縮刷版2008年6月下旬号


【6月30日】 メイド忍者ってそりゃあ「仮面のメイドガイ」に出てきたシズクやツララや氷柱花たちのお仲間ですか篠崎咲世子さんは。そんな「コードギアス 反逆のルルーシュR2」はミレイ・アッシュフォードの卒業記念イベントで大騒ぎになった学園にルルーシュの身代わりとなって咲世子さんが登場しては忍者ならではの軽々とした身のこなしでもって迫る女性や部費値上げを目論む部員たちを軽々かわし、露わな衣装で寝転がる女性は当然ながら無視して逃走を図るものの、そこに現れたもうひとりのおバカさんことアーニャがナイトメアのモルドレッドを機動させ、ゆいゆいと浮かんでは図書館に隠れたルルーシュを捕まえようとした場面で間に合った本物のルルーシュとクロスしてしまい、アーニャに2人のルルーシュの存在がバレてしまったけれどもおバカさんだけあって果たしてどこまで理解できたのか。ヴィレッタの叱られ「ダメ?」って1度ならず聞くアーニャが可愛いけれども「ダメに決まってるだろう」と言うとモルドレッドで粉砕されそうなんで言いません。

 でもってもはや人間の限界を超えたオレンジ君が現れ必殺技を発動。受けたシャーリーがこれから果たしてどんな行動を取るのかが目下の課題って奴か。そして我らがコーネリア様が再登場。1年の間をどこかに行っていた割には身綺麗なのはギアスの秘密を探りつつ、時々は家に帰って養生していたからなのか。髪型とかもちょっと代わって美人さが3割増した感じ。バトレイがいたあの基地に上から降ってきた時に落ちてきたのは煙突か、そんなものがついているのかあの基地には。普通は途中で引っかかるものだけど、そうならないよう登場場面を演出するべく夜中に忍び込んで途中の網とか外しておいたのか。ってな感じで揃ってきたキャラクターたちの多さに出し入れも大変そうだけれども、忘れられていたっぽいナナリーが捕らえられたカレンとの対面で再登場したりもしてるんで、そろそろ飽和状態の中でいよいよストーリーが進んで行くんだろうと期待。最終条件が見えないだけにどこへ連れて行かれるのか分からないジェットコースター感を残る3カ月間、心ゆくまで味わおう。

 生きている死体が死体なのかという公孫竜の詭弁にも劣らない難題についてはこの際無視して海原育人さんの「誰かのリビングデッド1」(C☆NOVELS)を読む。「ドラゴンキラー」シリーズでコミカルファンタジー(なのか?)の世界に颯爽とデビューした人だけあって、第2作目も世界こそ割かしシリアスなのに流れるトーンはユーモラス。魔法使いの下で下働きをしていたブラス少年だけど優秀な弟子が出奔してから魔法がうまく使えなくなってしまった雇い主の魔法使いから虐待を受けるようになって遁走。ようやくたどりついた街で腹を空かせて野菜畑に侵入したところを主人に見つかり官憲へと突き出されるかと思ったら、意外にも雇ってもらえて農場の世話と食堂の手伝いを25歳くらいの寡黙だけれど喋ると鋭い女性とともに行うようになって人心地。

 しようとしていたら畑でとんでもないものとを見つけてしまったどうしよう。体の半分を埋もれさせた死体らしきものがあって、魔法嫌いらしい主人には内緒で実はちょっぴり魔法が使えるブラスがぐいっと持ち上げたら死体が喋って吃驚仰天。何でもネクロマンサーの魔法をかけられずっと死体をやっていて、それも強烈な魔法がかかっているようで、ちぎれても撃たれてもすぐに元通り。何度死のうとしても死ねない自分の秘密を知っているのはかつて世界を滅ぼしかけた「不浄」とあだ名される魔法使いしかいないと、世界を尋ねて歩いている途中で少年はとりあえずそんな死体を招き入れ、店で一緒に働こうと持ちかける。

 そんな街に一大事。世界は60年ほど前に魔女によって支配されるようになってその下に8人の優秀な魔法使いがいて統治していたんだけれども30年ほど前に「不浄」とあだ名されるネクロマンサーによって魔女は殺され優れた魔法使いたちもことごとく倒され世界は混乱。それでも魔法使いたちが寄り合ってどうにか秩序を取り戻し、今は街のひとつひとつを魔法使いが治めるようになっていた。とはいえ誰かに任命されるって訳じゃなくってその魔法使いにとって替わりたい魔法使いがいれば決闘を挑んで勝利すれば次の統治者になれるという弱肉強食なシステムで、ブラスがたどり着いた街でも壮年の魔法使いが老練な魔法使いに挑まれ倒され統治者の交替が行われたところだった。

 どうやら美童が好みの老魔法使いに誘われたもののブラスは辞退。ところが店に頻繁に通ってくるナムって少女が所属している組織が魔法使いの支配から逃れようと反乱を企てたから大変で、誰も死んで欲しくないと願ってブラスは老魔法使いのところに言って寵愛を受けつつ事が丸く収まるように画策したものの、そこに予期していない一大事が起こって誰もが命の危険に陥った時、颯爽と現れた影ひとつ、ってあたりで逆転劇の楽しさを存分に味わえる。とはいえ肝心の生きている死体の秘密については明らかにされず、世界が30年前に1度滅びかけた理由についても説明だけではあまりに直情的でちょっぴり信憑性に欠ける。あと一緒に働いている女性の正体にも。

 本当に一時の情動で爆発したけど今は静かな余生を送っているだけなのか、それとも事情はそんなに単純なものではなくて裏がいろいろとあるのか。単純だとしてもそれなら生きている死体君を作ってそれを天才ネクロマンサーにも気取らせないくらいの強大な魔法遣いの存在が必要で、そんな相手にろくすっぽ魔法も使えないブラスと、体力だけは抜群だけど猪突猛進なナムとそして死なない死体の3人組がどう挑んでいくのか、って辺りに興味を惹かれて続きが今は待ち遠しい。働いていた魔法遣いの所を逃げ出した兄貴分の魔法使いとかも絡んで来るのかな。

 トーレスだと名古屋グランパスエイトにいた偉大なディフェンダーを被るからなんだろうかメディアで呼ばれる時はいっつも名前も含めて「フェルナンド・トーレス」になっている彼だけれども「ロナウド」と言えばACミランに所属しているブラジルのドラム缶ではなくって既にマンチェスター・ユナイテッドに所属の首長青年がメインであるにも関わらず、やっぱりブラジルのロナウドはロナウドと呼ばれ本名がロナウドだったはずのロナウジーニョも未だに小ロナウドなロナウジーニョと呼ばれていたりすることもあってマンチェスターのロナウドは「クリスチアーノ・ロナウド」とフルネームかあるいは「C・ロナウド」と呼ばれてそれが定着しているんで「フェルナンド・トーレス」もたぶん一生「フェルナンド・トーレス」と呼ばれ続けることになるんだろうなあ。

 とか考えながら生放送でちゃんと見た「EURO2008」の決勝戦「ドイツvsスペイン」はフェルナンド・トーレスのワントップとしての凄みが炸裂した試合で後ろの方からすぴーんと放り込まれたボールにすばやく反応してはディフェンダーを内側からじゃなくって外側から追い抜き脚を伸ばしてそれから飛び込んできたドイツのゴールキーパー、レーマン選手が触る直前にちょんと蹴り上げゴールへと綺麗に流し込んでまず1点。競っても倒れず崩れない強さと186センチって決して超はつかないけれどもまずまずの長身から繰り出すヘディングに加えて足技の確かさとスピードも持った、理想的ともいえるワントップのフォワードって奴を見せてくれた。高さと強さじゃ巻誠一郎選手がいるしスピードと巧みさでは玉田圭司選手もいたりするけれどもその2つが合体した選手ってのが日本にはいないのが難点。というかいったいどうやったらあんなに凄まじい選手が生まれて来るのかを是非に知りたい。多分鍛錬なんだろうなあ。

 というのもフェルナンド・トーレス選手、アトレチコ・マドリードの時代から将来を嘱望される大型フォワードとして注目を集めていたんだけれども同じマドリードにはレアルもあってそっちには大スターが勢揃い。中にあってそれほど強くはないチームのフォワードとして十分以上の働きは見せていたものの世界が注目するだけの強さって奴はまだ見せず、臨んだポルトガルでの「EURO2004」でもその後のドイツでの「FIFAワールドカップドイツ大会」でも出場をして活躍を見せつつも抜きん出た注目は集められなかった。

 それがリヴァプールへと移籍したら途端にゴールを量産。ベニテス監督の指導の賜か最近までコーチとして在籍していて今はジェフユナイテッド市原・千葉の監督になったアレックス・ミラーの指導の結果かは分からないし、スペイン代表を率いるルイス・アラゴネス監督の熱血指導が実を結んだって話もあるけれど、少なくとも昔見たようなひ弱な雰囲気がまるでなりを潜めて脚はぶっとく体は頑健、それでいてスピードもテクニックも向上している姿からは頑張れば成長できるんだってことが見えて来る。まあ巻選手も玉田選手も良い歳なんで今からフェルナンド・トーレスになるのは無理な話。なのでここは歳も一緒な弟の巻祐樹選手にテクニックとスピードを学んでもらって和製フェルナンド・トーレスとして頑張ってもらいたいと願うんだけれども今はダメ、だってナビスコカップで名古屋グランパスとの試合を控えているから我がジェフは。巻対巻。見られるかなあ。

 マイナーメディアの下っ端ごときに回ってくる試写の案内なんてないんで日比谷あたりでの魚釣りには行けず代わりに六本木でオリンピックの競技を見る。違ったオンリーピックだ、すなわちオンリーなピクチャーズってことで「スキージャンプペア」の真島理一郎さんが総監督になって架空の競技をでっち上げて映像にして見せるオムニバス映画。内容は見ての驚きってことで説明は避けるけれどもとりあえずブラックでダークな作品が大半なのが見ていて愉快だけれどもちょっぴり気持ちに黒い霧。「スキージャンプペア」には満ちていた腹の底から笑えるバカっぷりって奴がもっと見たかった気もするけれども各人に降るとやっぱりユーモアってブラックな方へと走ってしまうのかなあ。

 そんな中でも家ん中を走り回るトライアスロンのアニメが秀逸。声に土井“早瀬未沙”美加さんも参加していて懐かしいやら嬉しいやら。幕間のバナナマン出演によるドラマもペーソスに溢れていて良かったよ。そうかハッピーじゃなくてもペーソスがあれば楽しめるんだ、「Pin Men」みたいな感じのペーソスが。設定はブラックだけど親離れ種目はビジュアル的に最高。これが早々とクライマックスになってしまった感もあって比べて見る残りの競技に採点もシビアさが出てしまったけれど、競技の合間でしょこたんが莫迦っぷりを見せてくれたのが大きな救いになっていた。見終わるとそれでもなかなかの感慨が浮かんで来るんで始まったら日の丸のはちまきしめて行こう劇場へ。


【6月29日】 ってなもんで超時空シンデレラ、ランカ・リーちゃんですby偽エキセドルのデビューシングル「星間飛行」を10度ばかりリピートしながら角川スニーカー文庫より発売の小太刀右京さん筆によるノベライズ版「マクロスフロンティア」を読む。なあるほどそうかこの時空ではちゃんと「マクロス7」はどこかの宇宙(そら)を飛んでいて、そこに偽じゃないエキセドル記録参謀も在籍しているのか。

 でもっておそらくは遠からず「マクロスフロンティア」で始まったランカ熱を銀河ネットワークだかフォールド通信何かを通して聞き及んで、偽エキセドルと同様にヤック・デカルチャーとか言いながらあらゆる情報をそれこそプライベートな盗撮写真まえ集めて研究しては「マクロス7」にいる熱気バサラたちに伝えるんだ、って年代結構ズレてたっけ。この頃はマックスとか50歳を超えているのかな。マクロス時空のマクロス歴史にゃああんまり詳しくないんでこれを機会に調べてみるか。ってことで出費は嵩みマクロス商売の奴らの思惑は達成されるのであった。恐ろしき哉、マクロス。

