豊島ミホ作品のページNo.2



11.ぽろぽろドール

12.東京・地震・タンポポ

13.リリイの籠

14.花が咲く頃いた君と

15.カウントダウンノベルズ

16.初恋素描帖

17.純情エレジー

18.夏が僕を抱く

19.リテイク・シックスティーン

20.やさぐれるには、まだ早い!


【作家歴】、青空チェリー、日傘のお兄さん、ブルースノウ・ワルツ、檸檬のころ、青空チェリー(文庫版)、陽の子雨の子、夜の朝顔、エバーグリーン、底辺女子高生、神田川デイズ

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11.

●「ぽろぽろドール」● ★☆


ぼろぼろドール画像

2007年06月
幻冬舎刊

(1400円+税)

2011年03月
幻冬舎文庫化

  
2007/07/12

 
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このところ、自らの高校時代を回想するような、青春作品を書き続けてきた豊島ミホさん。そこから足を踏み出たときこそ、本格的な小説作品を書き出すに違いないと期待してきたのですが、本書はまさにその一歩を踏み出した、という観がある作品集。
ただし、軸足はまだまだ底辺女子高生にあるようです。

本書は、いずれも人形をモチーフにした作品ばかり。
人形に想いをかけるストーリィというと、どうしてもジョン・コリアを思い出さない訳にはいきません。
しかしどの篇も、いまひとつヒロインになりきれない女の子が主人公だったりして、人形に恋するというより自信をもって周囲に溶け込めない思いを人形に向けて安堵している、といったストーリイが主。そのため、コリアの短篇とは全く異なる仕上がり。

尋常でなく、またエロスを感じるという点で挙げるべきなのは、「めざめる五月」「サナギのままで」の2篇なのですが、私の好みから言えば表題作の「ぽろぽろドール」「手のひらの中のやわらかな星」の2篇。
いずれも作品も女性らしい優しさのオブラートに包まれていますが、一方で危うさを秘めている。そこが本書の魅力です。

ぽろぽろドール/手のひらの中のやわらかな星/めざめる五月/サナギのままで/きみのいない夜には/僕が人形と眠るまで

    

12.

●「東京・地震・たんぽぽ」● ★☆


東京・地震・タンポポ画像

2007年08月
集英社刊

(1300円+税)

2010年08月
集英社文庫化

   

2007/09/10

 

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関東地方に震度6〜7の大地震が発生! その時を描いた14のストーリィ。
先日近所の防災訓練に参加して、消防署の専用車で震度6〜7を体験したばかり。とても想像だけのこととは思えません。

関東大震災のような大地震がいつ再び起こっても不思議ないと警告されながらも、そう簡単に起きるものではないよなぁと願いつつ、その際はどうしようもないと半ば諦めているのが正直なところではないでしょうか。
そこに豊島さんのこの作品。実際に大地震が起きたらこうなるのかと、半ばノンフィクションのように感じつつ読みました。
大地震が起きれば、それによるいろいろなドラマが生じる筈。でも本書を読んで気づいたことは、大地震の前からドラマはあり、大地震でのことは長い人生ドラマのひとコマでしかない、ということ。そして大地震が一旦収まれば、またその前からのドラマが続いていくのです。
その点で、母親や幼い妹のことも放り出して大事な蝶の標本を抱えて家を飛び出した小学生のこと、崩れ落ちた公園の東屋の下に生き埋めとなった育児ノイローゼの主婦が、足元に娘の死体を感じつつ携帯メールでブログにヤケッパチの投稿メールを送信するという篇が、とてもリアル。
その妻から毎晩責め立てられている夫は、それが嫌さに自主的に会社に残り、娘の死も知らないまま女子社員と寄り添って夜を過ごす。なんと皮肉で切ないドラマであることか。
しかし、本書は決してそんな暗い話ばかりではありません。妊娠を知って喜んでくれる恋人の姿もあれば、子供同士仲間を力づけようとする姿、死んだ恋人を今なお悼む姿も描かれています。

大地震という、それだけでドラマが出来上がってしまうような事件を題材に、それを超える幾つものドラマを描いて見せた豊島さんの勇気と力量に拍手を送りたい。

僕が選ばなかった心中、の話/空と地面のサンドイッチ/ぼくのすきなもの/くらやみ/ぼくらの遊び場/ついのすみか/宙に逃げる/だっこ/どうでもいい子/夢を見ていた/出口なし/復讐の時間/パーティにしようぜ/いのりのはじまり

   

13.

