辻村深月
(みづき)作品のページ No.2



11.ネオカル日和

12.サクラ咲く

13.鍵のない夢を見る

14.島はぼくらと

15.盲目的な恋と友情

16.ハケンアニメ!

17.家族シアター

18.朝が来る

19.きのうの影踏み

20.図書室で暮したい


【作家歴】、冷たい校舎の時は止まる、ロードムービー、太陽の坐る場所、ふちなしのかがみ、ゼロハチゼロナナ、光待つ場所へ、ツナグ、本日は大安なり、オーダーメイド殺人クラブ、水底フェスタ

 → 辻村深月作品のページ No.1


東京會舘とわたし(上)−旧館、東京會舘とわたし(下)−新館、クローバーナイト、かがみの孤城、青空と逃げる、噛みあわない会話とある過去について、傲慢と善良

 → 辻村深月作品のページ No.3

 


                     

11.

●「ネオカル日和」● ★☆


ネオカル日和画像

2011年11月
毎日新聞社
(1400円+税)

2015年10月
講談社文庫化



2012/01/06



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辻村さん初のエッセイ本。
構成はというと、
エッセイ33篇+ルポ10篇+ショートショート&短編小説 4篇
そして題名と「
ネオカル」とは、辻村さんが独断と偏愛で選んだ、日本の<今>を象徴するおもしろいもの、かわいいもの、おいしいもの、ヘンなもの、そんなものぜんぶ、とのこと。
さて本書の内容、だいたい見当がついたでしょうか。

まず
「ネオカルチャー新発見」、正直言って私にはあまり面白くなかった。何故かといえば、ドラえもん、ポケモン、ガンダム等々となると私は余り関心がなく、世代が違うなぁと思う他ありません。「四次元の世界」は、引き続きドラエモンとパーマンが主体。辻村さん、ホントにドラえもんが好きなんですねぇ。「本と映画」は一部共感、その一部は怪盗ルパンであります。
「ショートショート&短編小説」となると、流石に楽しめます。
4篇中、とくに
「さくら日和」がいい! 小学生の女の子を主人公に、たい焼き屋とサクラを掛けたストーリィ。微笑ましくて楽しい篇です。
もう一篇、
「七胴落とし」は近所の子供たちを見守る“監督猫”と女の子のやり取りを描いたファンタジーなストーリィで、姉妹愛の発見がポイント。
「女子とトホホ」は種々雑多のエッセイ、という感じです。

本書で見逃せないのは、辻村さんがプロポーズされた時のこと、出産間近であること、
「あとがき」で無事出産が済み執筆活動を再開したことが、チラッと書かれていること。ファンの方はどうぞお見逃しなく。
 
ネオカルチャー新発見/おおむね本と映画の宝箱/四次元の世界へ/特別収録:ショートショート&短編小説/女子とトホホと、そんな日々

             

12.

●「サクラ咲く」● ★★


サクラ咲く画像

2012年03月
光文社刊
(952円+税)

2014年03月
光文社文庫化



2012/05/02



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若美谷(わかみや)中学校を舞台にした、中学生たちの学園青春ストーリィ3篇。
冒頭の
「約束の場所、約束の時間」は、タイム・スリップを絡めた友情篇というべきストーリィ。

秀逸だったのは、やはり表題作の
「サクラ咲く」
自分の意見を主張できない、頼み事を断れないという自分の性格を欠陥だと思っている1年生の
塚原マチが主人公。
そのマチがふと見つけたのは、図書室の本の頁の間に挟まれていた、気になる一文のメモ。果たしてこのメッセージを書いたのは誰なのか。
メッセージの相手に共感を覚えたマチと、その見知らぬ相手との間で、メモのやり取りが始まります。
登場する中学生たちの溌剌とした姿が眩しいくらい。それに加えて、本を介しての手紙のやり取りというストーリィが、やはり魅力的。
手紙のやり取り等を通じてマチがちょっと成長する、成長篇と言って良いでしょう。

「世界で一番美しい宝石」は、“図書室の君”と名付けた3年生女子に自分たちの映画に何とか出演して欲しいと奮闘する、映画同好会の2年生男子たちが主人公。条件として彼女から提示されたのは、昔読んだ本の続きを読みたいというもの。さあ、3には条件をクリアできるのか?
ストーリィ自体はそれ程のものとは感じませんでしたが、中盤に至って、辻村さんにヤラレタッ!のひと言。
ストーリィより舞台設定に仕掛けがあった、というのが本書。なんとなく引っかかっていたんですよねぇ。
でも、辻村さんの読者に対する引っ掛けについてズルイと感じたことはなく、いつも楽しい気分になります。そこが辻村作品の魅力でしょう。

本書、ティーン向け短篇集ですが、ティーンにだけ読ませておくのは勿体ない、学園青春ストーリィ好きにはたまらない面白さです。とくに「サクラ咲く」がお薦め!