 でも仕方がない。これはあの80年代前半に10代のアニメーションファンだったものの宿命だ。「鉄腕アトム」「マジンガーZ」「宇宙戦艦ヤマト」と知らず刷り込まれ「未来少年コナン」で刺激されそして「機動戦士ガンダム」で起こった大爆発のその後にわき上がった「うる星やつら」によるスラップスティックな展開がもたらしたアニメには何でもありってマインドと、降り注いだ「魔法のプリンセスミンキーモモ」による美少女キャラクター雨霰。そして「超時空要塞マクロス」による美女と美男とヴァルキリーってまさに今は無きメカと美少女の雑誌「メカビ」なコングロマリットのビッグバンが呼び起こすこんなにも世界には快楽が溢れているんだって感動に全身を浸された結果、脳髄に刻み込まれた美しさと可愛らしさと格好良さへのシンパシーって奴は、10年経とうと30年経とうとぬぐい去れるものではない。

 街を歩けば高層ビルがトランスフォームして巨大ロボットとなり傍らのビルを腕へと替えて虚空に向かいダイダロスアタックをしかける夢を見る。戦争が始まれば戦闘に美少女が立って透き通った声で歌い始めてそれを聞いた兵士たちが手にした銃を下ろし耳そばだてて音楽に聴き入りそして歩み寄り握手する理想を思い浮かべる。そして「マクロス」を経てもなお何も変わらない街とメカと戦い合う人の心に寂しさを覚え空を見上げてそろそろ降ってくるかもしれない巨大な戦艦の姿に思いを馳せる。いや降ってこられてはそこから大変な事態が起こるんで困るんだけど。

 今になって見返すとアニメーションは悲惨な出来で動かないし動いたところで段々畑のマリオネット、カクカクとして美麗さのカケラもないけれどもビデオなんてない当時は瞬間瞬間で流れ去る物語を追うのに必死で絵の拙さになんてそんなに気づかなかった。むしろアニメ雑誌なんかに掲載された美樹本晴彦さんが描くキャラクターのイラストから受けた衝撃の方が絶大で、過去に余り類例のなかった淡いタッチの美少女たちの喜んでいたり嬉しがっていたり拗ねていたりする表情に一喜一憂しながらあれは「月刊アニメージュ」だったかが付録に付けてた美樹本さん筆によるマクロスキャラクターのトランプを何度も見返していたっけか。あのトランプ、どこにしまい込んでしまったのかなあ。

 ともあれそんなビジュアルに歌が世界を救うだなんてあり得ないけどあっても良いかもしれない展開に深く冒された身は、それでもフトコロの寂しさという現実からOVAとかレーザーディスクとかには向かわずせいぜいがテレビ放映された「マクロス7」を半分くらいまで見るに留まっていたんだけれども歳を重ねてまあそれなりに、とはいっても同年代の公務員とか警察官とかにすら及ばない年収ながらも独り身の自由さから食費生活費居住比以外に振り向けられる金も出てきた所に襲いかかってきた「マクロスF」の衝撃は、無理矢理に寝かしつけていたマクロス魂(まくろす・たましい)を刺激しマクロス根性(まくろす・こんじょう)を呼び覚ましてしまったみたいできっとこれから出るだろう「F」関連のグッズなりソフトなり書籍は「コードギアス 反逆のルルーシュ」と同様に、買って買い集めていくことになるんだろー。とりあえずDVDは「.ANIME」のゼントラーディ語バージョン、ブルーレイはその辺の通常版を購入、と。

 それはそれとして小説版の「マクロスF」は、構成がテレビ版からやや端折ってあるよーで、アルトとシェリルの接触はコンサートの場でアルト機が誰かの故障気味の機体と接触して失速しかかった時に舞台から落ちたシェリルを抱えたのが最初ってことにはなってなくって、直後にバジュラの襲来でコンサートが中止になってシェリルが会場を離れようとした時に、プロなのに逃げるのかって責めに来たアルトにシェリルが対面して初接触。でもってその時にシェリルはアルトが誰か気づいたよーで、アニメ版だともうちょっと後になっていたのが小説版だとそのまま引き続いて繰り広げられるシェルターでのアルトとシェリルとランカの三つどもえの場面で、アルトにシェリルがあんたもこっち側の人間だろうって言ってあれやこれやと求めるシーンが描かれる。

 これこれ。これがアニメとして見たかったんだよ。今だとオープニングでほんのチラリとしか描かれないアルトの“本当の凄さ”って奴が小説版で始めて本格的に描かれる。もっともこれは言葉で描いたことによって説得力も醸し出せた芸の道の凄さって奴で、人が手で線を引いて色を塗り動かしていくアニメの中にシーンとして描くのは大変そう。美を採点しなきゃいけないフィギュアスケートがテーマになった「銀盤カレイドスコープ」でもその難しさは存分に味わったし。逆にアニメだと気分で一気に引っ張っていける音楽との融合は文字で伝える小説だととことん不向き。だからコンサートでのアルトとシェリルのアクシデントも端折られたのかな、分からないけどそんな差異はあっても総体としてシェリルとアルトは出会いランカはシェリルに応援されてプロになり、アルトはS.M.Sに入ってバジュラと戦う道を選ぶ。

 1巻では捕らえられたルカをダイダロスアタックばりな攻撃を食らわせている間に救う場面までがかれていて、ギャラクシーの消滅に帰る場所を喪ったシェリルが転校して来て巻き起こす美星学園でのあれやこれやや、プロダクションにスカウトされたランカの紆余曲折を経ての本格的なデビューなんかが描かれるのは次の巻になりそー。アニメ版じゃあ裏のありそーな雰囲気だけを見せてるシェリルのマネージャーのグレイスがとんでもない姿を見せているのが注目ポイント。それが小説版だけの設定なのかアニメ版でもしっかりと踏襲されているのか、いるんだとしたらあるいはアルトたちの前に誰よりも強靱な姿でもって立ちふさがって来るのは彼女かも。飛ぶ姿はちょっと見物。しかしいったい何者なんだグレイス・オコーナーって。

 とはいえしかし「マクロスF」にだけ引っかかっている訳にはいかないと仕事で回ってきた百田尚樹さんって人の「ボックス!」(太田出版)を読む。高田馬場にあるフィットネスクラブを舞台にした青春ストーリーな訳はなくって「BOX」、すなわちボクシングがテーマのスポーツ青春物語。とある高校に進学した幼なじみの片方は貧しい家計を助けるために奨学金がもらえるよう常にトップ5以内の成績を保ち続けなくてはいけない特別進学クラスのガリ勉くん。もうひとりは中学時代から始めたボクシングの能力も買われたのか体育科に進んでボクシング部に入った悪ガキで、まるで違う2人なのに中は良くってその日も一緒に電車に乗っていた所で、不良の高校生に絡まれている女性を見つけて鏑矢って悪ガキの方がボクシングの技術を使い不良を撃退する。

 才能はたっぷりあっていつも自信満々の鏑矢の強さに実は憧れていた木樽は、助けた女性が実は通っている学校の先生だったことを知り、憧れていた先生の前で強いところを見せられず、また中学時代にイジメを受けていた知り合いに再び絡まれて殴られたこともあって、強くなりたいと鏑矢がいるボクシング部に入って勉強もしっかり維持しつつ、ジャブだけしか最初はそれもシャドーでしか打たせてくれないような練習に耐えてひたすらに努力を重ねる。鏑矢はと言えば天才っぷりを見せながらも才能にやや溺れ気味で、練習もマイペースで流していたけれどもそれでも府の代表くらいの強さはあるからますまず増長。そんな2人の前に稲村という同階級の強豪が現れ立ちふさがったことで鏑矢は天狗の鼻をへし折られて挫折。対して木樽はひたすらにストイックに自分を突きつめ、顧問の沢木の好指導もあって才能をもてあましている鏑矢を倒すくらいの強豪となっていく。

 努力肌と天才肌の2人が幼なじみの関係を超えてひとつのリングで激突する、って展開だったらありがちだけれどもう1人、別の学校にとんでもない強さをもったライバルを置いて2人がそれぞれに目指し、ぶつかり挫折するような流れを組みあげることで幼なじみの2人の関係を険悪とせず、むしろそれぞれが認め合い高め合おうとする爽やかなストーリーになっているのが特徴か。道を踏み外しそうになった鏑矢が戻って来るきっかけとなたとある離別のエピソードには何ともいえない切なさ、やりきれなさが滲むけれども10年後、鏑矢たちに助けられたこともきっかけになってボクシングの顧問になった耀子が一端離れてそして再び顧問として戻ってきた時に、部室に10年前のことがちゃんと受け継がれていたことに嬉しさを覚えて涙がにじむ。

 どいつもこいつも真面目な奴らばかり。良い奴ばかり。だから読み終えて本当に気持ちが癒される。天才さゆえにやや増長気味でありながらも鏑矢だって根はとことん優しく性格も素直。だからこそ離別を悔いて心を入れ替えボクシングに戻ってきた訳で、そんな鏑矢に似て強豪にしてビッグマウスな奴を怒り叩きのめしてくれた場面では、この何年かボクシングの世界で続いている特定家族のフレームアップの気色悪さが吹き飛ばされる爽快感を味わえる。愉快痛快。木樽のひたすらに努力を重ねて強くなっていく様も、自分が真似できるかはともかく努力が何かをもたらしてくれる可能性への希望を抱かせてくれる。

 大事なのは己を知って増長せず卑下もせず、可能なことを見極めそれを最大限に行えるように日々を生きていくこと。鏑矢は才能をもてあまして挫折しかかり立ち直ったもののやっぱり歯止めがきかなかったみたいで、それでも逃げ出さないで自分が出来る精一杯のことをして木樽を支え、今もしっかりと自分の道を歩んでいる。木樽は限界を知った上でなおその限界まで出来ることを積み重ね、後に至るまでの賞賛を得る。そんな2人の前に立ちふさがったライバルもしっかり己の成せる限界を突きつめる。

 鏑矢や木樽のほかの部員たちも、マネジャーとして部を支えた丸野もみんな一所懸命に己を突きつめ切ったそんな生き様が、ボクシングってとことんまでストイックな競技を通じて描かれた「ボックス!」は昨今流行りのスポーツ青春ストーリーの中でも傑出した感動をもたらしてくれること間違いなし。分厚いけれどもテンポの良さに読み始めたら最後まで一気なんで朝が早いって人は夜に読み始めると翌日が大変かも。まあ読み終えれば明け方になっていても興奮で眠れなくなるから大丈夫、かな。


【6月28日】 「キラッ」。にヤられた奴らは幸いである。これからの一週間をもえーっ、とした心地よい気分に浸って過ごせるから。ってな感じに「マクロスF」は大気を持つ惑星のガリア4まではるばる慰問に赴いたものの、シェリル・ノームはタラップで倒れてコンサートは開けそうもなく、駐留するゼントラーディの軍人たちは田舎のはみ出し者扱いされたんだって偽カムジンなテムジンだかに煽られ、銃を取ってシェリルを捕らえアルトも含めて人質に。そしてテムジンが反応弾を手に入れ本格的な反乱を起こそうとした時に、天空から舞い降りた天子のような彼女こそ、鼻歌ブルックみたいな声の偽エキセドルが言うところの「超時空シンデレラ、ランカちゃん」であったのだ。って力入りすぎだよ偽エキセドル。記録参謀だから宇宙のあらゆる情報をチェックしているとは言え、それを興奮気味に語ってしまえる程に知らずファンとなっていたのか。響くものがあるんだろうなあ、ランカ・リーの歌声には。

