縮刷版2001年8月上旬号


【8月10日】 半年前ですらすでにあんまり語られなくなっていたけれど、ここに来てますます影の薄くなった感じすらある「インターネット博覧会」。もちろん今でもちゃんと推進されていてコンテンツもあれやこれやと追加されているみたいで、届いた資料だと今現在は漫画家のしりあがり寿さんが編集長になっていろんな企画を展開中とか。何でも3人のしりあがり流キャラクターがあちらこちらの「パビリオン」つまりはサイトに出没してはいろんな企画を展開するそーで、アクセスする人は何時何処にどんなキャラが出て来て何をやらかすのかを、探して追いかけて遊ぶことが出来るらしー。

 インターネットが広まりはじめた頃にいろんなページに「ポケモン」じゃないけど例えば「レッド・データ・アニマルズ」に指定されてる動物の画像とかデータをかを置いてもらって集めると図鑑になるとかいった、環境保護にキャンペーンも連動させた企画なんて出来ないもんかね具申して無視された記憶もあるだけに、技術が進歩してクリエーターの関心も高まって、インターネットもいろいろと遊べるメディアになったんだなーとひとしおの感慨に溺れる。電子ブックっぽいソフトをあらかじめダウンロードしておいて、いろんなサイトに埋め込んである画像データを電子トレカみたく保存していけるよーな仕組みなんて、今だと感嘆に出来ちゃいそーだし。時間とかカウンターの数によってレアカードがゲットできるとかってゆーんだったら、がんばってアクセスしようって気になるかも、もっとも電子トレカなんで転売とか出来ないのが辛いけど。

 それにしてもだ、こーゆー楽しそーな企画が繰り広げられていることを果たしてネットにアクセスしている人の一体どれだけ知っているかって方が未だに謎で、実のところを事務局とかゆー所から資料が送られて来た今日のきょうまで企画の存在どころか8月の編集長がしりあがり寿さんだってことにも気付かなかった。決してネットにアクセスしている時間が短いとは思わないんだけど、行ってる場所が個人サイトに掲示板にあとはスポーツ新聞のページくらいなんで仕方がないっちゃー仕方がない。

 とは言うものの実施している側すなわち政府とかゆー所に果たしてどこまで「見てくれや」ってな意欲があるのかってのも実は疑問で、例えば最新号の「週刊文春」に「インパク」の広告が出てはいるんけれど、草原に女性が立って「インパクはインターネットによる博覧会です」なんて看板持ってるだけの図柄を見たって、アクセスしようって個人的には全然ならない。「インターネットの楽しさに、圧倒されてください!」なんてコピられたって、その楽しさが一体何かが感じられなきゃアクセスしようなんて気になるはずがない。具体的な中味の説明もなければキャンペーンでもないページに、紙媒体の広告に掲載されたアドレスを打ち込んでまでアクセスする人がどれだけいるものか。

 何百万通とか発行している首相のメールマガジンに毎回、URLでも入っていた方が、ダイレクトに飛ぼうって気になる人も大勢出るってものだけど、前の政権の事なんか知らんとばかりに現役大臣連中の自己陶酔自己弁護が大半で、「インパク」絡みのニュースなんてほとんど見てない、ってゆーかあったっけ? あったかもしれないけれど目立ってはいない。安くもないだろー雑誌の広告欄を使って無駄弾を撃つことでイベントの主催者は予算を消化し広告を出したとゆー実績だけを残し、新聞雑誌テレビといった媒体は効果なんて脇に置いて頂いた広告費で儲け、仲介してたりイベント自体を仕切ってたりする代理店はマージンを抜く、3本それぞれに得をする鉄壁のトライアングルの埒外で、ページを作っている人たちの苦労が砂漠にまかれた水みたく、「広大だわ」なネットに吸い込まれていくこの喜劇。構造改革? 無理じゃない、やっぱ。

 ぶり返して来た暑さの中を「横浜美術館」で11日からスタートする「奈良美智展」のオープニングを見物に行く。途中時間があったんで横浜駅から歩いて「ゲーマーズ」を見物、「湘南ベルマーレ」の25日の試合が何でも「ブロッコリーデー」だとかで、いったい何をやるんだろーと情報を仕入れに行く、ちょっと凄そー。まあブロッコリー謹製の例の着ぐるみ「でじこ」が登場するとか「PARTY NIGHT」を踊るとかいった程度のことだけど、当たり前だけど体育会系なサッカーの試合で果たしてどこまで受け入れられるかって興味があるんで、時間の都合が付けば遠いけど平塚まで見物に行こう、でもって一緒に「PARTY NIGHT」の間奏で拳を突き上げよう。「ゲーマーズ」でチケットを買うと安いみたいだし。「日本SF大会」にも「ゲーマーズ」は出展するみたいなんで、そっちではコアでハードなSFの人とかデリダで不可視な哲学の人とかの反応をチェックだ。

 戻って横浜駅から桜木町を経て「横浜美術館」。オープニングの式典が終わって会場に入るとまず眼に入るのがサーフィン犬。サーフボードの上に例の犬の置物が乗っかった作品で、これだけお触り自由ってことで近寄る人通りかかる人が頭を叩いたり背中をなぜたりして遊んでた。子供が上に乗る姿も見られたけれど、中には大人の女性で上に腰掛けて記念写真を撮る人も。芸能人っぽい雰囲気のあるスリムな美女だったから折れもせずへこみもせず、犬は大丈夫みたいだったけど、これが体重にフリーダムな人だったら果たしてどーだっか。横に積載量とか書いた注意書きと置いておかないと、閉幕まで保たないかもしれないぞ。

 展示してあるのはすべて新作だそーで、最初の部屋には呼びかけて作ってもらって送ってもらった「奈良キャラキャッチャー」とでも言えそーなぬいぐるみを、「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」って言葉の、それぞれのアルファベットの形をした透明アクリルのケースに詰め込んで飾った作品を展示。スペルの下には棚が作られていて、そっちにはガンビーとかペコちゃんといった古今のキャラクターグッズが飾られていて、上のスペルと対にを成している。詰め込まれた奈良キャラ縫いぐるみの出来がいずれも秀逸で、画集とかに描かれている平明なキャラをよくぞあそこまで奈良キャラっぽく立体化できたものだと、制作に当たったヌイグルマーな人たちの腕前に関心する。2次元キャラを3次元に違和感なくむしろ格好良くして置換すなくちゃいけないガレージキットにアクションフィギュアの造形が日本人、優秀な訳もなんか分かるなー。

 立体物だとお皿の上にグルリと輪になって並んだ犬がポタポタとよだれならぬ水を垂らしている作品と、カップの上に積み上がった子供の顔のそれぞれの眼から涙ならぬ水がしたたり落ちている作品が対になっているよーで興味深い。「ニュータイプ」の9月号でグラビア中心のアニメ雑誌らしからぬ密&濃&量でもって、某氏が「千と千尋の神隠し」について論じた文章のキーワードにもなっていた「涙&反吐」との関連性は多分全然ないけれど、可愛い犬の汚いよだれ、無垢な子供の痛々しい涙といった感じに、相反しつつも同居しているそれぞれの対象が内在している特質を、さらに対にしてクローズアップして見せる奈良さんらしー作品って気がして面白かった。

 子供と動物には弱いって人間の心理を衝いて誘いかけつつ、子供の残酷さ動物の汚さなんかもほのめかしてハッとさせる。そんな心理的な葛藤が、見る人にキャラクターとしての可愛さだけじゃない作品としてのフックとなって働いて、爆発的な人気を持つに到った奈良さんと、猫耳メイド服ってゆー可愛いらしさのアイコンでもって視覚的な興味を喚起しつつ、うかつ物で目からビームとゆーねじ曲がった性格設定でもって文学的な関心を惹く「でじこ」との間に果たして関連はあるのか? なんてこじつけも浮かんだけれど、どっちのファンからも蹴り入りそーなんで考えるのはよしておく。どっちにしたって今となっては文脈よりも見た目の可愛さだけで売れてしまっている感も無きにしもあらずで、作り手の思惑とかを超えてキャラが走り出し消費されていった先に来る、普遍化なのか沈静化なのかは分からないけれど起こるだろー変化を見極めたい気がしてる。勝つのはどっちだ(勝負なんかしてないってば)。

 会場を奈良さんの手書きっぽいイラストが小さく描かれたリュックを背負って歩いていた女性がいて、テレビのインタビューなんかを受けていた姿を見て、容貌から推察して吉本ばななさんかなーとか思ったけれど、背後霊して会話を盗み聞けるほどの取り巻きもいなかったんで推察するに止めておく。なかなかにグラマラスだったとだけは言っておこー。展覧会は10月14日まで。ミュージアムショップでは人気のTシャツとか販売してたけど、欲しかったワーカホリック謹製の奈良さんキャラが描かれたパタパタクロック(デジタル置き時計なんだけど表示画面が液層でもLEDでもなくローデックスの名刺入れみたくパタパタ回転して切り替わる奴)は見えず、売るのかどーかはちょっと不明。小山登美夫ギャラリーで開催の「奈良村上展」に出るのかな。


【8月9日】 名古屋人の義務だもんで(義務なので、の意)ドラガン・ストイコビッチの写真集「ピクシー・ザ・ファイナル」(文春ネスコ、2500円)を買う。ボールを持って佇むピクシーの場面場面の格好はたとえ美しくても、動いていてなんぼなのがファンタジスタなんで静止画ばかりの写真集を実はあんまり買おうとゆー気に最初はならなかったんだけど、掲載されている写真の中のあれは多分広小路通りだろーか、中央分離帯からにょきにょきと立つランプが球形に配置された街路灯をバックにメルセデス・ベンツを駆るピクシー一家の写真を見て、名古屋の街にピクシーがちゃんといたんだってことを確認できる貴重な資料と思い返してやっぱり購入してしまった。できれば名古屋城とか金鯱船とかをバックにした写真とか、味噌煮込みすすってる写真も欲しかったなあ、ナナちゃん人形の下に立ってる写真でも良いや。

 インタビューは目新しいものではないしコメントを寄せている人にも珍しい人はいないけど、1人「中日スポーツ」の記者でたぶん「名古屋グランパスエイト」の担当だったんだろー野村悦芳さんの寄せたコメントが、八事を根城に八事の「ジャスコ」で買い物をし八事の「ロイホ」で食事をし八事の「トイざらす」で玩具を買うピクシーがたびたび目撃されたってエピソードを紹介していて面白く、今は随分と変わってしまったんだろーけれど、平針からケッタ(自転車の意)こいでよく行った八事界隈をあの顔あのステップで歩いているピクシーの姿が思い浮かんで、あの街にあの人がいたんだと思い至って何ともいえない感慨がこみ上げて来た。

