“グリーンブック ★★★
Green Book
(2018年アメリカ映画)

監督:ピーター・ファレリー
脚本:ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ

 

1960年代、まだ黒人差別が強く残る南部へあえて演奏ツアーに出掛けた黒人ピアニストのドクター・シャーリーと、その運転手兼ボディガードを務めたイタリア系男のトニー・リップ、実話に基づく感動ストーリィ。

南部各地への演奏ツアー、車での移動ですので、ロードノベルといった趣きを持っています。
題名の「グリーンブック」とは、トニー・リップが携えていった一冊の本。その内容はというと、黒人が利用できる宿泊場所を記載したガイドブック。まさに本作の内容を具体的に示す小道具です。

教養があって立ち振る舞いも紳士としか言いようがないドクター・シャーリー。対照的に下品で乱暴、教養とはまるで縁がないようなイタリア男、でも家族思いのトニー・リップ。何故トニー・リップのような人間を8週間にもわたる演奏旅行のサポート役に選んだのかというと、トラブルへの対処能力が極めて高い、という評価だったらしい。

演奏の場ではもてはやされるものの、その裏側に回ると、あらゆる面であたかも当然というばかりにドクター・シャーリーを差別する白人たち。
あえてそうした演奏ツアーを行おうとするドクター・シャーリーの思い、白人からも黒人からも仲間扱いされないという悲痛な孤独感、トニーは少しずつドクター・シャーリーという人間を理解していきます。
その一方、妻ドロレス宛てにトニーが書こうとする手紙の文面を、ドクター・シャーリーが指導する、その指導に素直にトニーが従うという2人の様子に、胸温まる思いがします。

お互いへの理解から、敬意へ、そして友情へと進んでいく2人の関係には、感動を覚えます。
冒頭、ただの乱暴者という印象だったトニー・リップが、実は素直な心の持ち主であったという点も印象に残ります。
実際、2人の友情は生涯にわたって続いたそうです。

※黒人への偏見と理解を描いた映画作品ですぐ思い浮かぶのは、次の作品です。
・「夜の大捜査線」:シドニー・ポワチエとロッド・スタイガー主演
・「ヘルプ」:エマ・ストーン主演
・「42」:チャドウィック・ボーズマンとハリソン・フォード主演

2019.03.06

           


   

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