 でもってバルキリーの後部座席に立ち上がって歌い始めたその歌こそが「星間飛行」。超作曲家の菅野よう子さんによる弾むビートの音楽と、超御大な松本隆さんによる爽やかな歌詞も最高だけれど、やっぱり曲のとってもキまる部分で入れる合いの手の「キラッ」って言葉に超時空な破壊力があったみたいで、聞いていたゼントラーディーの反乱兵士たちは手にしていた銃を落として拍手喝采。見ていた僕にも背筋に震えが走って真夜中から明け方にかけて潤んでいた目がかぱっと開いてしまったよ。あまりの強烈さに飛ぶ星まで見えたよーだけれどもあれはもしかして本当に飛んでいたのかな、技術が発達した社会なんでオーグメンテッドリアリティ(拡張現実)って奴が浸透して、実際の現実に重ねて視覚に様々な効果を重ね合わせることが出来るよーになっている、とか。まあそれはないとしても仮にランカ・リーのライブがDVD化されることがあったら、盛大に「キラッ」って場面で星を飛ばしてやった頂きたいもの。現場で飛ばしても良いけど当たって刺さって血まみれなファンが大勢出るとヤバいんでそれは勘弁。松本隆さんってこの「キラッ」まで含めて作詞したのかなあ。したんだとしたら偉大だなあ。どうなんだろう。

 細かい場面の振り付けもとっても凝って楽しい嬉しい。「見つめあうー」ってところで手のひらをパクパクさせる所とか、「流星にまたがってあなたは急上昇」の「急上昇」で手を上から下に下げてそこから上にぐーっと持ち上げていくところとか、もう歌詞にぴったりな上に仕草としても超時空的な可愛さ。そして何より「キラッ」。指をグワシではない形にして額のよこでひらひらさせながら「キラッ」とやられちゃあ、もう戦ってなんて居られませんてば誰だって。そんな音楽を前にどーして偽カムジンだけは平気でいられたのか、耐性があった訳でもないならきっと歌に溺れる以上の目的があったのかもしれないけれども、それが心底よりの反乱なのかバレバレっぽい謎の声だけが知る謎に突き動かされていただけのか。沈んでしまった今となっては分からないけど、爆発しなかったってことはきっとまた出て来るんだろー。でもってその謎らしき物体がラストに登場。あの影は。ってマクロスだよなあ、初代の。同型艦? どうしてこんな所に? それより早く帰らなくって初ライブは大丈夫なのか? 興味津々。すっかりオミソなシェリルがどうヤサぐれていくのかにも。

 しかしやっぱり分からない謎(笑)の女の目的。もしもあのまま助けが来ないでシェリルもアルトも抹殺されて、反乱兵士は艦砲射撃で全滅となってそれで終わってしまったら後に何も残らない。それどころかマネージャーさんだって共倒れ。だから想定としてはシェリルが歌えないくらいに体長を悪化させておく仕掛けに加えて、ランカが一瞬くらいでガリア4まで来れるテクノロジーをルカの実家は開発済みだってことを知った上で、いろいろと企んたってのが筋だろー。でもってランカ自身をガリア4で唄わせて、歌の力によって何かを目覚めさせることが最大の目的、と。実際に動き始めた何かによってアルトとランカは不時着させられそして出会った初代マクロス。本物かもどきかはともかくそんな出会いがもたらす銀河的な変化って奴をこの作品では描いてくれるのか、それともそれはおまけで本筋ではシェリルとランカとアルトの腐れ縁的三角関係を描いていくのか。いろいろ興味深くなって来ました「マクロスF」を来週も時間変更に負けずに見よう。シェリルの代わりに女装したアルトが唄ったらそれはそれで楽しかったのになあ。ビジュアルだけならシェリルもランカも越えてるし。

 という訳で秋葉原に「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」のイベント取材にいったついでというか入る前に「アニメイト」を階段で6階までえっちらおっちら挙がって1枚の「星間飛行」を所望、ブロマイドは「キラッ」じゃなかったけれどもまあ良いや。もう何枚か仕入れてコンプリートを目指そう。っていったい何種類が用意されているんだろうか。1枚くらい「キラッ」と眼鏡を光らせているナナセだったら愉快なんだけれど。「キラッ」。でもって「ドラクエ」絡みのイベントは女の子共が割といた感じ。「ドラクエ」っちゃ発売から20年以上も経ってて世代も挙がって子供のファンが入りにくくなっていた所で何とかしよーと「ドラゴンクエストモンスターズ」って「ポケットモンスター」のニュアンスい「ドラクエ」ならではのモンスターを混ぜ込んだ画期的タイトルを発売して、世代をぐっと引き下げることに成功したんだっけ。

 そんでもって「甲虫王者ムシキング」で大ヒットしていたキッズカードゲーム機の分野に「ドラクエ」キャラクターを混ぜ込みキッズを鷲掴みにしようとした結果がイベントへの2世代ファンの参集。それだけなら普通なんだけれどお男の子に混じってしっかりと女の子たちもいたのが不思議というか、鳥山明さんの持つキャラクターの年齢性別を問わない伝播力っていうか。中にはコスプレっぽい格好をしている子もいたから、女の子たちの間にしっかり「ドラゴンクエスト」ってタイトルは刷り込まれて来ているんだろー。そんんな努力の果てに投入されるだろう「ドラゴンクエスト9」がいったいどれだけ売れてしまうのか。果てしない数とか行ってしまいそーだけれどもその前哨戦となりそーなのが7月発売の「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」か。前にも確か「プレイステーション2」向けに出たんだけれど今度は子供でも遊べる「ニンテンドーDS」向け。これがどれくらい売れるかで「ドラクエ9」の趨勢も占えそう。しかし「ドラクエ」依存の体質だけは抜けないなあ。せめて漫画での「鋼の錬金術師」に「ソウルイーター」の頑張りに期待だ。

 つまりは神様なんて人の気持ちの集合体みたいなもんで、たった1人が唯一絶対の存在としてすべてを引き受けるなんてことは土台は無理で、求め求められる中で自分が理想としたり望んだりする答えが得られ、気持ちを楽にできるし物理的な作用もそこにくっついて来て具体的な形となった福音がもたらされることもあるのかもしれないなあ、ってことを書いている話なのか違うのか。絶賛かはともかく谷間については絶景な「神様のパズル」が劇場公開中の機本伸司さんの最新作は、続編ではないけれどもスピンオフ的な話ではある「神様のパラドックス」(角川春樹事務所)って本で、そこでは量子コンピュータを作ったけれどもなかなか売れないって中でどうするかって考えていた中年の技術者が、立ち寄った大学の模擬店の占いハウスで店番をしていた女子大生の受け答えから、占いを量子コンピュータにさせてみりゃあ良いかもと考えついたところからすべてがスタート。

 膨大な演算能力を持つ量子コンピュータを使うんだから、占いだけじゃなくっていっそ神様を作っってすべてを見通すくらいのことをやっちゃえってことになって、そこに女子大生もアルバイトとして入り込んでは何故かコンピュータが無重力下で計算できるよーにと積まれた飛行機の機長に何とか気持ちを伝えようとして果たせないって、今時の恋愛ドラマにすらない純情にして臆病っぷりが繰り広げられたりもするけれども、そんなドラマをおしのけて語られるのは量子コンピュータの作り方だったり、原理だったり、神の存在についての議論といったもの。読んでいて勉強にはなるけれども興味がない人にはちょっと厳しい。天才美少女科学者のツンデレっぷりに惹かれてどんな議論も乗り越えようって気が湧いた「神様のパズル」に比べて、引っ張っていってくれるキャラクターがいないってのも難しいところだけれどもまあ、後半も佳境に至ってよーやく量子コンピュータを巡る国際的な謀略めいたものも浮かんで来て、命すらかかった緊迫のバトルもあっていったいどうなるの? って興奮を味わえる。

 そうして出てきた結論がコ、ンピュータでは神は作れるか否かってことの答え以上に神ってものはそもそも存在しているのかどうなのかって辺りへの示唆で、なるほど超越的な存在としての神はいないかもしれないし、個人が神の領域まで達したところでスーパーコンピュータが陥った問題に直面して懊悩するのがおち。そんなパラドックスを一気に解決するよーな回答に、なるほど人は大勢の人たちの中で生きている存在であって、そんな大勢の叡智こそがすなわち神に近いものなんで、家に引きこもってひとりで読書とかゲームとかネットとかしている暇があったら外へ出よう、友達を作ろう、彼女だったらなお最高、ってポジティブなアドバイスが迫ってきて何とかしなくっちゃって気にはなったけれど、それで何とかなるよーならとっくに何とかなってるぜ。そこは誰かとつながっている、その連鎖で世界はやっぱり覆われているんだってことくらいは認識して、歩み出すまではいかなくとも背は向けず、前くらいは向く気持ちを持つことだけは怠らないで生きて行こうと考える。「ピース」ってサラカちゃん、明るくなったなあ。寿司食ってんのかなあ。


【6月27日】 珍しくも目が覚めたので「EURO2008」の準決勝のもう1つ「ロシアvsスペイン」を見たら赤いスペインが押していた、んじゃなくって珍しく黄色いセカンドを着たスペインが赤いロシアを蹴散らしていた。前のオランダ戦ではあんなにガンガンと押しまくってゴール前へと何人も走り込んでは切れ込みクロスを上げてシュートといった場面が見られたのに、相手がスペインとなると初戦で大敗した記憶が脚をすくめさせたのか、前へと向かう圧力がなくって中盤をスペインに支配され、持てば神懸かりなプレーを見せてくれるはずのアルシャヴィン選手へとボールが届かない。また届いても相手は百戦錬磨のセルヒオ・ラモス選手とプジョル選手。自在には仕事を差せてもらえず決定的な場面を作れない。

 対するスペインもゴール前へと攻めてはフェルナンド・トーレス選手が変態的なトラップからスペシャルな反転とそして間髪入れないシュートを見せてゴール前へとボールを叩き込むものの、ゴールキーパーの正面が多くって得点にはならず。そんな中でもパスは回ってたいようでついに後半にイニエスタのこれはクロスかな、ゴール前に入れたものが走り込んできたシャビにぴったしとあって伸ばした脚でチョンと合わせたらゴールに一直線でまず1点。そこから2点を追加した一方でロシアはやっぱりアルシャヴィンは見せ場を作れないまま試合は終わって、スペインがよく言われる“無敵艦隊”のあだ名をおそらくは超絶的に久々に、実のあるものにしてみせた。

 そして理想的なスペインとドイツの決勝に”無敵艦隊”は続くのかって関心も高まっているけど、ダビド・ビジャが怪我をして戦列を離れてしまったのがひとつのネック。セスク・ファブレガスも頑張ってはいて超絶技巧のラストパスを送って得点につなげていたりするけれど、初戦でハットトリックを決めたくらいの得点源としてのビジャにも期待するところは大きかっただろーから、そこが抜けて相手はゲルマンと来たらガチガチの固い試合になってそしてPK戦で不屈なゲルマン魂の前に沈んでしまうのかもしれないなあ、スペインだし。もっともドイツも守り勝つってよりは打ち勝って来た感じで得点も結構なものだから、あるいは不屈ぶりが内ではなく外に向かった電撃的な爆発って奴を、見せてくれるかもしれないけれども果たして。月曜日は眠気を堪えてお仕事だ。

 「浜乙女」は海苔のブランドだけれど「黒乙女」はちょっと違って食べちゃいたいけど食べられない。だって美少女にして人外の保護者を持った危険な存在。魔法が使える世界にありながらも魔法ですら及ばない異能の力を駆使して不思議な現象を解決して歩いてる。そんな女の子をご馳走になった日にゃあ生きて帰れるはずもない、ってことで玖野暮弥さんってこれがデビュー作になるんだろーか、他には聞いたことのない人による「黒乙女 −シュヴァルツ・メイデン− 黒き森の契約者」(富士見ファンタジア文庫)は金色の瞳を持ったシェルーナ少女の家に高飛車な態度と最悪な服装センスの少女マリーがやって来て、おじさんの家が奇妙な事態になっているんで何とかしてくれと言ってきた。