 子供の頃から大人になった後もあれだけよく行った八事なのに、ピクシーのいた7年間は仕事の関係でまるっきり留守にしてしまい、八事にも行けなかったことがちょっと悔やまれて仕方がない。裏から入るといきなり確か3階になってしまう「八事ジャスコ」で迷うピクシーを見たかったなあ、今もあるかどーかは知らないけれどあったとしたら地下の「すがきや」で別に豚骨でもなさそーなのに白いスープのラーメンを食べるピクシーを観察したかったなあ。けどまあそれが人生だ、いつか再び名古屋に戻り監督として八事半僧坊いりなか界隈を、大きくなった息子を連れて歩く姿に見えられる日が訪れるだろーことを、期待しこいねがおー。日本代表監督として表参道を歩く姿、ってのも見てみたいけど。

 「ガンダム」と名がつけば何でも見に行くほどには「ガンダム」に操を立てている訳じゃなく、じっさい富士急ハイランドの「ガンダムライド」には乗っていないし、「Vガンダム」だって「Gガンダム」だって「ターンAガンダム」だって「ガンダムW」だって見たことがなく、あまつさえ口説きの決定打になったらしい「逆襲のシャア」だってろくすっぽ見ていない人間なんで、正直言って「ガンダム」を語る資格はないとだけは自認している。いるけれどもいちろうは「ファースト」をほぼリアルタイムで見て騒いで今の人気へと繋げた世代に属する者として、考えることだけは許して頂ければ幸いですと前置きした上で、東京は渋谷の「五島プラネタリウム」のスクリーン施設なんかをまんま使って上映されることになった「機動戦士ガンダム」のとりあえずは最新作ってことになる「グリーンダイバーズ」について考える。考える。考える。ぐう。

 ぐうぐう……はっ、えええええっと、うーん、キャラは設定上はすっげー可愛いです。15歳の姉と10歳の弟のとくに姉の方。定期旅客船に乗っていたところをモビルスーツの攻撃を受けて立ち往生、何故か逃げ遅れてしまいまんま燃え尽きそうになっていたところを漂っていた多分「GM」か何かのパイロットからあきらめるなと諭され、残っていた脱出用カプセルに乗って大気圏突入に挑むことになる。ところがそう簡単にはいかないのがドラマがドラマである故、次から次へと襲ってくるアクシデントに命運も尽きたかと思われたが……ってストーリーもパターンだけど良いでしょう、でもなあ。うーん、まあ見てもらうのが1番なんで少ない枚数で頑張ろうとした勇気とか、「ファイナルファンタジー」が上映される現代によくぞこれほどまでのものを感じさせてくれたCGを使った英断とかへの興味を喚起し、長沢美樹さん演じる姉のアサギのスカートからむき出しになった脚の付け根への関心を提起しておくに止めたい。大人1000円。孫子の代まで語り継げる貴重な体験ができるはずです、貴重な時間と貴重なお金を使った分だけは。

 池袋の「リブロ」へとサイン会中の岩井”デブ専”志麻子さんを見に行く、デブはそんなにいなかった。店員さんが店頭で「サイン会でーす」を大声を張り上げているからさぞや長い行列が出来ているんだろーな、1時間は覚悟だなと思って見るとテーブル前にジグザグ後進をしたら小馬鹿にされそーな人数くらいしかおらず、それもサイン会に恒例の同じ本を何冊も抱えたプロっぽい人が列の先頭あたりを占め、後続も割と年輩の人が多いなかに本当のファンの人も混じっているって程度で、美貌と言動で天下に轟く岩井さんにしてはちょっとどーしたもんだろーと心配したけど、始まった後も列は途切れずむしろ長くなっていった感じで、最後までは見ていられなかったけど1時間をたっぷりサイン会に使ったみたいで、まずは成功だったと言えそー。

 遠目にはスリムで出るとこ出っぱっててそれなりにゴージャスな感じの美人に見えて、さすがは山本周五郎賞受賞作家、貫禄があるなーと感心していたけれど、真正面に座っててサインをしている顔をまじまじと見ると、なるほどここに到った道程の険しさをうかがわせる風格が顔の皮膚とかにじみ出る雰囲気とかから感じられて、途切れそうな行列の心配したのか、仕切りの人に「おしゃべりしてもいいですよ」って言われて、それは是非とも時間つなぎしなきゃマズいかもって思っていたものの、風格を前にして面と向かって「させて下さい」とか「揉んで下さい」とか言えなくなり、曖昧な会釈でもってサインをしてもらう間をしのぐ。サインをし終えてあげた表情の妖艶さもなかなかで、なるほどこの顔にヤられて男たちは刺身を盛られ乳を揉まれてしまうんだろーなーと得心する。今度は差し入れもっていこっと、「デブ専」ってケチャップで書いたオムライスを。


【8月8日】 ラドクリフ萌えーっ、って誰やんねラドクリフって? 答えは「世界陸上」の女子1万メートルに出場していた選手。どこの国の選手なのかは定かじゃないけど白人で金髪で長距離の人にありがちなスリムな姿態で、なのに何故か頭を三つ編みにしていてお下げをブラブラさせていて、おまけに足には膝下まである白いハイソックスを履いていて、そんな学生っぽさを漂わせる彼女が、黒じゃないのが残念だけどブルマに近いピチピチのウェアを着てわっせわっせと走っている姿を仕事の合間のテレビ画面で見た瞬間、脳天を萌えの稲妻が走って仕事の手を休めてテレビに釘付けになってしまった。

 白人に多い目立つソバカスの顔にあと眼鏡があれば完璧だって思ったし、ウェアの上着が白い体操着だったらなおオッケーだったけど、今時のコンピューター技術をもってすれば取り込んだ画像を細工して体操着姿で走るラドクリフにできないこともないんで、趣味を同じにするアスコラ(アスリートコラージュ)の達人にひとつ是非にとお願いしておこー、っているのかそんな趣味の奴? もちろんラドクリフ自身に次の機会にやってもらえれば無上の喜びなんだけど。

 しかし残念だったラドクリフ。前回の「シドニー五輪」だた「世界陸上」だかでも4位になってメダルが取れなかったんだけど、今回も残り2周だか1周だかで先頭を走るラドクリフの後ろにピッタリと3人のあれはエチオピアだかの選手が付けていて、その肌の色つやからあるいは「黒い三連星」ってこーゆーのを言うんだろーかと思ってしまったけれど語弊もあるんで口には出さず、じっと見ていたら残りも少なくなった時に3人のエチオピア選手が一気にスパートをかけてラドクリフを抜き去って行ってしまい、直後にラドクリフがちょっとだけ逆転した場面もあったけど、結局は再逆転を食らって再びの4位に甘んじる結果になってしまった。

 もちろんちゃんとした人間で陸上選手で場所も「世界陸上」なんで、「ジェットストリームアタック」なんて物理的な攻撃をエチオピアの3選手がラドクリフ仕掛けるなんてことはなかったし、追い抜きにかかる3選手の頭を踏んで蹴倒し持っていた仕込み杖で真っ二つに切り裂く、なんて場面もなかったけど、陸上競技として純粋無垢に邪悪さを引っ込めた嘘偽りのない心でながめた時に、先頭に立たず後をピッタリと追走して体力を温存し、最後の最後で仕掛け勝利をもぎとるあざといながらも確実な戦いぶりに、勝つ厳しさと勝つ楽しさを感じた次第。ラドクリフの眼鏡っ娘姿(妄想)は心残りだけど、ともあれいいモン見せてもらいました。

 神田神保町の「コミック高岡」で早売りの「アニメージュ」と「ニュータイプ」の9月号を購入して読む、「電撃アニメーションマガジン」は売ってなかったなあ、やっぱり。いったいいつが締め切りなのか謎だったりするコラムの「わるものオーバードライブ」で例のフル3DCG映画に関するコメントを拝見、「ガイア理論」を持ち出してまとめてしまったフルCG映画の技と、「千と千尋の神隠し」での神話/民俗学からの影響なんかの共通性に関する指摘になるほどなるほどそーかもと頷く。その足で目黒へと行って作った人に見せて反応を伺う。なるほどと頷いていたんであるいは確信犯的な所もあったんだろー、映画の中でもさんざんっぱら「ガイア仮説」には反発が多いっておとを描いていたくらいだし。関係ないけどコラムの河内実加さん描くおトリ様、ニセモノはやっぱり頭から渦巻きゼンマイが生えてるよーに見える右の奴ですか?

 「ニュータイプ」9月号は別冊で「NOIR」の大特集。放映されているのは真夜中だし世間的な大ブームになっている訳でもない作品を何故? って気もしないでもないけれど、謎ばっかりが積み重なっていく展開の面白さと話数によって出来不出来はあってもそれなりに毎回楽しめるストーリーとミレイユに霧香にクロエといったキャラクターの可愛さでは、やっぱりこの春スタートのアニメの中では個人的ランキングでトップクラスにあったりするから、騒ぐ程の異論はない。

 ちなみに1位は以前「Z.O.E Dolores,i」だ、当然ながら。同じ桑島法子さんながら見返した第1話では「ん」くらいしか喋ってない「NOIR」に対して「おじさまーっ」連発の「Z.O.E」って差があって面白い2本。仕事的にどっちが楽かは知らないけれど、対称的過ぎる2つをやって2作品とも個人的との限定はつくけど興味深度でトップクラスの作品になっているって点で、次代を担うどころか現時点で最大最高に偉大な声優さんだったってことが証明されたって言えるんだろー。ついて行きますその声にだけ。

 世に中村うさぎさんほどすさまじい生き方をしている女性なんているものか、とか思っていたらこれが寿がきや冷やしラーメン級に甘くてちょっぴり酸っぱかったことが判明、小学館文庫から発売の「中村うさぎ 人生張ってます 無頼な女たちと語る」(小学館、552円)に出てくる女性の誰も彼女もがすさまじいばかりに極道な(道を極めたって意味、人によってはちょっとだけ文字どおり)人生を送っていて、言うなれば単なる買い物中毒でしかない中村さんがただの浪費家に見えてしまう、ってただの浪費家なんだけど。

 例えば岩井志麻子さんは結婚していた男性とのなれそめが半ばストーカー気味だったってことを明かしてて、近所づきあいが明け透けな地方とはいえ回覧板の代わりにケチャップで「す・き」と書かれたオムライスを差し入れてくる男がいるって事実に戦慄すると同時に、恐怖が愛に変わったとも思えないのにそんな男と結婚してしまう状況のすさまじさに身を震わせる。そんなんで結婚できるのかって半ば羨ましさも浮かぶけど。セックスは断らず、デブの乳を揉むのが好きだなんて岩井さんなら何か縁も近そーだけど新刊「邪悪な花鳥風月」の主人公の妄想っぷりが本人に重なってちょっと怖い感じも。サイン会で勇気を出して告白してみるか。

