縮刷版2008年11月中旬号


【11月20日】 岩戸籠もりは女神様に必然とはいえ、見目麗しい姿をさらけだしてこそのアニメーションキャラクター。押入の中に入ってラストの1シーンまで顔を見せないヒロインを作り出してしまったスタッフの英断は、英断として讃えたいけどシリーズを通して毎回のよーに頻発する飛び道具の多さは、逆に作品自体の真っ当さを削がないとも限らないだけに悩ましい。監督の域に達しているとかいないとかどうとかとか。

 まあそこは「涼宮ハルヒの憂鬱」でど派手なダンスのエンディングやら朝比奈みくるでのスタートやら話数のシャッフルといった飛び道具を突っ込みながらも、「憂鬱」本編ではしっかりラストに向けて盛り上げ時系列的にはそれ以降となるエピソードでも淡々とした日常を描くエピソードを持ってきた監督さんだから、ここまでの掴みを掴みとしながら後半戦はちゃんとシリアスさを持ち込み、感動のクライマックスへと引っ張っていてくれる、のかどうかがやっぱり分からないアニメーション版「かんなぎ」。とりあえず押入の中で暑さに耐えかねたナギが足の付け根を多分仕舞ってあったエロ本で仰ぐカットはエロかった。

 そんな裏側で「ヒャッコ」は虎子の兄貴とやらが登場。髪の毛銀色なんだな。耳にとりつけたピアス代わりの安全ピンがちょっといたそう。目つきは悪いし挙動は不穏ながらもやることといったらスカートめくりってこどもかよ! ウルウルとしているものをみるとちょい、ちょっかいを出したくなるって気持ちがあるんだよなあ。そんな兄貴の立ち居振る舞いに日頃は傍若無人な虎子が妙に大人しくなっているのが気になった。幼い頃から刷り込みまくられたトラウマか。虎子だけにトラウマ。笑えない。唐辛子たっぷりのラーメンは拙いのか? 味仙に行けばそんなんばっかじゃないのか? 行ったことないけど台湾ラーメン「味仙」。まだあるのかな。

 といったさらに裏側で日本代表が遠くドーハの地で「FIFAワールドカップ2010南アフリカ大会」に向けた最終予選をカタール相手に戦っていたりしちゃったりしたのだけれども、HDDレコーダーのチューナーがダブルで占拠される事態にこれはテレビ側のチューナーを稼働させなきゃならないなあ、でもアンテナ線はレコーダーに直だから見られるようにするには工夫が必要だなあと、室内アンテナまで買って取り付けておいたのに前半での田中達也選手のインザーギ選手もかくやってな鮮やかすぎる飛び出しからの1点で満足してしまって無理に見る気が起こらず、「かんなぎ」が終わって切り替えた後半30分過ぎの日本代表が、さらに2点を追加していてもう安心とあとは戦いぶりを漫然と眺める。

 足下のつなぎがおおいなあ。動いて止まりもらってけり出し、動いてまたもらい蹴るといった繰り返し。それでつながるだからテクニックは素晴らしいんだけれどもその先、アジアの向こうにある世界に出たときにハイプレッシャーを暗いにっちもさっちも行かなくなるって可能性なんかも想像してしまう。松井大輔選手なんかはなるほどキープ力が高くって、サイドで持ったらまず奪われないでライン際をジリジリと上がっていけるんだけれどそこから切れ込みクロスを上げなきゃ得点にはつながらない。カタール相手ならできてもじゃあ、欧州相手にできるのか? ってあたりをこれから見ていくことになるんだろう。去年のスイスとオーストリア相手の試合みたいなのがあれば良いんだけど。

 ピクシー監督の下で玉田圭司選手が復活してスピードを保てるようになり、田中達也選手が復活して飛び出しをかけられるようになって前戦は万全。合流した遠藤保仁選手は意外というかちゃんと走ってボールをもらい出して走る動きができてて最前線からフォワードに代わってプレッシャーをかける中村俊輔ともども、責任感って奴がプレーと絡んでいい感じに練れてきた。その変貌の理由は中村俊輔選手の言うように去年まで指導していたオシム監督にあるのか、引き継いだ岡田サンにあるのかは分からないけど去年のスイスとオーストリア相手とそしてエジプトなんかを相手にやれてたサッカーが、1年を経たらどうなったかってことも勘案するとやっぱりこの1年は大変だったんだなあって思いが去来する。とりあえず出場権を獲得するまではしがみついてでも勝ち点ゲット。チーム作りはそれからだ。誰がやるのか知らないけれど。

  ザ・タイガースにスパイダースにザ・ゴールデン・カップスにザ・モップスにオックスにザ・テンプテーションズ。並ぶカタカナ名前に「GS(グループサウンズ)でしょ?」と反応できる人たちの年齢も今ではずいぶんと上がって、55歳から上くらいになっているんじゃなかろーか。50歳前後だと子供心に人気のすごさをテレビや雑誌で見たって程度。10代20代ではタイガースからソロに転じて大活躍したジュリーこと沢田研二すら過去の人になっている。あるいはちょい太めの耽美なおじさん、とか。むしろタイガースだったら破産で話題になったシローこと岸部シローさんか、その兄で俳優として渋い演技を見せるサリーこと岸部一徳さんの方がむしろ知られているかもしれない。

 そんなGSが題材ということで、古き良き昭和の風景や風俗を蘇らせては、団塊世代の郷愁を誘って映画館に足を向けさせようとした作品かというと「GSワンダーランド」はまるで違う。北海道から歌手を目指して上京してきた大野ミクは、GSブームのまっただ中にあった音楽業界に入り込むため、結成されたばかりのGSバンドに男と偽って参加する。ほかの3人にはすぐにバレてしまったものの、必死だった3人も仕方なく納得。晴れてデビューとなったバンドは、1度のつまずきを経ながらもミクの人気で大人気となりGSの殿堂として誰もが憧れる日劇の舞台に大きく近づく。  今は「有楽町マリオン」になっている場所にあった日劇がいきなりどかんと登場したり、マッシュルームカットにタイツ姿で唄うGSバンドが登場したりと、おっさん世代の懐かしさを誘う描写もあるけれど、見所はそこではない。きらびやかな世界にあこがれ、上を目指してがんばる若者のひたむきさ。そんなひたむきさが商売の論理で曲げられていく大人の社会の貪欲さ。いつの時代にも代わらないエンターテインメント業界の構造って奴が、GSブームという現象を通して浮かび上がっては見る人の心に笑いや怒り、喜びといった感動を呼ぶ。

 田舎から出てきて歌手になりたいって頼んだのに、GSブームで女の子はいらないと言われてくすぶっていたミクちゃんだったけれども、3人組でGSを結成した男たちにい1枚駒が不足しているからを事務所の社長に誘われて、いやいやながらも男装し、タイツまではいてメンバーに加わりオルガンを弾きはじめる。最初は仲間にも内緒だったけれどもすぐばれて、あとは世間にばれないように演じていたらルックスの良さから1番人気になってしまった。余りの人気で集まる目も多いところをいったいミクはどうしのぐ? ってあたりが見所のひとつ。暗くて寡黙なイメージが根強い栗山千明さけど、ミクの演技では口調は乱暴で性格は強気だけれど仲間思いのところもある女性を演じて新イメージ。これなら佐伯日菜子さんみたくいろんな所で活躍できそう。

 3人のメンバーも「鴨川ホルモー」の石田卓也にイケメン水嶋ヒロに若手個性派の浅利陽介とガッチリ。事務所の社長の武田真治さんも飄々として軽そうだけれど過去にいろいろあって挫折した人間像ってやつを感じさせてくれる。あと愉快なのがどんどんとエスカレートしていくメンバーの衣装と楽曲で、タイツを履かせるのみならず次は和風かお祭りかといった差別化の戦略に乗せられ法被を着せられ本来やりたかったロックとはまるで違う方向へと連れて行かれる。そんな差配をするのが岸部一徳さん演じるレコード会社の社長。自信がタイガース時代に散々っぱら煮え湯を飲まされたはずなのに、飲ませた側の親玉を演じてみせるその無表情さがさすが役者って感じ。どんな気持ちで演じていたのか心をのぞいてみたいかも。ともあれ良い映画。楽しい映画。世代を超えて受けそうな映画だけれどCM、少ないんだよなあ。あとはやっぱりオチが良い。最後に勝ったのは、誰?


