縮刷版2006年6月下旬号


【6月30日】 そろそろと開催も迫ってきた「東京国際ブックフェア2006」の情報をチェック。トーハンの決算発表会でもちょっぴり話を聞いてみたけど書店が出版社にどれだけ売るから本を回してってお願いする「責任販売制度」に関して「本の学校・出版産業シンポジウム2006in東京」ってイベントの中で「書店からみた責任販売制」ってタイトルでトークショーが行われるみたいで興味。一部「ダ・ヴィンチ・コード」で似た制度を取り入れた角川書店から人が出ておらず、実績面がどーだったのかが分からないのがやや難だけど書店の側から重鎮も出ていろいろ喋るみたいなんでどんな受け止め方をされていて、どんな問題が発生しているかも分かるかも。聞きたいけど高いなあ。

 いつもそれなりな面子が揃うサイン会の方はずらーっと見て茂木”クオリア”健一郎さんの所に人気が集まりそー。別に二枚目じゃないし喋りも立て板に水って感じじゃないけどどこかぬりょーんとした風貌としゃべり方がテレビなんかを通して視聴者に不思議な印象を与えているみたい。本は読んだけど何が書いてあって何を言いたいのかがサッパリ。まあアカデミズムのスターってのは得てしてそーゆーもんだ。いつまで人気が続くかは知らないけれど。あと映画「ゲド戦記」のアニメーターが登場するイベントが8日の12時半からあるみたいなんだけど、誰が登場するんだろー。「読売新聞・日本テレビブース」ってことだけど司会とかに読売1有名なアニメ記者とか出てきたりするのかな。それだったら行こうかな。

 タダで見物できる無料セミナーにも興味深そうなプログラムが目白押し。電子出版系が多いみたいで今やもはや老舗となった「電子書店パピレス」(をを「神様家族」が入荷しているぞ!)とか未だかつて成功したことのない電子ブックの世界に敢然と切り込んだ(けど成功しているかどうかは知らない)「DGBOOK」とかのPRなんかを聞けそう。ボイジャーも相変わらずに参加してセミナーを開催予定。消えていった電子出版絡みの事業が多々ある中で、パピレスやボイジャーが生き残れた理由を考えれば電子出版の利点欠点に可能性も見えて来るのかな。方や物量でこなた技術力って辺りか。要研究。

 8日午前10時半からの「Googleブック検索について」ってセミナーは、巷で話題の「Googleブック検索」とは何かを日の丸グーグルの村上憲郎社長自らがお出ましってんだからこれは面白そう。つかアマゾンの「中身検索」と何が違うんだろ? ちょい前に日の丸アマゾンのジャスパー・チャン社長に聞いたらグーグルはサプライヤーとユーザーを繋ぐだけだけどアマゾンは商品を探してその場で購入できるってゆー、購買体験そのものを提供しているから検索だけのグーグルとは違うんだって言っていたっけ。その差違がビジネスにおいてどんな強みなり弱みを持つのか、実感として今ひとつ分からないんだよなー。村上さんに聞いてみるか。アドセンス狩られな人たちに取り囲まれてなければ。

 ウォルター強っ。そりゃアーカードだって認めた強さを若い頃から誇っていたけど「ヤングキングアワーズ」の2006年8月号で、吸血鬼となりかつての若さを取り戻した上に超常的なパワーまで手に入れた執事こと死神ことウォルター・C・ドルネーズ。アンデルセンの今際を邪魔して足蹴にし、粉微塵にしたウォルターに怒ったイスカリオテ13課の剣術使い・高木由美江をまるで寄せ付けないまま微塵に粉砕して退けては、かつての友、アーカードとかつての主人、インテグラルとそれからセラス・ヴィクトリアに対峙する。

 すでにマックスウェルを倒されアンデルセンも消え失せ由美江まで無くして残ったハインケルも、直後にハンス・ギュシュ大尉のブリッツ・スタンフォードが使い切れなかった「ルガーP08 ロングバレル・ダブルカアラム・454スカール」にも負けない超ロングバレルの「モーゼル1896」だかによって吹き飛ばされる雑魚キャラっぷり。短編では凄まじい強さを発揮していたのに本編でのこの扱いは、それだけ吸血鬼たちが強すぎるってことなのかなあ。分けてもウォルター。生身でも最強だった彼が今、不死身の体を手に入れ果たしてどんな闘いを繰り広げるのか。ビッグベンだってロンドン塔だってそのワイヤーでバラバラにしかねない技がバラバラにされてもすぐに元通りなアーカードにどう挑むのか。来月号が既に楽しみ。

 大石まさるさんの「水惑星年代記」はレトロフューチャーなテクノロジーと美女って組合せだった前回までからちょい変わって割に青春のストーリーなんで、タッチから受けてた鶴田謙二さんっぽさが引っ込んで大石さんならではの元気さとそして女の子の健康的なエロさが前面にいっぱい出ていて目にも見応えたっぷり。なおかつストーリーも長身でややボーイッシュな女生徒のセリちゃんが、自分は音楽が好きだし本も好きだし足もそれなりに速いけれど1番ってほどでもなく将来どんな道を選ぼうかって考えて、何も決められないで悶々としている姿が描かれる。

 そんなセリにまとわりつくのが昔からの知り合いのこちらはいかにも女の子ってビジュアルの少女・スズシロで、やりたいことが決まらないなら何だてやったらいいじゃんって感じに軽く言うけどセリはそんなスズシロ軽さがすんなりとは受け入れられず、手に好きな本を持って旅に出ようとしたらスズシロまで付いてきた。山でキャンプをしながら悩むセリに対して軽く見えても案外にしっかりとしてテキパキと動くスズシロに、ますます悩むセリだったけど持っていった本が語ろうとしていたことに気付き、悩んでみるよりやってみることが先決だって分かって山を下りる。

 誰にでもある将来への悩みをどう乗り越えていくかってことに、答えとまでは言わないけれどひとつの道を見せてくれるストーリー。絵も可愛いしちょっぴりエロくて眺め甲斐がある。7月末には単行本も出るみたいだけどこれは入るのかな。入らなくてもこれまでの作品も目茶面白かったんで買おう。気持ち的には細かいタッチを再現できる大判で出して欲しいんだけど、それは流石に無理だよなー。掲載号を揃え直して切り取りスクラップにするか。


【6月29日】 前回ほどにワールドカップ出場国のレプリカユニフォームへの物欲が起こらないのは、買っても最近は出不精で着ていく場所があんまりないのと、お台場にあった「グランドーム」みたくその場でどんな選手のマーキングでもしてくれるよーな大きなショップが消えてしまったことなんかがあって例えば、新しいポルトガルのユニフォームにマーキングをしたくても、フィーゴ先生やデコやクリスチアーノ・ロナウドはあってもパウレタはなかったりして珍しい物好きにとってはあんまり魅力的に映らない。

 もっとも聞くとポルトガルは最初の発表時と字体が変わってマーキングが間に合わなかったみたいなんでパウレタがデコでも期間中に入手は困難だとか。絶好の商機を逃すとはナイキもあんまり代表ユニで商売する気がないのかな。それとも08年の「EURO2008」で同じユニフォームを使うからそっちまでに間に合えば良いのかな。フェリポンが監督続けるみたいなんで大丈夫とは思うけど、その鍵となりそーなフィーゴ先生はどーするんだろう? インテルで現役を続けて好調ならやっぱりまた出場するのかな。だいたいフィーゴ先生ってまだ33歳で、僕より全然若いんだよね、あの顔で。ストイコビッチだって35歳で「EURO2000」に出て活躍したから、フィーゴ先生にも最後の奮闘を期待して、今からマーキング入りを予約しておくか。

 レプリカユニフォームへの物欲は減衰気味な一方で続々と登場して来るデジタル1眼レフカメラへの物欲がじぐじぐと高まり中。とりわけソニーがミノルタの「α」シリーズの看板を引き継ぎ7月21日頃に発売する「α100」はデザインもそれなりにガッチリしている(ってゆーかコニカミノルタが出してた「αスウィート」をカタくした)感じだし、機能も1020万画素で手ブレ補正がついててアンチダスト機能もあって便利そう。「SONY」ってロゴも目立たずそれでいてしっかりと存在を主張。機能美に溢れて手に取る魅力を感じさせた、往年のソニー製品に似たオーラを発してる。

 何よりレンズにカールツァイス様の「バリオゾナー DT16−80mm F3.5−F4.5ZA」って奴が用意されてて広角16ミリから中望遠に仕える80ミリまでのワイドな幅があってなおかつそれなりの明るさもあって、暗い場所での会見なんかが多い仕事で重宝しそー。値段が税込み10万3950円ってのがバカ高いけどもっと明るいレンズだとニコンでも20万円以上はするから決して高くはない。つかより明るいF1.4の85mmが18万9000円もするのを思えば、カールツァイスに10万出しても惜しくない。気がしないでもない。とはいえ似たスペックのソニーレンズ(ミノルタ製?)が31500円だからなあ。やっぱり高いかな。でも本体とセットで揃えて置きたいレンズかも。揃えたって20万円強なら持っている「istD」より安いし。

