“ヘルプ” ★★★
the Help
(2011年アメリカ映画)

監督:テイト・テイラー
原作:キャスリン・ストケット
脚本:テイト・テイラー

出演:エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ブライス・ダラス・ハワード、ジェシカ・チャステイン



全米ベストセラーの感動小説、キャスリン・ストケット「ヘルプ」の映画化作品だそうです。レンタルDVD鑑賞。

人種差別意識が根強く残る1960年代のアメリカ南部、ミシシッピ州ジャクソンが舞台。
上流階級に生れた若い娘スキーターは、友人たちが条件の良い結婚に夢中なのに反して、作家志望。地元の新聞社で何とか家事コラムの代筆仕事を勝ち得て大喜び。しかし家事に無縁の彼女は、さっそく友人宅のベテラン黒人メイド(=ヘルプ)であるエイビリーンに協力を依頼します。
スキーターは黒人メイドのコンスタンティンに育てられ、彼女を第二の母のように慕っていた娘であることから黒人メイドに何ら偏見を持っていませんでしたが、友人たちの家庭では大違い。エイビリーンと語り合う内に彼女たち黒人メイドが虐げられている実情に気づき、黒人メイドたちのためにと、彼女たちの証言を集めて本にしようと思いつきます。ところが、そんなことしたら自分たちがどんな危険な目に遭わせられるか判らないと、エイビリーンは当初拒みますが、やがて友人の苦境を知り・・・・、というストーリィ。

最近では、黒人初のメジャーリーガー=ジャッキー・ロビンソンを描いた「42」も忘れ難い作品でしたが、本作品は一般的な日常生活が舞台になっているだけになおのこと衝撃的でした。
その象徴的な出来事が、差別の結果として黒人メイドが家族と同じ便器を使用することが禁じられ、大嵐の最中でも我慢を強いられるという場面。差別があれば当然そこにも及ぶのは考えてみれば当然かもしれませんが、現実の話として突きつけられると、衝撃的な事実。
そこから始まり、黒人メイドたちの強いられてきた状況は、もう筆舌に尽くし難い程。

差別を当然のことと考える人たちと、それに疑問を感じる人たちとの間で一体何が違うのでしょうか。一般的な白人と黒人の対立構図ではありますが、その中でもスキーターを初めとしてきちんと人と人として繋がることのできる人たちもいます。
これらは見てみないと判らないこと。そして、スキーターのまとめた証言が一冊の本になったからといって、解決になるかどうかは別のこと。現実はかなりシビアなもの。それでも黒人メイドたちに、諦めず、闘うという意思をもたらしたことに尽きない感動があります。
主役を演じたエマ・ストーンが好演、そしてベテラン黒人メイドのエイビリーン役ヴィオラ・デイヴィス、ミニー役のオクタヴィア・スペンサーの迫真の演技が観応えたっぷりです。

 お薦め!

2014.08.31


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