 向かうと中庭が雪原になってて入り込むと巨大なスノウマンが現れあたりかまわず踏みつぶす。主の息子は本来からの歳からやや低めの子供みたいになって部屋に閉じこもってしまって出てこない。そんな家でも親戚だからと解決をシェルーナに依頼するマリーちゃん。最初はただひたすらに世間知らずのお嬢様かと思っていたら出自は別で本当は姉が継ぐはずだった家を姉の死でもって突然に継がされる羽目となっただけの人。ただしちょっぴり素直じゃなくってツンツンとしながらもシェルーナのおかれた境遇への同情も示し、遠回しのツンデレ語を使いながらシェルーナの世話をやいたりしていら態度が逆に鈍感で世情にも疎いシェルーナに伝わったらしく、不思議な女の子の友情が芽生えて目を楽しませてくれる。といっても「先輩と私」のような汁の垂れ落ちるよーな絡みは一切ないけれど。

 全体として浮かぶのは寂しい辛さって奴で、だから愛を求めはするけれど、得られればそれで満たされるものの逆に求めても得られなければ臆して沈み込む羽目となる。力がそこに加われば起こるのは不思議な現象で、そんな状況をやっぱり気持ちに寂しさを覚えながらもここまでどうにかやって来たシェルーナと、一応は気負いを見せているけれどもやっぱりどこか本心を明かせる相手のいなさに寂しさを感じていたマリーとが出会い、そして事件の要因にもなっていた寂しさの解消へと向かうストーリーに、ひとりで沈んでいてもダメで外に出るなり前を向くなりした方が、絶対に素晴らしい生を送れるんだってことを思ったけれどもでも前を向いたってひとりの時はひとり、なのだよなあ、最近とみにそう思う、土日とかひとりでサッカー見に行くくらいだし、ってそりゃあ自業自得だろう? まあ仕方がないからせめて少女たちには幸せになって欲しいとエール。マリーの最悪なセンスに溢れた服装を口絵で描かないのは、イラストレーターのせめてもの矜持って奴なのか。

 バンダイが子供を持つ親とかに聞いたアンケートってのがあってその最新号で定番アンケートの子供が好きなキャラクター調査ってのをやってて「アンパンマン」が堂々の総合7年連続1位を獲得。やっぱりな強さって奴を見せてくれてはいるんだけれども世代をぐるりと分けると2歳までとか4歳までならまだしもそれより上に行くと「ポケットモンスター」が男子では挙がり、女子では「プリキュアシリーズ」なんかが1位に挙がっていたりして、さらに歳が上がってくると10位以内にすら入らなくなって来る。

 つまりは下の年齢層では圧倒的な人気を誇って総合1位にはなるけれど、テレビなんかを見始めた子供には好きなキャラクターの傾向も多彩になって標が別れてしまうってことみたい。そういう世代に絶対的なキャラクターがないってのはキャラクタービジネスをやってる企業にとっては入り込むチャンスって意味もあるけれど、かつてだったら「ウルトラマン」とか「仮面ライダー」とかがそうなっていた“国民的”なキャラクターが、生まれにくくなっているって現れでもあってビジネス的に諸手を挙げて歓迎できるのかがちょっと悩ましい。

 意外性では「ヤッターマン」が1月からのテレビ放送開始な割に男子で0歳から8歳くらいまでの各世代に上位ではなくても入っていることがあって、これはだから午後7時からの放送って時間が認知を高めた現れって言えないこともないけれど、それを飛び越えて受ける何かも持っていたんだってことは言えそう。でなきゃ玩具もそれなりには売れないし。女子ではディズニーの「リロ&スティッチ」が妙な人気でとくに9歳から12歳では1位くらいだったけ、そんな所に入ってやや下の世代も加えて人気を獲得して、総合で7位なんて所に食い込んで来た。

 女の子のキャラってよりはあの紫色の怪物に妙な人気があるのは、昨今の女子中高生がカバンにでっかいスティッチのぬいぐるみをぶら下げていることからも分かるけれども、それが下の世代にも浸透したっていうか、下の世代からの持ち上がりで女子高生に人気があるっていうのかはともかく「ミッキーマウス」とか「くまのプーさん」なんかに負けないキャラクターに育ってしまったってのは何だろう、単に美麗とか可愛いものを求めるんじゃなくってそこに歪みめいたもの、土俗めいたものを求めたがる日本人に特有の侘び寂びスピリッツが発露しているってことなのか、違うよなあ、もっと単純にキモカワイイって奴? ともあれだらこそマッドハウスも日本で新しい「リロ&スティッチ」を作ることになったんだろう。マッドハウスにゃスティッチみたいな偉い人もいるそーだし。マッドハウスと言えば同じインデックスグループじゃあタツノコが「ヤッターマン」を作ってる。存外にキャラクターブームを先取りしているのかもしれないなあ、このグループ。儲けられるかは別だけど。

 尻は丸いが胸は足りない。けどそこが良いかもと思わせてくれるくらいに小粋でスタイリッシュでスペシャルなヒロインの登場に心からの喝采を贈ろう。出崎統監督の最新作「ウルトラヴァイオレット コード044」の完成披露試写があって、浜松町のとっぽい(死後)店で斜めから見物。なるほど出崎監督だけあって画面は分割されているし、3度の繰り返しもあるし絵画風のシーンでぴたっと止まるハーモニーもしっかりある。あるけれどもそうした効果はあくまで要素。本編に流れるテーマでもある、ダークで退廃的な都市を舞台に戦うためだけに作り出されたクローンの女性が、自分の運命を倦みつつ早く楽になりたいと願いながらもそれが出来ないまま戦い続ける運命から、抜けだそうと足掻く姿が描かれていて、その沈んで刹那的なキャラクターが、やがて運命の人と出会い自ら未来を選び取ろうと羽ばたく姿が見られるだろうと思うと、この先の展開に大きな期待がかかって来る。

 絵はまずもって完璧。殺陣のシーンはスピーディーだし未来都市の描写も「ブレードランナー」的っていえば言えるけれどもダークな雰囲気にマッチしてる。キャラクターは男はアクが強そうで裏もありそうでそんなキャラをベテラン揃いの役者がしっかり創り上げている。女性はヒロインの「コード044」しか出ていないけれどもスリムでスタイリッシュで裸だったりパンツいっちょうだったりして目を引き疲れる。胸は小さいけど、って大きければ良いってもんじゃないのでこれはこれで素晴らしい。触れてみたいけど触れたら即座に両断の刑だからご遠慮させて頂きます。

 会話で成り立たせるってよりはシーンとモノローグを中心にカットを積み重ねていく演出の中から、それぞれのキャラクターが置かれた事情や立ち位置が感じ取れ、そんなシーンを見ているうちにのっぴきならない運命に引きずられていくヒロインの心情に気持ちを引っ張られて宇宙へと、そして彼方へと連れて行かれる。ラストまでもが1枚絵でストップする出崎調で締められさて次回。いよいよ出てくる運命の相手との邂逅を経て人生に若くして倦んでた044がいったいどんな変化を見せるのか、頬とか染めたりするのか興味も深々なんだけれども残念にも「アニマックス」と「BS11」限定の放送なんで我が家では見られないんで、世間の評判を聞きつつDVDが出るのを待って遅ればせながらの出崎的新世界を堪能させて頂こう。


【6月26日】 「RD 洗脳調査室」にまんま出演できるかもしれないむちむち感が最近とみに出てきている浜崎あゆみさんの実にむちむちっとしたジャケットに惹かれて07年から08年にかけてのカウントダウンライブのDVDを買って眺めてなるほどじっつにむっちむち。といっても胸元がおおきく開いたドレスとかは着てないんで「ヘイヘイヘイ」だかに出た時みたいな谷間くっきり感はあんまりないけれど、女子高の制服っぽい衣装の時とかは脚がなかなかにご立派だったり「SURREAL」を唄う時のホットパンツな格好からにょっきりと伸びる脚もなっかなか。そんなビジュアルを間近に見てみたいけれども流石にコンサートには行けないし。やっぱり株を買うしかないのかエイベックスの。でもそれならアミューズの「Pefume」の方が見たいしなあ。どっち買うかなあ。時東ぁみにぃとキャナァーリ倶楽部が出てくる株主総会とかはないのかなあ。

 難破者(ナウフラガンディ)にグッと来てしまった自分に、反省。とはいえあるいは実はってな未練も残っていたりしちゃったりする萩原麻里さんの一迅社文庫初登場作「月明のクロースター 虚飾の福音」(一迅社文庫、619円)はファンタジーではなくって学園が舞台の一種のミステリー。ご近所に住んでた幼なじみな年下の莉子って少女がしばらく前に学校を逃げ出し引きこもっていたものの今は立ち直って通っているけれどどこかやっぱりおかしな所が残っている。何とかしてあげたいと兄貴分の久登は莉子の隠していることを探ろうと頑張っていた、そんな矢先に真夜中の校舎で不思議な集会をする面々に出会った。

 不明者(オスクリ)って少女らしい人物を中心に仮面を被った男女が何人か。睡眠者(ソンナッキョシ)やら情熱者(アルデンティ)や興奮者(インフィアンマティ)や愚者(アッドルメンタティ)といった面々から無理矢理に一味に引っ張り込まれた久登は何かを心配していることを見透かされたかのように憂愁者(イポコンドリアチ)ってニックネームをつけられ座に加わって、そして学園に流れているいろいろな噂を言い合いその中から1つを選んで解決するという一味の動きに巻き込まれる。もっともそれはひとつの好都合でどうやら裏にいろいろあったらしい莉子の引きこもり騒動の真相に近づける可能性があって久登は参加しつつ独自にも調査しながら謎へと迫っていく。

 そんな面々にあって仮面をはずして久登に素顔をさらけだしたのが難破者だった訳だけど眼鏡をかけた日本人形のような凛々しさと可愛さが同居したような顔立ちにすらりとした肢体は久登ならずとも惹かれそう。いろいろと忠告もしてくれる難破者を見方と信じたくなる気持ちも分かるけれどもそこは魑魅魍魎が跋扈する謎の学園、ってことでメンバーの中にある出自をめぐる対立に久登と莉子との関係にも似た幼なじみの男女の労り合いといった人間ドラマも折り込みつつ、誰が見方で誰が敵かそれとも全員が敵なのかって中で久登は真相へと迫っていく。

 いろいろとミスリーディングを誘う仕掛けもあって最後に驚くこと多し。メンバーがどうしてメンバーだったのかについては理解できても、その他の仕掛けの例えば難破者の正体とか、久登自身の立場ってのが物語の展開においてどれだけに“意味”を持っているのかは、全部を知った上で改めて読んで理解する必要がありそー。あとは不明者ってのが超絶的な美少女でそして切れ者な割にはあんまり活躍しておらずそして正体についても未だ謎が多そうで、そのあたりからさらに別の物語を紡ぎ出してくれる、ってことがあるのかないのか。まああってもそこに難破者の夜の姿は出て来ないだろうからまた別の誰か己の存在に悩み逃避している人物が現れ、その様によって懊悩を誘うような展開を期待してあるかもしれない続きを待とう。