 もっともその「istD」に続くペンタックスの1000万画素デジタル1眼レフカメラが秋にも登場って噂があるから悩ましい。先駆けて610万画素の「K100D」ってのがまーじき(名古屋弁でもう少しでの意)出るらしく、そっちは値段も10万円を切りなおかつ「istD」とさほどスペックで変わらない(部分的には上がってる、手ブレ補正機能とか付いてるし)から、アンダー気味で暗い写真ばかりが撮れて扱いづらさを感じてる「istD」のサブとして、手元に置いておきたい気がしてる。

 けどでも直接的な「istD」の後継機も見てみたいし。連写とか効くのかなあ、キャノンとかニコンとかに比べてそこが弱いんだよなあ、ペンタックス。ともあれ出そろってくる新型機の洪水に、まずはじっくり必要性をじっくりと考えた上でどれを選ぶか、それとも選ばないかを決めた方がよさそう。「なでしこジャパン」が北朝鮮戦に買ってアテネ五輪出場を決めたことを理由に無理矢理引っ張って、えいやっと25万円する「istD」とか買ってしまった二の舞は、避けた方が良いのかも。

 とか言ってると7月末に「FIFA女子ワールドカップ中国2007」の出場国を決める「AFC 女子アジアカップ オーストラリア2006」だよ。中国に北朝鮮に韓国に日本にオーストラリアの間で2位までに入らないと(中国が2位までに入れば3位までに入らないと)北中米カリブとプレーオフだよ。メキシコあたりとアステカスタジアムで10万人のアウェーだよ。もしも出場とかこの大会で決めてしまったらタイミングもバッチリだしどれか買ってしまいそーだなー。それくらいに嬉しい事態だもんなあ。頑張れなでしこジャパン。ところでメンバー発表はいつなんだ。サムライブルーな代表ユニで酒井與惠選手のマーキング入りを作らなくっちゃ(また作るのか)。

 その美少女が今ではしわしわのくちゃくちゃになっているなんて。って開けば眼に入る弓矢を手に持った巫女装束の少女の姿に人の辿る運命の残酷さを思う日々。かといってクリスティーナ・モンフォーコンのよーに何十年が経とうと同じ美丈夫姿で世界を闊歩されているのも何だか恐ろしい。黄夫人のよーに人外の存在として永遠の命を長らえるよりはそれでもマシかもしれないけれど、だからといって未だクリスティーナの中身が何だか不明なあたりに五代ゆうさん「パラケルススの娘」の向かう先への興味ってものがかきたてられるのかも。

 時代をぐっと遡って幕末の横浜を舞台にはるばる英国からクリスティーナが乗り込み、黄夫人が巡らせる企みに挑むってストーリーに絡むおは下僕こと跡部遼太郎の祖母にあたる跡部多華。海を越えてロンドンへと来た遼太郎が出会った美しくも力強い魔術師クリスティーナ・モンフォーコンがかつて日本へと赴いた時に出会ったと話していた、そのエピソードが弟4巻の「緋袴の巫女」でつづられる。ただ命じられるままに退魔の職務をこなしていたけど、クリスティーナとの出会いをへて目ざめ長じそして遼太郎を英国へと送り込む。女2人の出会いに加えて吸血鬼の黄夫人との因縁も発生して、そして始まる新たな戦いの中で能無しな遼太郎にはどんな目覚めが訪れるのか。展開が楽しみだ。


【6月28日】 秋葉原方面では全滅に近い消えっぷりで「ゲーマーズ」に至っては通常版も売り切れとなっていた「涼宮ハルヒの憂鬱」のDVD弟1巻こと「朝比奈ミクルの大冒険」をよーやく鑑賞。買ってしばらく経つけどその間は「2006ワールドカップ独大会」の模様をハードディスクに録画してはせっせと試合の2時間分だけつまんでDVD−RAMに移す作業に没頭してたんでDVDのドライブが空く隙がなく見られなかった。

 ちなみにW杯の録画は地上波放映分の今んところ32試合分をすべて記録済み。HDDの方は消しちゃったけど残しておいたらそれだけで70時間近く容量を取られた勘定だから仕方がない。試合前の応援席にいる豊満な美女とかスタンド下にいる選手たちが雑談している表情とかも残して置きたかったんだがなあ。ブルーレイやHD−DVDならならその辺気にしなくても良いのかな。だとしたらちょっと気になる。まだ高いけど。

 そんな「朝比奈ミクルの大冒険」は放映されたものと特に変わらず。電波状態の悪さから来るノイズこそ入ってなかったけど細かく素早く動く場面でのブロックノイズっぽいものがちょっと気になった。それとも単に見間違いか。夜通しサッカー見てるんで視力が落ちまくってて困ってます。老眼? 言うな。

 次回予告は放映版のシャッフルから来るキョンのハルヒへの突っ込み芸がなく最初に間をどかっと空けて、それからタイトルだけどボソボソっと喋る長門有希の声が流れるバージョンでそれだけきくと地味すぎ。だけど放映版も入ってて比べられるんでシンプルさが逆に浮き立つとゆーか。けど放映版をリアルタイムで見てない人にはシャッフル芸の意味も分からないまま長門のちょっぴり間の悪いボソボソを聞く訳で、何だこりゃって印象を持たれないかと心配。まあ最近はテレビでもタイトルだけ言う予告になってない予告もあるから慣れてるか、視聴者も。

 とてつもなく身近にある新聞社も正確性の砦とみえる校閲部門がなかったり、50を過ぎたおっさんの思いつきで時代からズレまくったトレンド記事が思い込みもたっぷりに作られたりしていささか謎めいていはいたりして、そんな体たらくの根っこに鎮座していたご本尊がご出世遊ばされた挙げ句に更なる珍走の予感もあったりする今日この頃なんだけど、それでもいちおうは新聞社としての矜持はあったし会社としてのシステムもそれなりいあった。

 これがエイリアンの新聞社ともなるともはや人間の常識は通じず、日々センス・オブ・ワンダーな出来事が起こっては地球人の目を白黒させるらしー。宇宙人なんだから地球の常識が通用しないのは当然? ごめん間違えたエイリアンじゃなくエイジアン。エイジアン新聞社。探検部だった学生時代も今は昔。3畳間で赤貧ライター正確をタカノ青年の所にある日、電話がかかって来て取ると「エイリアンのレック」と名乗った女性がコラムを書いてくれと依頼して来た。

 エイリアンたぁ何だと聞き直すとどーやらタイの女性らしい。折角だからと赴くとそこはアジア各国から来た人たち向けに現地の情報なんかを紹介する新聞を出してる新聞社。台湾から来た31歳の女性が社長の会社で、レックはタイ人向けの新聞を作るスタッフとして働いていて、探検部時代に見聞きしたアジアの話を書いてたタカノ青年に仕事をお願いしたかったらしー。

 もっとも新聞といってもミニコミの世界でブロック状に仕切られたスペースに字数も級数もバラバラなコラムが詰め込まれては印刷されたり、日本語とタイ語のページが半々だったりと日本の新聞の常識が通用しない。出稿されてる広告も日本語のチェックがされておらず誤植の森で、これはマズいとタカノ青年が指摘すると、だったら編集顧問になってくれとその場で頼まれ流石はアジア人、思いついたら即断即決と驚きながらも受けてしまった。

 こうして始まった奮闘の日々を描いた高野秀行さんの小説「アジア新聞屋台村」(集英社)。タイやらミャンマーやら台湾やらインドネシアといった言葉の新聞が並んでいる様が屋台っぽいと言えば言えるけれどタイトルの意味はそれとは違う。とにかくまずは新しいメニューを出してみて、評判が今ひとつだったら引っ込め別のメニューへと切り替え、評判が良ければそのまま看板にしてしまうとゆー屋台の商売の感覚が、エイジアン新聞にはあるってことの例え。資金だとか法律だとか将来性とか失敗した時の心配とかをしてなかなか踏み切れない日本人的感性との対比を描いてアジア的なおおらかで前向きな感性を指摘する。

 台湾語新聞を作りながらも密かにしっかり根回ししてから、独立してライバル紙を立ち上げる女性の話とか、同じインドネシアの新聞を作っていても、イスラム系の責任者と中国系のスタッフとの間には溝があってなかなか埋められない話とかを通して語られるアジア的な、と一口に言っても国によって、民族によってそれぞれあって多彩な感性がエイジアン新聞社でタカノ青年が経験する様々なエピソードを通して描かれていて、そっかそゆーものなんだって日本に居ながらにして勉強できる。