 男に貢がれ続けた生活からパチンコで稼ぎまくる生活へと移った後によりによって信濃町に住み怪しい風体から公安につきまとわれ、なのに懲りずに同じ信濃町に1戸立てを購入しては欠陥住宅だったと裁判してしまうパワフルさとバイタリティーの持ち主は斎藤綾子さん。借金は数あれど前借りは多々あれどとりあえずは普通な作家生活を送っている中村さんにはこれほどの無頼さはない。無頼と言うならその上を行くのが西原恵理子さん。「SPA!」でも好評なのか強引なのか連載継続中の税金踏み倒し漫画でも語られているよーな税金闘争の激しさはさしもの中村さんでも及ばない。

 そもそもが前借りを返そーとしている中村さんでは「全力で借りて、全力で踏み倒せ」がモットーの西原さんとは人格見識人生経験人情渡世が違い過ぎる。あの域へと達するためにはやっぱもっと鬼畜の類になって借金は億の単位まで、旦那は両手の数まで行くしかないんだろー、クラタマなんてまだまだまだまだ。ほかにも中村さんがまだやっていない「自己破産」をやってしまった花井愛子さんとか女装家のマツコ・デラックスさんとかも登場するすさまじいばかりの対談集。読むと人間いくら邪悪でもまだまだ及ばないと安心できたりるすんで、悪への誘いに揺らいでいる人は西原さんとの対談だけでも読んでみよー、極める道の遠さにきっと更正を選ぶから。


【8月7日】 日本出版販売から来た9月の文庫新刊ラインアップをつらつら。角川春樹事務所の「ヌーベルSFシリーズ」ラインアップに高瀬彼方 さんの「カラミティナイト」の第2巻が入っていて読者的には善哉善哉、作者的には今が峠かそれとも5合目8合目? 連なるイベントも招く行楽地も我関せずと追い込みに頑張る今がクライマックスってところだろー、頑張って。対抗の電撃文庫からはいよいよな「ブギーポップ」シリーズ新刊「ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト」(上遠野浩平、メディアワークス、530円)が登場、それにしても続々と良く書く。やっぱり売れるんだろーなぁ。

 角川書店では「角川スニーカー文庫」から続々と良く書くことでは上遠野さんと双璧な三雲岳斗さんの「ランブルフィッシュ2 中間試験暴走編」(角川書店、523円)が登場予定で楽しみ。ロボットプロレス物で落ちこぼれ部隊大逆転物の学園ラブコメ物だと言ったら怒られるかもしれないけれど、そーゆーベタさが個人的にはたまらなく面白いんで凝らずに王道ベタを突き進んでくださいな。それより角川文庫で最大の注目は「海外文庫」で出てくる「ファイナル・ファンタジー ムービーノベライズ(仮)」(角川書店、648円)でしょー。著者、ってことになっているのがあの大森望さん。「訳者じゃないの?」って疑問も当然浮かぶけどそれにしては原著者名がなく、あるいはシナリオの小説的翻訳かもとか考えたけれどそれもちょっと不自然、素直に考えれば映画作品とか、アニメとかでよくある映像作品のノベライズってことになる、ってことはつまりやっぱり小説デビュー? 21日発売予定。評論な人たちが手ぐすねひいて発売日を待ってる姿が見えます。

 「ハヤカワSF文庫」はローダンにロズウェルにアザーランドにブリン「知性化の嵐1 変革への序章(上・下)」(早川書房、上下各900円)で興味なし、「ハヤカワJA文庫」の「ドラゴンファームシリーズ」は義務なんで買います。シリーズ物ってノれればずっと買えるんだけどタイミングを踏み外すとずっと買えないんだよーなー、たとえ評判になってても。まあ続いてるってことは評判が高いってことなんだろーから、当方の趣味が買い支える使命感すら覆うまでズレて来てしまったんだろーと我が身の不幸を嘆こう。東京創元社の「創元SF文庫」は出るみたいだけどまたしてもロイス・マクスター・ビジョルド。「セタガンダ」って面白い? とりあえず出てから考えよー。注目はS・P・ソムトウ「ヴァンパイア・ジャンクション」。この人って「スターシップと俳句」のスチャリトクルだったんですねえ、アンソロジーには短編が出てたりしたみたいだけど、単独の著書って「俳句」以来ってことになるのかな? ともかくも期待大、「FFノベル」の次くらいに。

 文庫の新刊絡みでチェックした角川春樹事務所のページで2回目を迎えた「小松左京賞」の最終候補作が発表になってて、町田登志夫さんて人の名前をどっかで見た記憶があってチェックしたら、その昔に読んだ「電脳のイヴ」(講談社X文庫、600円)って小説の作者に人だった。自分で書いたあらすじ紹介なんかを読んでも実はほとんどどんな話だったか思い出せないんだけど、しっかりした作品を書ける人だったよーな記憶はあって応募作もちょっと期待できそー。「今池電波聖ゴミマリア」って名古屋の今池と関係あるんだろーか、あったら文句なく受賞だ、名古屋人的に。残りの3人のうち鶴原顕央さんて人はサンライズオーディションの高橋良輔塾で時々入選になっている人っぽいし、高橋桐矢さんは前回努力賞を獲った人ってことでやっぱり期待は十分。とはいえ実力十分のプロが書いた内容十分の作品でも賞の雰囲気にそぐわなかったら取れないことは北野勇作さん「かめくん」が実証済みなんで、ネットで調べても引っかからない和泉駿教さんって人がかっさらっていったりするのかも、プロのペンネームって可能性もあるけれど。

 義務なので「週刊プレイボーイ」8月21日・28日合併号を買う、もちろん安達祐実さん水着グラビア目当てだ。撮り方がうまいのか撮った後にいろいろやっているのか下からあおった写真の脚がスラリと長くって20歳前ってな雰囲気だけは感じさせる。でもお腹のぷっくり感はまだまだ思春期残ってるかな。それより吃驚は書評ページの「今週の著者インタビュー」に三浦しをんさんが登場してたことで、現在好評発売中なエッセイ集「妄想炸裂」(新書館、1400円)を引っ提げて妄想力の秘密(「バイトから帰って、マンガ読んで、本読んで、ネットサーフィンして寝る」、って普通なんだけどどこかやっぱり違うんだろー)を明かし、姿態についての(「本の表紙のアレコレから小太りの女性を想像しえいたが、実物はすっきりした和風美人」、美人だって)言及なんかを受けている。編集部が見つけた本にあったとゆーサインは「震える字」だったそーでつまりは前に見たサインといっしょってことか。あの字でゆらゆらと書いてはファンの意表を突きまくるサイン会を是非ともどっかで開いて戴きたいもんです。

 有楽町の阪急の男性服売場にフェレの帽子が安く出てたんで購入してから上がって例の全米公開済みフルCG映画の試写、うーん目が疲れた。たぶんそれはひとつにはフルCGの揺らぎがいっさいない絵を見続けることに人間として慣れていないことと、カットのひとつひとつが全体に性急で感情を入れ込み余韻にひたる隙間がないままにラスト近くまで連れていかれてしまうことがあるんだろー。終わった後に映画のノベライズを想像力を駆使してやりとげた方と話してて、全体に少しずつ短いんじゃないかと言われてなるほどと納得、人が死ぬ場面とか別れなければならなくなる場面とか、ちょっとしたタメの演技でもって感情を高めよーとするところを、人間じゃないCGのキャラクターたちはそこまで演技してくれないんだよね。まあそーいった状況も作ってみて初めて分かること、次に活かしてくれれば良いんだとゆーことでとりあえずは頑張って見て下さい。

 CGについては短いバージョンを見た時と変わらず現時点で最高、見続けていてもリアルさが薄れるどころか場面によっては実写だろ? って思わされてしまう所も多々あって技術の進歩のすさまじさに改めて感嘆する。顔の表情にしぐさといったモーションも皮膚やヒゲや服の質感もそれなりな感じにちゃんと出ている。ひっかかる部分もいずれは技術がさらに進歩すれば解消される話だし、有象無象な人が出てきた「メトロポリス」に比べてモブシーンの少なさが気になるといっても人口が減りまくった地球が舞台なんだかと言われれば納得できる、できると思う、しよう。脚本については……地球は生きているんだと信じている人なら救われるし、信じていなくてもそーゆーもんだと決めてかかれば問題ない、ないと思う、ないんだ。

 真面目な話で言えば、いわゆる「ガイア理論」のニューエイジ的解釈をどうみなすかによって判断は相当に振れるだろー可能性が高く、厳密さを尊ぶ人にはちょっと難しい(難解、という意味じゃなくポジティブな評価が、って意味)かもしれないけれど、タイトルからして「ファンタジー」だったりする訳で、未来社会が舞台になってて科学っぽいガジェットが頻出していたとしても、科学技術でも物理法則でも理解不能な魔法だってアリな世界を描いていささかの非難も浴びない「ファンタジー」の最終形態なんだとするならば、文句なんて言える筋合いはない。人心を導くか惑わすかの判断も個々の考え方の問題なんで観た人がそれぞれに判断しよー。

 しかし「ジーセイバー」に出てきた野郎にも似て、悪役の将軍が間抜けなのには正直悩む。強権を発動しながらも世界を救うために頑張るんだ、ってな感じの役目を負ってる人なんだからもーちょっと利発に事を進めて欲しいって気もするのに、どこか甘ちゃんな所が残る正義の一派すら説得できず対立した挙げ句に暴走してしまう、その原動力がいったい何なのかが知りたい。家族の恨みって意見もあるだろーし、権力欲ってこともあるんだろーけど、滅亡に瀕していて数億人しか人間の残っていない地球で権力握って良いことあるの? ってなもの。家族の恨みを晴らしたいとゆー一念しかないエゴイストごときが偉くなれるほど甘い世界でもないとも思うんだけど。まあ悪役らしさだけは存分なんで単純明快さが好きな人には良いのかも。ともあれ秋に日本上陸のこの映画、映画通の人もSFの人もゲームファンも誰も彼も、106分の眼への衝撃感性への爆撃をたっぷりと浴びてそのすさまじさに溺れてみては如何。ノベライズを事前に読んでおけば画面に見入ることによる脳への反動が若干緩和され、その分を内容への理解に回せるかもしれない。


