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1937年東京都生、学習院大学文学部哲学科卒。63〜68年イタリアに遊学。68年から執筆活動を開始し「ルネサンスの女たち」を中央公論誌に発表。70年「チェザーレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」にて毎日出版文化賞、「海の都の物語」にて82年サントリー学芸賞および83年菊池寛賞を受賞。 92年よりローマ帝国一千年の興亡を描く長大な「ローマ人の物語」を執筆開始。「ローマ人の物語1」にて93年新潮学芸賞および99年司馬遼太郎賞、2002年イタリア政府より国家功労賞、07年文化功労章を受賞。2001年「塩野七生ルネサンス著作集」(全7巻)を刊行。1970年以降イタリア在住。 |
1.海の都の物語・続海の都の物語 3.ローマは一日にして成らず−ローマ人の物語(文庫版) 1〜2− 4.ハンニバル戦記−ローマ人の物語(文庫版) 3〜5− 5.勝者の混迷−ローマ人の物語(文庫版) 6〜7− 6.ユリウス・カエサル ルビコン以前−ローマ人の物語(文庫版) 8〜10− 7.ユリウス・カエサル ルビコン以後−ローマ人の物語(文庫版) 11〜13− 8.パクス・ロマーナ−ローマ人の物語(文庫版) 14〜16− 9.悪名高き皇帝たち−ローマ人の物語(文庫版) 17〜20− 10.危機と克服−ローマ人の物語(文庫版)21〜23− |
賢帝の世紀、すべての道はローマに通ず、終わりの始まり、迷走する帝国、最後の努力、ローマ世界の終焉、「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック、ローマ亡き後の地中海世界 |
絵で見る十字軍物語、十字軍物語1、十字軍物語2、十字軍物語3、想いの軌跡、皇帝フリードリッヒ二世の生涯、ギリシア人の物語1、ギリシア人の物語2、ギリシア人の物語3 |
小説イタリア・ルネサンス(1〜4) |
●「海の都の物語・続海の都の物語−ヴェネツィア共和国の一千年−」● ★★☆ |
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1989年08月 2009年6・7月
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読了するのに、1ヵ月程を要しました。読み終えた時は、あぁ面白かったというより、やっと読み終わったか、という思いでした。 それは面白くなかった、ということでは決してありません。むしろ面白かったのです。近年稀に見る面白さにすっかり魅了されたと言えます。ただ、面白くて一気呵成に読み上げるというのには、余りに物語が長かった、ということなのです。 しかし、それは当然のことなのです。ローマの古代から、フランス革命の近代まで、一気に1200年余りの歴史を旅してきたのですから。 この1200年というのは、これまでの歴史において、比べるべきも無い長い年月です。この間を、ひとつの都市型国家として存続してきたというヴェネツィアの歴史は、まさに魅力に充ちています。 一国の歴史において、これだけ興味深い歴史事件と関わって来た国は、他にあるまいと思います。これは、ヴェネツィアが、地中海に面した単なる一都市国家というだけに留まらず、“地中海の女王”と称された、注目すべき海洋国家であったからに、ほかなりません。
塩野さんは、ヴェネツィアの歴史を、詳細かつ冷静に綴っています。 ヴェネツィア誕生/海へ!/第四次十字軍/ヴェニスの商人/政治の技術/ライヴァル、ジェノヴァ/ヴェネツィアの女 |
●「マキアヴェッリ語録」● ★★ |
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2003/08/23 |
序文によると、本書はマキアヴェッリの「君主論」「政略論」からの抜粋が中心。「戦略論」はその時代性故に省いている由。
読んでいて、マキアヴェッリの考え方に違和感をもつことは殆どありません。至極もっとも、ということが多い。明快にズバッと言われるので、目の覚めるような思いがすること、度々。 中世思想家の語録といっても、難しくなく、すんなり読める本です。指導者の力量を測る目を養うのに、格好の書と思います。 第一部・君主篇/第二部・国家篇/第三部・人間篇 ※マキアヴェッリ Niccolo Machiavelli:1469〜1527 ルネサンス期のイタリア、フィレンツェで活躍した政治家・思想家。著書「君主論」およびその名からとられた“マキアヴェリズム”(国家の利益のためならなんでも許される、という考え方)という言葉にて有名 |
●「ローマは一日にして成らず(上下)」● ★★★ |
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2002/07/05 |
紀元前753年〜前270年:ローマ建国からイタリア半島統一までの500年間を語る巻。 とても面白いです。 序章/ローマ誕生/共和政ローマ/ひとまずの結び |
●「ハンニバル戦記(上中下)」● ★★★ |
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2002/07/19
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紀元前264年〜前146年:計3回にわたるカルタゴとのポエニ戦役を語る巻。 上巻:序章/第一次ポエニ戦役(紀元前264〜241年)/第一次ポエニ戦役後(紀元前241〜219年) |
●「勝者の混迷(上下)」● ★★ |
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2002/09/13 |
ポエニ戦争の勝利により地中海の覇権国家となったローマでしたが、いつの間にか軍は弱体化が進んでいた。その原因は、貧富の差が広がり、結果的に軍の中核をになってきた市民階級が減少したため。 グラックス兄弟の時代(紀元前133〜120年)/マリウスのスッラの時代(紀元前120〜78年)/ポインペイウスの時代(紀元前78〜63年) |
●「ユリウス・カエサル
ルビコン以前(上中下)」● ★★★ |