 ちょっとは真っ当な新聞社にしよーと雇われ入ってきた日本人の編集幹部が給料が遅配になった途端に辞めてしまうのに対して、他のアジアから来たスタッフは別にしっかり副業をやってて、ってゆーかそれを将来の糧にしよーと奮闘しつつも新聞の仕事もそれなりに楽しんでやっているため、給料が遅配になっても構わず出社し新聞作りに励んでいる。誰かのために仕事をするんじゃなくって自分のために仕事をする。だから苦境も厭わない。誰かに居場所を与えてもらうんじゃなく、自分で居場所を切り開く。そんなエイジアン的生き方って奴を知ってタカノ青年はエイジアン新聞を”卒業”していく。

 学生時代に探検部に所属し世界を歩き回っては数々のノンフィクションを著して来た高野さんならではの見地とか、日本にあるアジア系のミニコミ誌で仕事をして得た高野さんの経験とかが盛り込まれた小説で、どこまで本当かは分からないけどすべてが本当にあっても不思議じゃないくらい、どのエピソードもリアルだしどの登場人物も生き生きとしている。なにより面白い。そのまま誰か若い俳優さんを主役にしてドラマ化して欲しいくらい。31歳のアグレッシブな台湾人女社長は差詰めビビアン・スーさんが適任かなあ。蓮舫さんだとちょい隙なさ過ぎって感じだし。見たいなあ。

 1800円は高いけど吾妻ひでおさんだから仕方がない。チクマ秀版社から”復刻”された「定本 ときめきアリス」は前に出ていたアリスのワンダーランドな日々を描いた不条理だったりロリだったりSFだったりする連作をまとめた単行本に昔描かれたものから最近描かれたものも含めたカラーの女の子イラストが巻末に収録されたもの。コミケなんかでそれなりなお値段で売られてた直筆カラーイラストもあるいは混じっているのかな。80年代の半ばに描かれていた漫画の美少女と20年くらい経った今の美少女の、タッチの差とそして変わらない味が比べられて面白い。でもやっぱり高いなあ。本来は「弟2章」の「アリスははにかみながら」が「弟4章」とあるのは誤植? 7月には「夜の帳の中で」とかってのも出るそーでこっちはダークな不条理漫画が収録されることになるんだろー。楽しみ。


【6月27日】 気を失ってしばらくして意識を取り戻すと何やら延長後半とかゆー声が聞こえてショボついた目でテレビを見たら、ウクライナとスイスが無得点のまま延長戦を戦っているのが映ってたんで、そのまま見続けようと目を見開いたものの開かず逆に瞼が下がって気が付いたらPK戦に突入してて、おまけにスイスが連続して外しているって話になっておいおいそれじゃあウクライナ勝っちまうぞ、初出場のチームにベスト8まで行かれてしまうぞ羨ましいぞって思っていたら本当にウクライナが勝っちまった。

 ワールドフェイマスがほとんどシェフチェンコ1人しかいないチームで、予選を勝ち抜きやっとこさの出場だったのにこの快挙。出場3度目でアウェーでだって2度目なチームが勝ち点1を這々の体で獲得して、ゼロだった前のアウェーん時から8年かかって1増やせたのが精いっぱい、これがワールドカップの厳しさだだなんて言っ募っては、ホーム開催ではあるもののプレッシャーも超キツかった4年前の試合で勝ち点4を取り、ベスト16まで行って実力的にも世界と互してた実績を、まるでなかったかのよーに隠蔽してしまうどこかの国のスポーツライターさんに、ウクライナの快挙はだったら何だと説明してもらいたけど聞いたら果たして何と答えるんだろー。よもや第二次世界大戦寺にウクライナはドイツに占拠されていたからドイツでの大会はホームみたいなもの、とか言うんじゃないよな。そりゃポーランドやフランスにとってもドイツはホームって言うに等しいからな。

 ともあれイタリアが抜けウクライナも抜けおそらくはブラジルが抜けスイスとスペインのいずれかが抜けて出そろうベスト8による準々決勝。その果てに行われる準決勝へと駒を進めた先にあるのは7月9日の決勝と、そして前日に行われる3位決定戦。その3位決定戦が行われる日時は日本時間なら7月8日の28時ってことでちょうどその頃宮城県の松島では、「弟45回日本SF大会」が開かれているんだけどもしも3位決定戦がイングランドVSドイツなんて、21世紀始まって以来の屈指にして屈強のカードとなった暁に、参加している人は大会そっちのけでテレビにかじりつくのかな。それはサッカーファンだけだとしても、SFファンの間でイングランドSFのファンとドイツSFのファンとの間で激しい争いが繰り広げられることになるのかな。

 ニュー・ウェーブの先鋭化された突っ込みにペリー・ローダンが物量で迎え撃ってがっぷり4つ。そして起こる論争は日本のSF史始まって以来の血闘となって刻まれるのであった、とか。でもそーなった場合はしょせんは3位争いで、イタリアなりブラジルなりスペイン若しくはフランスといった辺りが争う最高峰に最初から置いていかれてるってことになるから虚しいよなあ。リアルタイムで見なくても決勝にイングランドvsドイツのカードが来て、それについてSF方面でも便乗して勝敗を占うって方がまだ安全か。いずれにしても遠い松島には行かないので参加した人にはフランスSFのエスプリとやらが幅を利かせていたのかそれともスペインSFイタリアSFあたりが決勝に駒を進めて勇躍していたか。ガーナSF? それはちょっと思いもよらない。あるのかなあ。

 ほしのあきさんを見た。それもメイド服のほしのあきさんを見た。襟ぐりの大きく開いたメイド服だった。そのメイド服でときどきお辞儀をしてくれた。ふぉーーーーーーーーーー。脳内で爆発した雄叫びはそのまま脊柱を辿り丹田へと達してはぐるぐるとチャクラを回してふたたび脳へと官能の刺激を返して再びふぉーーーーーーーーーー。グラビアアイドルの最先端を崇められ讃えられる人だけあってスラリと伸びた165センチの長身に高いヒールを履いて170センチ以上に達した佇まいのナイスっぷりもさることながら、胸部前面に形作られた柔らかそうであり、また瑞々しそうな双房が形作る谷間の日本海溝にも迫る深さを、向けたカメラのレンズ越しに間近に見てここに引っ張り込まれればなるほど日本も沈むはずだよと納得する。けどここに引っ張り込まれて沈むんなら男性なら誰でも本望か。

 いや目的はほしのあきさんではなくて……すいませんほしのあきさんが目的だったけどそれはそれとしてお仕事の方ではほしのさんがアシスタントとして登場した「秋葉原パラパラマンガフェスタ」の開催に関する発表を見物。何でもコクヨから出ためくりやすいユニバーサルデザインのノートを使って、パラパラマンガを描いて応募してくれた人をやくみつるさんが表彰するってゆー企画があって、それを秋葉原でもってバックアップしちゃいましょうってイベントらしく秋葉原を根城に暗躍……ではなく活躍する小林たかよし千代田区議が実行委員長にってご近所のデジタルハリウッド大学とか代々木アニメーション学院も協力して、秋葉原から新しいパラパラマンガの文化を創出していくんだとか。

 今さらパラパラマンガかよ、って思わないでもないけれどでも言われてみればなるほどパラパラマンガこそがアニメーションの”原点”みたいな所がある訳で、それをアニメの”聖地”に最近どーやらなったらしー秋葉原を拠点に盛り上げていこうって運動はそれなりに興味深い。なおかつコクヨから出た「パラクルノ」ってノートは開く側が斜めにカットされてて手がかかりやすくめくりやすい。普通のノートではどーしてもつまってマンガがうまく動かない所を、このノートだったらそれこそ動画を束ねてさーっとめくるみたいにうまくパラパラマンガを動かせそー。

 そんなノートを前に動くアニメーター魂、って奴があって今回の「秋葉原パラパラマンガフェスタ」にプロのアニメーターさんから応募があったりしたら、面白いことになりそーなんだけど果たしてあるのか、プロの参加は。審査委員長は漫画家のやくみつるさんでそのやくさんが描いたパラパラマンガも紹介されてて流石はプロだけあって絵は巧い。巧いんだけど短くってアイディアも平均的。むしろ紹介された代々木アニメーション学院の生徒さんらしー人が描いた戸を叩くと巨大なアフロの人間が出てきてそいつがかがむと戸を叩いた人の頭にアフロが被さりそのあままアフロが伝染する、ってマンガの方がストーリーもありアイディアもあって面白かった。プロならさらに意外な展開のパラパラマンガを巧みな絵でもって描いてくれそー。それこそほしのあきさんのメイド服に包まれたたわたな双房が弾けあふれるよーな。期待して期待しまくって発表を待とう。

