“THE BATMAN−ザ・バットマン− ★★★
THE BATMAN
(2021年アメリカ映画)

監督:マット・リーヴス
脚本:マット・リーヴス、ピーター・クレイグ

出演:ロバート・パティンソン、ゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダノ、ジェフリー・ライト、ジョン・タートゥーロ、アンディ・サーキス、コリン・ファレル

 

バットマンと言えば、子どもの頃に見たTVドラマの「バットマン」から、マイケル・キートン主演から始まる“バットマン”シリーズ、そしてクリストファー・ノーラン監督による傑作“バットマン三部作”と観てきましたが、今回のバットマンはかなり異色。

まず、雰囲気が暗い。そもそも“ノワール・アクション超大作”と紹介されているのですから当然のこと。
そして本作のバットマンは、正義の味方というより、父親を殺されたという過去から悪への復讐者と自認しているのですから。

そんなバットマン、即ちブルース・ウェインを挑発するように連続殺人を繰り返す謎の犯罪者が「リドラー」。
事件はバットマンとリドラーの対決に留まらず、ゴッサムシティに巣食う汚職という問題点を暴いていく。
警察官たちからも不審視されるバットマンをただ一人信じて協力していくのが、ゴードン警部という配置。

それだけでは物足りないとなりかねない本作を救い、魅力を高めているのが、ゾーイ・クラヴィッツ演じるキャットウーマンのセリーナ。
ともに孤独感を漂わせ、お互いに通い合うものを感じ合っていく存在。
また、しなやかな肢体でエキゾチックな容貌も、まさにキャットウーマン役に相応しい。

最後の最後まで、リドラーの犯罪は繰り返されます。そしてその最後で、バットマンが正義の味方としての行動に目覚める処が、何とも味わい良い。

そして、バットマンとキャットウーマンが道を分かっていく処、この場面が何とも美しく余韻があって忘れ難く、素晴らしい一場面と称賛したい。

クリストファー・ノーランの傑作「ダークナイト」とは趣きがことなりますが、本作もまたバットマン映画の傑作だと言えます。

2022.03.11

       


  

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