【1月19日】 「レンタルマギカ」のポップな体裁に似合わないというか意外な魔術描写の濃さに読み手も納得させられた三田誠さんが電撃文庫で新しく立ち上げた「イスカリオテ」は魔術というよりはむしろキリスト教の教義とか歴史にのっとった戦いで、地獄よりあらわれ出てくる獣を相手に断罪衣をまとった神父が聖人たちの力を模倣し挑むっていったストーリー。そんな神父でも桁違いの力を持っていた久瀬諫也を世界が失って2年。諫也と同じDNAを持った少年を替え玉に選び引きずり込んでは獣との戦いが続く街へと送り込む。そこには諫也を慕っていた朱鷺頭玻璃という少女がいた。

 という展開から立ち上がる美少女型戦闘ロボットがいて眼帯をしたパワフル神父がいてそして玻璃の秘密も明らかになってと設定面はてんこ守り。世界がどうして獣に狙われ脅かされているのか? といった辺りがまだ見えないけれどもまあ、そういうもだよ侵略ってのはいつも理不尽なものなのだ。諫也は本当にいなくなってしまったのか、そして腹部に妙なものを抱えた玻璃の正体は、ってなあたりも引きずり進む物語の帰結は人類の全滅? それとも平穏の訪れ? 隠された壮大な設定が立ち上がって物語を飛躍させてくれる時を待とう。

 11日に確かオープンしたはずの絵本カフェの「マ・プレフェレ」をのぞいてみたいと思いながらも絵本なんてぇ雅やかなものに触れるにはちょっと手が汚れすぎていることもあってなかなか行けず、とりあえず様子でもと近くまで行ったもののやっぱり入るのはしんどそうとパンフレットだけもらって退散する。概況なんかはパンフレットとかウェブサイトから伺えるんだけれどそこにいったいどんな人たちが来ていてそして、どんな格好の店員さんたちがお出迎えしてくれるのかって辺りはやっぱり行ってみないと分からないからなあ。「お帰りなさいませご主人様」かそれとも「あくまで店員ですから」か。それちょっと違う。

 前に紹介した時と比べてサイトにも情報が充実していて飲食メニューなんかも豊富になって、値段は半端ない高さだけれど2時間の滞在費用も含まれていると思えばまあ、それなりってことになるのかな。「長靴をはいた猫」だの「グレーテル」だの「フック船長」だの「星の王子さま」だの名前からじゃあ想像もつかないメニューだけれど「グレーテル」は「ヘンゼル」とも対になってるデザートてんこ盛りのメニューで比べると「グレーテル」の方が色目も華やか。サラダメニューに「金の斧」と「銀の斧」があるけど「鉄の斧」がないのは残念。それとも「鉄の斧を」と正直に頼むと金も銀もいっしょに出してくれるとか。

 パスタメニューにはお姫様の名前が付けられているようで「おやゆび姫」とか「ラプンツェル」とか「人魚姫」とかあってそれぞれにソースが違ってる。パスタが姫ってのはやっぱりあれか、長い髪の毛がパスタみたいってことだからなのか、だとしたら「ラプンツェル」は普通の倍の長さのパスタをどっかから調達して作って欲しかった。あるいはイカスミで真っ黒なパスタを出して「かぐや姫」とか。パスタっちゃあ食べるとソースが飛んで大変っぽいけど調べると食事中は本とか閲覧できなさそう。当たり前だね。んで喫茶となってから優雅に本でも開くと。どうせだったらよこでセバスチャンなりマリィベルなりがページを1枚1枚めくってくれると優雅さも増すんだけど。マリィベルならやや前屈みになって絵本と違う場所に眼を引きつけるとか。でもって「どこ見てるんですかご主人様」とかってくれちゃったりしちゃったり。やっぱり何か違う。

 うーん記憶にないからすっ飛ばしている可能性もあるけどともあれ「装甲戦闘猟兵の哀歌」って本を1冊書いたあとはしばらくゲームの世界に言っていたらしい水無神知宏さんお「此処よりは荒野」(ガガガ文庫)ってのが出て舞台はアメリカ開拓時代の西部っぽくって街があって酒場があって鉱山があって鉄道が敷かれて保安官がいたりするんだけれどそこに獣人亜人の類も跋扈している普通とは違った世界観。父がいて母がいて妹がいる普通の暮らしをしていたアランだけれど父親が仕事に出かけている最中、妹は陵辱され母親は惨殺されてともに死亡。その上に妹はグールとなって蘇り襲って来たところを少年はどこかから現れた少女の賞金稼ぎによって助けられる。

 3年が経って少年は叔父の保安官の下で補佐の仕事に就いていたけどそんな街に獣人があらわれ襲ってきたりして不穏な空気。吸血鬼でも親玉みたいな少女も現れ街はもはや壊滅の危機って所へと追いつめられるなかで少年は街を守ろうと立ち上がる。どん底からはいあがり裏切りに遭遇しながらも立ち直って敵に挑む少年の成長の物語、っていった感じ? 銀の弾丸には弱いけれども圧倒的な力を持った幽鬼の類が人間ふぜいに苦戦している状況は何だろうって気もするし、そもそもおそらくは何千年も生き長らえながら丈強敵には人間と共存して来ただろう美少女の吸血鬼が事ここに及んで襲撃へと至ったのかって部分も見えないけれども今はまだひとつの街での小競り合いに過ぎないものが、やがてその世界で起こっていることを見せるるようになってその中で成長した少年が何かを成し遂げるっていったスケール感を持った物語が、立ち上がってくれるものだと期待しよう。どうなんだか。


【11月18日】 タニマニアとしてはやはり永久保存して置かねばならぬと「ハチワンダイバー」のテレビドラマのDVDボックスを確保。普通に見れば若い男女の並んだジャケットの角度を変えると胸元もぽっかりと大きく開いたメイド服を着た受け師さんが見える仕様に、箱を右に左に傾けてその旅に見え隠れする深い谷間に感謝感激雨霰。テレビ放送では随分と見逃していたけどDVDなら好きな場面を何度も繰り返しストップモーションも含めて見られて、気がつくと顔面がテレビ画面の前まで近寄り鼻先をすり寄せていたりしそー。人には見せられないよなその姿。言うのも普通は憚られる。

 とか言ってたらどうやら近所に本当は明日発売のDVDを宣伝にメイド服の3人組が闊歩していたみたいで見逃して残念。仲里依紗さんほどの深き渓谷を持っているかというと3人のうちの1人が仲さんに勝るとも劣らない谷間っぷりを見せていたみたいで、遠巻きでも構わないからその奥深さって奴を眺めてみたかったけど今となっては仕方がない。そういえば月末近くには仲さんにこれまた勝るとも劣らない深さを持った谷村美月さんの出演している「神様のパズル」のDVDも出るんだっけ。ジャージ姿でカットソー姿の谷村さんが見せるその深さをこれもテレビ画面に顔近づけて堪能しよう。そうでもしないとやってられないことがちょっと多すぎる。5年前の再来とか。それもスケール100倍での再来とか。

 「ハチワンダイバー」ったら原作漫画の最新刊も出ていたけれども受け師さんこそいっぱい出てきてぽっちゃりとグラマラスなところを見せてはくれるけれども肝心の将棋の方はもう早送り状態。というか文字通りに将棋のシーンが早送りされててどんな曲面があってどう変化しているかって勉強にはまるでならない。多いのは格闘シーンで殴ったり殴られたり車を横転させようとしたり窓ガラスを破壊したり。ほとんどアクション漫画と変わらなくなって来ている。まあもとより将棋をフックにしたメイドモノで格闘モノって雰囲気も最初っからあっただけに本来の形に戻って来たんだとここは見るべきか。鬼将界が本格的に動き始めてパンツ一丁にされたスゲタがどう巻き返す? ってあたりで次巻へ。受け師さんもっといっぱい出して欲しいけどきっとあんまり出なさそう。その分はドラマで補充だ。

 「サンデーGX」なんかも早めに確保し「ヨルムンガンド」をまず読了、そうかバルメを追いつめた拳銃に黒ナイフの殺しやは陳国明だったかカレン・ロウの上司の。スケアクロウにとっつかまっていたときに支持を出したとっちゃんだよね、でも凄みはあっても見かけは普通のおじいちゃん。それが数年前はカレンが言うところの「戦闘と力の権化のような人」だったとしたら人間、目的を失うとやっぱり老けるのも早いっていうことなのか。そんな陳を狙って迫るバルメ。一方でココちゃんたちにも殺し屋の手が伸びる。入れ違いの戦いは果たして誰が生き残り誰が傷つく? 次号に期待。掲載よろしく。

 でもって「BLACK LAGOON」。手をぶち抜かれ足をぶち抜かれてよくまあ平気で立っていられるもんだよレヴィもシェンホアも。「人見てるなきゃ突っ伏してメソメソ泣くほどキビシイね」という言葉が軽口かどうかは別にして、そんな軽口をたたけるくらいに場慣れしているってことなんだろー。でもって戦闘はアウトサイダーがのぞかれバラライカの舞台と米軍の部隊の間で踊るロベルタ。どういう力関係になってて陳兄貴がどういう目的を持って事を誘導しているのか今ひとつ掴みづらいんだけれどまあその辺りもおいおい片づくってことで次号にもちゃんと掲載されていることにひたすら期待。人物紹介コーナーの後ろ姿のシェンホアは嫌らしいなあ。展覧会に飾ってあった同じ図案のでっかいイラストには魅入ったなあ。画集にまとめて欲しいなあ。おお今号は「ワイルダネス」まで載ってるぞ。3バトルの揃い踏み。これがなくっちゃ「GX」じゃないよね。よね。

 愉快痛快。ナビスコカップのU−23化なんかを吹いてスポンサーにも話を通してあるとかヌかした協会長を袖にしてJリーグのチェアマン鬼武さんはナビスコカップがここまで成長してきているのにどーしてカテゴリー制限なんぞつけなきゃならんのかと言いJリーグのことはJリーグで決めると宣言。いやあ心強いよ楽しいよ。サッカー界隈全部を見通さなくちゃいけない立場にいながら代表のことしか考えていないっぽい態度にも突っ込みが入ってこれでまだ持論暴論を遠そうものならファンだけじゃなくJリーグのチームまでをも敵に回して苦労しそう。あんまり苦労されても本当に改善しなくちゃいけない事柄が進まなくなるんで収まって欲しいんだけれども一方で、本当に改善しなくちゃいけない若手育成や日程の調整やベストメンバー規定の撤廃といった事柄にもとより踏み込む雰囲気もないんで苦労の果てにドッカーン! ってなって頂けるのがこれ幸い? でもいないんだよなあ後任が。読んで来い宮本常靖。オーストリアで不遇かこっているみたいだし。


【11月17日】 掘っていたら出てきた三上康明さんの「クラウン・フリント レンズと僕と死者の声」(ガガガ文庫)なんかをペラペラ。手にしたカメラには少女の幽霊か何かが憑いていて、ファインダーを覗いた途端にそれに取り憑かれ顔面を踏まれた少年は、カメラで撮影することで現世に残るシ念を回収する仕事を始める