 
約束の場所、約束の時間/サクラ咲く/世界で一番美しい宝石

          

13.

●「鍵のない夢を見る」● ★★         直木賞


鍵のない夢を見る画像

2012年05月
文芸春秋刊
(1400円+税)



2012/05/31



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ごく普通の町、ごく普通の家庭、ごく普通の主人公たち。
それなのにあぁ、何故そんな陥穽に嵌ってしまったのか。そこから奈落へ転がり落ちていくことの何と簡単なことか。
そんなごく普通の主人公たちが陥ったとんでもない事態を描く短篇集。

冒頭の
「仁志野町の泥棒」にまず驚かされました。何と上手い!
親しい仲となった転校生。ところがその母親は、娘の同級生や家や顔見知りの家に入り込んでは盗みを繰り返すという女性。
そうであればストーリィは普通・・・となる筈なのに、辻村作品では全く別の展開が繰り広げられるのですから、全く恐れ入る。
主人公と同級生たち、その母親たち、その皆を挙げてのドラマと評しても過言ではありません。
言わば群集劇ともなっている篇。辻村さんの上手さが光ります。

「石蕗南地区の放火」:主人公は30代半ばになる独身女性。その実家の周囲で起きた放火事件。その犯人はというと・・・・。
何を主人公は怒るのか。その理由が何とも言えず、お見事!
「美弥谷団地の逃亡者」:主人公とその恋人が明らかにしていなかった事実とは? ちょっとミステリ風の篇。
「芹葉大学の夢と殺人」:主人公の元恋人、自分が望んだら何でも叶うと信じ込んでいる様子は、呆れるというよりむしろ怖いと言うべきか。最後に主人公がとった選択は、やむを得ないものだったのか、単に愚かと言うべきものだったか。
「君本家の誘拐」:育児ノイローゼ寸前の若い母親を主人公とした篇。今になれば判るなぁ、でも当時私は殆ど理解できていませんでした。もっと深刻な事態に陥らないことを祈るばかりです。

他人のしたことではあっても、どこか自分に誘因するところがあったのか。ごく普通の主人公たちが陥った陥穽だからこそ、まかり間違えばという怖さあり。

 
仁志野町の泥棒/石蕗南地区の放火/美弥谷団地の逃亡者/芹葉大学の夢と殺人/君本家の誘拐

              

14.

「島はぼくらと」 ★★★


島はぼくらと画像

2013年06月
講談社刊
(1500円+税)

2016年07月
講談社文庫化



2013/06/30



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直木賞受賞後の第一作となる長編作品ですが、もう凄いくらいの傑作!
離島に暮していて毎日フェリーで本土の高校へ通う幼なじみ男女4人を主人公にした青春ストーリィ。
しかし、青春、高校2年という言葉だけで本書の内容を決めつけていたとしたらそれは大間違い。本作品はそんな枠を遥かに超えて広く、現代社会の抱える問題点にまで及ぶ、盛り沢山な物語なのですから。
      
