“42〜世界を変えた男〜” ★★☆
42
(2013年アメリカ映画)

監督:ブライアン・ヘルゲランド
脚本:
ブライアン・ヘルゲランド
出演:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリストファー・メローニ、アンドレ・ホランド

 

その記念日にはメジャーリーガーの全選手が「42」の背番号を付けると今や日本でも知られている、史上初の黒人メジャーリーガー=ジャッキー・ロビンソンを不屈の姿を描いた伝記ドラマ。
太平洋戦争が終わって間もない頃、黒人はメジャーリーガーに所属することができず、別の黒人リーグでプレーしていたそうです。
そんな状況を切り拓こうと、ブルックリン・ドジャースのGMブランチ・リッキーは若く可能性に溢れた黒人選手=ジャッキー・ロビンソンに目を付けます。リッキーの申し出を受けロビンソンは、まず3A、そしてドジャースへの昇って行きます。
しかし、そんなロビンソンに対する白人の黒人蔑視の姿勢はもうえげつないとしかいいようのないもの。これでは動物扱いと大差ないではないかと呆れるくらいです。そしてそうした人種差別は黒人だけでなく、きっと日系人に対しても同様だったのではあるまいか。

観客、相手チーム、そして自チームにおいてすら差別や嫌がらせがあり、それらに耐えてロビンソンは際立つ活躍を示していく。
幾度ともなく感動で胸がいっぱいになるシーンばかり。
しかし、ロビンソン以上に心打たれたのは、黒人選手にメジャーリーグの道を開こうと不退転の決意でロビンソンを後押し続けるブランチ・リッキーの姿。
極端な言い方になるかもしれませんが、ある意味ロビンソンが差別に対して闘うのは当たり前。一方、ブランチ・リッキーにしてみれば何も火中の栗を拾う必要など無かった訳です。それなのに何故ロビンソンに負けないくらい闘い続けたのか。
そのブランチ・リッキーを演じたのがハリソン・フォード。「インディ・ジョーンズ」のハリソン・フォードと比べると見違えるばかりですが、不退転の決意とロビンソンと共に闘おうとするその姿勢には圧倒されるばかりです。

幾度となく感動で胸いっぱいになり、それでいて野球の試合場面はわくわくするような面白さがあり、そしてハリソン・フォードの渋みがあって奥行きのある演技は圧巻。
お薦めしたい佳作です。

※本作品で描かれているのは黒人差別ですが、単にそれだけに留まらず、不合理だけれど当たり前となっている事柄を未来のために変えようとすることがどれだけ困難で勇気のいることか、ということをつくづく感じさせられます。
決して過去の話ではなく、現在にも通じる話であると思います。

2013.11.03

       


  

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