 果たしてどーなるのか暗中模索で曖昧模糊とした中でも可能性としては日々高まっているイビチャ・オシムのサッカー日本代表監督就任。その日付がいつになるのかは未だ分からないけれど仮に近々決まったとしてその雄姿を直前あるいは直後に公の場に見せそうなイベントかもしrないってことで、7月15日に「カシマスタジアム」で開催されるJリーグのオールスターのチケットをとりあえず購入する。今んところ東軍の監督1位でオシム監督が独走中。そのまま率いれば半分だけど日本代表・東を采配して日本代表・西とぶつかる中でオシム監督ならではの用兵を見せてくれることになるだろー。フォワードでは巻誠一郎選手がトップだしミッドフィルダーでは阿部勇樹選手が小笠原満男選手に続いて2位。ディフェンスでは中澤佑二選手松田直樹選手のマリノスツインに鹿島アントラーズの面々も絡んだ強固さと高さのあるラインが引けそうで、そんなパワフルな東軍にオシャレ宮本に加地さんといった前代表のラインや佐藤寿人玉田圭司のスピードコンビが挑む姿が見られそー。けど行ったことないんだよなー、鹿島。遠いのかな。帰ってこれるのかな。ジーコの銅像にお参りしないと祟られるかな。


【6月26日】 ギュオンギュオンと耳慣れない音を発して空に現れ、街へと迫る巨大な異形の飛行物体というイメージに今時の人だとやっぱり「新世紀エヴァンゲリオン」の使徒を思い出すんだろーけど、僕らの世代にとってそれはやっぱり横山光輝さんの漫画「マーズ」に現れた達磨のような顔をしたウラヌスをはじめとする六神体がドンピシャリ。その鮮烈なビジュアルとそして、何よりも衝撃的過ぎるエンディングで「マーズ」は「伊賀の影丸」と並んでマイフェイバリットな横山光輝作品になっている。勧善懲悪にしてハッピーエンドがお約束なヒーロー漫画にあってあの終わり方は唖然呆然で、「デビルマン」の展開にも負けず人間の至らなさって奴を突きつけられて悲しみに歯ぎしりした、ってまだ小学生だったけど。

 それから30年を経てなぜに「マーズ」なのかと聞けばきっと教えてくれるんだろーけど、想像するなら当時ですらうっすらと分かり始めていた、けれども信じていたかった善が正しく悪は間違っていて善により悪は滅ぼされるべきだってシンプルな構造の誤謬が、某超大国の「俺様こそが正義」的スタンスによって世界中で悲しむべき事態が引き起こされている現実を前にどーしよーもないほど明らかにされてしまった現代に、その存在の罪悪を改めて気付かせる意味ってのがあったんだろーか。おそらくは「マーズ」連載時で生まれてもいない、もしかすると親たちですら「マーズ」の連載を知らない世代の少年少女が手に取り開く可能性のある漫画と小説の融合誌「コミックファウスト」で、上遠野浩平さんによって「マーズ」がノベライズされる、それが理由のひとつだろー。

 実を言うと漫画の方のストーリー展開もすでに記憶がうっすらとしか残っていなくて、ノベライズされた「コミックファウスト」の展開とどう同じでどう違うのかを確かめる術が今はなく、ただ何とはなしに記憶に残っている基本設定との差違なんかを感じつつ、漫画は割にストレートだった展開のどこをどう捻って人間の懊悩に迫るドラマを描き出し、善悪など主体的な価値観でしかない現代に何かを信じて生きていく困難さを描き出すのかってあたりに気持ちを置いて、ペラペラと読んで行くしかなさそー。

 漫画という表現手段が見せた天空を行くウラヌスや他の六神体たちの巨大感、異形感を言葉によって表すつもりか、そうならどうやって描くのか、描かないなら「マーズ」という素材のどこにポイントを置いて言葉にして紡ぐのか、って所も興味の置き所。どれくらいの分量になるのか分からないしそもそも掲載媒体がどこまで続くのかも不明だけど、途切れさせ埋もれさせるよーな無様な真似を上遠野さんにさせるよーな編集長ではないんで、どこかの舞台何かの場でもってしっかりとエンドマークを打ってくれることだろー。そしてそのエンドマークが漫画版にも増して衝撃と驚嘆と慟哭を与えてくれるはずだろー。期待しつつ、様子見。

 こちらも現代に蘇った肉丸くんと魔子ちゃんのラブラブ忍術ストーリー、ではないけど横に広く前後にも長くて縦に短くそして重たいおでぶちゃんな少年が、実はとっても強くって世界を守るために働いているんだけどそんな少年の日常なんてつゆ知らず、これまた過去にいろいろとあったらしい少女のツンケンとは表向きで内奥は少年が気になって仕方のない心理でもって、少年と腐れ縁的日常を過ごすとゆー部分はどことなくやっぱり細野不二彦さん「さすがの猿飛」と重なるかも。

 そんな神野オキナさん「虚攻の戦士」の第2巻「偽りノ剣、穢レタ鎧」(ジーエー文庫、590円)は弟1巻のよーに最後の方で肉丸くんの皮が向け、そして魔子ちゃんの邪眼が明らかになるよーな驚きはなく、弟1巻で明かとなった抗争の構図の中で、キープレーヤーたちがしばしの休日を楽しんでいた所に起こる新たな敵の侵攻に、どう立ち向かうのかってゆー割と分かりやすい展開になってて読みやすい。ただ魔子ちゃん、じゃない翔夏の能力を狙い敵ならぬ味方からいろいろとちょっかいが出始めていて、肉丸ならぬ舞矢の苦悩が高まって来ているところがこれからのポイントか。世界の敵と戦う使命と大好きな人を守りたいという思いのせめぎ合いに悩んだ果てに出る結論が残酷なものとなるかそれともハッピーエンドに落ち着くのか。翔夏に代わってイジられまくってる端末美少女・霧音の行く末にも注目しつつシリーズの帰結を楽しみにして待とう。

 そしてイタリアとオーストラリアによるベスト8進出をかけた試合は、ヒディンク監督の繰り出す采配によってフィジカルもテクニックもあったけど組織力に難のあったオーストラリア代表が、どこまでコマを進めてワールドカップに新しい波を起こしてくれるのかって期待がかかった大一番。それと同時に韓国を率いてイタリアを破ったヒディンク監督に対するイタリア代表の雪辱戦ってアングルも持っていただけあって、両チームとも試合開始の当初からお互いに攻め合い守り合って互角の勝負を見せる。といっても膠着状態って言葉とは反対に、それぞれがスピードある走りとパスによって相手ゴールへと迫り時にはサイドを抉り時には中央突破を図る多彩な攻め手を見せた好ゲーム。とりわけオーストラリアの高さと速さを併せ持ったアタックを見るにつけ、こんなチームなら一蹴だってメディアもよくぞ日本戦が始まる前に書けたもんだと苦笑が漏れる。

 やや前がかりとは言えカテナチオの伝統を今に受け継ぐ守備陣の間を時にターンでくぐり抜け、時に高さで圧倒してはブッフォンを相手にシュートを放つオーストラリアの選手たち。そのアグレッシブさはゴール前へと迫りながらも打てずパスを出したり戻したりしてばかりだった日本のフォワード陣には9割方欠けていたもので、次があるなら2試合で0点のレギュラーツートップには学び次回への糧にして戴きたいんだけど、2人ともきっと呼ばれないんだろーなー、今のこの体たらくでは。

 んでもって試合はイタリアが1人レッドカードで退場するってゆアクシデントもあって、オーストラリアがペースをつかみあとは守りきって延長戦で片づけるだけってヒディンク監督も決心していた後半ロスタイムに、攻め入って来た選手の前で倒れたら相手の脚がかかって倒れてPKをゲット。それを途中出場のトッティ選手がしっかりと決めてイタリアがベスト8進出を決定させた展開に、華のある奴ってのはとことんまであるんだ、ない奴はどこまでいってもないんだって事実を改めて突きつけられる。ともあれこれでイタリアがベスト8となってドイツやイングランドといった残るチームとの激闘の中で新たなドラマを生んでくれそー。もうドキドキです。


【6月25日】 そりゃストイコビッチが来日してサッカー日本代表チームを支えてくれたら嬉しいよ。けど今、ストイコビッチは故国セルビアの名門クラブ「レッドスター・ベオグラード」で会長職に就いていて、セルビアサッカーの再建にクラブ側から貢献しよーとしている真っ最中。ちょっと前まで務めたセルビア・モンテネグロサッカー協会の会長職で、沈滞していたチームのムードを代えてワールドカップに出られる所までは立て直したもののチームはドイツで惨敗。予選を戦ったディフェンスが揃わなかったってハンディもあったんだけどそれならなおのこと、クラブチームの中から次の時代に繋がる選手を育成しては代表へと送り込む仕事に邁進しなくちゃいけない。