朱里、衣花、源樹、新という4人が家族と暮らしているのは、瀬戸内海に浮かぶ、本土からフェリーで20分程の離島=冴島
島というと閉鎖的な世界という印象を抱くのですが、本書の舞台となっている冴島はまるで違います。やり手村長のおかげでIターン者、シングルマザーにも優しい島となり、島を去る者もいる代わり、新しく島にやってくる者も多いという、外に向かって極めて開けている島。
逆にだからこそ、島民だけの問題でなく、人々の間に起きる色々な問題に4人は触れることになります。そしてそこは島でのことであるだけに、子供だからといって大人たちから締め出されることなく、4人なりに大人たちの問題に関わっていく。
(村長の是非を描いた第3章の見事さは特に感銘あり)
まるでこの冴島自体が、彼ら4人の成長を後押しする学校のようです。高校生でありながら彼らの高校内での生活が殆ど語られていないのもこれなら当然というものでしょう。
といって4人の考え方が同一という訳ではありません。母親が村長発案による食品加工会社の社長となっている朱里、網元の跡取り娘である衣花、島に移住してリゾートホテルを経営する父親と母親が離婚した源樹、医者のいない島で母親たちから何かと頼りにされている保育園長の母親をもつ新と、境遇も異なれば性格も異なる4人。それ故に気づくこと、知っていることも4人各々ですが、対立することなくむしろ困難時に際してお互いに支え合っているという風。
大人たち、4人、そして島内外の問題と、考えられない程に盛り沢山の内容を詰め込んだ一冊と言って過言ではありません。
         
やがて高校を卒業すれば必然的に4人は別れ別れとなります。その時を思っての4人の姿、そしてその後のエピローグには、爽やかな感動があります。
これまで読んだ辻村作品のベスト。自信をもってお薦め!

       

15.

「盲目的な恋と友情」 ★★


盲目的な恋と友情画像

2014年05月
新潮社刊
(1500円+税)

2017年02月
新潮文庫化



2014/06/17



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元タカラジェンヌの母親を持つ一瀬蘭花は、大学に入学してオーケストラ部に入部します。そのオケ部で指揮をするのはプロの指揮者。その時の指揮者である茂実星近は、付き合っていた上級生が卒業した後、すぐ蘭花に目を付けます。
そこから恋に未熟な蘭花にとって盲信的な恋が始まります。しかし茂実には隠された秘密があり、幸せを呼ぶはずの恋は蘭花にとって狂おしいものとなります。
そしてその恋の行く末にあるものは・・・。

「恋」が蘭花を主人公としているのに対し、「友情」は蘭花と同じオケ部に所属しているものの、幼い頃から容姿にコンプレックスを持ち、恋に見放されているような女子学生の傘沼留利絵が主人公。恋バナに盛り上がる女子たちから距離を置き、彼女は蘭花の親友となることによって自分の存在価値を確保しようとするのですが・・・・。

「恋」における蘭花と茂実のドロドロとした恋愛関係は私の一番苦手とするところ。
本篇はそんなドロドロとした恋愛を描くことを主眼とするものなのかと思いきや、その最終場面、まるで鋭いナイフの切っ先をいきなり突き付けられたような気がしました。この辺りは流石。
そして「友情」の最終場面には、またもや驚くような逆転劇が待ち受けていました。流石に辻村さんは一筋縄ではいかない作家です。

読後に本ストーリィを振り返ると、真の主人公は果たして誰だったのだろうかという思いに駆られます。
蘭花であれば、2篇を通じて狂おしい欲情に翻弄された美女の悲劇ということになるでしょう。一方、留利絵であれば「恋」は伏線に過ぎず、「友情」に潜められた復讐劇こそ本幕かもしれません。
盲目的な感情に絡め取られたとき、人をどんな落とし穴が待ち受けているのか、そう思うと底が突然抜けるような恐れを感じてしまいます。その迫真的な恐ろしさこそ辻村さんの真骨頂。

恋/友情

       

16.

「ハケンアニメ!」 ★★☆


ハケンアニメ!画像

2014年08月
マガジンハウス刊
(1600円+税)

2017年09月
マガジンハウス
文庫化



2014/09/14



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辻村作品としては予想外、何とアニメ業界を舞台にした“お仕事小説”。
題名を知った当初、アニメ業界で働く派遣社員が主人公?と思ったのですが、よく考えればそんな安易なものである筈はなく、そうか「
覇権」かと思い当りました。
読書で手一杯のため、子供の頃はアニメ大好きであったものの、今はまるで無縁。覇権争いとか、今のアニメ業界は相当に熾烈なのですね。制作コストがそれだけかかるということでしょうし、そのコストを回収するためには売上が大きく左右するのは当然のこと。
“覇権”は、TVアニメ放映終了後、DVD等の販売実績によって決定するのだそうです。