 もっとも少年は、子供の頃に出会った事件でカメラをまっとうにのぞけなかったりしたものだからなかなか大変。散々ぱら文句を言い倒し、周囲を傷つけ突っ走るものの途中で気付いて幽霊の少女の残した思いをかなえようとする。デジタル全盛な時代にアナログカメラの良さを教えてくれる物語、か。ピントを合わせなくっちゃ撮れないってんなら真夜中にいくら開放にしたってまず無理なような気もするけれど。それとも好感度フィルムを使っているとか。こういう格言もあるし。「トライXで万全」。

 気に入らないから罰を与えようとして、誰の賛同も得られなかった悔しさなのか、次にこういう手を繰り出して来るとは犬飼基昭日本サッカー協会会長、策士というよりはもはや蛇の如き執念深さを持った悪鬼怨霊の類に堕ちたと見るべきなのかもしれない「ナビスコカップ、U−23大会化」についての言。

 ジェフユナイテッド市原・千葉が2年連続という快挙を成し遂げJリーグになってから唯一のタイトルを得たのが「ナビスコカップ」だし、創設以来苦闘し続けた大分トリニータが初の栄冠に輝いたのもこの「ナビスコカップ」。いわば虎の子ともいえそうなタイトルの大元をカテゴリーの低い大会へと貶め、タイトルを持つにっくき2つのチームに間接的なダメージを与えてやるんだ、ってな意図なんてまるで存在はしないんだろうけれども、ここに至って表だっての弁明のまるでなく、むしろさらに天皇杯にもベストメンバー規定を盛り込もうって言を吐いていたりする人なだけに、やっぱり大分千葉への不興なんだと見られて不思議じゃないかもって気分も浮かぶ。

 なるほど五輪世代を育てなきゃいけないってのは分かるけれども、成長なんてのは日常の順位がかかったリーグ戦の試合で敵も味方もベテランが大勢いる中で全身全霊をかけて戦ってこそ得られるもの。カテゴリーの決まったそれも国内の大会で同じ世代の選手たちが出ているだけって中では、たとえカップなんてものがかかっていたって本気なんか出せないし、成長だって得られない。

 本当に五輪世代を鍛えたいんだったらそれこそ無意味なベストメンバー規定なんぞをとっぱらって、若手が堂々先発をして無理なら途中で代えられるなり、大丈夫なら通して試合に出るなりするのが可能な環境を整える方が先も先だしより有意義なんじゃなかろーか。っていつかベストメンバーがどうのこうの言ってる人間が「Jリーグ」よりも先にスタートした伝統あるカップ戦で、何よりしっかり「ベストメンバー規定」が適用されている大会にベストメンバーで臨まなくって良いって言えてしまえるところに、どういう神経の巡り方をしているんだって、体を開いて調べてみたくなる。神経なんて見つからない可能性もあるけれど。そりゃとても高い可能性なんだけれど。

 だいたいがすべてのJリーグのチームにひとつの公式戦をこなせるだけのU−23の選手なんていやしない。オーバーエージの3人を加えたって無理だろう。下部組織のユースも含めればそりゃあいるだろうけれど、そっちはそっちで大会があるしそもそもユースは正式な意味でん「Jリーグ」の選手って訳じゃない。リーグの試合として行うんだったらトップチームに登録してあることがまず大事。でもってそんな選手の数いない状況を知ってか知らずか「U−23限定の大会」だなんて口にしてしまえる協会長の頭の中にいったい何が詰まっているのか開いて見てみたくなる。

 真面目に言えばジェフ千葉のサポーターとして2度ばかり見て、その後も2年くらい遠目に見物する中でたとえ地方のチームが上がってきても国立競技場が満員になってそして色彩的にまっぷたつになって、右から左からそれぞれのチームを応援するという、まさにカップファイナルに相応しい様相を見せるようになったこの「ナビスコカップ」をどーして今さら代える必要があるというのか。壊す必要があるといううのか。伝統ある大会にはすでに天皇杯があるからナビスコカップには遠慮して欲しい、って意識があるのかもしれないけれども伝統ってのは重ねてこそ生まれるもの。それを途中でぶち壊して伝統なんてものが生まれ育まれるはずもない。

 というか天皇杯はすべてのチームに参加の資格があるオープン大会であって、リーグのプロチームに参加が限られるリーグカップとはちょっと違う。オープン大会では最古のイングランドのFAカップのよーな格式と権威を天皇杯に取り戻したいって意識があったとしても、一方にイングランドはリーグのチームが参加するカーリング・カップを抱えて実施しているし、それは決してU−23の大会なんかではない。

 リーグカップなんてもういらないんだという考え方があるならそれも結構。ならば完全にナビスコカップなんてものはなくして重ねられた10余年の伝統を壊すことなく凍結してやって頂きたいもの。試合数が減るならサテライトなんて内輪じゃなくって、JFLなり地域リーグに2部チームを参加させ、草の根で鍛え上げるような仕組みを作った方がよっぽど成長のためになるような気がするけれども、まあ今回もきっと思いつきから出たことなんでポシャって有耶無耶になるんだろー。でもって誰もおとがめ無し。いやな世界だまったくもう。

 っていうか主人公の星矢はシルバーですらないブロンズクロスの聖闘士な訳でグッズになるならそんな星矢やら紫龍やら瞬やら一輝やら氷河やらなメインキャラクターたちがまとっているクロスにこそ人気が集まるのが普通なのに、商品化されたのは金色に輝く黄金聖衣(ゴールドクロス)のサジタリウス、すなわちアイオリアのゴールドクロスな訳で本編が始まるずっと以前に命を落として想いだけを残していったキャラクターの遺物がどーして商品化されるのか、それも10万と5000円なんて破格も破格の値段で商品化されて買われていくのかって辺りにこの作品に対するファンの様々な思い入れって奴がうかがえそう。

 すなわちキャラに関心を示す層が一方にいて、出てくるギミックに関心を示す層がいる。例えるなら「機動戦士ガンダム」でキャラクターやドラマに愛情を注ぐ派とガンプラに耽溺して作り続ける派といった感じ? サジタリウスのゴールドクロスもだからそんなガンプラマニア的なオブジェ志向のファンに向けた商品ってことになるんだろー、デザイン的にも1番格好良いし。一方の「仮面ライダーTHE NEXT」の1号ライダーを60センチくらいのフィギュアにした8万4000円の商品は、キャラクターでもありオブジェクトでもある訳でこれはすなわち「仮面ライダーTHE NEXT」のファン全般に向けた商品ってことになるけど、そんな人っているのかが謎。まあいるから商品化もされるんだろうけど。

 聞くとスーツに入っている人の体をスキャンしてそれを立像にした上で、スーツを縫って作って被せたというからまさしく映画の中の1号ライダーをそのままミニチュアにした商品って言えそう。これが旧作の「仮面ライダー」では中に入っていた藤岡弘さんを今スキャンしても当時の雰囲気は再現できないから、商品化されなかったってのも気持ちとしては分かる。かといって映像の中のライダーをまんま取り出すと、今のライダーほどスタイリッシュにはならないもんなあ、体型が体型なだけに。

 それにしても高いだけあってこの商品、外観の質感はすべてをレジンキャストで作って色を塗るガレージキットとは違ってそこに小さなライダーが立っているよう。欲しい人には嬉しい逸品かもしれない。もっとも本当に優れたモデラーだったらスーツの質感までも硬い素材で再現し、色もそんな質感を現すように塗って見せるんじゃなかろーか。そんなライダーをBOMEさんに作ってもらって比べてみたいなあ。

 繰り返されるのはいつか来た道、そして滅びへの道。見せかけの収支バランスを作り出すべく要因を削り材料費を削ってコストを下げててみたのは良いものの結果としてクオリティが劣化し売れなくなるのを無理にでも売ろうと販売の側に要員を集めてなおいっそう現場から人を減らしてクオリティのさらなる劣化を招くというデフレスパイラル。なおかつ無理に売ろうと特定勢力への便宜を図れば公平性が失われここでも品質の多大な劣化を巻き起こして売れ行きの低下を招いた果てに、待っていたのは当然のよーにシステムの崩壊。それが小さい範囲に収まっていたうちは良かったけれども、そこより学ぶどころか同じようなサイクルを今度は本丸でもってより大きな規模で行えば招かれる崩壊の規模も半端じゃないんだけれどもそれすら恐れぬ前向きさが、いずれ迎えるだろうその日を世界は果たしでどう受け止める?