 そんな危急の時にはるばる日本まで出向いてくれるって考えるところが日本のスポーツ新聞の底の浅さか間抜けさか。「スポーツ報知」が2006年6月25日付1面で「ストイコビッチ氏入閣」だなんって堂々と書いている様を見るにつけ、その単純極まりない論旨に失笑を通り越して日本のメディアはどーしてこーも弱体化してしまったんだろーかと涙が出る。イビチャ・オシムはストイコビッチにとって師匠筋。おまけに知日家。だからすぐにでも駆けつけてくれるはずだと信じて書いたんだろーけど、そーだとしたら実にお目出度い。前日に出した「次期監督にオジェック」という”誤報”をカバーするために、連想ゲームでもして見せたんだろーか。だとしてもカバーするどころか思いっきり恥の上塗りを重ねた格好。ズレている。

 愛する日本と尊敬するオシムのために、世界的なプレーヤーとして何らかのアドバイザー的な役割を果たそうと考えるかもしれないし、留守を預けて日本に何度か来てくれるかもしれない。けど何もかも擲って入閣しコーチとして日本代表に帯同するかというと、そこに至るまでには重い課題を乗り越え深い谷を渡る必要がある。なるほどオシムはストイコビッチの師匠だけど、所属している国から言えば今はライバルどうし。いやライバルという言葉が甘過ぎるくらいにセルビアとボスニア・ヘルツェゴビナの関係には未だ緊迫したものがある。

 オシムはどうして92年にユーゴスラビア代表の監督を「EURO92」出場を目前に降りたのか、それは故国ボスニア・ヘルツェゴビナがユーゴ連合軍によって攻撃されたことへの抗議の意味を込めてだ。その怨みをストイコビッチ個人にオシムが今なお抱いている分けでは決してない。けどボスニア・ヘルツェゴビナの人間として、セルビアの英雄を重用した時に起こるだろー双方の国民感情の揺れを考慮しないオシムではない。オシム家のルーツに当たるクロアチアだってオシムを欲していて、なおかつクロアチアとセルビアの間に横たわる溝はセルビアとボスニア・ヘルツェゴビナにも増して深くて広い。

 そんな環境の中で単に弟子だからとストイコビッチに声を掛けるオシムとは思えず、そんなオシムの引き裂かれた感情を誰よりも知るストイコビッチが自らオシムに入閣を訴えるはずもない。同じ理由でモンテネグロのデヤン・サビチェビッチにだって声はかけないだろうしクロアチアのボバンやシュケルやプロシネツキといった面々に頼むこともないだろう。ボスニア・ヘルツェゴビナに有名な選手っていたっけ? それは知らないけれどもこれまで旧ユーゴの国々のどこからも誘われながらどこにも関わろうとしなかったオシムが、その”掟”を軽々しく破るとは考えにくい。

 それでもストイコビッチ入閣の可能性があるんだと書くんだったら、過去のそうした経緯も含み置いた上でなお、といった詳報が必要なのに記事にそんな説明はない。あるはずもない。オシムの弟子筋では日本で1番知られた名前だから、って理由しか無いんだから、多分。けど読者は知っている。オシムが過去に辿ってきた人生を、味わってきた苦悩を知っている。知ってて記事のようには簡単にいかないと分かっている。記者ももしかしたらちゃんと知っていたのかもしれない。けれども何か書かなきゃ不味いとせっつかれて飛ばしたのかもしれない。

 飛ばさせたのは誰? 飛ばさせた理由は何? 失地回復。思い込み。商売優先。けど読者はメディアのそんな思惑なんてお見通し。かくしてメディアの信頼性は失われるばかりなんだけど、それももはや言われ続けて幾星霜、いちいち驚いている方が間抜けなのかもしれないなあ。いっそストライカー養成でサビチェビッチにファンタジスタ養成はストイコビッチ、ディフェンスコーチは元グランパスでクロアチアに帰っているパナディッチ当たりを入れて、ユーゴスラビアを日本に再現、なんてことを書いてみたら、ちょっとは事情を汲んでるって理解も得られるのに。パナディッチの娘のモナちゃんも一緒に来日してくれればなお結構、なんだけど。スパゲティごちそうするから。

 ありゃりゃ終わりか「BLACK LAGOON」。とりあえずシェンホアの剣舞はあったけど漫画では小回りかた突然大ゴマになって迫力の太股が迫ってくる所が、テレビだと常に同じサイズの画面になるからあんまり見ていて楽しくない。誰もが目を向けたがるスリットの付け根からのぞく丸みをおびた大腿部をまずアップにしてそれから惹いてシェンホアが刀を構え投げるシーンを入れるとかすれば目にも納得できたのに。それはロベルタがダッチたちの乗る車に取り憑いた格好で袖口から拳銃を出すシーンも同様。漫画だとばっと広げた両手の迫力が迫ってきたけどアニメは前と同じ大きさ。迫ってこないんだよなあ。原作に忠実であればあるほど、漫画とアニメはやっぱり違うものなんだってことがよく分かる作品。まあ無茶苦茶に改変されるよりはこの方が嬉しいんだけど。うーん悩ましい。

 しかし過去に感じた国家とかへの憤りって奴を今なお引きずりつつも組織の中にあって組織を維持発展させるために仲間の義に吹き上がった感情を抑え抹殺しなきゃいけないかったタケナカの、矛盾に溢れた生き様ってのが見ていて何とも息苦しい。社会であっても社会の敵であってもそれぞれの側で守らなければならない秩序があって、その中で身もだえし足掻いている様を見るとこのまま生きていて楽しいことってあるんだろーかと気持ちも沈む。社会の秩序からは外れ、かといって悪者にもなりきれないまま己の青臭い感情を抱えどっちつかずに生きることがあるいは1番楽なんだろー。

 人を殺す話をゲームでもするかのよーに話しているレヴィとシェンホアの姿に呆れる顔より苦みを帯びて眉根を顰める顔を見せて欲しかったけど、ガンギマリになってしまって苦悩する様は見せなかったロック。それやっちゃうと辛気くさくなるから敢えて描かなかったのかな。ともあれとりあえずはこれで終了。すでに描かれた漫画のエピソードでは残酷度でトップを行く双子の話がまだないし、ロックとレヴィの日本での大暴れもやってないんでそれらを描くクールを是非に1年後とか、半年後とかに欲しいもの。

 ってかやって当然でしょ? それだけの価値はあるよこの作品は。DVDの売れ行きによって決まるんだったら是非に買います買わせてください。おまけに「ラジカルレヴィ」とか入っていたらなお買います。「トカレフ、マカロフ、ケレンコフ! ヘッケラーコックで見敵必殺ぅ」の呪文に乗って舞うレヴィと、「リリカルトカレフキルゼムオール」の歌に乗ってサブミッションを決めるぷにえとの戦いならなおのこと。同じジェネオン、やって出来ねぇことはねぇ、よな。


【6月24日】 気が付くと韓国がスイスに敗れ去っていて、アジアからの出場チームはすべてがグループリーグで敗退が決定。わけても日本は勝ち点に得点失点でサウジアラビアと並んでアジアから出たチームでは最低の成績で、次の予選から同じアジアに加わるオーストラリアが加わればさらに下の順位に落ちる低迷ぶり。これで出場枠でも減らされた日には、中近東の国々のじわじわと高まっている力とか、威信を懸けて強化してくる中国に苦しめられて、来る2010年の南アフリカ大会への出場も危ないかも。

 2002年までに積み上げた貯金は今んところゼロどころかマイナス傾向。ここから体制を立て直して02年の水準まで回復させた上でに2008年頃の世界的な標準へと、引っ張り上げる苦労は並大抵のものではない。それこそジーコ前監督じゃないけれど、ロナウドでも引っ張って来なけりゃ追いつけないかも。2010年でもロナウドはきっと凄いフォワードで居続けているだろーから。ロマーリオだってブラジルじゃあ得点王なんだから、それ以上の才能がここで朽ち果てるはずがない。35歳を超えた選手は国籍超えてフリーに移籍できるとかって、制度があれば面白いのに。いやいや2010年はまだロナウド34歳だから。

 だったらやっぱり日本代表を強化するしかないってことで、帰国した川淵三郎・日本サッカー協会キャプテンがジェフユナイテッド市原・千葉のイビチャ・オシム監督を次の代表監督候補に挙げているって発表、ってゆーか帰国した成田空港での会見で北京五輪では総監督的立場でフル代表では監督としてオシムを考え……オシムっていっちゃった! って感じに口を滑らせしまってそのまま公表してしまった感じで、そのドタバタぶりがすべてにおいてこの4年間の代表チームの弛緩を象徴しているよーでもあったけど、ともあれ選択肢の中でも最善に近い手を打っているんだってことだけは分かって安心。あとはすべてを任せて口さえ出さずにおけば、1年で世界を相手に戦えるチームに日本代表を仕上げてくれることだろー。