【8月6日】 表紙に堂々と描かれた機械フェチな暴れん坊のチビっ娘がとーぜん主役なんだと思ってかかるとイタイ目に合うから注意しとけと忠告しつつも、祭紀りゅーじさん初のオリジナルらしー「太陽機関士物語 完全版」(メディアワークス、590円)は落ちこぼれに見えながらもその実それなりな才能を持った人たちが、頑張ってよからぬことを企む輩をやっつける痛快さでいっぱいの物語の中に、機械を愛する想いやら仲間を思う友愛といった人間の心を描くドラマ、お盆状の世界の上を太陽を乗せて空を走る機関車とゆーガジェット、公団の非効率性への批判といった社会風刺の要素なんかが入り交じって、キャラクターたちの生き生きとした言動なんかと合わせて最初からお仕舞いまでワクワクドキドキしながら読んで行ける。

 表紙で言うなら主人公はカリントだかの袋を握った見るからに意地汚なそーなサブロウって名前の下っ端機関士。4号機まである機械仕掛けの太陽を運ぶ機関車の3号機に乗り組んでいて、ぐうたらな所はあったけれどとりあえずは同じ機関車に乗り込む先輩で美少女のランコとか同僚のカズマなんかと一緒に日々仕事をこなしている。ところが30年以上も使ってガタが来ている機関車を取り替えようって話になって、そこに割り込んで来たのがヒシイって会社。打ち上げればグルグルと上空を動く太陽を開発したとかで、これが採用されれば機関車でえっちらおっちら太陽を動かす必要がなくなってしまう。こりゃいかん、と思いながらも会社で決まったことで易々とは代えられず、悶々としていたところにとんでもない事態が起こってしまい、サブロウはその渦中へと巻き込まれてしまう。

 何がいったい起こったのか? それは読んで頂くとして世界を照らす人口の太陽機関車って設定事態の詳しい説明があんまりなくって、あるいは坂口尚さんの最近出た単行本でも題材にされていたギリシア神話のパエトーンの故事をテクノロジー的な解釈でもって実現したものなんだろーかとも想像したけど、はっきりした所はやっぱり不明。その辺りあるいは用意されているかもしれない次回作で、ドーム都市の中とか宇宙を進む世代宇宙船の中とかいったバックグラウンドなんかってな説明がされるのかもしれないし、されないのかもしれないし、そもそも次回作がないのかもしれない。

 けど現在運行中の機関車よりさらに古い「64式」ってのをスクラップにさせまいと抱え込んでは整備に勤しむ整備士で、機械大好きな暴れん坊つまりは表紙や口絵で1番目立ってるナツって娘の爆裂ぶり暴走ぶりが楽しくって、その暴れん坊っぷりをもっともっと読んでみたい気がして実は仕方がない。イラストの大野しろーさんもそー思ったからこその表紙メインに起用だったのかもしれない。どーだろー。ともあれ「電撃hp」所収のものを改編し長さも足して出来た完全版「太陽機関士物語」、破れる恋あり深まる謎あり打ち砕かれる陰謀あり、そして何より清々しいエンディングありの良質なエンターテインメントの登場をまずは心から歓迎しよー。しかしやっぱりナツが主役みたいだよなー、表紙も口絵もイラストも。

 「萌え」の趣味は人によって千差万別だし自身の「萌え」の傾向だって決して基本線のストライクを行っているとは思ってなくって、じっさい猫耳帽子の語尾に「にょ」を付ける奴とかを持てはやしグッズを買いあさり他人に勧めまくっては顰蹙を買いまくっていたりするんだけど、それにしてもいくらどうでもこれを果たして「萌え」とゆー概念の範疇に入れていいものかとゆーと、やっぱりどうにも違和感がつきまとう気がして仕方がない。なるほど美少女ではあるけれど、「ろり」でも「ぷに」でも「眼鏡」でも「委員長」でも「けも」でも「天使」でも「メイド」でもない、浴衣姿で清涼感漂う「萌っ娘。ちゃんねる」 のカバーガールは果たしてサイトタイトルを体現する存在か否か。音便に言って正直判断に迷う。

 重ねて言うけど「萌え」が駆動するしないは千差万別だからあるいはあの白いうなじ、あの長く伸びたお下げ髪にピクッと来る人がいたって不思議はないんで、まさに「萌っ娘」と主張されれば一切の異論はない。ってゆーか人間なんて影響されやすい生き物なんで、どうだ萌えるだろうと言われると後付けながらそんな気もしないでもなくなって来る。ただより強烈な「萌え」を発動しているキャラクターを前にすると、やっぱり霞んでしまいがちなキャラクターであることにも異論はない。うーんやっぱり謎が多い。まあ単なる愛情を示す言葉としてだけ「萌え」を使っている可能性もあるし、あるいは比較的真っ当なISP向けにコンテンツを提供する関係で、表面的には音便な「萌え」で済ませて置こうってコンテンツ制作者側の判断があるのかもしれない。とりあえずは様子見ってことで、今後果たしてどれだけの「萌え」を、集大成として標準化されたものではなく万人がそれぞれに納得できる「萌え」を放っていけるのかを注視していこー。

 ゆうべの宴会で東京書籍がちょっと前出してたんだけど売れなかったのか非再版の「B本」扱いになって店頭から消えてしまった「アメリカ・コラムニスト全集」って本を、アメコミな人で鋭いコラム書きとしても評判な人が1冊、手に持ってて聞くと何でも古本屋で見つけると買い集めてるそーで、目の付け所が良いなーと感心するとともに、B本になったとは言えところで人気があった叢書だったんだなーと得心する。実は春に開かれた「東京国際ブックフェア」でバーゲンブックフェアに並んでいるのを見つけ、折からの大リーグブームに煽られてベースボール関連のコラムを集めた本を1冊購入してたんだけど、手元不如意だった関係でアメリカで出た時は1冊だった単行本を2分冊したうちの後半、「私はメッツファンだった」が評判になったコラムも収録の「球場へ行こう」だけしか買えず、今になって悔やんでいたりする。

 そのロジャー・エンジェルの単行本も、2冊揃えてちゃんと持っていると教えられてちょい悔しかったんで、家に帰ってネットを探し古本屋を漁っても見つからず、やっぱり珍しい本なんだなーと思いダメもとで「bk1」を検索したらこれがどうしたことか、7冊がリストに上がって来て、欲しかった「シーズン・チケット」もあったんで早速注文を出してしまった。まあリストに上がっているからといって在庫があるとは言えないのがネット書店の特色、「お取り寄せ」になっててもちゃんと取り寄せられるかは分からないだけに不安はあるし、定価なんでバーゲンブックで買った時より当然ながら高いんだけど、見つけた時が買い時なのが本の世界の不文律だから仕方がない。とりあえず届くだろー可能性にかけつつ、他のネット書店とかも探して歩いてみよー。全冊コンプリート、頑張る。


【8月5日】 夢路&信乃をキーパースンにした連作物って意味ではなるほどそっか、ブギーポップが狂言回しになって人間のさまざまな欲望とか心理をかを描いていく上遠野浩平さんの「ブギーポップ」シリーズにちょっぴり似ている感じもしないでもないなあ、なんて思った渡瀬草一郎さんの最新刊「パラサイトムーン2 鼠達の狂宴」(メディアワークス、630円)は、シリーズ第1作の「パラサイトムーン」(メディアワークス、570円)で創造された「迷宮神群」なる得体の知れないどこかからやって来てどこかへと去っていく超越者と、その影響を受けて変化してしまった人間の中にあって「迷宮神群」に対峙する勢力とのバトルが前作とは別の形で描かれていて、「迷宮神群」にも単に人間に禍をもたらすだけではない、いろいろなパターンがあるんだってことが分かって来る。

 今回は死んだ姉が「迷宮神群」を狩る人間たちの集団「キャラバン」と対立した関係で狙われる羽目となった女優でもある妹の少女が、「キャラバン」を設立したものの今は1歩引いたところから眺め牽制している節もある夢路らと出会い、「迷宮神群」との邂逅も経て1歩育っていくのがメインストーリー。「キャラバン」なる集団にも結構複雑な事情があることが明らかになって来て、内輪もめとも内部分裂とも勢力争いともつかない組織内のバトルが一方にあり、また「キャラバン」を作ったものの今は袂を分かって独立愚連隊めいたものを率いる翁居夢路と「キャラバン」との緊張関係も一方にあって、「キャラバン」と「迷宮神群」とのバトルに巻き込まれた少年と少女が目覚めるとゆー単純な構造だった前作に比べると、込み入った感じがあって読んでなかなかに読みごたえがある。

 その2人もチラとだけ登場するけれど、お話しに絡ませて来ないのは次への布石かなにかかも。それぞれに違った特殊能力者どうしのバトルになってしまっている部分もあって、スタンド自慢の影響がほの見える「ブギーポップ」シリーズと重なるなー、とか思ったけれど、永遠に「統和機構」の政治的社会的な位置づけとかいったリアルさとつながる設定は見せないまま、とある場所でのとある時間に起こったゴタゴタ的な展開を重ねていくだろー「ブギーポップ」とは違って、社会とか政治とかいった現実社会と絡んでしまっている以上は、バトルをダシにした青春像で留まっていられる「ブギーポップ」シリーズと同じポジションでい続けるのは難しいかも。3、4、5と描かれれば多分積み重ねられていくエピソードに平行して、どんどんと膨らんでいく世界観、次々と明らかになっていく秘密を楽しみつつ、いずれ最終戦争へと発展し、それぞれのエピソードに登場した異能力者たちが徒党を組んで活躍するだろー日を想像して、これからの展開を待つとしよー。

 午前7時起床。少ない髪の毛を束ね服着て靴はいて10分ほどで飛びだしてJR総武線船橋駅から西船橋経由で新木場へ。臨海副都心線の1番前に陣取って国際展示場駅のエスカレーターに真っ先に飛び乗る「ビッグサイト」詣でで恒例のトレイング・テクニックを駆使して改札を真っ先に抜けたのがだいたい午前の8時頃。さても再開なった「ワンファーフェスティバル2001リスタート」に詰めかけている客は、果たして増えているのかそれとも減っているのかと前回中止の影響なんかを考えながら「ビッグサイト」へと向かって歩いていくと、見えるは遠くから続き遠くへと伸びていく人、人、人の列。アクサ生命とアルゼの看板が出ているビルの角を曲がってパレットタウンの方へと伸びる列の最後尾へと向かって1丘越え、2丘越えたあたりでようやく最後尾を発見して後に付く。