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2004/09/20
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「ローマ人の物語」の中でも、展開の面白さという点で格別というべき巻。 ただし、本書の面白さは単にカエサルという人物の見事さにだけあるのではありません。所々で付される塩野さんの寸評にもあるのです。「女が何よりも傷つくのは、男に無下にされた場合である」、「先見性は必ずしも、知識や教養とはイコールにならないのである」、「カエサルのおかげで、フランス人が心底では大嫌いなドイツ化しないですんだことだけは、認めざるを得ないという感じだ」等々。 幼年期(紀元前100〜94年:カエサル誕生-6歳)/少年期(紀元前93〜84年:カエサル7-16歳)/青年前期(紀元前83〜70年:カエサル17-30歳)/青年後期(紀元前69〜61年:カエサル31-39歳)/ ※下巻でガリアの諸部族を統率したヴェルチンジェトリックスとの戦いについては、佐藤賢一「カエサルを撃て」を読むのも一興です。 |
●「ユリウス・カエサル
ルビコン以後(上中下)」● ★★★ |
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2004/10/14
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「ルビコン以前」はカエサルその人の物語でしたが、本書は転換期を迎えたローマ、そしてその時代を彩った人物たちの物語ということができます。 中巻後半は一転して、独裁官カエサルによる国政改革。 下巻は、カエサルの暗殺、その後の国内動乱が描かれます。 本書はローマの歴史を綴った書ですが、重要な登場人物ひとりひとりに対する塩野さんの洞察力に圧倒されます。見惚れると言って良いくらい。それがある故に本書は生き生きとした、明瞭な物語になり得ているのです。それこそ、本書の魅力! 壮年後期(紀元前49〜44年:カエサル50-55歳)/「三月十五日」(紀元前44〜42年/アントニウスとクレオパトラ対オクタヴィアヌス(紀元前42〜30年) |
●「パクス・ロマーナ(上中下)」● ★★★ |
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2005/02/11 |
本書を読み始めるまでに随分と時間がかかってしまいましたが、読み始めればその冒頭からとにかく面白い。カエサルのような英雄譚的な面白さではありませんが、都市国家ローマから帝国ローマへと変貌を遂げる時代の躍動する国家史、それを成し遂げる卓越した人物の軌跡として面白いのです。 ローマ帝国の初代皇帝となったアウグストゥスことオクタヴィアヌス。スキピオやカエサルらのような軍事的天才ではないばかりかむしろ正反対、胃腸も弱い虚弱体質と一般的な英雄像とはかけ離れた人物ですが、その政治手腕の周到さ、虚を捨て着実に実を取るやり方には目を見張るものがあります。こんな人物がもし悪人であったらと思うと、スリリングでさえあります。 統治前期(紀元前29〜19年:アウグストゥス34-44歳)/統治中期(紀元前18〜6年:アウグストゥス45-57歳)/統治後期(紀元前5年〜紀元後14年:アウグストゥス58-77歳) |
●「悪名高き皇帝たち(1〜4)」● ★★☆ |
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2005/10/04 |
本書において塩野さんは、アウグストゥスの構築したローマ帝政を「デリケートなフィクション」と表現していますが、まさに本書を象徴する一言。 本書は、上記ローマ帝政の良い面・悪い面を鮮明に描いた巻と言えます。それだけに極めて政治色の強い巻。 アウグストゥスが作り上げたローマ帝政の仕組は実に巧妙なものであり、読者は本書中で繰り返しその内容を知ることができます。それと同時に知ることができるのは、アウグストゥスが帝位に自分の血統を残そうと固執したことによる問題点。そして、アウグストゥスの血統に連なる女性の権力欲によって帝位自体が脅かされたことは、もう皮肉としか思えません。アウグストゥスであっても女性を御するのは至難の業ということでしょうか。 皇帝ティベリウス(在位:紀元14.9.17〜37.3.16)/皇帝カリグラ−本名ガイウス・カエサル(在位:37.3.18〜41.1.24)/皇帝クラウディウス(在位:41.1.24〜54.10.13)/皇帝ネロ(在位:54.10.13〜68.6.9)/付記 |
●「危機と克服(上中下)」● ★★☆ |
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2005/11/07 |
本書を読み終え、改めて「ローマ人の物語」は力作だと心の底から思います。 この時代への興味は、カエサル、アウグストゥスという天才が築いた帝位継承路線が破綻し、広く凡人から皇帝が選ばれたことに尽きます(ヴェスパシアヌスを凡人というのは語弊があるとは思いますが、天才と対比する意味で)。そしてまた、ヴェスパシアヌスの皇帝即位を支えたムキアヌス(名将コルブロ門下のシリア属州総督)とアレクサンドロス(エジプト長官、ユダヤ人)という2人の人物を無視することはできません。 ※なお、僅か2年の在位で終わった皇帝ティトゥスの時代に、ヴェスビオ火山の噴火、古代都市ポンペイの火山灰による埋没があったとのこと。このポンペイの遺跡を20代の頃に訪ねたことがありますが、半日この遺跡の中に居るとまるでローマ時代に戻ったような感覚にとらわれます。その時に本書を読んでいれば、もっといろいろな面を見ることができたに違いないと、残念な気持ちになります。 皇帝ガルバ(在位:68.6.18〜69.1.15)/皇帝オトー(在位:69.1.15〜4.15)/皇帝ヴィテリウス(在位:69.4.16〜12.20)/帝国の辺境では/皇帝ヴェスパシアヌス(在位:69.12.21〜79.6.24)/皇帝ティトゥス(在位:79.6.24〜81.9.13)/皇帝ドミティアヌス(在位:81.9.14〜96.9.18)/皇帝ネルヴァ(在位:96.9.19〜98.1.27)/付記 |
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