 ただし全ては引き受けてくれたらの話。メディアじゃあストイコビッチ選手やサビチェビッチ選手といったタレントを揃えたユーゴスラビア代表を率いて90年のイタリア大会で活躍した後、オーストラリアの中堅チームを率いてチャンピオンズリーグ出場を成し遂げリーグ優勝の常連チームへと引き立てそして、日本へとやって来て降格争いの常連だったジェフ千葉をこれまた優勝争いが出来るチームへと仕立て挙げてなおかつカップ戦ながら初のタイトルを獲得させた、育成に手腕のある人だってくらいしか伝えられない。あとは高齢で巨大でウィットに富んだ言葉を吐く人。

 けどでも過去、レアル・マドリーだのヘルタ・ベルリンだのといった海外の強豪クラブからだって誘いを受け、代表チームにだって誘われならがも断って来たこオシム監督が頼んだからといって日本代表の監督に就任してくれるとはなかなか思えない。崩壊していくユーゴスラビア。激しさを増す民族間の対立の中で連邦国家ユーゴスラビアの代表チームに対する連邦各国からのプレッシャーも強くなっていく。そんな中で強い意識を保ち続けたオシム監督だったけど、1992年の「EURO92」出場を目前にして、祖国ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボにユーゴスラビア軍が侵攻する事態が起こりユーゴスラビア代表監督を辞任し、以来決して国家代表の監督に就任しようとはしなかった。

 川淵キャプテンはオシム監督の本を呼んで感銘を受け頼む気になったって話しているけれど、普通の感覚だったらこの本「オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える」を読んで、辿ってきた苦難の道を知ればとてもじゃないけどオシム監督にナショナルチームの監督は頼めない。ナショナリズムというものが時に放つ、頑なな非寛容さに呆れ絶望し怒り悲しんで来たオシム監督にとって、そうした非寛容さの渦に今ふたたび巻き込まれながら、ナショナルチームの監督をすることが望みなのかどうなのか。なおかつ今のナショナルチームにまつわる商業的興行的圧力に晒され、サッカー的とはいえない状況におかれながらもサッカーをしなくてはならない矛盾に耐えられるのかどうなのか。オシム監督を選んで日本サッカー協会が商業的興行的な部分を引っ込めるとは思えないだけに、自ら虎口へと飛び込んでは身動きのとれない状況になり、年齢からすれば1日だって貴重過ぎるこれからの4年間を、無駄に過ごす道を選ぶんだろうか。そう考えると可能性は決して高くない。

 高くはないけれどもただやっぱり、就任して欲しい気はする。就任してくれればきっと新しい才能を発掘し、確実な戦術を授け、何よりフットボーラーとしてのスピリッツを叩き込んでくれるに違いない。それは代表選手のみならず、すべての日本のサッカーピープルに伝わりこの国のサッカー環境を大きく変えてくれることだろー。凄まじい限りのオシム監督の人生経験を受け止め、その哲学を噛みしめてでも2006年の雪辱を果たすんだ、再び世界の先端に立つんだって覚悟が日本サッカー協会にあるのか。あるんだったら頼んで欲しい。そしてあとは任せてあげて欲しい。粗略に扱えば世界が怒る。世界のスターだったジーコの顔に結果として泥を塗り、またオシムの身を粗略に扱うようなら日本は南米からも欧州からも見放される。覚悟して、確信して選び、そして進め。

 家でサッカーばかり見ていても頭が疲れるんで秋葉原へと出向いて歩くメイドさんとか見物。していたはずなのに知らず脚は秋葉原へと出来たサッカーショップの「Pichichi」」へと向かいあれやこれや物色。1986年のアルゼンチン代表ユニフォームとかあれば着てマラドーナの気分でアルゼンチン対メキシコの決勝トーナメント1回戦を応援したかったけど流石になく、他に面白い物をないかなあと1点物コーナーをのぞいていたら何と、今はスペインのリーガエスパニョーラ2部にあるカステリョンに05−06年シーズン途中から所属して2得点を挙げた元名古屋グランパスエイトの福田健二選手が着ているユニフォームが吊してあったんで買ってしまう。

 先だって「サッカー批評」でインタビューを読んで、その常にゴールを狙うアグレッシブさにどーして今、日本代表い彼がいないんだろうって思ったばかり。最終のブラジル戦以外、ピッチに立ったフォワードのフォワードには見えない動き方に頭を悩ませていただけに、遠く海の彼方から熱い気持ちを贈り続けている福田選手の気持ちがこもったユニフォームに惹かれてしまったのかも。ネットなんかで買うよりややお高目だったけど、店長の人がビジャレアルとアーセナルの試合を見に行った時に、ビジャレアルのある町の隣にあるカステリョンのクラブに寄って買い付けて来たとゆー物らしくって、スペインから繊維に染みこんだまま運ばれてきた彼の地の空気も含めれば、決して高い値段じゃない。もしかしたら福田選手のロッカーから1枚、スペアのユニフォームをクラブの売り子が人が取って来たものだったりして。まさに本場物。あとはサインでも入っていれば完璧なんだがなあ。日本代表に選ばれて帰国しないかなあ。つか次のシーズンもまだカステリョンにいるのかなあ、福田選手。


【6月23日】 ガットゥーゾ様がひげ面でどう猛に挑む姿に興奮しつつトッティ王子の短髪になってなおいっそう精悍さを増した表情に官能を覚えつつイタリアのなかななか強さにこいつは上まで行くかもって感じつつ寝て起きて午前3時のNHK。巻きたーっ! 巻誠一郎選手がフォワードで先発との報に早速この時のためにと作って置いたオーセンティックの巻マーキング入りユニフォームを着込みテレビの前に立ち叫ぶ。マーキマキマキゴール、マキゴールマキゴールマキゴール。節は「エリーゼのために」。フクアリで鳴り響く巻ソング。きっと千葉県中で響き渡ったことだろー。

 そして始まった試合は、巻選手が前線で頑張り相手ディフェンスラインのギリギリに張って全体を押し下げる役目を果たしつつ、ロングボールが出そうなら向かいチェイスし、時には自陣のゴール前にまで戻って浮いた球をヘッドでクリアする仕事ぶり。オフサイドも幾度か取られたけれど、それがあったからこそ相手ラインが下がりディフェンスも引きつけられて玉田圭司選手がするりと入り込むチャンスも作って待望の先取点につながった。そんな巻選手の特質を活かして鋭くクロスを入れれば良いのになぜか日本の選手たち、中盤で持ちすぎサイドで弄び過ぎてクロスを入れず気が付けば囲まれパスできず。奪われ持たれそのままじりじりと攻め入れられる悪いサイクルへと陥っていく。

 巨体に圧力を覚えたのかロナウド選手が前線で張るブラジルに押されて日本のディフェンスラインはペナルティエリアの前ってとっても危険な場所に守備網を置く。左右に振られると目線が振り回されて入ってきたり残っていたりするブラジルの前線をすぐに見失ってしまう体たらく。そうこうしているうちにロナウド選手に軽くヘッドで放り込まれて折角のアドバンテージを前半ロスタイムに失ってしまう。がっくり。けど川口能活選手の守備はほぼ完璧。守ればこれなら同点にだって追いつけると思って入った後半に、ミドルシュートの神と世界が恐れるジュニーニョ・ペルナンブカーノ選手の揺れず外れないミドルが炸裂。リードされ得点を奪いに行かなくてはいけないシチュエーションに陥ってしまう。

 ならば守備陣を厚くして総攻撃だ、ってところで謎采配。前線で起点になれる小笠原満男選手を外して守備の中田浩二選手を入れ中田英寿選手が前へと上がるだけとなって攻撃力が高まらない。さらに1点を奪われここでまたしても謎采配。前線で相手にプレッシャーをかけていた巻選手を下げ同じフォワードの高原直泰選手を入れるのは一体何故? おまけに直後のプレーで高原選手、膝を強く打って引っ込み大黒将志選手と入れ替わるというからもはや論外。仮にまるで動けてなかった中村俊輔選手の代わりに入れておけば高原選手がすぐに消えてもフォワードの駒を減らすことなく前線から中盤からプレッシャーをかけられただろー。

 けどそんな先読みなんて出来やしないのがジーコ監督。その場しのぎにフォーメーションを変えず人だけ動かす方法ではリズムは代わらず逆に相手の高まる圧力に押されっぱなしになってしまう。案の定ラインはベタ引きで中盤を良い様にされてさらに1点。もはやこれまで。最後は相手にゴールキーパーを返られるとゆー大量リードした野球チームがピッチャーとキャッチャーを入れ替えるよーな恥辱的交替策をとられてなおかつ、そのキーパーにお仕事をさせない体たらくを見せつつ2006年のワールドカップを終える。