 回によってワシントンホテルの向こう側をぐるりと回したりするから誤差はあるけど、前回つまりは1年前のリセット直前の開催では、1時間判くらい前でだいたい同じ当たりだったような記憶があるし(同じ時間だったかもしれない)、座っていた人たちを立たせてギュッと前へと詰めさせた時点でも、ファッションタウンにある「カメラのきむらや」前まで来られ程度だったから、リセットなんてしやがった主催者はもう大っキライだ買いになんていってやるもんか、ってな人が大量発生して入場列がグッと縮まって2時間前なら10分くらいで入場できる場所に並べるかも、なんて発想はやっぱり激アマだったってことでしょう。ちょっとだけ期待した自分が愚かでした。

 まあ他にいろいろとイベントが立ち上がったといっても、ポータルサイトじゃないけど集まる場所には集まるってゆー法則だか原則だか真理だかがある以上、売る側店を出す側の人としても主催している人たちが唱える「スピリッツうんぬん」に賛同するしないはよほどの場合をのぞいてとりあえず脇にやり、出ざるを得ないし出たいってのが現実的な思考。売る側が出ている以上は買う側だっていかなきゃいけないってのが実状で、ディーラーの変化は把握してないけれどそれほど変化がなかったとしたら目当てにしてくる来場者の数が減る理由はない。

 プラスアルファこの1年の間に巻き起こったカプセルトイやらキャンディトイやらの爆発的なブームで「フィギュア」なるものに関心を持った人もそれなりな人数いただろーから、来場者数自体むしろ増えるのが当然かも。チョコエッガーな人が早朝の始発とかに乗ってやって来るとはあんまり考えられないけれど、1時間待ちくらいなら並んでたってそれほど違和感ない……うーん、まだちょっとあるかな。アクションフィギュアに関しては、海洋堂の蓄光タイプ「モネブ・ザ・ゲイル」もセピア版「スパイク・スピーゲル」もゴールド版「ガオガイガー」も魅力はあるけど一般市民を巻き込むだけのパワフルさがあるアイティムでもなさそーなんで、新しい人が増えたってよりはやっぱり昔からの人が減らなかったって見る方が良いのかな。

 あとはアレかなあ。同じ1年でやっぱり爆発的に普及したネットオークションの影響ってのも出てるのかなあ。頑張って並んで買って流せば倍で売れるってゆーならどれだけだって頑張るって人が結構な数いたとしたら、2時間前なんて出遅れも出遅れ過ぎで入った時点では人気の品物のすべてが完売になってたって不思議はない。せっかく買ったものを転売するなんてスピリッツたっぷりなファンに申し訳ないと思わないのか、って怒る人がいるだろーことは百も承知、けどそれで儲けられるんならやる人が出るのが世の常で、かつネットオークションってゆー転売に使いやすいツールが出てきた以上、関わる人が増えて来るのが普通だろー。

 オークションのサイト側でそーゆー”スピリット外れ”な振る舞いを規制できるかってゆーと難しいのが実状みたいで、あるいは「当日版権」みたいなその日その場でしか売買できない品物だったら法的に規制できるのかってゆーと、「当日版権」の遵守自体にスピリッツっぽい匂いがあるから、やっぱり問題は多そー。トップを切って並んで買って転売したところで、1人だとしたらどんどんと入場してくる人もいるから買えて1つかせいぜい2つってところ。全部まとめて転売したって儲けなんて数万円くらいにしかならないだろーから、あんまり割が良さそうに見えないって気もするけれど、人を雇うとかすればああるいは集団的に買い付けることも可能なのかも。うーん、なんか暗くて深い闇がありそーなんであんまり考えないことにしよー。

 10時の開場に前後して列も進み始めてこれなら15分くらいで入れるかなー、とか考えたけどこれまた激アマで、一番奥の階段部分とかがボトルネックになっていたのかそれとも入場の時に何か起こったか進んでは止まり、止まっては進む人の列。結局場内に入れたのは10時50分頃とゆー時間帯で、実は休日出勤で会社に正午までには入らないとマズい身にはほとんど時間がなく、とりあえず買えればいいかな、とか思ってた「モネブ」は海洋堂前の行列がそれなりに長かったため断念して、同じ「トライガン」のカプセルトイのブースに寄って5個入りパック中身秘密を購入し、「帰ってきたウルトラマン」のDVDを出してるガイナックスのブースは「日本SF大会」にもたぶん出てるだろーからとサラリながめるに止め、あさのまあひこさんがブース前に立って模様眺めをしていた「ワンダーショウケース」のコーナーで、「ムスカ」はキライじゃないけどパスしてTシャツを1枚だけ買い、関係者と談笑するあさのさんを遠目に見ながら向かいのホールへと回る。

 目指すは1点、侍フィギュアの「アルフレックスのブースへと駆けつけ各所で「超そっくり」と評判の「うっかり八兵衛 高橋元太郎」 の残り少なくなっていたうちの1つをゲットする、いやあ似てるわ、これ。新作は「座頭市」の早々の完売で唇を噛んでいる人に、代わりになるかどーかは微妙なところだけど同じ勝新太郎さんがモデルってことで「警視K」を披露していたくらい。現代物にもそろりそろりと出て来ているよーで、だったらその昔にあくまでも試作のサンプルだけで発売には至っていない工藤俊作by松田優作さんとか出して欲しいところだけど、ベスパ付きとかになると高そうだし、それより以前に権利が降りるかどーかも難しいところなんで、とりあえずは期待しておくだけに止めておこー。とはいえ「鬼武者2」のCG出演も可能になっている状況を見ると、案外と権利とか多少は緩くなっているのかも。だったらいっそ「鬼武者」版の優作人形とかがあればアルフレックス的にも得意技が活かせるんだろーけれど、松田さんだけじゃなくゲーム会社とかも間に入って権利がさらに複雑になるから、やっぱり難しいのかな。

 とか何とかで滞在可能時間も限界に達したんで11時10分くらいに退去、2時間50分並んで滞在20分なんてまるで3時間待って診療3分の大病院みたい。もっとも病院だとせいぜいが”安心”をもらえる程度のところを、「ワンフェス」だと温くても単なる見物客でも「トライガン」のカプセルトイに「ワンダーショウケース」のTシャツにアルフレックスの「うっかり八兵衛 高橋元太郎」くらいは買える訳で、行っただけの価値はよほど病院よりは高い気が。もっとも支払ったお金は健康保険がきいて1割負担で300円とか初診でも1000円はいかない病院に比べて合計18500円とケタ違いだから、趣味はやっぱり健康よりも高くつくってことになる。趣味にも効く保健ってないものかなあ、ないよなあ。

 某氏の結婚を祝う夜の宴会に仕事を抜け出してかけつける。何か平日より忙しい。結婚に関して羨ましい、とゆー感情はあったりなかったりと複雑だけど、そこへと到るプロセスとして家に来た折に「機動戦士ガンダム」のおそらくは劇場版3部作だかを見せてなおかつ「逆襲のシャア」まで観賞させ、さらに途中で次に出るセリフまでをも解説したとゆー手練手管を駆使したと聞いて、何であれ人間やっぱり他人を納得させるには、中途半端なシニカルさではなく真正面からぶつかり突き進む熱さが必要なのかもと感じ入る。「新世紀エヴァンゲリオン」を理解させるためにまずは「トップをねらえ」から見せ次はおそらくは「ナディア」でさらには「風の谷のナウシカ」のとろける巨神兵の場面を選んで見せるとゆー、段取りの見事さにも感嘆、「ポップチェイサー」を見せたかどーかは不明だけど。

 何せ熱さに加えて理論でもって英明さをのぞかせ相手を納得させるだけの材料に乏しい当方、「ガンダム」関連はファーストのLDしかないし宮崎監督モノでも「未来少年コナン」はあるけど古い所でのホルスもなければホームズもカリ城すらもない体たらくではとうてい相手はねじふせられない。好き、って面だけだったら家にある材料として「VIRUS」に「lain」に「To Heart」に「吸血姫美夕」に「少女革命ウテナ」と後は押井守さん関係(除く実写)を見せまくることは可能だけど、書いていてあまりな脈絡のなさに我ながら呆然とするのが実態で、これが興味のない人様だったら果たして何て思うだろーかと、考えるだけでも億劫になる。佐伯日菜子版「エコエコアザラク」全話&映画ってコースもあるけど、迷惑としか思えないし。何より我が家には2人が並んでテレビを見るだけのスペースが存在しないのが最大の問題。ここはスッパリ今はまだ無理とあきらめ修業とそれから環境を立て直すための蓄財に励むとしよー。蓄財と修業が並び立つかは怪しいけれど。


【8月4日】 「スタジアムに行こう その数え切れない(たぶん8)」はさいたま新都心にある「さいたまスーパーアリーナ」でバスケットボールの見物。っても秋とかに開幕予定で「スーパーアリーナ」でも何試合か予定されてるNBAなんてド派手なもんじゃなく、サッカーで言うならオリンピック代表くらいに当たる21歳以下の人しか出場できない「バスケットボール・ヤング世界選手権」って大会のそれも予選なんで、朝からフラリと出かけて行っても指定席のゴール裏NO そんなに悪くはない場所が買えてしまう。値段は4000円とまずまずだけど頑張れば1日に出場している12チームの全6試合もそれで見られるんで1試合当たりだと666円とかそんなもん。正直いって超お得です。

 もっともサッカーのオリンピック代表が未来のフル代表だったりするよーに、21歳以下っていってことは将来のNBAスーパースターも混じっていたりする訳で、これまたサッカーで言うなら「世界ジュニアユース選手権」だかで若きマラドーナにラモン・ディアスを見たんだぜ俺は、ってな感じの自慢の種のバスケットボール版が見つかる可能性は大、未来のジョーダンとかシャックとかコービーとかカーターとかアイバーソンとか。実際に現役NBA選手も混じっているそーだし見た試合の中で40点近い得点を挙げる大活躍を見せてたアルゼンチンのルイス・アルベルト・エスコラなんて、今年はNBAのドラフトを辞退して来年の指名1巡目を確実にしようってもくろんでるそーで、3年後くらいには黒人がほとんどの中にあってユーゴスラヴィアとかクロアチアの選手みたく非黒人系の選手のトップクラスとして目立って来てるかも。

 目立った選手だと2試合目に行われて見た試合では最初になった「オーストラリア対スペイン」の試合で爆発していたカルロス・カベサスって選手。チーム紹介とか読んでも全然出ていなくって事前の注目はあんまり集めてなかったみたいだけど、ポイントガード的に切り込んでいってはパスを出すだけじゃなく自分でも得点に行く積極性で両チーム合わせて最高の36点と1人で獲得。オセアニア1位で前回の優勝チームのオーストラリアを破る、ある意味で番狂わせ的なカードの立役者になっていた。187センチなんでサッカー的には大きいけれどバスケット的には小兵の部類、にも関わらず動きの鋭さでもって突破していく姿はホント目にもとまらなぬ早業って奴で今後の活躍の度合いによっては更なる注目を集めるかも。残り37秒で3点差だったっけ、詰め寄られても守り切り突き放して勝利したその展開になかなかの緊張感があって、しょっぱなから楽しめました。