【11月16日】 足立淳さんの祈りにも似た絵馬を見た鷲宮神社への行き帰りの間に読んだいろいろ。榊一郎さん「神曲奏界ポリフォニカS」(GA文庫)は「ポリ赤」シリーズからぐっと時代が遡ってはいるもののすでにタタラ・フォロンはコーティカルテと屋根の上で最初に出会い、それからトルバス神曲学院で暴走しかけたコーティを押さえ込んで正式に契約した後の話って感じで、コーティと契約できたってことで精霊を呼び出す試験なんかは免除になったフォロンはどうにかこうにか上級クラスへと進級を果たす。

 ところがコーティはその頃からワガママし放題で、朝飯の卵焼きサンドをフォロンに作らせ学校でも特にフォロンを助けるでもなく、逆にフォロンの悪口を言う奴らに向かって怒り放題精霊雷三昧。もしかしてフォロンって神曲楽士の力がないのかもって訝る周囲の視線に焦り、自虐しコーティと喧嘩までしてしまったフォロンだけれど、学校の方は容赦なくフォロンに本当に精霊を呼び出す力はあるのかを測るための再試験を課す。

 学校でいろいろなことを学び神曲楽士の役割なんかを教えられ、それに従ってそれなりの神曲を奏でられるようになった神曲楽士たちが、進級して卒業して世の中に出ていく中で、フォロンのような存在は逆にスポイルされて本来持っている力を発揮できずに思い悩む。そんな展開のクライマックスで改めて誰のための神曲なのか、ってところが明らかにされて、フォロンが本来の力を取り戻すってストーリーは、考えようによってはそんな力を逆に埋没させてしまう教育が、神曲学院では行われているってことになりかねない。

 制度としての神曲楽士があってシステムとしての精霊使いがあってそこに適合した人材を“生産”する仕組みの愚かさを、ある意味問うたエピソードだけれど問題はそんなシステムを経なければ資格が得られないって所。並はずれた才能はパージされ埋もれてしまいかねない状況を、それでも物語では圧倒的な力の前にひれ伏させることができたけれどもこの現実社会では、システムを経て得られた資格がすべてってところが未だに根強くあるからなあ。そしてシステムはだいたいにおいて硬直化し疲弊してシステムのためのシステムと堕す。結果生み出される社会の面倒くさい様をぶち破るのはやっぱり圧倒的な才能なりカリスマって奴か。それもそれでヤバい状況が想像できるんだけど。困ったもんだ。

 んでもって丈月統さん「カンピオーネ2 魔王来臨」(集英社スーパーダッシュ文庫)は、神を倒すとその力が得られる仕組みの世界で神を倒した少年、草薙護堂がアテナを相手の闘いをしのいだ日本にふたたび敵襲。ルーマニアあたりに勢力を伸ばす狼を操る力をかを持ったヴォバンがなぜか護堂に興味を持って日本を訪れ闘いを挑んで来る。一方の護堂はイタリアで知り合った魔術師で騎士で美少女のエリカに愛人としてまとわりつかれ、そんな状況に日本の巫女の祐里も絡んでさあ大変。恋の鞘当てに迫るヴォバンの攻撃といったピンチを護堂は果たしてかわせるか?

 ってな話はそれとして、ヴォバンと護堂との間で繰り広げられる神の起源や来歴を踏まえた戦いの様は相変わらず迫力があり、神話の成り立ちについて勉強にもなる一石二鳥の面白さ。圧倒的な不利から逆転する痛快さもあって楽しめる。問題はだからこれからか。どれほどの強さを持った神なりカンピオーネが挑んでくるか。それをどうしのぐのか。期待大。それにしても作者の人、ヴォバンにクラニチャールってクロアチア代表が好きなのかなあ。シューケルとかクラスニッチとかプロシネツキとかも出てきたりして。イタリアにはトトことサルバトーレも出てきたし、次はフランスでジダンにナスリあたりを如何。

 「封縛師」のシリーズも一段落した流星香さんのビーズログ文庫での新シリーズ「お庭番望月蒼司朗参る! 始まりの庭と帝都のちびっ子四神」は、今も帝がお城に住んでる世界が舞台。朱雀玄武に青龍白虎のそれぞれの力を借りた4人の戦士が、帝の息子の若様を囲んで蟲を呼び出しては退治していたけれど、本格的な力を出すには今はもういない四神を束ねて使える戦士の登場が必要だった。そこに現れたのが望月蒼司朗という少年。磐手とかいう場所にある城で庭師をしていた父親の子として生まれながらも父は死去。後を継ぐには早いと都にいる叔父の元に修行という名の放逐にあって、それでも明るくショベルカーに乗ってゴトゴト都へとやって来た。

 早速仕事にとりかかろうと入った庭はなぜか荒れ放題。こりゃあダメだと木を切りそろえ池を掃除し草をむしって綺麗にしていたら、蛇を乗せた亀に小さい虎に赤い鳥にイグアナが現れまとわりついてきた。まだみんな赤ちゃんの動物たちに懐かれた蒼司朗は動物たちを引き連れ庭を出る。ところがその動物こそが帝の住まいを守っている四神で、蒼司朗はそれらに見込まれ力を得て、都を脅かす蟲たちと戦うハメとなる。激しい修行を積んでようやく四神のそれぞれから力を借りられるようになった戦士たちの面白くなさそうな態度に囲まれ、都を担当する庭師の息子で蒼司朗には従姉妹の少年のほのかにうごめく妬みなんってのもあって今後の展開に絡んで来そう。あとは小さい四神をどう世話してその力を引き出すか、引き出された暁に日本はどうなるか、ってあたりにも興味。

 遅ればせながら和泉フセヤさん「恋する乙女と守護の楯 (上)」(集英社スーパーダッシュ文庫)を読む。女装して女子校に潜入せよ、ってのは「乙女はお姉さまに恋してる」とか「まりあほりっく」とか「SH@PPLE」とかいろいろあるんで設定だけならまあ定番。あとはどれだけキャラで遊べるか、いつバレるかって驚きなんかを描けるかってところなんだけれども、とりあえず華麗に見えて根はぞんざいなお姉さまやら、男っぽさを出しつつ根は純情な同級生とか揃えてあって、乙女の園の外側からは見えないヒミツって奴を伺える。女子校って恐ろしい場所なのだなあ。んでもっていよいよもって発覚となって迎える下巻でどんな展開が繰り広げられるのか。奴隷扱いされるのかそれともごまかし従前どおりの展開で通すのか。刊行を待とう。

 「スポーツニッポン」が報じている天皇杯の結果の下に、コラムで代表選と重なる日程への批判が成されていたりして、権威ある大会なんだからベストメンバーを出さなきゃいけないじゃないかといった口を持ち主が、自らそれを守ろうとしていない日程を組んでいたりする矛盾を衝いてざまあみろ、ってな感じなんだけれども問題はそこで引き合いに出されている事情。「先日、日本協会は千葉、大分が天皇杯4回戦で主力を温存したとして問題化させた」ってあるんだけれど、結論として千葉は適用されていないJリーグ規定にも適合したメンバーを揃えて問題なんてまるでなかった。それなのにそうした温存があったかのように引き合いに出されて「千葉は違反があったけれどもおとがめは受けなかった」的な認知がされていくのは、例え協会の態度を批判するコラムであっても不本意極まりない。

 えん罪、ってのはいったん広まってしまうとそれがどれだけ事実無根の事柄だったとしても容易には拭えず人の一生を歪めてしまう。解消するにはえん罪を作った側の徹底した弁明が必要であり、またえん罪を報じた側にもその時の報道を上回る規模での訂正なり謝罪が必要なんだけれどもこの「天皇杯ベストメンバー問題」では、偉い人のポッと出た言葉があたかも事実のように広まり定着してしまって、例え密室での弁解があっても一般には広まらず、メディアにだって広まったままでこうして引き合いに出されてしまう。だからメディアは、と言いたい気持ちもあるけれども根本としてトップにある者の態度に真摯さが見えず、事の重大さへの認識が不足しているって問題があって、ここをどういかしないと同じことがまた繰り返されるだけって気もするんだけれど、どうにかしようって空気もないのが痛々しい。困ったなあ。

 事はサッカーの界隈だけに留まらず、出身母体の自動車会社にもそんな程度の人間を欧州トップに据えてたんだ、だからやっぱりなんだって認識をもたらしかねないってことにも想像を及ぼせば、すぐにでも広く伝わるよーに弁明するのが一般的なんだけれど。それともこれからちゃんと何かしらの釈明を行い有耶無耶にはしないでしっかりと事実を事実として喧伝し、メディアにもそのように振る舞うべきだとお達ししてくれるんだろーか。しれくれるんならそれはそれで結構なこと。しないんだったらやっぱりねえと横目で見つつこの2年を凌ぎきって、次につながる人材が登用されることに期待をかけよう。次がいれば、だけど。

 せっかくだからと起き出し「コミティア」に行くと黒いスーツ姿の男女の行列。何かの就職セミナーがあるみたいでゾロリゾロリと歩いていっては会場となっている「東館(ひがし・やかた)」から通路をわたって「西館(にし・やかた)」へと曲がる通路あたりまで続いた行列について入場を待っている。そんな横を私服姿の若い人たちが歩いては「コミティア」に入っていく様を見るにつけ、人生って奴の勝ち負けってのがいったいどっちにあるんだろうかって思いにとらわれる。

 なるほど将来への可能性だけはいっぱいあって良い就職先に食いつこうって必死になってる学生さんたちの方が、日曜の昼日中から同人誌を買いに集まってくる人たちに比べて世間的にはピカピカしているように映るかもしれないけれども、今はたぶん3年生とかの学生が、1年と数ヶ月経って本当に社会に出る時にいったいどれだけの状況が訪れているのかって考えそれからさらに先の激動をどう乗り越えていくのかって考えると、すでに自分を確定させて同人誌とか読んだり描いたり作ったりしている参加者の方が、お気楽に人生を楽しんでいるって見方もできそう。最高の就職と最高の趣味を両立できればそりゃあ最高の人生だけれどどっちかだけ、ってんなら趣味で最高を行きたい自分。そのためにはあとちょっと働いて溜めて余生に届かせたい。toto一発狙っていくって手も……ないか。

 んでもって松山剛さんのブースで新刊案内のチラシを頂き、ポスターにもなっていた足立淳さんのブースで新旧織り交ぜ買いつつ「ステージガールズ」の在庫報告(都営新宿線駅上のコンコース内書店で僕は買った。あと船橋にあるときわ書店船橋本店でも平積みになっていた)とかしつつ早々に退散。有楽町のビックカメラで新しいワイヤレスのヘッドホンを揃えて帰宅する。まあ充実の1日か、って終わってないけど。なので伏見つかささん「名探偵失格な彼女」(VA文庫)なんかとサクサク。名探偵のメタ性がまだあんまり際だってないかなあ。とはいえ勘で選んだ犯人をひっつかまえて自白させたり地道な調査で犯人に迫った探偵をふんじばって成果を横取りしたりする名探偵像はちょっとヘンかも。自白強要は良くないけれど。