 これが”最強”と唄われたチームなのか。これが神の率いる日本代表なのか。否。断じて否。真っ当な監督が真っ当に選手を選び真っ当な戦術を立てて望めばきっとブラジルを相手にも遅れを取ることはなかったはずだ。そのピッチに巻選手はいなかったかもしれないし、中村選手も外れていなかったかもしれないけれど、チームとしてはまとまり機能し戦えたはずだ。選手層は厚かった。日本のリーグにいる選手だけでも相当な厚さに達してた。選ぶだけでよかった。働かせるだけで良かった。基盤はすでに作られていた。けれどもそれをしなかった。目に見える上澄みだけをすくい欠けた器に流し込んでは薄めてしまった。当たる日光に水は蒸発して消えてしまった。隙間から漏れてしまった。あとには枯渇した壊れた器だけが残った。中田英寿選手は最後の一滴になってしまった。

 こんなはずではなかった。もっとやれたはずだった。2002年の宮城でそう感じたからこそヒデは残った。けれどもやれなかった。いや、やらせてもらえなかった。そう思ったからこそヒデは、試合が終わってからも10分以上、ピッチに倒れ込んで動けなかった。どうしてこうなってしまったのか。たぶん知っているからこそ残念でならなかった。チーム内の選手どうしのことだったら何かできた。でもチーム外の所で動く思惑にはヒデでもどうしようもなかった。

 悔しいだろう。情けないだろう。もうやりたくないと思っても責められない。ただそれが自分の力の限界から起こった状況ではない以上、理想を体現できる体制が整いさえすれば、きっと戻ってやってくれると信じたい。あのネドヴェドだって戻ってきた。フィーゴだって還ってきた。2人ともチームのトップとして君臨し、全力をぶつけて戦った。その姿を横目に見れば、やらなきゃって思ってくれると願いたい。ヒデ。まだまだ貴方は必要だ。新生日本代表に絶対に絶対に必要だ。

 同じ地区に入るオーストラリアがクロアチアとの熱戦を同点にして勝ち上がり、決勝トーナメントへと駒を進め、次にイタリアと対戦する。もしかすると前回の韓国のような躍進を見せるのはオーストラリアかもしれない。それだけの実力というものを彼等は、監督も含めて持っている。監督力がどれだけチームを強くするのか、采配がどれだけ大切かということを日本はオーストラリアの躍進を見てきっと感じたはずだろう。プロフェッショナルな監督に率いられた屈強な選手たちによる折れない戦いの素晴らしさを目の当たりにして、これで動かない協会があったらそれはもはや選手への、スポンサーへの、全てのサッカーピープルへの裏切り行為だ。果たしてどう出るか。次の戦いに向けた布陣をどう組むか。注目は尽きない。

 そして戦いはまだ続く。韓国は決勝トーナメント入りを欠けてスイスと戦い、アジアの存在感を見せつけようと頑張ってくれるだろう。アフリカからはガーナが厳しいグループの中でチェコをたたき落として勝ち上がり、その威信を見せてくれた。ウクライナだってシェフチェンコ1人のチームじゃないところを見せてくれるだろう。まだまだ戦いは続く。サッカーの最高峰の闘いはこれから始まる。見届けたい。日本の人はそんな戦いの中から次につながる何かを探して欲しい。監督。戦術。テクニック。そして何より闘う魂。見つかるものはまだまだある。求めるものはいくらでもある。それを声高に要求しよう。寄こせと。日本代表に寄こしてくれよと。得られれば4年後はきっと来る。世界の見つめるピッチで共に戦える。その時を願って今は静かに眠ろう。もう明け方だぜ。

輝いていた選手達も畳まれきゅう。  闘い終えて日が上って各所の様子を見ようと中央区新川にあるキリンビールの本社へと出向いたら、開幕と同時に掲げられた日本代表を応援する垂れ幕が降ろされ悲しい有様になっていた。せめて帰国するまでは掲げてありがとうって応援メッセージでも流せば良いのに。けどでも既に始まっている次の闘い向けて感傷は不要。ここはひとまず文字どおりに幕を下ろして、新たな闘いに向けた支援を行う仕込みを始める覚悟を持っているんだと信じたい。それも目先の利益なんかじゃなく、永続的なサッカーの強化に繋がるような支援を行うための。

 とはいえ中では来訪してくれた得意先なんかにこれまでの応援をありがとうって意味も込めた饅頭を配ったキリンビール。岡埜栄泉ってゆー上野の老舗の和菓子屋が作った饅頭、っていうよりは前日本サッカー協会会長の岡野俊一郎さんの実家って言った方がサッカーファンには早いかも。そこが作った饅頭を新川で100個、原宿の方でも100個用意してサムライブルーの包み紙で覆って配ってた。ただもらう方も満面の笑みでありがとうとはいえないところが悩ましいところで、苦笑しつつも受け取りこれからも応援してくださいって慰めるのが精いっぱい。

 中にはFIFAを支える汐留の広告会社とはライバルに当たる品川の広告会社の人も混じってて、ますますどんな顔をしたらいいのか分からなかった模様。そこで次は無理でもそのうちこっちが仕切りますとか言ってセールスをかければ楽しかったんだけど、たぶんそれは100年経っても無理だろーから黙っていて正解か。饅頭は別にサッカーボール型でもなくって鴉の刻印も押してない、岡埜栄泉のお饅頭。食べるべきかを迷うけれどもここは悔しさを4年後まで持っていくため押入に仕舞い置き、南アフリカの決勝のピッチで日本代表がブラジル代表に雪辱を果たす場面を身ながらスタンドでつまむことにしよー。日持ちするかな、お饅頭。

 ロベルタ可愛いよロベルタ。ってすがりついたらそのまま押しつけられ圧死させられそーな胸が誇らしげに晒された「ブラックラグーン」の連載は、ラブレス父を襲った事態に彼を恩人と讃える元ゲリラ兵士のロベルタが、おそらくは世界のCIAあたりを相手にワンマンアーミーを演じてみせる展開となりそー。舞台はもちろんロワナプラ。タイあたりを拠点に始まったCIAだかのミッションに、殴り込みをかけては次から次へと殲滅していくロベルタの妙技をこれからしばらく楽しんでいくことにしよー。

 しかしもっと腕とかぶっといかと思っていたけどシャワーのロベルタは案外に華奢。胸も突き出ているから筋肉が凄いんだろーけど腰回りとかそれなりに女性っぽい。ただし腹筋とかは見えてないから正面に回ると胸筋腹筋腹側筋といったあたりがコブを作っていたりするかも。それを触りながら板チョコみたいとおいたをするガルシアくんに下る鉄槌。頭蓋骨陥没。ある意味幸せな逝き方かも。そんな爛れた暮らしが訪れる日を願いつつロベルタの無事を今はただただ祈ろー。


【6月22日】 っていうか何を今更っていうか、「週刊文春」の2006年6月29日号でジーコ監督へのあれやこれやが書かれているけど今になってあげつらうことでもない、周知の事実ばっかりなのには辟易。これをもっと早く本家の「ナンバー」誌上でやってくれていたなら、少しは状況も変わったかもしれないけれど、残念ながらそれをやったら「ナンバー」が、存在の微妙さに直面しかもしれないから難しいところか。いやいや「ナンバー」だって後藤健生さん西部謙二さんとった面々が戦評の中で散々っぱら指摘していたて、それでも代わらなかったんだからやっぱり無理か。「文藝春秋」だったらなあ。お爺さんには影響力がある雑誌だからなあ。

 それにしても「オーストラリア戦後、海外のジャーナリストに会うたびに『いったいジーコは何を考えているんだ』と聞かれます」と話したサッカーライターの佐藤俊さんが、何と答えたのかに興味。「なにも考えていないのです」ってやっぱり答えたのかな。「一説によると、ジーコはブラジル戦後、日本に戻らずそのままブラジルに直行する帰国プランを立てている」らしー。これで標的は柳沢敦選手1人に絞られたってことか。海外チームに所属していたらならそのままチームに合流も出来たのに、今は鹿島アントラーズだからなあ。飛び交うのは水か卵か。油を足してマヨネーズか。

 見る目も涙で霞むアラン・スミシー演出によるテレビアニメでの可憐にして頓狂な演技から幾星霜。世界がイナバウアーで湧いたトリノの祭典も横目にひたすら沈黙していた桜野タズサが還って来た。海原零さん「銀盤カレイドスコープvol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle」(集英社スーパーダッシュ文庫、680円)は遙か高みを行くロシアの天才少女、リア・ガーネットに勝つには彼女の学んだすべてを吸収するよりないと、ロシアに暮らすリアの師匠に弟子入りしたもののそこは世界のリアを育てたコーチ。相手が例え桜野タズサであろーと手を抜かず気も抜かないで、クロスカントリーに筋力トレーニングに肉体の限界を超えるコンビネーションと徹底して桜野タズサをいじめ抜く。