 第3試合で見た中では2試合目になる「アルゼンチン対クロアチア」は徹底してアルゼンチンペース。例のエスコラがゴール下での頑張りからターンしたり潜り込んだり外に出たりして放つシュートのことごとくがリングに吸い込まれていく様を見て、同じよーにリングを揺らしながらもほとんどがことごとく外へとはじかれたこの日の第4試合目で見た中では3試合目の「イスラエル対日本」での日本との差を感じてしまう。それが運なのかそれともちょっとしたノウハウの違いなのかは分からないけれど、才能には結果がついて来るんだってことだけは言えそー。クロアチアは2メートル20センチプレーヤーでNBAの現役らしーブルノ・ズンドウが5ファールだかで退場して活躍を見られなかったのが残念。けど大男揃いの中にあって頭1つぬきんでるってのはやっぱり凄い。どこのチームにいるんだろ? NBAシーズン開幕後にちょっと注目してよっと。

 さて「イスラエル対日本」。秋田の能代からブリガムヤング大ハワイ高に進学して以降、とんと話題から遠ざかっていた神童・田臥勇太選手が果たして今はただの人なのか否かを問われるって意味でも注目を集めているのがこの「ヤングメン・バスケットボール世界選手権」だったけど、紹介された時の歓声や拍手の数では他の日本代表の中でもピカいちで、人気については未だに神童ぶりを発揮していると言えそー。じゃあ実力は? ってことになるけれど、スターティングメンバーに入らなかった辺りに未だ本領を発揮してないんだってことが伺えて心、配と安心の表示があるメーターの針が心配へと傾く。とは言え流石は元超高校級プレーヤー田臥、コートに出ればすさまじいばかりの鋭い動きで右へ左へと走り回りボールを受け取っては散らし、隙あらば自らカットインしてシュートを決めてみせる切れたプレイを見せてくれて、活躍ぶりに針は安心へググッと振れる。

 直後にスチールされてまた心配にググッっと戻ったりもするけれど、今ですらあーならば復調すればきっともっとってな希望は持っていても大丈夫そー。試合はイスラエルに100点を超えられてしまったけど日本だって80点を獲得したし途中で2点差まで詰め寄った場面もあったし、両チームで1番得点を挙げたのは日本の村山文雄選手だったくらいで、点差ほどには実力に大きな差はないのかも。パスされたボールが手に付かないよーなミスが改まった暁には、もっともーっと差は縮まるどころか超えてしまっても不思議はない。パスやらトラップといった技術の正確さがどーしても海外のサッカー一流国に比べて備わっていないよーに見えるサッカー日本代表ともこの辺ちょっと似てるっぽいけど、そんなサッカーからも世界ですらトップに入る中田英寿選手みたいなプレーヤーも出てきた訳で、今を搖籃期に遠くない将来、オリンピックでもそれなりの成績を残せるチームになれるかも。中心は田臥かそれとも田臥を押さえてスターティングガードを務めた柏倉秀徳選手か村山選手かもっと別の誰かか。楽しみっす。

 NBA流ってゆーのか空気を入れて膨らます2本のビニールスティックをポコポコ叩きながら応援する人が結構いて見ていて賑やか。「スラムダンク」だとペットボトルをゲシゲシやってるシーンがあったけど、時代に伴って応援グッズも専門化され洗練されていくものらしー。大会公式パンフレットを買ったら先着500人以内にはプレゼントってことで同じ「JAPAN」と書かれたスティックが付いてきたけど、応戦団のいる席からちょっとはずれてたんで五月蝿いとか言われて恥ずかしー思いをするのが嫌で膨らませなかったのが心残り。小心者だねえ相変わらず。

 とはいえ応援団もどこか急増っぽくって、ホーム&アウェイは関係ないのか開催国ってことですべてホームってことになっているのか、両方のゴール裏に同じよーな団体が陣取ってはスティックを降ったりパネルで日の丸を作ったりしてたんで、どちらに向かって攻めるにしてもイスラエルには鬱陶しかったかも。 途中でイスラエルが攻める方向の正面にいる日本の応援団の中に混じってイスラエル国旗を振ろうとした果敢なイスラエル関係の人がいたけど、パレスチナではハードでも回りが全部日本で隣に巨大な日の丸がひるがえっていては、さすがに臆したのか元いたバックスタンド側へと戻ってしまった。我勝てり、って威張って果たして良いのかそれとも応援的なマナーにはずれているのかは不明、けどまあどっちにしたって勝てそうもないんで応援くらいは許して下さいな。

 アジア1位のカタールが登場する試合も午後の8時過ぎから登場するNBA候補が目白押しなアメリカ合衆国の試合も見たかったけど見てると遅くなるんで飛ばして帰途。予選は8日までで明日は午後4時から「日本対韓国」の話題性豊富な試合、午後6時10分から優勝候補どうしの「アルゼンチン対アメリカ合衆国」があるんで近所の人は寄ってみては如何。「アメリカ合衆国対日本」は7日午後6時10分からでこっちも見物。

 武富士のダンスCMの新作を見る、レオタードが一転してブラの部分とパンツの部分が別れているタイプの奴になっていて、さすがに水着のよーなきわどさは無いけれど黒いカラーとビートの効いた音楽がなめまかしさに加えてある種の精悍さを醸し出していて、足をひょいっとあげるダンスの振り付けともども感動にうちふるえる。ラストはやっぱりしゃがんで背筋をそらすポーズなんだなあ。「サッカーオールスター」の中で1回見た直後に「プロ野球巨人対ヤクルト」のCMでちょっとだけ見たけど当然ながら録画はできず。テレビ東京の深夜番組の前後に確か必ず流れていたよーに記憶しているから、その辺りをコアタイムに据えて前後2時間をテープに取って探そう。ハードディスクで40時間まる撮りとかしてれば楽なんだがなあ、久夛良木健さんオススメのソニー「クリップオン」を買うべきかなあ、「PS2」にはしばらくHDレコーディング機能とか付けてくれそーもないしなあ。


【8月3日】 まだ始まってないから「雨後の筍」ではないし、「転ばぬ先の杖」でもちょっと意味が違うけど、ともかくも来年の「ワールドカップ」をめがけて恐らくこれから続くだろーサッカー雑誌新創刊のひとつとしてフロムワン発行アスペクト発売の「SOCCERZ(サッカーズ)」(350円)が登場。「参戦しようTV」ってキャッチがついていて、海外に続々と移籍する日本人選手の活躍を「スカパー」で見ようって目的での創刊らしく広告も記事もそーいった傾向の物堅い半で、その意味では「雨後の筍」かもしれない。「漁夫の利」でもないしなあ。

 関連広告の多さからあるいは半ば「スカパー」専属のパブリシティ雑誌かとも想像できるけど、記事の方はブラジスのダメさ加減とか小野の頑張りとか、セリエAにプレミアにリーガエスパニョーラの簡単だけど分かりやすい紹介があってガイドブック的な役には立ちそう。それでも記事を読んで試合の多さに選手の凄さなんかを知ると、だんだんと「スカパー」に加入しなくちゃいけないんだって気になって来るから、パブリシティ雑誌としての効果も覿面にあるっていえる。同じ方法論で例えば「スカパー」とかで放映しているアニメをメインに取りあげる雑誌が成り立つんだろーかと考えたけれど、リアルタイムで進んでいるサッカーと違ってアニメはノスタルジックなものから最先端までが一緒に流れているから、どれをピックアップするかで売上なんかが左右されそーで難しいかも。

 それにしてもな表紙。写っているピンにどこかボケ味のある中田英寿選手の顔がボクシングの辰吉丈一郎さんに瞬間見えてちょっと怖い。創刊されたばかりの雑誌で発行元もあんまりメジャーじゃないところでよくぞ中田選手を引っぱり出したものだと簡単したけど記事を読んで納得、これも「スカパー」とのタイアップでした。中田選手がやってる「nakata.net」が「スカパー」に持ってる番組で有名人をゲストに招いて中田選手と対談するってコーナーがあるらしく、それがまんま掲載されているって寸法。1回目の岩井俊二さんとの対談なんか発売直後の8月3日夜24時からオンエアってんだから、見事な前宣伝になっている。

 とはいえ活字で読んでも案外と面白いこの対談。ストイックな求道者あるいはマスコミ嫌いの厭世者ってイメージばかりがスポーツ誌とかの記事だとつきまとうしつきまとわされている節もあるけれど、自分がホストで相手が映画監督とゆー対談は難しいサッカーの話とか金銭の絡む微妙な話とかなくって、奔放に自分の見たこと感じたこと経験して来たことを語っていて興味深い。漫画は「少年ジャンプ」「少年サンデー」「少年マガジン」「ヤングジャンプ」「ヤングサンデー」「ヤングマガジン」を毎週イタリアまで送ってもらって読んでいるとか。

 中田選手の愛する「湘南ベルマーレ」が誇る(誇ってない)「でじこ」が毎週読めて個人的には嬉しいけれど熱いマンガのファンには多分複雑な「少年チャンピオン」が入ってないのは気になる。アニメ化ネタで2週引っ張ったんで次はちょい「ベルマーレ」ネタも折り込んで、中田選手に送って読んでもらって「ベルマーレ」と「でじこ」の活躍ぶりを知ってもらおう。「俺降りる」とか言われたらどーしよ。

 漫画絡みだとサッカー漫画をずらりと並べた特集がちょっと壮観。ベスト10が「赤き血のイレブン」「イレブン」「キャプテン翼」「かっとび一斗」「オフサイド」「シュート」「俺たちのフィールド」「Jドリーム」「VIVA CALCIO」「ファンタジスタ」で「GO!シュート」も「キックオフ」も入ってないのが世代的には不満だけど、トップページにずらりと並んだ漫画の種類の多さを見るとそれぞれの世代にそれぞれのサッカー漫画があるんだってことが分かって、そこからベストを選ぶとなるとやっぱり落ちるのもあるんだって納得させられる。「サッカー魁」が入ってないのは……仕方ないかな。金井たつおさんのパチっぽい絵と1回転するスローインが好きだったけど。