【11月15日】 「綸言汗の如し」。って言葉があってですね、偉い人の言葉ってのは1度口から出たら汗といっしょで引っ込めることなんて不可能、でもってその言葉が及ぼす影響は例えば「吸い物が温いな」って言葉だったら料理長の首が物理的に飛び、給仕あたりの手足もふっとび、侍従あたりの舌が引っこ抜かてようやく収まるくらいに大きく激しいものになてしまう可能性もあるから、ゆめゆめ軽口など叩かぬように立場をわきまえて発言するのが上に立つものの務めであり、責務なんだって意味らしい。まさに至言。中国5000年の叡智であり出展の「礼記」からだって3000年の積み重ねを、学んでいない偉い人の多すぎる政治軍事な状況にこれほど届けたい言葉ってのもないもんだ。

 あと本郷あたりの鴉の旗はためくでっかいビルとかにいる偉い人とか。もう上に立った途端というか、立つ前から発言が軽い軽い軽すぎる。それこそ観測気球でもあげるようにあれやこれやとつぶやいては、周囲には持ち上げられつつ一般からはぶったたかれてなるほどそうでございましたかと素知らぬ顔で逃げたりする振る舞いの卑俗さに、これなら喋っても愛嬌のあった前のトップの方が全然良かったし、ことサッカーに対する深くて熱い愛情も見え隠れしていたなあって思わないではいられない。決定打がこれだ。天皇杯での試合に際してジェフユナイテッド市原・千葉がJリーグの定めるベストメンバー規定に違反していたから制裁を加えるって発言。報道されているからにはそう発言したんだろう。ジェフ千葉は罪を犯したと決めつけて。

 トップに立つ人が悪と決めればそりゃあ周囲だってそう動くしかない。それが上意下達な世界の掟、ってほどの大げさなものじゃなくってあらゆる組織に言えること。そうじゃなければ回らない。けどこれって二重の意味で無理がある言葉だった。まずもって天皇杯にはJリーグ規定は適用されない。心意気、って言うけどでもそれだったらJリーグにだって不必要なもの。敢えて明文化した以上はそれが適用されていない大会ってのはつまり適用の埒外にあるんだってことを最初っから認めていたことになる。でもそんなあったりまえのルールがトップの頭には浮かばなかった。さらに。ジェフ千葉はそんなリーグ規定に照らし合わせても適応していた。つまりは無罪だった。それなのに犯罪者扱いをして誹り恫喝してみせた。俺がルールだ。そう言わんばかりの態度で。

 ならばそれを貫き通してワンマンを気取り周囲から持ち上げられつつ世間から乖離すればいい、それこそが暴君であろうとも君主たるものの矜持って奴なのに、制裁を決める場でもってあっさりと前言をひっくり返した。というよりジェフ千葉は審査の対象から外された。理由は明確。適用されていないリーグ規定にすら違反していなかったから。そんなのはちょっと調べればすぎに分かること。実際に発言が出た直後から散々っぱら指摘されていたことなのに10日近くも放置して、罪を着せ続けた挙げ句に周りが教えてくれなかったんだもん、僕悪くないもん的な態度でスルーしてみせた。もう阿呆かと。ど阿呆かと。とてもじゃないけど上に立つものが見せて良い態度じゃないのに、それを認め周囲も許しメディアも知らん顔して奉り続けるこの国に、やっぱり未来はないのかもしれないなあ。

 そんなジェフ千葉に嬉しいニュース。配下の女子サッカーリーグ「プレナスなでしこリーグ」のディビジョン2でトップを走って来年からの「ディビジョン1」昇格を目前に控えながらも最終戦で敗れれば入れ替え戦に周ることになっていたジェフユナイテッド市原・千葉レディースがスペランツァ.F.C.高槻を相手に最後の試合を行い引き分けて見事に1部昇格を決定させた。引き分けでは良かったけれども負けたら逆転で入れ替え戦周りだっただけに去年と同様にそこで敗れて悔しい思いをする可能性もあったりした。だからしっかり優勝で決めて昇格したのは一安心。これで再び日テレ・ベレーザや浦和レッドダイヤモンズレディースといった強豪と公式戦で戦う資格を得られた訳で里内猛さんがフィジカル的に鍛え上げ、そして上村崇士監督が再帰して整えチームが果たして1部でどう戦うのかって楽しみが今からわいて仕方がない。

 最終戦ではシンガー石田“一番星”ミホコも石田美穂子選手としてしっかり得点しU−17女子の代表に選ばれていた17歳の井上由惟子選手も途中出場から得点でやっぱり17歳の花桐なおみ選手も出場して巨大な柴田里美選手も守備固めから登場。若い選手が台頭して来た状態で臨む来期はいささか年齢も上の選手が多くなっている日テレ・ベレーザを上回る走りでいつか読売ランドの練習場まで行って見た、まだディビジョンが東西に別れていた頃の公式戦で日テレ・ベレーザに圧倒されたのとは逆の展開って奴を見せて欲しいし、一方でずっと応援している日テレ・ベレーザにはトップ選手たちが揃ったチームならではの上手さって奴で、若い選手を揉んでそして共にレベルを上げていって欲しいもの。超高速ランナーの清水由香選手とか井上由惟子選手には代表入りも狙って欲しいなあ。あとはだから兄貴分、ジェフ千葉もしっかり1部残留を決めることだけど、さてはて。

 思い立って鷲宮神社。半年に1度くらいはいって写真を抑えておかないとイザって時に、つまりは大穴が飽きそうな時に記事をつくって埋める際の写真って奴がなくなってしまう。冬場に半袖が映っているのはやっぱり使えないからなあ。んでもって鷲宮神社。人が多い。なになにイベント? って寄ったら七五三で着飾ったガキのお子さまがお父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃんに連れられ境内を歩いてた。例のアニメ絵いっぱいな絵馬には流石に近寄る子供はなくって大人の暴走する欲情って奴を子供に見られずに良かったよかった。どうしてこの板に漫画がかいてあるのまんがの女の子が俺の嫁ってどういう意味なのって聞かれて戸惑うお父さんとかいたらそれはそれで面白かったけど。おおこれは足立淳さん。がんばってるなあ。お参りの効果はあったのかなあ。

 せっかくだからと清酒を買って引き上げ電車を乗り継ぎ北千住から亀有へ。各駅に乗るのに下の地下鉄千代田線のホームまで降りないといけないのって面倒だけれどこれって前から? 最近から? んでもって亀有では両さん像を確保。町おこし資料ってことで駅向こうの立像を見てそこの案内から最近できたって子供の両さんぞうを見物にいって戻って交番横の祭りだわっしょい両さん像も抑えて近所の「CoCo壱番屋」で神楽坂淳さん「激辛! 夏風高校カレー部(いもうと付)」(集英社スーパーダッシュ文庫)を読みつつカレー勝負の場面がちょい圧縮気味とかコジマ君がどうして豚肉を用意した方が良いかもって思ったのか分からないよなあとか思いつつ牡蠣フライソーセージ乗せカレーを食らって帰宅。なるほどたしかに銅像がいっぱい立ってて亀有の街は両さん一色ではあったけれども、それでいったいどれくらの“経済効果”って奴があるんだろーか。

 商店街が昇りを立てたりポスターをつくって掲示したってそれでわざわざ何かを買いに来るって人もいない。っていうか両さんグッズなんてあんまり買おうって気がしない。だからグッズを売って儲ける仕組みは成り立ちにくいんだけれどそれは鷲宮だって同様で、最初こそグッズが売れてもそればっかりじゃあいずれ飽きられる、いかに街に人が来てくれるかを考えないとってことで食べ歩きみたいな企画を考え出して集客と滞留を促進した。亀有の場合も両さんの街、ってことで来てくれる人を集め増やしていくその営々とした積み重ねを大事にして街作りに力を入れているんだろう。実際に人とか来てたしなあ。買い物はしてなかったけど。とりあえず両さん像はもういいから次は麗子像が見たいなあ。あとマリア像とか。


【11月14日】 朝もどんよりとした中を録画してあった「夜桜四重奏」を見ていたら次回予告になぜか「ハヤテのごとく」のマリアさんが登場していたのは、きっと第2期に向けた宣伝か何かかと目を見開いて耳を澄ましたら、マリアはマリアでもマリアベルの方だった、例の土地神様のそばでいっつもコスプレしている。セリフもすくなくはいとかええとかそんなくらい? なのについにブチ切れ酒の勢いで喋り倒しつつどこかに凄みを効かせた声音でプレッシャーをかけてみせる。案外にあの世界で1番強いのはギンでもヒメでも土地神の妹(なぜにシスター?)でもなくってマリアベル、なのか。

 ようやくやっと読めた井上智徳さん「COPPELION(コッペリオン)」(講談社)は、お台場にあった原発が地震で壊れて放射能汚染が広がってから20年、遺伝子操作で放射能の影響を受けないようにされている女子高生だかが3人で連れ立って東京へと乗り込み、残っている人間の救出活動を行っていたらシェルターみたいな場所に暮らす夫婦から子供がいなくなったと告げられた。探さなきゃ。けれども見つからずそして向かう傾いたホテルに何か潜んでいそうな様相のまま物語は次巻へと続く。