 さすがに主力が何人も落ちていては勝てなかったかトルコ。でもドイツ相手に終了間際まで2対2で来たのはなかなかな頑張り。ドイツにいっぱいトルコからの出稼ぎが来ていて国粋的なドイツの人たちの感情をささくれ立たせている状況がずっと続いていることもあるんでトルコ国民の心を震わせつつもドイツ国民のそれでも勝ったんだからって安堵感に囁きかけるって意味ではベスト中のベストって言える試合運びだったかも。「EURO2008」。これでいったいどこが欧州なんだ、どこまでが欧州なんだって感情を呼び起こすかもしれなかった「トルコvsロシア」って決勝は回避されたけれども夜の試合でロシアがスペインを敗り決勝へと進出していつかのスターリングラードに続いてドイツを押し返す戦いって奴を、見せてくれるかもしれないと期待。ドイツとスペインってんじゃあファシストの枢軸どうしのなれ合いだからそういう方面の因縁は喚起されないけれど中にバスク人のスペイン代表選手とかいたら燃えるものもあるかもなあ。いるのかな。

 そしてようやく「紅 Kurenai」のオリジナルサウンドトラックを聞く。すばらしい。淡々として時に切なく響くピアノの清冽な音と旋律が楽しくて不安げで寂しそうな所もあったけれどもやっぱり嬉しい五月雨荘での日々を脳裡にくっきりと浮かび上がらせてくれる。耳から入ってくる音楽がアニメの場面と物語を思い出させてくれるって感覚はいつかの「灰羽連盟」とそれから「ファンタジックチルドレン」のオリジナルサウンドトラックを聞いた時と同じ。どちらもストーリーの素晴らしい作品で、物語に没入させてはどこかへと引っ張っていこうとしている力を持ったアニメーションには、音楽を耳の奥へと深く刻ませる力があるんだってことなのか、それとも音楽自体の素晴らしさが物語への没入感を高めているのか。分からないけれどもこれだけは言える。村松健、健在なり。全曲ではやっぱり「水平線の向こうに」がインパクトが強いなあ。例のミュージカルの回でみんなが唄ったあの曲。「しんくーろおさんー、てきーがー」の冒頭がすぱっと頭に浮かんで笑いが……いかん笑ってはいけないんだけれどもやっぱり笑いが……良いアニメだったなあ。

 「紅」が終わってしまって1本、次週を楽しみにする作品が減ってしまった訳だけれどもあと3カ月は「マクロスF」が続くわけだし「コードギアス 反逆のルルーシュR2」もやっぱり3カ月は続いてどこか驚愕の世界へと僕を誘ってくれるはず。次を見るまで、その次を見るまで、最後を見るまではどこにも行けないって気持ちがあれば4年間の失敗の繰り返しをまたやろうとしている面々の浮かれ騒ぎに絶望を感じていてもとりあえず生きて行こうって気だけは得られる。「あしたのジョー」の出崎統監督も言っている。「生きていれば楽しいと思えることが何かある。それを簡単に捨ててしまうのは間違っている」と。なので「だから僕にはアニメがありますアニメの続きを見たいがために生きています」と申し上げたら「彼女とかいないの? つくれよ!」と言われてうぐう。シェリルこそが彼女だ。C.C.こそが嫁だ。言ってて虚しい梅雨の空。


【6月25日】 えっと、どうしろと。いたいけな少女姿をして人を油断させつつ男は倒し女は感染させる力を持った最強の「BW−α」は巨大化して甲殻類系モンスターになったまま、冒頭の数分でサラの血を浴びて弱体化したところをナースにして傭兵経験もあるっぽいモニカのライフルとようやくにして主役っぽい所を見せ始めたシュウの拳銃に打ち抜かれて死亡し、いたいけな少女に戻って嘆いて主人公たちを嫌な気持ちにさせることもなく消えていく。何とまあ勿体ない。

 逃げ出してきたサラは助けていたいけな少女は更正の機会もないと感じて瞬殺とは。つまりは敵と味方の間に横たわる境界線の深さって奴を見た人は強く思い知れっていうことか。シビアでクールな大人のアニメに相応しいねえ。でもってヘリコプターで逃げる実験くんことキトーを車で追うシュウとアキラの無謀を笑おうとしたら、何故かヘリコプターよりも速く目的地へと到着して待ち伏せしては、車で加速してジャンプしてヘリコプターに体当たりを決めるスペクタクル。船ってだいたい喫水線から上に競り出た部分は岸壁よりも高く、甲板なんてタラップで上がらなくちゃいけないはずなのに、その上に降りようとしているヘリコプターに体当たりをかませるとはシュウの車、マッハ号みたいなジャンプ装置を積んでいたに違いない。だからこだわってぶつけないようにしていたのかな。

 あるいは海岸に甲板よりもヘリコプターよりも上にある建物があったのかもしれないけれど、だとしたらどうやってそこまで車を高速移動するヘリコプターに先回りしてあげたドライビングのテクニックに感嘆。大人は違うなあ。でもってガラス女のサラは先生の治療の甲斐あってか無事に生き延び、ポリリンちゃんの店で電撃を放ちながらもバーテン修行。全編を通じて見ると逃げてきて中華料理屋でマナカナたちの盾になった活躍と、ラストにシュウの銃弾を浴びて怪物に血を浴びせた活躍ぐらいしか見せ場のなかったヒロイン。あとはずっとベッドで寝ていた彼女こそをヤンデレの鏡と褒め称えるべきなのか。ヤンデレってそういうものだったっけ?

 分別もなにもなく無鉄砲に突っ走って失敗ばかりしていたマナミと、逆に引っ込んでばかりで自ら行動することなんて絶無なアヤカが場末中の場末ともいえる「はきだめの街」にいったいどうやって流れ着いてきて、そこで拉致されもせず脅されもしないでシュウに拾われ部屋を与えられて暮らし始めたのかって辺りも謎のまんま。ラストに流れた映像では普通に学生やってるみたいだし、平均的なお嬢様の彼女たちが辿り着けるくらいにラグス・タウンってのは人に優しい街、なのか。まあいろいろと考えてみたくなる箇所も多いけれどもモニカの色っぽさは絶品だし、悲劇に沈んだソフィアのラストシーンも美しかった。あと亀と犬。可愛いよう。

 そんなこんなで全巻の終わりとなった「クリスタルブレイズ」をDVDまで買って見てみる人はいったいどれだけいるんだろう。劇的なストーリーの改変とかもあってより緻密になっているなら見てみたいけど、普通のスケジュールで出るってことはやっぱりそのまんま、なんだろうなあ。亀と犬の活躍する特別編とかあったら良いのに。でもって来週からは「爆乳」、ではなかった「一騎当千」の新シリーズがスタート。これは見ますじっくり見ますかぶりつきで見ます下から仰ぎ見ます。でも何で裸ブレザーな呂布奉先が出ているんだろう? おかげで街で裸ブレザーが流行ってくれたら嬉しいんだけれど。究極のクールビズとか言って。

 特撮ヒーロー物の悪の組織の方にスポットを当てたお話っていったら過去には北道正幸さんの「ぽちょむきん」があり(復刊しないかなあ、続き出ないかなあ)最近でもヨコシマンさん「パート怪人悪キューレ」もあったりして(再刊されないかなあ)割にお馴染みのテーマだったりするけれどもそこに庶民の暮らしの大変さと温かさって奴を交えた話が柏葉空十郎さん「桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員」(電撃文庫)。大変な不興が世界を襲って職にあぶれた大量の人が食い扶持をもとめて世界に反旗を翻した悪の組織に入って戦闘員をしたり怪人になったりしているとか。けれども悪あれば善ありで警察が仕立て上げたピポレンジャーってのが立ちふさがって怪人を爆殺するから世界征服はなかなか進まない。さてどうするって考えた悪の組織の日本支部では大企業にあって大変な発明をした天才少女を誘拐して、発明されたものを寄越すように要求を繰り出した。

 とはいえさらったものの大暴れする麗華をもてあました組織では、下っ端戦闘員の桜田源之助にしばらく面倒を見るようにと命令。かくしてはわずかに10歳ながらも天才でお嬢様で高飛車な麗華が桜田家に居候する羽目となったもののそこはお嬢様だけあって食べ物の要求も高飛車ならテレビのリモコンも誰かに返させる高飛車ぶり。とりわけ息子で同級生の源太郎にはあらゆる災厄が降って降りて使い走りをさせられたりしてひいひい言う羽目となる。もっともそんな暮らしにあって母ちゃんの芙美枝は泰然自若。父ちゃんをいなし息子を賢し麗華すらも包み込んでいく。暴れた麗華が息子も自慢のハンバーグとコロッケが乗ったちゃぶ台をひっくり返した時にはさすがに涙も出たけれど、それを見て麗華は心を入れ直し、貧しいながらも一所懸命に生きている桜田家の姿から自分の母親を想い家族の有り難さに気づいていく。

 何で逃げないのとか所属していた組織はその後どうなったとかピポレンジャーたちの執念がこの後に迫る可能性はないのかといった悩みもあれこれ浮かぶけれどもそんなことをさしおいても、家族ってものがどんなに素晴らしいかを思い出させてくれるストーリーは心に響く。2年も前のサッカー雑誌を読みながらボールを蹴る練習に励む源太郎の姿も泣かせるし、家族を守ろうと死ぬ覚悟でピポレンジャーに挑んだ父ちゃんに従って母ちゃんまでもが死のうとする姿も感涙もの。そこを救ったのがかつて母ちゃんが父ちゃんに送ったトンカチだったりするのも麗しくって美しい。そんな様を見せられたらさすがに我が儘放題な少女だって、というか我が儘にならざるをえなかった原因を突きつけられる結果になった少女だからこそ心に響くものも大きかったってことで。とりあえず落ち着いたけれども悪の組織はまだまだ続くし正義の味方も雌伏中。間にあって行き場を喪った格好の桜田家にどんな未来が訪れそこで麗華はどんな行動に踏み切るのか。続きがあるならそんなところ、読んでみたいねえ。

 いやあ驚いた。今や幻となってしまったフリー漫画週刊誌「コミックガンボ」にあって毒の入りっぷりでは群を抜いていた足立淳さん「人間噂八百」って漫画は健在者物故者を問わず芸能人文化人を俎上に上げては彼ら彼女たちにまつわるエピソードを引っ張り出して語り倒してああそんなこともあったと記憶を刺激し喜ばせるなり、そうかそうだったのかと驚きをもたらし嬉しがらせてくれたんだけれど当然というか残念というか「コミックガンボ」は1年を待たずして休刊に。それとともに「人間噂八百」も幻と消えてしまうのかと想っていたら何と単行本化されていたとは今日の今日まで気が付かなかった。いやそれだけならまだ良いんだけれども刊行した版元が産経新聞出版で、発売もとが日本工業新聞社ってそりゃあ灯台もと暗し。4万キロと地球で1番離れた場所とも言って言えないこともないけれどもそれでも「ガンボ」作家の行く末を気にしていた身には、当然ながら目に入っていてしかるべきだった。不覚。しかしやっぱり面白いので見つけたら救出よろしく。僕のボーナスにはつながりません。しかしやっぱり似顔絵、あんまり似てないなあ。


【6月24日】 高邁で崇高な魂を持った先輩に憧れる下級生の静かに燃える(萌える?)恋心ってな話かと思ったらとんでもねえぜ森奈津子さんの「先輩と私」(徳間書店、1600円)は、好色な文学を研究するたった2人のサークルに入った光枝って後輩ちゃんが阿真理って先輩に憧れながらも先輩のオナニー至上主義という壁に阻まれ近づけず、もだえつつ創作に励み慰めにも勤しんでいたところにライバルというか、阿真理先輩が前にいたエロティシズム満載な文学を研究するとはまあ名ばかりなレズビアン少女たちの集うサークルからのちょっかいがあって、光枝は誘われのぞいて華代ってお嬢様な会長に慕われそれをどうにかして振り切ったもののちょっかいは止まらない。

 そこに起こる下克上。エロ研の方で自分に振り向いてくれないとサディスティックな後輩の瑠璃ちゃんが逆ギレして、華代会長を拉致して脱がしてテーブルにしたり引っ張り回したりしてとやりたい放題。そこに既に瑠璃に弱みを既に握られていて呼ばれた好色研の光枝は、華代との絡みを強要されつつ嬉しさも半分くらいに絡んだところを写真に撮られ、阿真里先輩に送られてしまって自慰こそ女性を解放させると頑固に主張する阿真里の方針に合わないからと退部を迫られ泣く泣く身を引く。