 東小金井なんかを散策したあと戻って日比谷野外音楽堂。去年に続いての鳥肌実さん夏の大演説会をのぞく。5人づつ整理番号順に入れていく割には直前まで行列も作らず果たして開演までに2000人とか3000人とかさばききれるんだろーかと心配したってゆーかイライラしたけど、途中から10人づつになってそれが30人づつになり、ペースも上がって来て開演までに無事混乱もなく早く入れろ始まってしまうぞと暴れる人もなく客入れに成功。これが日本人の礼節の正しさ故か、単にきまりに従順なだけなのかは分からないけど、とりあえずは誘導にあった側の仕切りの巧みさを誉めておこう。

 さて講演。巨大なスクリーンを使ったスライド上映フィルム上映の類は一切無く、1時間半をフルに演説で通すスタイルは「東京ベイNKホール」と同様。ただしネタの類は2カ月前とまるで違っていて聞いていて飽きることはない。映画「パールハーバー」を見に行った話から始めて「イカニモナ」感じを醸し出して客を掴み、ラブシーンに眠気を催し戦闘シーンに歓喜し周囲の人が引いて客席にドーナツ化現象が起き残っているのは公安の某と雑誌「丸」を抱えた戦闘機オタクの少年くらい。

 暴れて警備員につまみ出されそうになってこらえたけれど病院でヤンキーが続々と死んでいく場面に感極まって泣いている女性がいた、ってあたりでネタにつまったかそれもネタか、映画館ネタを切り上げて夏江とよりを戻す話へと進む。病院で死んでいく兵士に泣いていたのはいったい誰だったんだろー、田中眞紀子? こんな映画はいかんと自分で真珠湾の映画を作るんだと訴えキャストを挙げカットも例示。それがなかなかになかなかで、ワンシーンだけなら見たいかもとか思ったけれどどこかで作ってくれないかな、無理だろーなあ、真田広之さんも千葉真一さんも安岡力也さんも竹内力さんも美保純さんも偉いし忙しいし、けど見たいなあ。

 残り半分くらいは政治ネタで共産党公明党社民党イジリを続け本気か冗談か選挙に出る衆院選に鳥肌をお願いしますと叫ぶその声が、霞ヶ関とゆー政治的な発言にもっとも似つかわしく、あるいはお笑いとしては逆に似つかわしくない場所にこだまするシチュエーションがなかなか。参議院背挙にゾロゾロと出てきたタレント候補と呼ばれる人たちがやった真面目な選挙活動と、ここで行われているのショーとの果たして差って何だろーかって気持ちが起こって来て、不思議な感覚にとらわれる。

 もっともショーはどこまで言ってもショーであって実生活まで追いかけてはこないけど、政治は最終的には人々の暮らしを豊かにもすれば貧しくもする。そこが曖昧なまんまでただ政治のショー化が進んでいるのはやっぱりどこか不気味だけど、人生なんて所詮はショー、政治も経済も絡めて見えない台本の上で出たとこ勝負をしてるんだと思えば、こんな状況もありかもしれない。さて鳥肌さん、本気か冗談か年末に「日本武道館」を申し込んだけど断られたってあってちょっと残念、あの場所で中央から四方八方に向けて演説する姿を見たかった。場所からして冗談になりえるってゆーと後は代々木か信濃町あたり? 同じ日比谷の公会堂も悪くはないけど浅沼委員長なんて知ってる世代でもないしなあ、飛び込むエキストラもいるし。


【8月2日】 憎きイエス・キリストの誕生日だなんてと、考えるだけでも胸に暗いものが到来するクリスマスも目前の12月の夜を、都会はもちろん人々の目の行き渡った田舎でだって開くのが難しくなっているサバトあるいは黒ミサで盛り上がりたい、暗黒で悪魔で邪教な一味の方々に朗報が。12月22日の夜を伊豆沖にある無人島のホテルを全館貸し切りで過ごせてしまうとゆー企画が現在、「一休.com」って宿泊予約サイトのオークションに出品中。富士山の絶景を臨む無人島、「淡島」にある全室がこれスイートルームとゆー「淡島ホテル」を他の宿泊客の目をはばかることなく使えてしまうってんだから、隠れてこそこそ鶏の血を飲んでいた人も首をぐるぐる回しながら背面歩きしていた人も、誰はばかることなく安心して本性をさらけ出しては暗黒の儀式に身を委ねることができる。

 料金は1人あたま5万円からで80人以上120人までの申し込み、ってのがマイナーな邪教の人たちにはネックだけど、隠れサタニストとか見習い魔女とか妖精とかへたれ宇宙人とか化け猫とか、この地球にはふしぎな人(人か?)がまだまだいるみたいなんで、そーゆー人(だから人なのか?)にも呼びかければ1島だって足りないくらいに集まって、ともすると島ごと浮上させては宇宙の彼方へと弾き飛ばすか、次元の歪みに落として永劫の暗黒をさまよわせるくらいのことはできるだろー。食事はイタリアンか和洋ブッフェしかないよーだけど、頼めば生肉とか生き血の類くらい用意してくれるかも。申し込みは8月31日で一応は審査なんかもあるみたいで、真正面から「暗黒邪教魔術団」とかいかにもな名前で申し込んだらケられる可能性も高いんで、そこはこっそりと真っ当な組織名で申し込んむのが吉、「ク・リトル・リトル商会」なんて子供向け絵本とか扱ってそーな名前で良いかも。ってホントにそーいった反道徳的反地球人類的な団体が申し込んで来たらどーするんだろ森正文社長、ともあれ入札結果が楽しみです。

 島ネタその2。こちらはまとも(「一休.com」もまともだってば)。愛知県は三河湾沖に浮かんでいるらしーけど実は行ったことがない佐久島って無人じゃない島で、この夏にアートを絡めた全島挙げてのプロジェクトが実施されるとか。「佐久島体験2001 祭りとアートに出会う島」が開催中で、すでに展覧会とかワークショップっていったアート系のイベントが幾つかスタートしている。「弁天奉納三人展」ってのがそれで、「佐久島弁天サロン」ってところで(どんなところだ?)小川信治さん松岡徹さん平田五郎さんの3人が作品を展示してて、小川さんは10月、松岡さんは12月にそれぞれ個展も開催。平田さんは来年2月に佐久島に来て作品を作って3月に個展も開くとかで、夏が終わってもまだまだ引っ張る結構大きなプロジェクトになっている。

 「祭りとアート」っていうけどじゃあ「祭り」の方は? との疑問はごもっとも。こちらはたぶん恒例なのかな、14日から16日とゆーいかにも「祭り」って日程で「弁天祭り」ってのが開催されることになっていて、盆踊りに提灯行列に屋台に精霊流しに浴衣にりんごあめにチョコバナナに金魚すくい……ってなこれまた王道を行く「祭り」を楽しめるらしー、行ったことないんで知らないけれど、無人島でも離島でもないんで異神とか邪神とか祭ってるとは思えないからたぶん普通の「祭り」になってるでしょー。そんな中にも提灯がアーティスト指導による手作り物だとか、「筒島インスタレーション」って近所に浮かぶ島を使った2日だけのアートプロジェクトとかいったものが組み込まれているとかで、伝統にさてはてどこまでアートなる異なる血が融け混じっているのかそれともぶつかりあう中で得体の知れないパワーを放っているのか、見てみたい気もするけど実家からも遠いんで今んところパスだ。

 コーディネートとプランニングはほぼ地元の三河は八丁味噌な岡崎で地域密着のアートプロジェクトを展開している「オフィス・マッチングモウル」。お元気そうで内藤さん。東京は村上&奈良の次号「ブルータス」なんかで紹介されてるらしー現代アートの2人が個展を開いてメディアの注目をたぶん集めまくるだろーけれど、地方だろーと離島だろーと関係なしに多分アートって存在できるはずのもの。にも関わらずメディアってゆー機能を通した時にどーしても中央からの情報発信が中心になって盛り上がりに拍車をかけ、お金までもがそちらへと向かってしまう実状に、地域発で地域育成で地域発展なイベントでもってどこまで主張していけるのか、ひとつの意見としてこの「佐久島体験2001 祭りとアートに出会う島」プロジェクトを見ていきたい。今の媒体じゃさすがに取材には行けないけど、取りあげて不思議のない媒体は行って夏の三河湾を堪能して来ては如何。

 パイオニアLDCが新作アニメのラインアップ紹介をやるってんで小林恭二さんの新作でも話題になった猿楽町そばにある「代官山ヒルサイドテラス」の何やら穴蔵みたいな地下のホールをのぞく。話題沸騰の「Hellsing」に関しては前の制作発表の時にパイロット版らしきフィルムをすでに見ていて、セラスの胸の巨大さにアンデルセン&インテグラのコブラ&レディとはまた違った切れっぷり&叫びっぷりを再確認しては、棺桶入りプレDVDを頑張って買うぞと再決心したくらいだけど、ほかに幾つか発表になった中では、「アミテージ・ザ・サード」の続編「ARMITAGE DUAL MATRIX」がいよいよ登場って報に仰天しつつ歓喜。動かないとか動きが変とかいろいろいう人(自分だ)もいるけれど、実は案外と好きだったりする作品で、あのアメリカ人が好みそーな越智博之キャラが6年の歳月を超え技術と予算も身につけてどこまでグレードアップしてくるか、とりあえず楽しみで仕方がない。

 脚本が小中千昭さんじゃないし音楽の難波弘之さんじゃなくアミテージの声も柚木鈴香さんと幾つか変更があるみたいで、とりわけ難波さんのサウンドトラックはアニメを超えて聴き込める作品だっただけに、気持ちをリセットして虚心坦懐に作品に接することができるかがとりあえずの注目点。声については何しろ最初に見たのがハリウッド女優とかのオバさん声で喋るアミテージだったんで川澄綾子が大谷育江が桑島法子であってもきっと平気で見られるから心配してない。最大の問題はやっぱりお話しの方か。まあそれも見てのお楽しみってことで。

 ほかだと話題は何といっても「あの」山賀博之さんが久々に監督を務める「まほろまてぃっく」で、ラインアップ発表会の受付さんにしてからがメイド服の「まほろ隊」だったりする辺りに会社としての力の入れようも分かる。もっともこれが「アーカード隊」だったら不愛想だし「あぃまぃみぃ! ストロベリー・エッグ」の熱血女装体育教師にちなんだ女装者ばかりの「天和ひびき隊」だったら不気味なんで、「まほろ隊」にならざるを得ないって事情も分かるけど。流れたプロモーション映像で主人公の14歳の少年が「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の山賀博之さんが監督だと聞いて驚いた振りをして「よく知らないんだ、生まれる前のことだし」と話したのが個人的になんかツボ、時代って流れるのが早いなー。「でじこ」なコゲどんぼさんキャラクターの「ちっちゃな雪使いシュガー」もキャラ、美術ともに出来良さげな感じで、「とんがり帽子のメモル」がマストなおじさん世代でも納得の1本になるかに期待。しかしさすがはコゲどんぼキャラ、ヒロインは髪留め替わりにでっかいボタンをつけてるし、雪使いのシュガーの帽子にも太陽使いのソルトの帽子の飾りにもちゃんと目がある口がある。