 20年も放射線でいっぱいの東京で防護服にシェルターが完備していたってどうしてそんなに生き延びられたのか? ってあたりの謎もあるけどそれもおいおい、解決されていくだろう。あとはやっぱり放射能に耐えられる抗体なんてあるの? ってところでそこいらあたりは突きつめれば齟齬も出相場場所だけれどもまあ気にせず、廃墟となって人も動物も生きるに困難な場所を制服姿の女子高生が銃を手に闊歩しているビジュアルと、人ならざるコッペリア(人形)として生み出された少女たちが、人間たちの間に入ってさまざまな軋轢を抱え葛藤しながらも健気に人間を助ける仕事をこなすのか、それともどこかで曲がってしまうのかて辺りを気にしながら、単行本の発売を追っていこう。

 安全神話なんざあ完璧じゃないのは自明なのにそれを見過ごし安全を声高に叫び、別に都会にだってあっても平気なんですと嘯(うそぶ)く奴らに突きつける警鐘。ここで東京だからと意見を留めてしまうようならもはや地方は切り捨てられる存在でしかないってこと。だいたいが地方であってもこの小さな国のどこかで何か賀起これば影響は国の大部分にだって及ぶもの。そこを言わずに片方で安全を言いもう片方で地域の振興を良い上っ面で環境を言うそのまるで整合性のない議論の中で飯を食う面々の多さはつまり、緩慢な滅びを自ら選んでいるってことなのか。メディアもそんな崩壊に実は手を貸しているんだよなあ。未来はいろいろと大変だなあ。せめて50年は保って欲しいけど。それより足下にせめて1年は保って欲しいんだけど。どうなんだ。

 テンポ快調でキャラ最高。でもってストーリーも超オモシロだぞ小幡休彌さんの「超自宅警備少女ちのり」(GA文庫)。転校してきた学校で先生からお前ん家の隣に住んでるんだけれぞずっと不登校の少女、ちのりにプリントを持っていってくれと頼まれ出かけてドアをあけたら普通っぽい綺麗なお母さんが出てきて一安心。ところがちょっとお茶でも入れてきますと言って出で行ってそれから15分経っても戻らない。どういう訳だ? トイレに行きたくなって来たぞ。立ち上がって家の中を歩いていたら、メガネにぼさぼさ頭に下着姿の少女が現れご対面して互いに吃驚、彼女がちのり? するとちのりはある部屋を指し入った少年は何かに蹴躓いて転倒。そして入ってきたちのりは後ろ手にドアを閉め鍵をかけ、少年に向かいニタニタとした顔で迫って手足を縛りスタンガンで気絶させて監禁しようと目論んだ。

 どういう娘だちのりって? それはとても奥手だけれどとても純情。窓越しに見た少年に行為を抱いて望遠鏡でのぞいたり観察していたほどの入れ込みぶりで、それが目の前に現れついつい本心が現れてしまったらしいけれども、幸いなことにちのりの妹が飛び込んできてちのりの顔面に膝蹴り1発。少年を助け出す。とりあえずごくごく普通のお隣関係を回復しようとしたものの、またしても訪ねることになったちのりの家で、今度はどこか深い穴へと転落。気付くとそこは地底の王国で地底人たちが跋扈して、ちのりが守ろうとしてる古代の機械か何かを奪おうと迫ってきた。そこはそれ、普段とはまるで違った威勢の良さで撃退したものの、なおもその機械を狙う勢力があってちのりに迫り、少年にも迫る。

 ちょっとというかとてつもなくストーカー気質なちのりのキャラクターといい、学校1の美貌でなおかつ金持ちで誰も男を寄せ付けないのになぜか少年に関心を示す少女の高飛車で純情なキャラクターといい、突出しつつもハメを外すほどではないキャラの設定でもってぐいぐいっと引きつける。パン屋の3人もなかなかに良い味。そんな美少女たちのあいだにあって、揺れつつも芯をぴちっと通してちなみのサポートに回る少年の格好良さってやつも伝わってきてそうなりたい、そうモテモテになりたいって気分を喚起させられる。どうしてそんなにモテるんだお前? ってなもんだ。とりあえずカタはついたみたいだけれどもバトルは更に続きそう。続きはあるのかないのか。あるならさらに凶悪な美少女を出して幾つ巴なバトルって奴を見せてくれ。

 双子である、ということにことさらの幻想を持ちようがない身に生まれた人間として、例えば双子の間に通じる何か以心伝心のようなものがあって知らず同じ振る舞いをしているとか、同じ痛みを抱えているとか同じ日に息を引き取ったといった“双子の奇蹟”の類を一種の迷信と否定する意識はあったりするけれど、ならば歳の離れた兄弟姉妹との間に通うものとたいして変わらない関係でしかないんだというと、それもやっぱり違うように思えるのは生まれてから同じ時間を過ごし、ある程度の歳までは空間までをも同じしながら過ごして来た記憶なり経験といったものが、兄弟姉妹とはあまり存在しない補完性をそこに育み、互いのどこかをくっつけ絡み合わせているからなのかもしれない。

 一卵性双生児への関心を吐露しつつ、一卵性双生児の女の子2人を一卵性双生児の姉妹という設定で起用して作った映画ということで、またしても双子に通う奇蹟の幻想に覆われた映画なのかもしれないという想像のあった林田賢太監督の「ブリュレ」だったけれども、当初の双子への妙な入れ込みもあるいはリアルな双子の姉妹を見ているうちに落ち着き、一般的な兄弟姉妹とさほど違わないけれども一般の兄弟姉妹にはない共時への思い入れが存在することを敏感に感じとったのだろうか。とりたてて双子だからというセリフも描写も交えないまま離れていた双子の姉妹が何年かぶりに再会し、そして別れていく物語を通して、どんな家族にも、あるいはどんな恋人たちにも言える離別から再会、そして永遠の離別へと向かうことへの哀しみと慈しみを描いている。

 ならば普通に姉妹で、兄弟で、恋人どうしでも構わないかというと「ブリュレ」の場合は、双子ということさらに濃密そうな関係を想起できる存在を通すことで、つながりの素晴らしさと離別の寂しさを浮かび上がらせている。なおかつ双子だから兄弟姉妹や恋人たちとは違った、ごくごく近親故の愛とは裏返しにある憎しみにも似た反発の情感も匂わせては、恋人や兄弟姉妹を主役に据えたドラマとは違ったクールだけれど濃密で、ドライだけれども厚い関係というものを感じさせる、ような気がしたけれども双子に何かしらの神秘性を覚えている一般の人は、普通に双子って仲、良いんだなあって思って見ていたのかもしれない。そのあたり、尋ねてみたかったけれども残念にも監督は11月1日、今まさに初監督作品の上映が始まったばかりという最中に逝去。もはや意図なり図らずも得られたものなりを聞く機会は失われてしまった。もっと早く見ておけば良かった。

 劇場の下ではそんな監督を偲ぶ会も開かれていたようだけれど、生前にも面識などない身なだけに、ガラス越しに盛況ぶりを見て惜しまれる才能への敬意を示すことができただけでも良かったと思う。満員の劇場で最終日の上映を見て、物語への着想もそうだけれども能代から海辺の街に海岸といった風景を実に巧みに切り取り見せる才能もすさまじくあったんだと理解。雪を踏みしめて歩く東北の田舎町の凍てつきながらも人たちの温かそうな空気、どんよりと曇った空の下をしぶきをあげてうち寄せる海を遠くに見下ろしながら海辺の坂道を降りていく場面の雄大さ、そしてラストに描かれる誰もいない曇った海岸の寂しくも儚げな光景のどれをとっても、美しくって切なくってスクリーンから眼をそらさせない。

 そんなシーンに立って病をかくし離ればなれになっていた片割れに会って、それだけで嬉しいと感じる妹に、そんな妹をそれとは知らずようやく会えてもうずっと放さない、これで放火に逃げていた寂しさを埋められるんだと喜ぶ姉の心情を、双子たちの演技に乗せてしっかりカメラに写し取った演出面での冴えにも拍手を贈りたい。叔父で田舎のパティシェを演じた小田豊さんに双子を乗せて淡々とバンで道路を走りながら自分もがんばろうと感じ去っていくキックボクサーを演じた瀬戸口剛さんと、脇に立った人たちも完璧。そんなキャストの頑張りに行く先々で支えた地元の人たちの応援が、ひとつの才能とその才能を世に送り出そうとするスタッフたちの努力に重なって「ブリュレ」という作品が出来上がったのだろう。まさしく結晶。命と希望の結晶だ。

 聞けば120分というバージョンもあったそうだけれども、切られ絞られ71分となった上映版は、冗長さがなくかといって断片的でもない、削ぎ落とされたものだけが持つ静謐さにあふれて見るものの心をひりつかせる。これだけのものを生みだし、送り出せればさらに次、そして次と生まれる期待もなるほどあったに違いないけれども、それを望むことはもはやかなわない。今はただ少しでも多くの人にこの「ブリュレ」という生の結晶が届くよう再上映の機会が訪れることを願い、またパッケージ化されてさらに多くの人の眼に「ブリュレ」に満ちた生への渇望が届き新たな生へとつながることを願って海辺の船に火を灯そう。合掌。


【11月13日】 微睡んでいるとなぜか「神曲奏界ポリフォニカ」のコーティカルテの声が聞こえてきてそうかテレビアニメも新作のネタがなくなり再放送に入ったか、最初のテレビ放送じゃあサメがシャチに代わったりする不思議映像炸裂だったんで改めてDVD版を流してファン獲得でも目指し、発表になってる「『神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS』2009年春TVアニメ化!」を盛り上げることにしたのか、なんて思って目を開いたら映っていた少女の髪が赤くない。コーティなら赤だまっかなクリムゾンレッドの髪じゃなくちゃって目を見開いたら、髪型も違うし顔立ちも違うし態度もツンケンしてそうでやや媚態。ただ声だけがコーティみたく尊大な少女こそが今をときめく「かんなぎ」のナギであったという、そんな間抜けはさすがにしないけれどもでもやっぱり口調、似てるよなあ。