 一方で華代は瑠璃にしたい放題にされていたけれども悪いことは続かない。反抗があってそして何というか絵にしたらとんでもない事態というか痴態が繰り広げられては光枝と阿真里との関係に新たな進展が生まれるという、終わってみれば確かに先輩と私の甘いラブストーリーなんだけれども間に繰り広げられる官能描写の何という激しさ凄まじさ。カバーを外したら表紙とはまた違ったイラストも描かれているけれど、そんなものすら大人しすぎてあまやか過ぎるくらいに汗ほとばしり、肉揺れ液垂れるシーンが繰り広げられるんで、そういうのに免疫のない人は知らず手が下へと降りないよう、後ろ手にしばってから読むように。どうやってページをめくれば良いんだ。四つん這いになって下でぺろり? それもまた凄まじい格好だ。

 それにしても瞬間接着剤を使うと本当にそんなことが出来るのかってのが驚き。試してみたくなってもそりゃあ不可能な訳で女性が自慰行為によって感じる官能の深さ、遠さ、広さ、激しさ、際限のなさも含めて想像するしか他にない。作者は試したんだろうか。あのリアルな描写はあるいは試しまくったのか。謎。それで無事だったのなら良いんだけれど作家的想像から生まれた描写なのだとしたら、表紙のいかにも純情ロマンティカな表紙絵につられたいたいけな婦女子が、読んで刺激を受けて100円ショップで瞬間接着剤を買ってきて、垂らして開いて張り付けてそして生まれる悲劇、みたいなこともあったりするかもしれないんでここは「危険、真似するな」と帯に書いておいた方が良いのかも。でもそれをやっちゃうと間違えて買ってしまういたいけな婦女子もいなくなるか。悩ましい。そこだけ作られた人形で試す? でも高いしなあ、あれ。

 ふいんき、じゃなかった雰囲気の連鎖で涙を誘おうとしているんだろうか小島夕さんって人の「あの涙は、この碧につつまれる」(徳間ノベルズEdge、819円)は、まずもって田舎から出てきた大学生の女の子が、何にもしないでただ集まるだけの微温的なサークルにいる男子が目当てという同級の女の子から誘われついていって、一緒にサークルに入ってそこで恋愛っぽいものを体験していたら実は過激派の隠れ蓑的なサークルで、解散となって静かな生活に戻ったかというとサークルで知り合った男と同棲を始め、それでも大学には行っていたものの男はほとんどヒモ状態で女子大生を束縛する。

 遂に愛想を尽かして怒鳴ったら逆ギレされて首を絞められ哀れ司法試験を受ける夢もすべてが雲散霧消し彼方へと昇天、光の中へと行ったと思ったらそこで切り替わってなぜか高校生の少年が飼い犬を探しに出かける際に、母親の車を使ったら良いって同級生の少年に言われ、運転はその少年がしていたんだけれども携帯電話をかけならがの危険運転で衝突、大破、そして運転していた少年とその彼女は助かり助手席にいた犬を探していた少年だけが死んでしまって光の中へ……と行ったら場面も切り替わって運転していたのに助手席の少年を運転席に引っ張り責任をおっかぶせた少年の主観になり、さらに助手席で死んだ少年が心惹かれていた少女の主観へと向かう。

 さらに母親との不仲から家を出た自分を「アタシ」と心で称する少年が、年上の女性の家に転がり込んでそこでアルバイト先のエステサロンの娘と仲良くなるんだけれども彼女もいろいろ複雑な事情をかかえているようでそして……ってな感じに唐突に切り替わってつながっていく様々なエピソードが、様々な人間の色々な関係ってやつを見せつつ幸せな人生って何なんだろうって思わせてくれるんだけれども、ひとつひとつの人生を語り倒して感涙を誘う作品もあるなかで、連作という形ではなくひとつの続きの物語として描き出した意味ってのが雰囲気の畳みかけによる情動の喚起なのか、それともずらしつつ重ねることでしか味わえない深淵な味ってものがあるのかを、もうちょっと読み込むことで考えてみたいもの。押井守さんが推薦しているのは何だろう、起承転結のドラマというフレームから抜け出して、関係性の断片が空気のように漂う雰囲気が好きだからなのかなあ。どことなく「スカイクロラ」っぽいし、空気感だけだけど。

 新宿へと仕事で向かう途中に立ち寄って秋葉原で「空の境界」の「殺人考察(前)」を購入。ゲーマーズとかとらのあなとかアニメイトかで揃えるとテレホンカードとかもらえちゃうみたいだけれどもそーゆーのって、もらってもすぐにどこかへ行ってしまうから別に良いのだと最初のを「石丸」で買ってしまった人間の負け惜しみ。前ん時は後になって気づいた作品に出ているボルヴィックにハーゲンダッツのストロベリーを店頭で購入者に配っていたけど今回も何かおまけにつくのかな。あれから3度ばかりボルヴィックにハーゲンダッツのおやつを食べて片手でハーゲンダッツのフタを開いてフィルムを口で外す技を覚えたのであった。もう使う機会もなさそーだけれど次もやっぱりハーゲンダッツで今度はチョコか何かだといろいろ味を楽しめて嬉しい。明日あたりに再び秋葉原を散策してみよー。

 一緒に買ったのが「CLANNAD」のDVDって辺りにも身の腐れ様が分かるってものだけれども、同時にメジャーなラインからではない、同人だとか美少女ゲームの分野から出てきたクリエーターの作品が人気でも売れ行きでもメジャーを上回って来ている状況も感じられるこのセレクト。ライトノベル系の小説が原作のDVDもいっぱい出ているけれども今ひとつ、インパクトが無い中で独特な完成とストーリーでもってこうした作品群がわしわしと出でてはメジャーなラインを形づくっていく。マーケティング力ではなく作品力、って根本の所がやっぱり必要とされているんだろうなあ、今時は、というか今だからこそ。食傷するより意外性。そっちに掛けたいんだよファンも。

 関連といえば「先輩と私」と一緒に買ったのが世界初のツンデレが病気でつまりやツンヤンデレデレな少女が主人公の篠房六郎さん描く「百舌谷さん逆上する」の第1巻だったのが内心の腐れっぷりを表しているようで後になって自己嫌悪。でも好きなんだから仕方がない。それんしても凄まじいなあ百舌谷さん。こうまで凄まじいとはツンデレは確かにいたわり慰め保護し観察して封じ込めておくべき病なのかも。好きな相手には好きな気持ちを暴力で示し、嫌いな相手にはやっぱり嫌いだからと暴力を加える、この行動の間にある明確な違いって奴を感じ取っては受け止めていくのがツンデレと付き合い生きていくために必要な道。命が幾つあっても足りないかもしれないけれど、そこは名誉を思い頑張るのだ少年。問題はしかしまるでデレデレとしないのにどーしてツンデレって呼ばれるか、だなあ。

 巻末には「げんしけん」の付録につけた同人誌に収録されてた、篠房さんが後輩の集いに行ってボコボコにされるエッセイ漫画が収録されている上に、表紙を剥がすとその続編めいたものも収録されてて世代に間に横たわる、オタクという言葉が意味するものの決定的な差って奴を突きつけられて思い知る。熱、ではなくネタ、な時代に向けて作って収益も稼がなくちゃいけない人たちは大変だ。ネタ的なものとして出して一瞬は賑わってもすぐに消費されてしまうし、かといって作品として出しても受けてもらえないし。私的録画補償を欲しがる訳だよ業界。それにしても篠房先生は巨大な乳の持ち主なのか否かがさらに判然としなくなったエッセイ漫画。果たしてどっちなんだろう。どっちだって良いけれどもどっちかといえばおばさんでもあっても巨乳が良いなあ。おっさんで巨乳は嫌だなあ。それはただのファットマン。巨乳と言えば「仮面のメイドガイ」のDVDもそういや出ていたけれどもこちてゃ流石に買えません、買えられません。でも相当の理由があれば……どうなっているのだ各種シーンは。


【6月23日】 「バンダーブック」も「ブレーメン4」も「プライムローズ」すら放送されなくなって久しい昨今では、いくらエドはるみさんが24時間をグーグー言いながら走ろうとも、あるいはごくせんが視聴率も下がり気味の中で最後の徒花を咲かせようとも興味なんてそそられないまま見ない可能性が大な日本テレビ放送網の「24時間テレビ」だけれど、記者発表の様子がメディアなんかで伝えられるのを見て出演者が着ているTシャツが村上隆さんのデザインだったりするのに今さら「カイカイキキ」かよとかって気分も浮かんでもわもわ。

 そりゃあキャラクタービジネスの常識だったら生まれたキャラクターを長くながーく育てていくためにあちらこちらに継続して露出を図って不思議はない。けど常に新しいアイディアでもって勝負をかけるのがアーティストって奴の習い性。24時間テレビなんてど派手な舞台を得たんだんだったら、アーティストとして24時間くんだの何だのをデザインして、やや権威化している「24時間テレビ」を逆手に取るよーなアイディアを見せるのが、かつて「加勢大周Z」とかを組織して、テレビメディアの本質そこのけで些末なことに熱中してみせる浮かれっぷりを茶化してみせた人の取るべき道って気もしない。フジテレビジョン系の「27時間テレビ」にもキャラクターを提供してみせるとか。目ん玉マークをこっそりと紛れ込ませてみるとか。

 けれどもそれは未だ無名な人が世間に喧嘩を売るための早道みたいなもの。すでに名のある人はだから見た目にどうでも良ささが漂う、ミッキーマウスとかハローキティとかいった歴史に残るキャラクターとはまるで正反対に、決して万人から好かれないだろうキャラクターをこれが16億円アーティストの渾身の技だってことで提示してみせてはいはいそれは有り難うございますとっても素晴らしいキャラクターですって感じに、崇め奉るテレビメディアに広告会社とそれから「24時間テレビ」の視聴者を、裸の王様然と笑いのめしてあげようってタクラミがここにはあるんだと理解しておこー。決して今あるキャラクターを間に合わせに提供してそこからロイヤリティ収入を得ようなんて考えたんじゃないって。ってかどうなるんだとうこの場合。チャリティでもしっかりロイヤリティは抜くのかな。フリーとして提供して喧伝効果だけを狙うのかな。

 というか「コードギアス 反逆のルルーシュR2」、天子様への大宦官たちによる不敬きわまりない言動も大暴動の一因になっていてそれが「黒の騎士団」が瀬戸際で大逆転できた戦果へとつながっていることをまるで忘れて、天子様を誰かどうでも良い日本人と結婚させようだなんてすぐに言い出せるディートハルトもディートハルトなら、その言を受けて玉城あたりの名前を浮かべるゼロことルルーシュもルルーシュ、ともに目先しか見ていない間抜けな参謀と王様にしか見えないんだけれど幸いとゆーか、周囲に男と女の恋路についての情勢を分かっている人たちがいっぱいいて、更なる反乱を招くよーな事態は避けられて一安心。とはいえこれで落ち着いてしまった中華連邦でのエピソードが減って愛らしい天子様が出てこなくなるのは残念なんで、幸せにも見目麗しくなった天子様を星刻とのラブラブな姿って奴をどんどんと描いていって頂けたら本望。アーニャじゃ体型はともかく性格に明るさが足りないし。