 さしものタズサもリンクにしゃがんで涙にしょっぱくなった氷をなめる日々、なんてことにはならずやっぱり桜野タズサだけあって、ちょっぴり悩み反感を抱くもののその反感を力にかえて猛特訓に耐えて実力を蓄えていく。そして迎えるバンクーバー五輪に臨みそこでいかなる演技を見せるのか。公言したリア・ガーネット超えは果たせるのか、って楽しみももらいながら続刊でもしかすると最終刊? が出るのをひたすらに待つ日々。もうちょっとしたらDVDもよーやく出るみたいだし、絵はともかくセリフ劇としては最高レベルにあったアニメとおまけのドラマCDを楽しみながらカナダの戦いが始まるの待とう。

 それにしても凄まじい富豪っぷりを見せてくれたリア・ガーネット。掛け値なしの”お城”に住んで使用人も一流所がたくさんいて、庭に湖があって船が浮かべられててそこでいかなる料理もお酒も楽しめる。けどそんな場所で豪勢な日々を謳歌しているかとゆーとそーでもなく、割に淡々と日々を過ごして遣り手のエージェントだった執事を寂しがらせてる。

 お金はうなるおどあるけれど、幼さとそしてスケートだけにすべてをかけて来た日々がリアから生きる楽しみというものを奪ってしまったかのよう。スケートを通して互いを認め合ったタズサが訪ねてきてくれたのが余程に嬉しかったと見えて、無垢な気持ちで無表情のままながらもタズサを歓待するその様が、何とも言えず可愛らしいしちょっぴりだけど痛ましい。2人の夜。映像で見たいけどこの巻までアニメが続くとしたら放映は2年目の2クール目くらい? アランスミシーだって逃げ出しているかもしれない長さでは期待できないんで、諦めて文字からシーンを想像することにしよー。あん。いやん。

 映画「サイレントヒル」に出てきてぐにょぐにょ動きながら迫ってくるグラマーでミニスカなナースたちがスクリーンを飛び出し歌舞伎町に大集合するってんで見物に行く。配置について待っていると向こうから1人現れ2人現れ3人5人10人30人50人といったぐあいにぞろぞろと、超ミニスカのナースが脚もあらわに続々続々と歩いてきては壇上へと登り映画の中にあるよーに体をゆらりゆらり。何しろ超絶ミニスカで壇上に上がっているのを下でしゃがんで見ているものだから、ナースが体をかたむければ短いスカートの裾の奥が露わになって三角形。見えて心がドキドキします。

 そりゃそこは歌舞伎町、歩いて建物の1つにも入れば三角布どころかその奥のさらに奥まで見せてくれるだろーけれど、でもそこは人間の心理って奴でたとえ見せるためのものでも、黒かったりトランクス風だったりするものでも見えると嬉しくなってしまうのです。そんな中にも幾人かは、見せるためのものではなくて歴としたアンダーウェアをストッキング越しに見せてくれている人もいたからなあ。もしかしたら駆り出されて言ったら予想を上回る短い衣装に、見せパンとか用意してなくってそのままえいやっと壇上に上がってしまったのかも。そのお仕事への熱情に拍手。もちろん見せて戴いたことにも喝采。


【6月21日】 ひょいっとサイドから入れられたクロスに走り込んでいたクローゼ選手がどんぴしゃりで足を合わせてそのまま真っ直ぐゴールイン。これこれ、これだよこれこそがフォワードのお仕事って奴でまずはチャンスが来ると感じて走り込み、そして実際に訪れたチャンスは逃さず確実に受け止めゴールにボールを叩き込む。迷いなんてまるでなし。だってそれはフォワードである自分のお仕事。正面にキーパーが立っていようが横をディフェンスが走っていようが、パスなんてせず切り返しなんてこともせずに真っ直ぐ、ただひたすらに真っ直ぐゴールへとボールを運ぶ。きっとそんなことすら感じないで体が自然に動いたんだろーなー。日本のどこかのフォワードと名乗る人たちと違って。

 いやいやそれはあくまで寿司が爆弾でメガロマンな人とかヘナってトルネードる人の話。例えばそれが我らが巻誠一郎選手だったら。地面すれすれに放り込まれたクロスには足を伸ばすより先に体を投げ出し顔面を地面で削りながらも頭でボールをゴールに突き刺しただろー。日本がクロアチアと戦った試合で加地亮選手が入れた早いクロスもまさか来るとはなんて驚くより以前に頭が出ていたに違いない。そして1点。さらにはアレックス選手がサイドから突き刺したグラウンダーのクロスにも足を投げ出すか頭を伸ばすかして触っていたはず。少なくとも触ろうとする気持ちは見せたはずだ。

 そんな魂と本能のフォワードこそが今のこの、得点力不足以前にフォワードがフォワードらしさを見せず世界から嘲弄されている悲しくも忌むべき状況を、一陣の台風となって吹き飛ばしてはドイツのメディア、ブラジルのメディア、世界のメディアにその存在を、その師の存在を、なにより日本サッカーの存在を高らかに激しくアピールしてくれるに違いない。だから出せ。巻を出せ。巻誠一郎こそが屈強なブラジルのディフェンス陣を破りミッドフィルダーを吹き飛ばし、ゴールキーパーも粉砕してゴールネットに日本の得点となるボールを突き刺す人間だ。と思う。思うしかないんだよ今は。せめて思わせるチャンスだけは下さいジーコ監督。そうしてくれたらこの4年間は問いません。問うても詮無いだけだし。だからせめて未来を、我らに。希望を、日本のサッカー界に。

 ぽかーん。という言葉は呆れる時にも使うけれど心がふんわり浮き立ち暖かくなる時にも使うらしい。ってことで「練金3級まじかる?ぽかーん」は1話目が鉄子の記憶が移し替えられたビデオカセットを再生するため古いビデオデッキを新しいデジタルテレビに繋げるために、必要になるらしーAVコンバーターを探して4人が秋葉原を散策する話。結局見つからなかったけど、そこにビデオって記録が残っているから良いよねって話に落ち着き、みんなでぽかーんと心地よくなる。けどでもデジタルテレビってAV入力端子付いてないものなのかなあ。そんなことはないと思うけどなあ。でも使ってないから分からない。どうなんだろう?

 あるいは時代が進んですべてがデジタルの端子で繋がれるよーになった時代には、AVケーブルで接続する機器は仕えなくなりますよ、そーなると古いビデオデッキと同様に、ファミコンだってプレステだってテレビにつないで遊べなくなりますよってことを教えて、政府や放送業界がゴリ押しする地上デジタルへの移行に警鐘を鳴らそうとした社会派アニメだったのかも。その逆で今から地上デジタルへの移行を伝える啓蒙番組? それだったら業界からたんまりとお金が入って忙しいスケジュールも緩和され、クオリティも上がって途中にあった不思議なクオリティの回もなくなったはずだろーから、やっぱり業界のゴリ押しへのレジスタンスかな。

 まだ言ってるのか石原慎太郎都知事。下の「アキバ海岸」でゆで卵の4つクリアに朝鮮しよーかと迷ったもののわきの魚料理屋でマグロステーキ丼にしてから「アキバ3Dシアター」で行われたアニメ「おとぎ銃士赤ずきん」の製作発表会見を見物。そこで登壇した岩田圭介・テレビ東京アニメ事業部長が昨日だかに行われたらしー「東京国際アニメフェア」の打ち合わせの席上で、都知事が「日本のアニメはキャラクターに特徴がない」「話に独自性がない」「『千と千尋の神隠し』のあの海の演出はなってない」とか演説したそーな。世界のミヤザキの演出にケチつける石原都知事、そんなに映像に詳しかったっけ。

 まあ似た絵柄が多いって点とかもっともな部分もあるけれど、「世界中に日本のアニメが受け入れられているのは、キャラクターにオリジナリティがあるからだ。日本のクリエーターはオリジナルなものができている」と岩田さん。アニメを見まくっているプロの言うことだからきっとそーなんだろー。そんな数あるアニメの中にあっても、「おとぎ銃士赤ずきん」は石原都知事もあっと驚くくらいに個性に溢れた作品らしー。

 何しろ岩田さんが「石原さんに見てもらいたかった。呼んで個性とか背景をどう思うか聴いてみたかった」と断言するほど。山と持ち込まれる企画の中から「オリジナリティがあるかどうかってことで判断する」のが岩田さんで、その岩田さんが「うまくいくと思っている」とまで言うんだから間違いない。もちろんスポンサー様を前に「こいつぁいけない」って断言するなんて無理だけど、大見得を切ったからにはきっとそれなりののを見せてくれるんだろー。残念にも試写は見られなかったけど、7月からの放映はとりあえず楽しみにしておこー。


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