 というか録画はずっとしていたんだけれど見たのは実は初めてかもしれない「かんなぎ」はオープニングこそ話題になりそうというかハルヒっぽいというか狙ってヤマカン流を出して引きつけた感じはあるけれども本編にはいると全体にまとまっているというかまとまり過ぎというか、服を買いに行って常識外れで困ったことになるもののそこは神様だけあって見栄を張ってデカいブラを買う無駄遣い。んでバイトをはじめたらそこに美術部の面々がやって来ては見つけられて困ったけれどもラブ確認が行われて目出度しめでたしというスッキリまっすぐなストーリーのそこかしこに、オタク好みする描写をまぶしてさあ食いつけよって感じに出してきたセットメニュー大盛りを、食べればなるほど満腹で満足になるんだけれどもそれだけってのも何だよなあ。たまたまそういう回だったのかなあ。最初から見直そうっと。

 んで「ヒャッコ」。好きだなあ、こういう強気そうにみえて実は臆病で言いたいことが言えずにもじもじしている間にするりとみんなこぼれ落ちていってしまうキャラクター。お嬢様だからななのか性格ゆえか龍姫さん、虎子が雀に歩巳をさそってどっかに行くのに自分が誘われなかったことを当たり前、って言いつつ開き直り気味なところを見せつつ寂しげに振り返りつつ帰ったらみんないたというその展開。去来するのは安心感なんだろうけどそれをおくびにも出さずにツンケンしている態度の何というかいじらしさが胸をキュンと締め付ける。可愛いねえ。でもってはじまった放課後の友人宅。だらだらとしながらおやつをたべ夕飯をたべ大人パンツを観察する日常ぶりにそんな日々に還りたい耽溺したいって気もうかぶけど今となっちゃあ訪ねる友人宅もなし。招ける部屋もなし。しっとりとテレビの中に花咲く友情って奴をながめて老い先短い人生で、まだできることって奴を考えるのだ。碁会所にでも通うか。

 「ハチワンダイバー」のドラマ版のDVDボックスがそろそろ近いなあとアラートを流しつつ「コードギアス 反逆のルルーシュR2」のドラマ&ギャグ&歌謡CDの第5弾を仕入れて今回もやっぱりマークは外れだと残念がりつつ「月刊アニメージュ」の2008年12月号なんかも確保。表紙のファントムファイヴの衣装がロリ。良いものです。でもってOVA批評のコーナーでは、例の「コブラ」のOVAに案外と真っ当な星が並んでいるのを見るにつけ、アニメファンとは案外に保守的な存在なのかもと理解すべきなんだと考える。寺沢武一さんのインタビュー前にサンプルで見たけどそれよりも幾分か手が入っているって話だったから、これは買って見てみても大丈夫、なのかな。ぶるまほげろーさんは「オーソドックスで安定感のある仕上がり。普通に面白い」って言っているし、星2つとやや厳しめのあさりよしとおさんだって「70年代テイストが懐かしい人には★★★」と言い「個人的に嫌いじゃない」とも言っているから連載の「コブラ」を貪り読み、アニメの「スペースコブラ」を見て育った身にはそれでオッケーなんだろう。2巻も出ていることだしチェックしてみるか、どうするか、どうしよう。

 んで第9巻が出て第1部完結となった高遠るいさん「シンシア・ザ・ミッション」(秋田書店)は帝王キングカイザー100世の中身が判明、って高野果苗じゃあなくって弑・四方犠の方なのか。どっちが本当の人格なのかって説明があったか記憶にないけど本来はこっちだけれども世を忍んで弱い果苗の人格を作り上げたって理解は成り立つのかどうなのか。んでもって「誰?」って言った久我阿頼耶。重なってはいなかったのか。でもってラストバトルは半分以上はシベール・ロウが勝ってたみたいだけれどもまあそこは仲間の力でシンシア・ロウが勝利者に。ほとんど無傷なシベールは、試合の途中で自分を操った紫水ほたるに挑んでとんでもない目に。やっぱり最強は邪眼だったのか。まあそんなこんなで片づいた美少女格闘アクション漫画に果たして続きは? おーるすっぽんぽんの巨大美少女格闘バトルな「みかるんX」も悪くはないけど慎ましやかにスカートとかの衣装をつけつつちらりちらりと見せる奥ゆかしさが残る「シンシア・ザ・ミッション」も是非に再登板を。

 8角リングで掴まえられたらちょっぴりヤバい気もするけれどもそこからだって大逆転できるのが優れた格闘家、ってことで選んだのかもしれない須藤元気さんの小説作品「キャッチャー・イン・ザ・オクタゴン」(幻冬舎)。プロになってまだ3戦ほどしかしていない若い格闘家にアメリカのアルティメットなオクタゴンのリングで闘うチャンスが与えられる。高校に入って新入生歓迎の目的で行われたカルタの大会に同級生たちと出たものの決勝で当たった進学クラスの女の子チームにあえなく敗北。その中にいた寡黙そうな少女に引かれた主人公の少年は、けれども彼女に彼氏がいると分かって初失恋。入学から数ヶ月を経てレスリング部に入って練習を重ね、先輩のしごきに悪戯で返したりしながら次第に強くなってそしてどうにかプロになる。

 そんな合間に憧れた彼女に彼氏なんていないと分かってつき合うかというとやや曲折。それでもどうにかつきあい始めたものの彼女は会社に入ってバリバリと仕事をしている身。一方の彼はアルバイトをしながら格闘生活という状況。普通だったらそこでいろいろ諍いないもありそうなんだけれども須藤元気の筆は飄々として2人が村上春樹チックに互いを認め合い理解し合っているような会話をかさねながらクールでスマートな関係を描いていく。やがて訪れたフロリダでの試合。電話をかけて不安を見せる男に彼女は容赦なく土産を買って来いだの言っておおのきもしない。そして試合を経て帰国して彼は彼女が部屋にいて、掃除して彼を包み込んでくれたことを淡々と喜ぶ。格闘モノなのに暑苦しくなく恋愛ものなのにベタついてもない、静かで優しい物語。格闘シーンの描写はさすがに経験者ならではのリアリティだけど、そこだけじゃないところに新しい書き手の登場って奴を感じさせそう。21日には銀座でサイン会か。見てみたいなあ。いやもう前に見たことはあるけれど。


【11月12日】 んじゃあと「新造人間キャシャーン」の昔のをDVD−BOXで見返して「戦場に響け協奏曲」のなるほど評判になるくらいの出来の良さだと納得。盲目のピアニストの少女に近づくキャシャーンにハッと警戒する少女。理由は跫音が人間と違っていたから。それで畏れられるキャシャーンの内心にわき上がる自分はやっぱり人間じゃないんだ、畏れられるロボットに近い存在なんだという葛藤という、作品全体にも流れるテーマを瞬間に描いてみせるシナリオ演出の工夫が素晴らしい。

 少女は声が岡本茉莉さんで森功至さんがその兄の指揮者役で出演と、タツノコアニメ好きにはたまらない配役。まだ全部が見切れた訳じゃないんで富野喜幸演出なんかもピックアップして見てみよう。それにしても中村光毅さんの美術を背景にドカンといった爆発のシーンとか劇画タッチの人物とか、そのまんま「ザンボット3」であり「機動戦士ガンダム」だよなあ。ここに源流があったんだなあ。

 最終回も見たけれども小隅黎さんはどちらかといえば悲劇って言っているけど、人間に戻れなくたって生きていけるんだって明るさがあるようにも見えて解釈にいろいろ。この多様性が新番組の「キャシャーンsins」を生みだし、新しいドラマを乗せて展開してはいろいろと考えさせる力になっているのかも。どこに向かって進んでいるのか「キャシャーンsins」。見続けよう。

 うりゃうりゃと「ライセンシングアジア」を見物に「東京ビッグサイト」へ。まずは可愛い系にされた「ヤッターマン」のガンちゃんアイちゃんに三悪を目に治めつつティンカーベルから出ているグッズ類の目新しさに惚れつつ来るべきフカキョンのドロンジョの衣装お披露目に期待しつつ天野喜孝さんがデザインをしたシロクマがモデルになったシュタイフのティディベア5万円をさてはて買うべきかどうするかと悩みつつ場内を散策。

 フジテレビKIDSのブースがあって「ガチャピンは来るの?」って訪ねたら「ガチャピンはヒマラヤにいて来られません」って言われてそりゃどういう訳だと「ガチャピン日記」を見たらどうやらヒマラヤあたりを歩いているらしー。あの体躯でヒマラヤも制服とは恐るべしガチャピン。地球で1番、野田昌宏さんに近い場所に行ってお別れを言うんだね。代わりにムックががんばるって言っていたけど会場には来たのかな。会期中にまた行ってムックの活躍、見てこよう。

 しばらく前から阪神タイガースのライツ事業部隊がずっと出ていた「ライセンシングアジア」だけれど、地方に根ざしてローカルに活動している日本の球団でも、十分に全国区でライセンスビジネスを展開できるくらいにプロパティの価値を持っているんだってことを自らライセンス事業を行うことで証明してみせた、その心意気に賛同したのか今年から初めて東北楽天ゴールデンイーグルスが出展。タイガースの向かいに店をかまえて例のクリムゾンレッドがモチーフとなったグッズ類とかちょっぴり格好良さげにアレンジされた帽子なんかを見せていた。