【8月1日】 3食入りやきそばはちゃんとメーカーを選んで買うものらしい。けど値段にも釣られるとか。「やきそば三国志」(加藤文、文藝春秋、1905円)は次第にじんわりと読まれているよーで善哉。それはさておき「ブックオフ」に並んでいるのを見かけて旧刊かと奥付を調べてごくごく最近の刊行と知って仰天、いったいいつの間に描いてたんだろーと己のチェック能力の甘さを呪いつつも、ついでだからと新刊書店と出版社と作家の方を向かって3度お辞儀しつつそのまま買ってしまった東城和実さんの「ぐるぐるジャングル」(ソニー・マガジンズ)に2巻が登場、まあ1巻ってあったから2巻が出るのは当然なんだけど1巻の見かけなさぶりからあるいはフェードアウトしてしまう可能性なんかも妄想していただけに、とりあえずは僥倖と喜んでおこう。原稿はどこにあったんだろー(あとがき参照)。

 すでにシチュエーションのほとんどを失念していて、半魚人顔のポチオとこ中村浩一が宇宙の大魔王で、それをおいかけてやってきたミシェール=南野って球形の頭にウサギ状の耳が突き出てる機械顔なのに女学生の制服を着て広島弁を喋る宇宙警察の捜査官と争っていて、南野の上司やポチオの元同僚やマッドサイエンティストな化学教師の麗先生やらミシェールに焦がれる巨大宇宙人やらが絡んでいくとゆー、「うる星やつら」的な学園非日常物語が繰り広げられているらしーんだけど、半魚人のポチオにどーして人間の妹がいるのか思い出せずポチオが同級生の山田久をどーして好きなのかも記憶の埒外、濁点が2つ重なる呼び名の星人がポチオとどーゆー絡み方をして……ってのが申し訳なくも「ブックオフ」で買って読んでいるにも関わらず思い出せないのが悩ましい。「ゆめのかよいじ」といー読んだ物語が片っ端から記憶の暗黒へと落ちていく(忘れるともいう)のは歳取った証拠か。

 思わせぶりに登場してはポチオを微塵切りにしまくり始め、いつまで経ってもやめよーとせず無限に増え続けるポチオを無限に切り刻み続ける南野のお姉さんのパワフルさ&美しさにときめいてしまったけれどたったの1話でA級次元時間牢へと飛ばされそれっきり、ってゆーキャラクターの無駄遣いぶりは間もなく終了を予見(それとも確信)しての所業か。ちょっともったいない来もするけれど、服装とか気合い入ってても同じく美人の麗先生に比べて目とか塗りが”へのへのもへじ”テイストに簡略化されているんで最初から使い捨てキャラだったのかもしれない、でももったいない。クライマックスっぽいものがあってハッピーエンド(?)っぽいものになってやっぱりな微温的非日常の繰り返しへと埋没していく展開もまあお約束。あるいはどこか別の場所で再開&再会なんてことも可能性はともかく期待しておこー。

 去年は「第39回日本SF大会」とゆー一部の人々にとっては一大イベントと重なってしまったため、一部の人の一部として行くに行けなかったエンターブレイン主催「ファミ通エンタテインメント大賞」の第3回目の授賞式が、今年は「第40回日本SF大賞」とも日曜日ごとに開催されるガレージキットやフィギュアのイベントとも重なりはしないけれど、職のある人にとっては仕事と重なってしまってやっぱり悩ましかったりする平日の本日の午後、東京は渋谷に新しくできた東急本社跡地(まだあるけど)にそびえる「セルリアンタワー東急ホテル」で開催されたんでのぞく、職はあるけど本職だし。初めて入ったホテルは地下に深く部屋が作って有る割には天上が高くってなかなかのゴージャス。渋谷駅からも歩いて5分程だし料理もなかなかで、初台からは違いかもしれないけれど新宿からだと歩いて10分はゆうにかかる「パークハイアット」よりも使い勝手は良さそー。便利さとアフターな遊び場も考えると案外とこれから使われそー。第1回目に会場になったお台場とかにこの何年かでメリメリと建ったホテルは早くもちょっと厳しいかもなー。

 1000万円とゆー最高賞金の大賞は今年も出なくって、まあ別にエンターブレインが厳しいからとか言った話じゃなく、やっぱりそれなりな完成度ともってしないと大賞ってのは出ないってことなんだと理解しておく、別のソフトを表彰するコンテストでは1000万円、何回が出てるし。けどざっと受賞作をながめて、全体を通して唯一の最優秀賞となった小説部門で受賞の野村美月さんの「赤城山卓球上に歌声は響く」は、合唱部にいた少女が卓球魔人と戦う運命に従って仲間たちと特訓を受け、ラストバトルへと挑むって設定のそこはかとないおかしさがなかなかなもの。それだけだったらワンアイディアの一発芸と切り捨てられるだろー可能性もあるけれど、最優秀賞を獲得してるってことは秋津透さん久美沙織さん中村”女王さま”うさぎさんをして納得させるだけの何かがあったんだろー。

 講評の席で久美さんは「何が書きたいの、って作品が多くって」って言っていて、本筋となるべき自分は何を書きたいのか、でもって読者に何を伝えたいのかって部分より先に別の何かが出てしまうよーな小説が増えてしまっている状況を憂いていたけど、そんな苦言を呈した上で最優秀賞を与えたってことはつまり、それだけの主張を持った作品だったってことになるんだろー。会場に来場していた卓球に関心の強い大森望さんも期待してるっぽいストーリー。赤城山と卓球の結びつきは確かに謎だけど、そんな謎すら納得させるだけのパワフルさを持っているんだと想像しつつ、たぶん遠からず発売となる日を首をのばし大口を開けて待っていよー。第2回から出て圧倒的な筆力と創造力でうるさ型のレビュアーにも大評判の「バイオーム 深緑の魔女」(伊東京一、エンターブレイン、640円)に並ぶ「えんため大賞」のフラグシップになれるかな。

 イラスト部門では笛吹りなさんの作品が圧倒的なうまさを見せてくれていて納得の優秀賞。会場に来ていた選考委員の幡池裕行さんも講評で「抜群にうまい人」と書いているくらいだし、腕前の高さでは過去3回の中でもトップクラスかも。ただいつかどかで見た絵、あるいはこれからもどこかで見る絵ってな感じも決してしないでもなく、添え物としての巧さはあってもピンで立って主張するだけのオーラを発するところまで来ているかってゆーと、見分けがつかなくなる可能性があるのが優秀賞に留まった理由か。とは言え水玉螢之丞さんも「これから『自分の絵』ができてくれば、どんどん良くなっていく人」と講評してるし、幡池さんの言うよーに「一枚の絵の中で『何を目立たせるのか』など、よく考えてプロの技を身につけていった」暁に、どれほどの絵師になるのか期待もふくらむ。良い人を見つけました。

 それにしてもSFな人の多さよ。一昨年は皆無で去年は「SF大会」と重なってやっぱりほとんど皆無だったみたいだけど、今年は「SFオンライン」チームをはじめ小説部門の下読みさんとか評論の人翻訳の人ほか多数が来ていて、決して大人数ではない参加者の中でも結構な比率を占めていた。ライトノベル系の作家さんも「ファミ通文庫」関連でそれなりにいたみたいだけど、多分あれは中里融司さんだろー御大以外はちょっと判別がつかず、見てみたかった伊東京一さんが来ていたかも確認できずちょっと残念、聞いて探してもらえば良いんだけどそれをやるまでの知名度がこちらにはないし。幡池さんには今回も挨拶、臆してできなかったなー。もっともSFの人だって名前の認知度はともかく顔と知人関係でない人が顔と名前を一致させられるかってゆーと難しいのが実状で、コミックの人ゲームクリエーターの人なんかが交じりあっている珍しい場であるにも関わらず、活発な交流が果たされたかとゆーと謎っぽい部分も残ったのがちょっともったいなかったかも。次の課題にして頂けると幸いです。

 表紙の女性の色っぽさに思わず購入してしまった伊東真美さんって人の「LAD:UNA 1」(ワニマガジン社、857円)は、中味の色っぽさもなかなかってゆーかエロ漫画誌に連載だけあってとてつもなく、読むエピソードのすべてに交合があって右手あるいは左手のおともとして申し分のないクオリティを持っている。けれどもそれすら些末なことに思えるくらい、本編で描かれるエピソードの深さ、広さ、多彩さが素晴らしくって、こーゆー人を今の今まで知らなかった我が身を恥じるとともに、こーゆー人に出会って感銘を受けられる知識の薄さに感謝する。

 未来、人類の多くが生殖能力を失ってしまった地球で、一部の遺伝的エリートたちはセンターを作り上級市民として血統の維持につとめ、落ちこぼれたその他大勢の人々はスラムを作り一所懸命に生きていた。主人公のディーラもそんなスラム暮らしの1人で、類稀なる愛敬でもって女性をたらしこみスラムを仕切るホモセクシャルの男性にも関心を持たれながら生きていた。けれども実はディーラには出生の秘密があって、物語の方はそんなディーラの秘密を例えば遺伝子的な真っ当さや、センターがバラ撒く薬への適応、さらにはセンターから派遣された女性との因縁なんかを絡めつつ描いて進んでいく。

 スタイルが良く肉感的なキャラクターを描く絵の巧さにも驚くけれど、時にセンチメンタルだったり時にエキサイティングだったりする物語を織りあげる創作力にもやっぱり脱帽。発表媒体の関係から毎回のよーにセックスシーンが描かれるけど、アダルトな漫画に時としてある唐突さはなく必然として物語の中に折り込まれているため、ストーリーを読む上で何らさまたげにはならない。自分探しの途中で出会う女たちとセックスをしていく男が主人公の松本零士さん「マシンナーズ・シティ」に通じる部分が個人的には結構あるけど、女性の可憐さ肉体の豊満さでは「LAD:UNA」の方が上手だし今っぽい。ほのめかされるディーラの正体と過去への興味を持ちつつ、豊満な女性たちによって繰り広げられる官能的な描写への期待も抱きつつ、とにかく早く第2巻を出して欲しいと、ここに高らかに叫び訴えたい。


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