アニメの終盤にかけて買って揃えるか。

 そしてiPadは花札専用端末と成り果てましたとさ。例の「サマーウォーズ」でもってナツキやらがラブマシーンを相手に戦った花札が、まんまiPhone用のコンテンツとして登場していて、そいつをiPadに落として遊び始めたらこれがなかなかに面白い。花札なんてまるで知らずルールも覚えておらず遊び方も分からないんだけれど、そこはこれが出せるって指示とかに従いやっているうちに、何とはなしに役を覚えてきた模様。そうなると最初のように無茶出しして結果、すごい得点を得られたようなことが起こらず、色気を出して負けてしまうことも増えたけれど、強い相手にちまちま点を重ねて勝つことも出来るようになってナツキを破り、キングカズマも破ってアバターをちょっぴり手に入れた。でもラブマシーン相手の5連続勝利はちょっとキツそう。超えられるのはいつかなあ。それまでハマり続けるのかなあ。コイコイ。コイコイ。

 圧倒的じゃないかわが軍は。ってことを口にするのも気恥ずかしいし、言うほどに忠義の気持ちって奴もないけれども、純粋に品物として比べてみた場合に同じタブロイドサイズでやっぱり若者を主読者層に設定し、本紙からのニュースを中心し転載して写真もいっぱい使って作る新聞として、気になって大手町から竹橋まで地下鉄東西線を乗り越して、毎日新聞本社の受付カウンターに積んであったのを購入してしまったよ「MAINICHI RT」創刊号。お金を出すときに受付の人が申し訳なさそうな表情をしたのは、それがサンプルと思ってとっていこうとする人が多かったのかな。それとも売るに値しないかもしれないって気持ちを持ってしまっていたからなのかな。

 でもって買った新聞の手に取った印象はまず薄い。24ページ。それを本紙と同じ紙質で作っているから薄さと軽さが4倍引き立ち頼りない。見た目も写真が大きくて綺麗って訳でもなく、あくまで文章をメインして添え物的に写真を入れている雰囲気があって、一般の新聞とそれほど大きく印象が変わらない。縦書きが採用されているってこともあるんだろう。脇に並ぶTwitterからのコメントが横書きなのに、どうして新聞の文章は縦書きなんだろう? きっとそういう風にしか整理さんが組めないからなのか、それともやっぱり新聞は縦にしないと津波が起こり地震が起こって地球が滅びるって言い伝えが残っているのか。別に横書きに慣れている訳じゃないけれど、混ざり合っているのはやっぱり読みづらい。

 それ以上に記事の方が気になって仕方がない。ネットとかでどれだけ人気があったのか、ってのを規準に並べているらしいから、当然のように遅れたニュースが中心で、すべてネットなんかで情報をして知っているものばかり。それが1日遅れでもって加工もされずに転載されているから、いったい今は何日なおかって幻惑に落としいられる、ってことはなくって単に古めかしいって印象にとらわれる。あと支持によって並べたって割にはカタいニュースが中心で、ネット上でいかにも人気が出そうなヤワらかい芸能ニュースとか、スポーツニュースとかが前に出てくることがない。おかしいじゃん、それ。若い人の興味にそぐうんだったらサブカル系のニュースだってもっといっぱい載っていいはずなのに、それほど載っている節がない。っていうかまったくもって載ってない。

 逆に社説なんかはしっかりとページを割いて載せている。読みたいかい? 社説なんて若い人。それを読みたい人はちゃんとネットでチェックする成り、本紙を買って読むだろう。タブロイドをとってまで読みたい人が望むのは、そうした大所高所からのお題目じゃなくって話題のニュースか知らないニュース。例えば海外の興味深いニュースなんだけれども、そいういのは別に拾われていない。あくまでも会社の記者が書いたニュースを転載しているから、目新しさもないし独自性もない。

 オリコンのランキングだって載せてはいるけど、ネットで存分に読めるもの。それを目当てで新聞を買うって人がどれくらいいるんだろう? それが望みだったら普通にオリコンスタイルを買うよなあ、そっちの方が芸能情報満載だし。写真の使い方もどこか中途半端。なおかつ紙質が紙質なんで発色にも限界があって楽しめない。 これならむしろ毎月出してた「まんたん」を、週に1ページでもいいから復活させて掲載していった方が独自性もあるし興味も満足させられる。そうでなくてもまんたんウェブが日々更新しているデータを、1日遅れでもいいから載せていけばそういう方面のコレクターは誘える。でもそういった雰囲気はまるでない。カタい中身をウスめて並べたカルい新聞。それを買う層はどこにいる? いなければいったいどうなってしまう? ちょっと目が離せない、って他人事でもないんだよなあ、我が足下も。旧から新、そして旧。意味分からん。

 船橋駅に何時の頃から出来ては賑わっているラーメン横町の1店舗、くにがみ屋が6月4日あたりをもって閉店とかでちょっと寂しいっていうか、どうして閉店になってしまうのっていうか。前にはたしか別の店が入っていたところにオープンした新しい店舗。なのに出ていってしまうのは何だろう、親会社の意向なのかそれとも味勝負で負けたからなのか。でも個人的には青葉とかよりも麺のタイプもスープの味も好きだった。魚介系の出汁が利いたスープはサッパリで、肉もほぐれて口になじむ。野菜も新鮮でシャッキリ。食べれば心もスッキリとするラーメンがもう食べられなくなるのは惜しいけど、近所に山ほどラーメン屋もあるんで別に気にしないちゃあ気にしないのかな。うーん。でもやっぱり残念。最終日までに行ける限り通ってみるか。


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