 そのアーニャと接触をしたC.C.が見たビジョンはいったい? ルルーシュとナナリーとマリアンヌの一家と関わりがあったよーに見えたんだけれど見た目の歳から想像すると子供時代に接触していたとしか思えない。ならばナナリーはともかくルルーシュは覚えているはずなのに記憶にはなさそー。一方でアーニャもデジカメでぱしゃぱしゃと取りまくる行為を記録ではなく「記憶」といってみたりするところに、人間としてどこか歪んでいるなり壊れている部分を持っていそーでそれがC.C.を戸惑わせた正体に、つながっていたりするのかもしれない。伏線はちゃんと回収していって欲しいね。おやおや次回はアーニャにジノもそろってアッシュフォード学園に転校か。誰かを守る訳でもないしどこかに戦いを挑む訳でもないのに帝国屈指の戦力を、スザクも含めて3人まとめて張り付けるだけの価値がある、と。そんんあに凄いのかミレイ・アッシュフォードの爆裂は。次回のパーティーに期待だ。「BIGLOBEストリーム」での無料放送で見られる30秒予告のイカレっぷりから想像するに楽しそうな場面が満載みたいだし。しかしどーゆー予告なんだ、アレ。

 目新しいところだと「教団」ってのが出てきたことか。C.C.がV.V.にリーダーを譲ったとかどうといったコメントが聞こえたけれどそーゆーものが国々とは別にあるってことなのか、でもって何を教義にしているんだ、っていうかどーしてC.C.はあっさりと捕まった姿で現れたのか。考える所は山ほどあるねえ。そんな会話をソファーに寝転がっている時のC.C.のお尻。相変わらずに丸かった。もっと丸を。亀甲縛りにされて転がされていたカレンはブリタニアまで運ばれるのかな、それともジノたちとまとめてエリア11送りか。そして偽ルルーシュ。あんなことして後でいったいどんな事態が起こるのか。直前の本物との会話につながる積極性が意味するものを解釈したシャーリーはどんな行動を取るのか。脇を突っ走っていたシャーリーがいよいよ本筋に戻ってくる、のかな。こっちも期待だ。でも天子様をもっと出すんだ。コーネリア様ほんとうに出ないなあ。

 化けたアサウラさんはさらに大化けの様子。半額弁当をめぐる攻防を描いたバトルアクションコメディ他いろいろな「ベン・トー」の第2巻「ベン・トー 2 ザンギ弁当295円」(集英社スーパーダッシュ文庫)はどうにか仲間にしてもらった「氷結の魔女」こと槍水仙がいるクラブに入っていっしょに弁当バトルを続ける佐藤洋の従姉妹が参上。何と彼女も半額弁当を狙う「狼」のひとりで二つ名「湖の麗人」を持つ強豪で、「氷結の魔女」を相手に戦いを挑んでさあさあ始まる佐藤洋を挟んでの恋の鞘当て合戦かと思ったら話はもっと別の、半額弁当界を牛耳ろうとする勢力の陰謀へと向かっていっては、これに立ち向かわざるを得なくなった佐藤洋の決意と成長って奴がぐわっと描かれる。

 とあるスーパーの半額神にして元「狼」とゆー若き人妻のジーンズ姿のお尻を目の当たりにして妄想をふくらませたりする唐変木ながらもあれてなかなか強くなってた佐藤洋だけど敵は強大、っていうか「狼」の名を重んじて不正からも不当からも無縁といった潔癖さとは正反対にいる敵を相手に戦うのってなかなかに大変そう。半額弁当愛好家たちの実力だったらのさばる前に叩きつぶしていて不思議はないのに増長させてしまったのは、そんな奴がまさかいるとは思わなかったって油断があったのか、それとも我関せずを決め込む孤高の奴らだったからなのか。そのあたりがちょっと分からない。

 まあ奪取した半額弁当の絶品ぶりとかけられた努力の素晴らしさを讃える口を持ちながらも、それを正価で買って敬意を払うってことはせず、売れ残りという作り手にとっては嬉しくない状態になったものを半額にで買うことに血道をあげる「狼」たちだ。どこかに捻れた感情もあって正義を貫く戦いにすぐには臨めなかったのかも。想像だけど。キャラクターでは佐藤洋とスーパーで出会って最初は盛大にすっ飛ばされてた白粉花が腐ぶりを炸裂されてあれやこれやと繰り広げる妄想が愉快。それでいながか間隙を縫ってしっかりと半額弁当を手に入れるスキルも身につけている。侮り難し。そして白梅梅。生徒会長にして白粉花好き。可愛いもの好き。だから好きなものが歪められると怒り醒めた顔と口調で激しい攻撃を加えて来る。佐藤洋なんて小手先で捻られ「湖の麗人」も恐怖に震えてもて弄ばれるまま。あるいはシリーズで最強なのは彼女、白梅梅かもしれないけれども半額弁当争奪戦の場というのはそれで違った空気の中、違った心境を持って戦うものだから単純には比べられないか。見てみたいなあ槍水仙対白梅梅。


【6月22日】 ひたすらにチチステン・モミスーナイダー教授の法則を検証するよーなエピソードの平積みで、それは目にも楽しいシーンが連続しては脳天を花園の境地へと誘ってくれたけれども肝心のストーリーの方はまったく進まない中を、何か一気に最終回になってしまってポカーンな「仮面のメイドガイ」。仮面舞踏会だから誰が来ているのか分からないよって誘っておいて、お出迎えの時にはなえか様ってな到着の名乗りを高らかに上げ、パーティーでも祖父の誕生日のお祝いをしろと壇上に名前を呼んで引っ張り出していては仮面も何も意味がない。そんなあからさまっぷりが実はなえかや弟が入れ替わっていることを気取らせない効果につながっていると、言っちゃー言えるかもしれないけれど、そーしたシリアスな展開をどーしてこれまで微塵も挟まなかったのか。最終回になっていきなり謎のメイド忍者を田中敦子さんのお声で引っ張り出して来たって、これが終わりとなっては何の興味も抱けない。

 原作だとたぶんいろいろとメイドたちの所属や出自に派閥があってそれで対立とか融和なんてエピソードなんかをメーンにしながら、お色気ギャグが繰り広げてたりするんじゃないかって想像をしているんだけれどどっちにしたってこれで打ち止め。動く仮面の忍者メイドの大活躍が見られる訳でもなければ、フブキさんのドジっ娘メイドぶりが爆裂する訳でもない。まあそれでもこの12回くらいをいろいろと、楽しませくれたことだけは有り難いと思い、録画した分を見返しては揺れたり弾んだり跳ねたりするそれぞれとかあと白やらピンクやらのアンダーなウェアの百花繚乱を、懐かしみつつ味わうことにしよー。DVDならそんな百花繚乱がさらにくっきりと見えるから買うべきだって? 別に脱げるわけでもないのにそれだけのためには買えません。倍揺れてる? そりゃあ見物だけれども同時に不気味。まあそれなりの特典映像でもあればと期待して状況を見守ろう。30分間揺れっぱなしとか。うーん、やっぱり買わないか。

 ふと目覚めるとロシアが大変なんことをしでかしてた。あのオランダに1点差。まあ1点くらいはすぐに叩き返せるチームだってことをグループリーグでは見せてくれていたオランダだったんだけどもトーナメントに上がって最初のこの試合、動き出しも今ひとつなら全体に間延びした感じもあってなかなか得点の手前まですら届かない。サイドの崩しがまるでないってのはどういうことだろう。そこはそれ、世界のファンニステルローイ選手が飛び込みざまに叩き込んで同点に追い付きさあ反撃って雰囲気だけは作ったけれども延長に入っても相も変わらずどろんとした雰囲気で、対してロシアは延長も後半になっても元気いっぱいに走り込んでは幾度となくチャンスを作り出す。

 とくにアルシャヴィン選手。ロシアのマラドーナ? 略してロシドーナ? いや知らないけれどもロシアでも強くなったのは最近というゼニト・サンクトペテルブルクのエースで代表の10番としてツンドラの大地に祖名を轟かせてはいたんだけれども西欧にはまだまだそれほど関心をもたれていなかった選手が、圧倒的なドリブルのスピードとテクニックとそして得点力でもって一気に名前をアピールした。大会が終わったらきっとあっちこっちから引く手あまたとなるんじゃなかろーか。そんなテクニシャンを擁しながらも彼1人に頼らないのがヒディンク流。とにかく押し上げフォローを怠らず終盤になってもゴール前に2人3人と走り込むそのスピードとスタミナは、6年前の「FIFAワールドカップ日韓大会」での韓国にも並ぶ凄みがあってよくぞヒディンク、ここまでチームを創り上げて来たもんだと感嘆する。2年前の「FIFAワールドカップ独大会」での豪州も最後まで諦めないえ走るチームだったよなあ。そんなチームを目指したはずなのに我らが日本は知らないうちにエクストラキッカーを仰ぎみつつ待ち受け渡す連続のみのお洒落なチームに戻ってしまったよ。これが彼我の差か。いやもう比べるだけ失礼か、オランダに買ったヒディンクとアジアの3次をひいひいやってる岡田サンでは。

 しかしグループリーグで絶好調だったポルトガルにクロアチアとそしてオランダまでもがトーナメントに上がったとたんに敗退とはサッカーって分からない。いやグループリーグの圧勝でピークを越えてしまった反動が出ての敗退ってことなのか。まあクロアチアの場合はトルコ相手に間際まで勝ってた訳だからこれは勝負の運って奴。ポルトガルは監督の移籍が発表になって気が抜けてしまったのかな。オランダはメンバーを替えて臨んだ反動が勝負勘に働いたか。だったらスペインもやばいかな、オランダと同様に勝ったものの主力が試合から1試合分、離れてしまってた訳だから。でもってイタリアがとりあえずスペインに勝つなりスペインが勝つなりしてロシアを相対して破れてそして、一方ではドイツがトルコに負けたとしたら決勝はロシア対トルコっていったどこがEUROやねん、これもEUROやねん的な雰囲気が醸し出されてちょっと面白そう。商売的には今ひとつだけれど。ドイツとイタリアの決勝で枢軸対決ってのも愉快かな。ドイツとロシアでいつかのリベンジってのもありか。いずれにしても残すところも少なくなってこれからが楽しいEUROを見ていたら夜も眠れない。昼間に寝れば良い。箴言。

喉元過ぎても熱さ忘れずなお盛り立ててくれる地元に感謝を  せっかく埼玉方面に行くんだからと足を伸ばして鷲宮神社。降りしきる雨に遠ざかっているムーブメントってこともあってすでに閑散としているんじゃないかと思っていたらこれがどうした、駐車場にはイタっぽい車が止まり10人くらいがあれやこれやと歓談しているTシャツ姿の参拝客も大勢ではないにしろ絶えずにちゃんと訪れる。例のイラストがはいった絵馬もびっしり。日付も新しいものが多くって土日ともなれば晴天ならそれなりに参拝客がやって来ていることを伺わせる。絵馬の形に合わせてイラストを描いてプリントしたのを持ってきて、絵馬に貼るのも流行っているのかな、その場で描いたんじゃなくってとっても綺麗なイラストが貼られたものが一杯飾ってあった。流石に入らすと入りの絵馬は売れないけれどもそれならばって考える、これがファン魂って奴か。

 前に言った正月はまだ店が開いていなかった鳥居前の大酉茶屋でついでだからを蕎麦をたぐる。その名も「冷やしこなたぬき」。つまりは冷やしたぬきそばで流石に入り口で前払いする時に「冷やしこなたぬき、ください」とは口ごもって言えず「冷やしたぬきを」と日和った自分がちょっと寂しい。ここで言えるかどうかがやっぱり本物と偽物の分かれ目か。味はなかなか。そばに歯ごたえがあって駅のスタンドなんかで食べるものとはまるで違う。ちゃんと作ったものだった。熱い奴だと「こなたぬき」になってほかにメニューだと「かがみの鏡餅うどん」とか柊姉妹の双子海老天そばとか黒井先生の関西風にしんそばとかあって楽しそう。30歳になった人なら「あきらの味噌路うどん」がおすすめか。分かってるねえメニューを作った茶屋の人。デザートは「司のバルサミコ酢パフェ」ってのがあるけどバルサミコ酢のパフェってどんなだ。チョココロネはないみたい。

