本の雑誌編集部のページ

 

1.本の業界 真空とびひざ蹴り

2.よりぬき読書相談室−どすこい幕の内編

 


  

1.

●「本の業界 真空とびひざ蹴り」● ★☆

 


2001年6月
本の雑誌社刊

(2000円+税)

 

2001/07/20

「真空とびひざ蹴り」というのは、「本の雑誌」巻頭コラムの名前で、出版業界への提言ページだそうです。かつて人気を誇ったキックボクサー・沢村忠の必殺技の名前で、命名者は当時の編集長・椎名誠氏。発行人から目黒考二氏が降りてコラムが終了した為、これまでの23年間分を単行本にまとめたものらしい。
帯には「本を愛するすべての人へ!」「出版界の諸問題に真っ向勝負!」とありますが、それは誇張でも宣伝文句でもなく、本書の内容を適切に言い表しています。

内容は、出版業界や書店の内情から、“ベスト○○”の虚しさ、本が消耗品として扱われる事への懸念、“サン・ジョルディーノの日”等々、本に関するあらゆることに及びます。本好きの人なら、本書の直截な意見に共感すること多いのは、間違いなし!
なかでも、
大手書店でさえ買いたい本が必ずしも店頭にない、新刊書がどんどん刊行される一方で古くからの名作が排除されていく、新刊書の多くに「傑作」とか「衝撃的」という宣伝文句が氾濫している割に内容が伴っていない、等の批判については、拍手喝采する思いです。
本書の良さは、出版業界に身を置く人の視点ではなく、自分のために書店で本を買う人の視点で語られている点にあります。ですから、同好の先達と意見を交し合うような楽しさがあります。
収録されたコラムは23年の長きにわたるものですが、今読んでもあまり変わらないことが多い。電子書籍やネット利用が広がったという面はあるものの、本というもの自体はあまり変わっていないからでしょう。
本好きの人にはお薦めしたい一冊。

1979〜83/1984〜86/1987〜89/1990〜91/1992〜93/1994〜95/
1996〜97/1998〜99/2000〜01

 

2.

●「よりぬき読書相談室 どすこい幕の内編」● ★☆

 


2006年7月
本の雑誌社刊

(1500円+税)

 

2006/08/25

WEB本の雑誌「読書相談室」に2004年06月から05年06月の間に掲載されたものを編集して単行本化した一冊。

「こんな本が読みたいのだけど・・・」という質問に対し、6人の相談員が幅広い読書経験を基にお薦め本を回答する、といったやりとりが、最初から最後まで。
本好きにとっては、ちっちゃかった子供の頃に玩具を与えられたもの。頁を開く前から楽しい気持ちになってきます。

まず、どんな本が出てくるのだろうか、という興味あり。
次いで、出てくるわ出てくるわ、私の知らない作品がいっぱい。あー、自分の読書範囲はホントに偏っているんだなァ、と思うのがこんな時です。
さらに。読んだ本の内容をよく覚えているものだなァと感心。私は、結構というよりかなり、忘れてますよ(苦笑)。
※海外ミステリ、サスペンスというのは、私が最も縁遠いジャンル。知らない作品ばっかりでした。

自分の既読本が出てくると嬉しいですし、あの作品も薦めて欲しいよなぁと思うことも幾度かあり。
読書畑の中をしばらく散歩して来たようなものか。すっかり気持ちが軽くなった気分です。さぁ、また本を読もう、と。

本書を読んでとりあえず読むことにしたのは、光原百合ファンにお薦めの本は?という質問の回答に挙げられていた近藤史恵「天使はモップを持って」
他にも幾冊かメモした作品がありますが、実現するかどうかは今後の運次第と。

テーマ別こんな本が読みたい編
(元気になりたい!/こんな仕事が気になる!/時代小説にハマりたい!/青春&恋したい!/美味しく食べたい!/旅に出たい!/子どもにかえりたい!/とにかく読みたい!)/
ジャンル別SF・ファンタジー小説編/ジャンル別ミステリー・冒険小説編/ジャンル別エッセイ・ノンフィクション編/あれこれ読書の悩み編

【相談員】
東えりか(1958千葉生・書評家)、池上冬樹(1955山形生・文芸評論家)、大矢博子(1964大分生・書評家)、関口苑生(1953山口生・文芸評論家)、西上心太(1957東京生・書評家)、三村美衣(1962愛知生・書評家)

  → WEB本の雑誌 〜 読書相談室 

  


 

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