まず登場するのは、中堅アニメ会社でプロデューサーを務める
有科香屋子。伝説のアニメ監督=王子千晴を引っ張り出して制作スタートしたものの、のっけから監督が失踪してしまい真っ青。
アニメ制作において如何に多くの人間が関わっているか、有科を通し、第1章ではその事情がリアルに描かれます。
第2章の主人公は、アニメ業界の古参会社で社員監督の
斎藤瞳。ベテランプロデューサーの行城理と組んでやはりアニメ制作をスタートさせたところ。
<有科&王子コンビ>と<斎藤&行城コンビ>が、今年のアニメ覇権をかけて競う、というのが主ストーリィ。
ただし、よくある熾烈な競争というストーリィにはなりません。プロデューサーと監督、その個性、立場等により進め方も、お互いの役割りも異なるということを描くための2者並行ストーリィと思います。
第3章では、下請けとなるアニメ原画スタジオで働く若いアニメーター=
並澤和奈。スタンプラリーで町おこしと奮闘する市役所熱血職員の宗森周平に振り回されてげんなり。

描かれるストーリィは濃く、熱く、お仕事小説というジャンルの中でも格別の出来。
登場人物たちについてもその個性的なこと、これもまた見応えたっぷりですこぶる楽しめます。中でも有科香屋子の天然ボケぶりと、王子千晴の多様な表情が傑作。
また
「ここは悪い人がいない業界」という言葉も耳に残ります。

流石は辻村深月さんによるお仕事小説、お薦めです!

1.王子と猛獣使い/2.女王様と風見鶏/3.軍隊アリと公務員/最終章.この世はサーカス

          

17.

「家族シアター」 ★★


家族シアター画像

2014年10月
講談社刊
(1500円+税)

2018年04月
講談社文庫化



2014/11/08



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何をどう考えているのか判らず、気になることもあるし、時には苛立つことさえある。
それというのも家族だから。家族だからこそ遠慮して言葉を控えてしまうこともある、というもの。赤の他人だったならきっと、もっと簡単に済むことなのに。

そんな家族だからこその、お互いの関係を微妙に測り合う、家族ストーリィ6篇+総括的1篇。
「「妹」という祝福」は、同じ中学校に通う姉と妹
「サイナリウム」は、バンギャルの姉とアイドルオタクの弟
「私のディアマンテ」は、優等生の娘と全く分かり合えないでいるボンヤリの母親
「タイムカプセルの八年」は、小6の息子と、面倒くさいことからは逃れたがる性癖の大学准教授の父親
「1992年の秋空」は、「学習」を愛読する姉と「科学」を愛読する一歳違いの妹
「孫と誕生会」は、同居することになった孫娘の様子を気にかける祖父
「タイマシイム・マシンの永遠」は赤ん坊を連れて帰省する若い夫婦を描いた小篇

私としては、年の近い姉妹を描いた2篇が特に面白かったです。性格が正反対でも似ているところがある、というのが兄弟姉妹というものでしょう。それをふと再発見する展開に、やはり家族だなぁという思いを強く感じます。
学校行事に気がのらない父親が登場する「タイムカプセルの八年」、久しぶりに近く接することになった孫娘に困惑する「孫と誕生会」のおじいちゃん、子供・孫側より父親・祖父の側に共感するなぁ。(笑)
辻村さんの上手さが際立つ、愛しい家族物語7篇。お薦め。

「妹」という祝福/サイリウム/私のディアマンテ/タイムカプセルの八年/1992年の秋空/孫と誕生会/タマシイム・マシンの永遠

         

18.

「朝が来る ★★☆


朝が来る

2015年06月
文芸春秋刊

(1500円+税)

2018年09月
文春文庫化



2015/07/06



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幼稚園に通う息子=朝斗の母である栗原佐都子は、幼稚園で起きた事故について自分の息子の言葉を信じる方を選び取る賢明な母親。ですから朝斗も、何かあったと感じた時にも自分の両親をしっかり信じることができるのです。
そんな栗原母子ですが、意外にも2人は実の母子ではなく、不妊治療の末に栗原夫婦が養子をとる選択をしたことで結ばれた母子であると知らされます。
その栗原家にある日、
「子どもを、返してほしいんです」という電話が突然かかってきます。電話の相手は、中学生で朝斗の産みの母となった「片倉ひかり」の名を名乗ります。
栗原夫婦はその相手を自宅に招きますが、2人に生まれたばかりの子を託した片倉ひかりとはとても思えない・・・。