 茶屋では座敷みたいなところに上がって何人かが食べていたんだけれど大声で騒ぐ人もいなければ踊り出す人もおらず静かなもの。飾ってある「らき☆すた」関連の色紙やグッズの写真は撮っても手に取り持って逃げ出すような不届き千万な輩もいないのは、つまり常識の範囲内で振る舞う大切さって奴を誰もがちゃんと認識している現れか。傍若無人を特権と思い妨げられると騒ぐ輩の突出が結果として場を狭くしていることを分かっているんだろー。長く楽しみたければそれなりの振る舞いを。コミックマーケットとかで学んで来たはずなのに秋葉原ではそうじゃなかったのは何だろうなあ、断絶って奴なのかなあ。

 平日に久喜の市役所までいかないともらえなかったはずの住民票が茶屋では日曜日でも交付してもらえたんで早速1枚を拝領。こりゃなかなかに良いもんだ。実際、遠方からはるばるやって来れるよーな人は土日の休日を使って来るものなのに肝心の住民票をもらいたくても役所が休みでは可愛そう。そこんところに配慮して頂けてるってのはつまり現地の人も本気で「らき☆すた」を核にした町おこしを考えてくれている現れなんだろー。アニメの放送が終わって9カ月が経ち、一時のような騒動も消えて潮が引くように寂れていっても不思議じゃないのにちゃんと現地にいろいろと楽しめる場を用意してくれているのは有り難いこと。そんな地元の期待と心意気をぶち壊し裏切っては元も子もない訳で、訪れる人は楽しみながらも場を理解して振る舞い、仲良く1日を過ごすってのが良さそう。次に賑わう時があるとしたらやっぱり8月のコミケシーズンか。それとも秋のお祭りとかに合わせてオフィシャルなイベントとかあるのかな。その頃を狙ってまた行こう。好きだな僕も。

新幹線はないのとは聞かないように。大人の事情って奴だから  時間がありまくりだったんで鷲宮から久喜を経て大宮まで出て「鉄道博物館」を見物。懐かしいL特急、って言うんだったっけ、特急電車の車両がまんま残されていて座席に座ると今にも走り出しそうな予感にわくわくする。これが電車の楽しみ、ここではないどこかへと誘ってくれる存在への期待感って奴は身に染みついて忘れられないものなのだ。ブルートレインの寝台車も飾ってあって入れなかったけれども窓から中を覗くとああこれは鹿児島に行く時に乗った「はやぶさ」と一緒だと懐かしさもわき上がる。あれは中学2年生くらいの時か。祖母の見舞いに行った時は81年でその時は飛行機で行ったのか。川内市の病院の側にあった本屋で「SFマガジン」の10月号を買った記憶だけは何故かくっきり覚えている。あと山田ミネコさんの表紙絵の「派遣軍還る(宇宙塵版)」も買ったんだっけ。その辺りからSFをしっかりと読むよーになったんだよなあ、なんて記憶も引っ張り出された鉄道の空気。いやあ鉄って、本当に面白いものですね。

 さらに時間をぶっつぶしてから「埼玉スタジアム2002」でFIFAワールドカップ南アフリカ大会に出場するチームを決めるアジア第3次予選のバーレーン戦。えっとこれはEUROで繰り広げられているサッカーと同じサッカーなのか。攻め込まず走らずパスが回らずフリーキックも決まらない。あまつさえ中村俊輔選手はPKを外しこのまま引き分けで終わるのかと思われた終了間際に、巻誠一郎の合気だかスタンドだかが相手GKのミスを誘い得点が入となってかろうじての勝利。だけれども総じて得点が奪える感じがしない戦いぶり、というかそれ以前にEUROで見られるよーなスペクタクルの感じられない戦いぶりに彼我の差って奴を改めて強く思い知らされる。

 俊輔選手はいったいフリーキックを何回、相手のディフェンダーに当てたんだ。逆にバーレーンの選手のフリーキックは無回転のボールがぎゅーんとゴールイン迫って恐ろしさ抜群。外れはしたものの何発も撃たれたらいつかは入ってしまっていたかもしれない。これを見せるはずだった本田圭佑選手は存在感があったりなかったり。いくらクロスを入れたってヨンセン選手も杉本恵太選手もいない代表で、唯一あてになるゴール前への飛び込みが得意な佐藤寿人選手を真っ先に替えてしまうんだから岡田サン、やることなすことすべてが分からない。巻選手の投入だけは分かったけれど、気合い注入、それだよね。

 玉田圭司選手のワントップの後ろに寿人選手をつける布陣が新聞なんかに出ていたけれど、試合になると佐藤選手が前戦にいて玉田選手は中盤どころかディフェンスのライン近くまで戻ってボールに触っている始末。それでフォワードの仕事が出来るのか。チャンスになるとそれでもゴールの側にはいるんだけれど枚数の足りなさがオランダ戦でのロシアみたいなチャンスをあんまり感じさせない。最初っから巻選手のワントップに当てて佐藤選手が飛び込むよーな布陣にすれば良いのに。内田篤人選手のクロスはなかなか決まらず安田理大選手のドリブルも切れ込めず、俊輔選手の飛び道具も不発な試合でよくもまあ勝てたのは相手の主力もあんまりいない消化試合だったから。これで本気が揃う最終予選でいったいどれだけの力を見せられるのか。やっぱり見せられないのか。しっかりと考えるべき時に来ているなあ。EUROが終わって監督シャッフルもあることだし。チャーンス。


【6月21日】 指し示された道は3つ。ひとつは父親にわびを入れて歌舞伎役者の家を継ぎ、兄弟子が言うようにパイロットが好きな自分を演じているくらいに芝居の血が濃い我が身の程度を知って芸に精進する道であり、もうひとつはアイドルとしてめきめきと人気を上げてランカ・リーの誘いに乗って誕生日のプレゼントを受け取って、仲を深めて兄のオズマ・リーのやっかみを受けつつかわしつつ幸せな恋愛生活を送る道。だけれども早乙女アルトは兄弟子の挑発は無視し、ランカの誘いはミハエルを使わしてかわしつつシェリル・ノームの誘いにのって、大気があるという惑星へと慰問に向かうシェリルに付き従って宇宙を越える道を選ぶ。それがどこまでも続く空を飛びたい、つまりはあらゆるくびきから抜けだし自由になりたいという自分の願望をかなえるための道だと信じて。

 なんちゃって。きっと事はもっと単純で親父は嫌いだし今さら帰るのもしゃくなんで完全無視。あとは誕生日は敢えてランカに祝ってもらうものでもないと朴念仁ならではの理解でやり過ごし、いちばん面白そうなシェリルの護衛を選んだだけって所なんじゃなかろーか。もしくは直接迫ってきたシェリルの前屈みでは下に垂れ下がり、直立して持ち上げれば谷間もくっきりな部位に目を奪われたとか。さすがにスクール水着姿ではナナセの方が体躯も立派だったけれど、ナナセがすぐ隣にいないとあれでシェリルもなかなかな持ち主って思えても不思議じゃない。手で持って離した時の音も肉弾がぶつかるようなびちゃっとした立派に重力を感じさせる音だったし。

 っていうかアニメーションだとぼよよよよんとかいったいかにもな擬音が使われて不思議じゃない場面を、しっかりとリアルな肉打音にしたところが「マクロスF」のリアル指向ぶりの発露っていうか。問題はそれをどーやって収録したかだよなあ、声優さんでも立派な人に一肌脱いでもらって持ち上げ離して起こる「びたーん」音をガンマイクで拾って収録したのかな。だとしたら音響監督の人を心より尊敬するんだけど。あるいは総監督のお尻を裸に向いて平手で叩いたってんならそれはそれで立派な振る舞いと誉めて差し上げても構わない、かも。想像するのも不思議なビジュアルだけど。とりあえず出張先でも一波乱ありそーで永遠の17歳プラスアルファなシェリルのマネジャーが何のためにいろいろ仕込んでいるのかも含めて、少し明らかになってくれるんじゃないかと期待。でもまたバレーボールの放送があって放送時間が定まらないんだよなあ。予約しても気を抜かずにチェックだ。

 突発的でもせっかくの機会と思い原稿を書くために神保町へと出向いて「TURRYS」で原稿書きをしていると、腕をうごめく虫の感触があって確かめると体長がまだ1センチに満たない小さな百足がはっていた。神保町の界隈で取りつかれたかそれとも自宅からずっと持ってきたのかは分からないけど、自宅は既にして虫の巣窟と化していて、遠からず王蟲も出現するんじゃないかってくらいの腐海っぷりなんであるいは家に育まれた百足が背中に潜り込んで、神保町まで付いてきたのかもしれない。長旅だったねえ。でもってささっと原稿を創り上げてから近所の書店を散策。一迅社のライトノベルの文庫も新刊が出ていたけれども荷物になるんで拾わず、古本屋で神戸さくみさんの写真集の所在を確認したもののこれも拾わず適当に眺めてから表参道へと向かい、吉田カバンの店で肩ひもが根本からぶっちぎれたポーターのタンカーシリーズの中型ダッフルを、持っているのとは色違いのグリーンバージョンにしてで購入する。とりあえず月曜日からの仕事の体制は整った。

 聞くと7月から吉田カバンの製品は軒並み値上げで、とりわけ昔からあるタンカーの値上がり率は大きいそうなんで買うなら今の内が吉。リュックとかも欲しいけれども使う機械もないからなあ。それより手持ちのタンカーを修理に出す方が先だ。それにしても何でも値上がりの辛い時代。給料も値上がりして欲しいところだけれど収入も上がっていない一方で、原料代の値上がりを受けた製品への価格転嫁が用意ではない業種なだけにしばらくは厳しい状況が続くんだろー。こんな時こそ経営資源を集中して無駄な出費を抑え派手な割に効果の薄い宣伝とかはしないで地道に牙城を死守するのが理にかなった行動って気もするんだけれど、そういう決断ってなかななの勇気がいるもの。ここで並以下の経営者だったら売る品物を増やして数を稼いで見かけの収入を増やす方向へと走ってしまうものらしい。

 でも戦力を分散して創り上げたものなんてクオリティ的には底が知れてるし、新製品を売ろうとして放ったPRの費用分を取り戻すには時間もかかる。売れず出費ばかりが嵩んだ結果がどうなるかは瞭然。そんな愚作が身近なところで繰り広げられる可能性は限りなくゼロに近いだろうけど、もし仮に知ってる範囲で行われようとしたならその時は、可愛そうなことになったなあと心よりの同情を送ることにしよー。自分たちは安全地帯にいるんだと信じて。いるよね?

 鉄球をぶん回していたのが修道院へと移ってやっぱり迫る刺客を相手に鉄球をぶん回す羽目となったものの危機一髪だったところをどうにかしのいだエミリー姫がそれでも続くだろう敵の攻撃を防御するには攻撃が1番とばかりに仲間を引き連れ都へと向かい弟の王を担いでエミリーを亡き者にしよーとする宰相の家へと乗り込んでいく八薙玉造さん「花園のエミリー 鉄球姫エミリー第三巻」(集英社スーパーダッシュ文庫)は新たな外敵の襲来もある上に内政面でもエミリーとは別に王位継承権を持つ一族があらわれ事態は複雑怪奇。自分が狙われる原因は王位継承権を捨てる宣言をしていないことにあったと言って神仏(仏はいないか)に近い継承権を放棄することにしたエミリーだったけれどもそれが後々、というよりすぐさまいろいろな問題を引き起こしそうで果たしてどうするのかって所で次巻への期待と不安がもわもわ浮かぶ。昨日の今日では流石にって感じだけれどそれでもアレよりマシだと思って味方する面子も多そう。いずれにしても続く艱難辛苦をそれでもエミリーはエロい口調と派手な戦いぶりでもって切り開き、生き残っていくんだろーなー。面白いシリーズになって来た。


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