 そりゃあ東北がフランチャイズな球団でそっちで売れればそれなりに稼げるんだろうけれど、選手の中には田中将大さんのよーに全国区の人気を持つ人も生まれてる。っていうか野村監督自身が全国区。その価値を東北だけに留めておくのはもったいないと、出展しては東京あたりの人たちにプロパティを見てもらい、少しづつでも全国に足がかりを得ていこうってことみたい。他の球団はまあ二の足を踏んでるみたいだけれど、タイガースにゴールデンイーグルスがこれで成果を出せば、各球団も取引先の企業任せにしないで自分たちでライツを管理するようになって、そして「ライセンシングアジア」に揃って出展してグッズの出来不出来を競い合う、て光景が見られるかも。とりあえず中日ドラゴンズにはドアラ関連の出展を望みたい。

 マーベルの代理店をアトラスが始めていたりアグネス・ラムのライセンスなんてものが動いていたりと興味深い出来事もあれこれ。東北新社じゃオードリー・ヘップバーンを扱っていたし他ではマリリン・モンローもいたりと美女プロパティの価値の高さと保つ永さに瞬間風速的な男性アイドルのわびしさを感じる。ジェームス・ディーンくらいだよなあ、永遠のメンズなフォトジェニックって。あとは中島潔さんって童話のよーな和風の絵を描いて根強い人気を持った画家の作品に出てくる子犬の「うめ吉」と「あやか」を仲のシロウさんが新たにリデザインしたニュー「うめ吉&あやか」も登場。創造教育センターってところが見せていたそれは目がつぶらなボタンから、「の」の字の可愛い系に代わって現代的な雰囲気を見せていたけど、中島さんの画風が好きな人にはどう見えるのか不明。反応を見たい。

 個人クリエーターが軒を並べてプロパティを見せるコーナーもやっぱりあってその中では「我」って人が出してたグロっぽいフィギュアが超クール。まんまアメリカの雑誌とかに出ていたって不思議はないフォルムに色彩にデザインなんだけれども、聞くと世界的になんか活躍はしていなくってバイクとかタトゥーの雑誌をメインにフィギュアを造型したりリングのデザインをしたりしているらしー。何しろ拠点が境港だ鳥取の。島根が拠点のFROGMANさんとちょい重なるところもあるけれど、だからといって作るものがローカルってことは全然なくってグローバルに通用する造型を見せている。探せばわいて出てくる個性派クリエーター。そんな人がより大きなフィールドを得られるよう新しい出会いを作ってあげる場が「ライセンシングアジア」なんだけれど、果たしてどれだけの興味が集まったかな。今後の活躍に要注目。


【11月11日】 いいいいの日。何の日だ。とりあえず「ポメラ」を探してあちらこちら。買うって決めた訳じゃないけどあのキーボードがどんな具合かくらいは確かめたくって果たしてペコペコで打ちづらいのか、小さすぎて指が乗らないのかどうかを見るべく新宿に行ったついでに「ヨドバシカメラ」のパソコン売り場を探してもまるで見つからず。2時間3時間した電池がもたない意味不明なミニノートって奴はいっぱいあって、これなら値段は3倍だけれど10時間とか持つパナソニックの「レッツノート」にした方が良いじゃんって思ったりもしつつうろうろと売り場を歩いても未確認。こりゃ売り切れかもと出てちょい歩いた事務機器のコーナーにあったよあった、ありました。テプラとか電子辞書なんかを販売しているコーナー。つまりはそういう扱いなのか「ポメラ」って。PCじゃないもんなあ。

 んで打ってみたら打感はなかなかにしっかり。きちっと押せてしたっと戻る。厚みは「ThinkPad」に慣れている身にはやや薄い感じがしないでもないけれど、広がるキーボードはピッチも十分で、ちゃんとしたポジションをとれば音声を聞きながら打ち込むのにはそれほど不自由はしなさそう。土台となる部分もなかなかに堅牢。とはいえパソコンみたく膝上で使うのはちょっときついか。だからテーブルでメモとかアイディアノートとか取るのに最適かも。あるいは小説をつるつると書き溜めるとか。1ファイルで原稿用紙20枚文くらい書けたんだっけ? メモリーカードを入れれば記録もどこまでだって可能なんでこいつを買ってネットとか見て寄り道しないでひたすらに文字を打ち込む毎日を続けて目指せ電撃大賞。そりゃ無謀だ。3500通だもんなあ。スクウェア・エニックスの小説新人賞なんてどーだろう? 応募どれくらい集まるんだっけ?

 新宿ではあと「どんぶりドンキー」とやらを見物。あの「びっくりドンキー」が始めた新業態でハンバーグなんかが上に乗った丼なんかを出すお店。そう聞くだけでこりゃイケそうだって期待したけど、欲張って洋風のフォンドボーカリー丼とやらを食ったら下に敷いてあるご飯が五穀十七菜って野菜なんかが炊き込まれたものになっててカリーにあんまり合わず。この味なら照り焼き風とか和風なハンバーグを上に載せたものを選ぶのが味的にも正しいのかもしれないなあ。メニューからだとノーマルな「元祖ハンバーグ丼」がやっぱりベストか。「月見野菜丼」もちょっとイケそー。新宿御苑と新宿三丁目の間くらいで歩くと割にありそーだけれど11月3日にオープンで今んところ日本にここだけみたいなんで、機会を見て通って早々に全メニューを制覇だ。

 そんな行き帰りで「東京スポーツ」を買ったら値段が130円に上がってた、ってのはもう1週間くらい前からか、ついに来るものが来たよなあ、そんな時代に果たしてやっていけるのかワンコイン新聞。他人事じゃあまるで全然ないけれど。そうだ「東京スポーツ」では1面に堂々「中田英寿現役復帰」の記事を掲載。人面魚とかUFOなんて飛び飛びに飛びまくった記事も載せるけどこと芸能なりスポーツではちゃんとそれなりな取材もしている、とは思うからまんざらガセネタでもないんだろー。っていうかやっぱり中田英寿さんはサッカーをやっていてこその存在感。旅人じゃあはっきりいって価値はないし、前の残り香も次第に薄れて最近は誰も興味を示さなくなっている。コーチでも何でも良いから戻ってくるべきだって思っていたら嬉しい嬉しい現役復帰。可能なら是非にJリーグのチームに入って欲しかったけれどもそれが無理でもちゃんと試合に出られるチームで体を戻して来るべき2010年の「FIFAワールドカップ南アフリカ大会」に出場してやって欲しいもの。その強靱さと献身性を買って使える監督を仰いで。シュワーボオスタニ。

 そんな嬉しい話とは別に上の方では“イヌ害”が大爆発。マジで大分トリニータとジェフユナイテッド市原・千葉を制裁する気でいるらしいけどルールなんてないのにどーゆー理屈で処分できるのかがまず注目。無法者のそしりを受けても断行したとしたらもはやその座に留まることは不可能と知れ。そんなんでよく企業の偉いさんなんかが勤まったよなあ。法律に反したことなんかも散々ぱらやってたんじゃないかって可能性が浮かんで消えない。そういやいろいろあったもんなあスリーダイヤの自動車屋。もしかして身に染みついた習い性? だいたいがジェフ千葉は規定に反してないんだったっけ。対してジュビロ磐田は規定違反も明々白々なのに“イヌ害”の口から磐田の名前が挙がらないのはもしかして周りが見えていないからなのか。1つのことしか頭が考えられないのか。御用メディアが春秋制かか秋春制への移行の下地慣らしだって擁護しているけれど、無法を通して受け入れられる改革なんてものが許されるはずがない。それでもいろいろ断行したその時が、日本サッカー界の終幕かもしれないなあ。せめて1人の破滅に留める勇気が欲しいなあ。

 来たよ来た来た帰ってきたよ上野毛あさみさん原作で黒岩よしひろさん作画の超絶おもしろ漫才漫画「ステージガールズ」が。今となってはうたかたの夢だった無料漫画誌「コミックガンボ」に連載されてた数ある漫画の中でも「パート怪人悪キューレ」と並んで1、2を争う面白さだった漫画だったけれどいよいよクライマックスってところで雑誌が消滅。単行本も出るには出たけど1巻のみで続きは読めない状態がもう1年近く続いてた。いつかどこかで再始動、なんて期待もあったんだけれど漫画の業界って狭いのかそれとも広いのか、「ガンボ」初で連載がうつったのって1つくらいしかなくってもはやこのまま消え去るのみかって寂しい思いをしていたら、「人間噂八百」に「私設東京博物誌」あたりが何故かお膝元から始まって、そしてその延長で真打ちともクライマックスとも言える「ステージガールズ」が完全版として蘇った。嬉しい嬉しい。感想文を書いて散々っぱら讃えた身としては嬉しい限り。小躍りしちゃおうえっさおっさ。

 さらに嬉しいことには続刊もちゃんとあるみたいで「コーラスライン篇」に「ウエストサイド物語篇」なんてのも刊行されるとかどうとか、ってどういうこっちゃこのサブタイトル。連載をずっと読んでたけれどもコーラスラインもウエストサイド物語も別いnやってなかったよなあ。まあ「おかしな二人」がそもそも舞台劇のタイトルからなんでそっちの流れてミュージカル2つを引いてサブタイにしたいんだろー。話はこのあとシゲさん復活からマゼコン参加へと向かい関門を越えて罠にもはまってそして迎える決勝戦? それは連載が終わって読めなかったから知らないけれども別れてそして別々のコンビで再会した2人がきっと共に幸せをつかむシーンを願って買い続けよう、続刊を。まさか今度の版元まで……ってそれ、洒落にならねえ。


日刊リウイチへ戻る
リウイチのホームページへ戻る