何故今になって片倉ひかりはそんなことを言いだしたのか。さながらミステリのような始まりですが、本質的には、養親となった母親と産みの母親という、朝斗という子供を挟んでの2人の母親の姿を描いた長編ストーリィ。
第1章は、朝斗の母親としての佐都子を描く篇。
第2章は、不妊治療を経て佐都子が朝斗の母親になるまでを描く篇。
第3章は、妊娠してしまい中学生という身で子を産むことになったひかりを主人公にした篇。
そして第4章は、2人の母親が再会するまでの描く篇。

しっかりした母親像の佐都子に対して、中学生で母となったひかりの姿は如何にも痛々しく、とても切ない。そのひかりを描く部分は、母親というよりむしろその後の少女転落ストーリィのように思えます。
しかし深く読んでみれば、ひかりの部分もやはり母親を描いたストーリィであると気付きます。産みの母親でありながら我が子と離れなければならなかった悲しみを誰にも理解してもらえないひかりの孤独、絶望がそこにあるのですから。
対照的な2人の母親の姿に、胸揺さぶられずにはいられません。
辻村深月さんの圧倒的な筆力が光る力作長編。

1.平穏と不穏/2.長いトンネル/3.発表会の帰り道/4.朝が来る

              

19.
きのうの影踏み ★★


きのうの影踏み

2015年09月
角川書店刊

(1500円+税)

2018年08月
角川文庫化


2015/10/10


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辻村さんが“怖くて好きなものを全部入れて書いた”という本格怪談集。
とは言っても小野不由美作品のように本当に怖い、というより軽妙で味のあるホラー短篇集、という印象です。でもその中に時々ゾーッとさせられる話が入り込んで来るのですから、怖い。

どんな話が怖かったか振り返ってみると、やはり自分の身に直接降りかかっているホラーが怖い。
「十円参り」「やみあかご」「ナマハゲと私」「タイムリミット」といった4篇。

一方、
「手紙の主」「殺したもの」「スイッチ」「噂地図」の4篇はその着想がお見事!
中でも
「殺したもの」は理屈抜きに絶句!です。

辻村さんの語り口は、優しげで明るい。
それなのに何時の間にかそぉーっという感じで恐怖心が入り込んでくるのですから、その絶妙の語り口あっての本短篇集の魅力と感じる次第です。


十円参り/手紙の主/丘の上/殺したもの/スイッチ/私の町の占い師/やみあかご/だまだまマーク/マルとバツ/ナマハゲと私/タイムリミット/噂地図/七つのカップ

   

20.
「図書室で暮したい」 ★★


図書室で暮したい

2015年11月
講談社刊

(1500円+税)



2015/12/06



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最初の「週刊エッセイ」は、日本経済新聞のエッセイ欄「プロムナード」に2013年07〜12月まで毎週火曜日に連載されたもの。
辻村さんの子育て、子供を保育園に送り迎えする日々等々、日常的な事柄について語られます。
これだけなら特に取り立ててどうこう言う程のことはないと思ったのですが、やはり子供の頃からの本好き、高校生の頃には自作小説を友達に読んでもらっていた話や、思い出の本、幾つかの作品の執筆に関わる背景事情、直木賞受賞前後のエピソードとなると、ファンとしては楽しい限りです。

特別収録
「おじいちゃんと、おひさまのかおり」は、広島県と愛媛県共同開催による観光振興イベント“瀬戸内しまのわ”での冊子に寄稿したショートストーリィ。

なお、本書収録のエッセイによると、辻村深月というペンネームは、ファンだった
綾辻行人さんの「辻」を勝手に貰ったものだとか。
また、高校時代に友人からどんな作家になりたいの?と聞かれ、「新作を楽しみにしてもらえる作家になりたい」と答えたそうです。
その通りの作家になりましたねー、と祝福したい気持ちです。


読了後は「図書館で暮らしたい」というタイトルに得心が行く、一冊です。

T.週刊エッセイ/U.好きなものあっちこっちめぐり−本と映画、漫画やアニメ、音楽も。/V.女子と育児と、もろもろの日々/W.特別収録:おじいちゃんと、おひさまのかおり/X.自作解説/Y.直木賞に決まって

 

辻村深月作品のページ No.1   辻村深月作品のページ No.3

   


   

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