●「リリイの籠」● ★★


リリイの籠画像

2007年12月
光文社刊
(1300円+税)

 

2007/12/27

 

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東北の女子校を舞台に、女生徒を含む7人の女性たちの様々な心の内を描いた連作短篇集。

若いうちなら何度となくあるような喜び、苦味。
ごく日常的なありふれたストーリィかもしれませんが、東北にある女子校という雰囲気を鮮やかに浮かび上がらせる瑞々しさが、本書の魅力です。
ただ、最初からそう感じた訳ではありません。女子高生たちの話と思いきや、2篇目の「ポニーテール・ドリーム」は一転して若い女性教師が主人公。読み手の目先をすっと変える辺り、なかなか心憎い。
さらに「忘れないでね」の主人公の驕り、それに続く「ながれるひめ」の姉妹模様に上手いなぁと感じてから、すっかり本書に惹き込まれました。
「いちごとくま」実枝「やさしい人」木田芙見「ゆうちゃんはレズ」結生、みな脇役ばかりですが、本来の主人公を超えて忘れたくないと思う登場人物たち。彼女たちの人物造形もお見事です。

美術部員の石井春は、冒頭の「銀杏泥棒は金色」で主人公となるのみですが、それから後も度々彼女の名前が登場します。
「春」という彼女の名前が繰返し呼ばれることで、春はまだ始まったばかり、というイメージを本書全体にほんのりと与えているところも、私は好きです。

※豊島ミホさん、いずれ化ける作家と期待してきたのですが、そろそろその兆しが現れてきたようです。

銀杏泥棒は金色/ポニーテール・ドリーム/忘れないでね/ながれるひめ/いちごとくま/やさしい人/ゆうちゃんはレズ

    

14.

●「花が咲く頃いた君と」● ★☆


花が咲く頃いた君と画像

2008年03月
双葉社刊

(1300円+税)

2013年04月
双葉文庫化

 

2008/05/03

 

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花をモチーフにした青春作品4篇。
どちらかというと小品を連ねたという観のある短篇集です。
その点、このところの豊島作品の流れの中では、ちょっと足を留めてゆっくりしてみた、という印象を受けます。

青春、友情、恋情等々の心情が切々と描かれていてそれが主筋であることに間違いはありませんが、いずれの作品も“別れ”が重要な鍵になっていることが見逃せません。
高校への進学あるいは卒業、束の間出会った人との別れは必然的なものです。
そうした中でもっとも胸打つストーリィは、同居していた祖父が倒れ、意識不明のまま亡くなる。葬式を終えて家に戻り、初めてそこに祖父の存在がなくなった寂しさを姉弟でかみ締める「椿の葉に雪の積もる音がする」。4篇中とりわけ秀逸です。

「コスモスと逃亡者」は、知恵遅れの19歳の女性を主人公にしている点で、他の3篇とは趣きが異なります。
彼女が最後に母親に語りかける言葉、そのひと言の重さ、壮絶さに思わず胸が軋むようでした。
小杉健治「中のひと言と共通するものですが、陽と陰というぐらいの違いに身がすくみます。

「僕と桜と五つの春」といい、これだから豊島ミホさんには最後まで気を抜けません。その辺りが、私にとっての豊島ミホさんの魅力。

サマバケ96/コスモスと逃亡者/椿の葉に雪の積もる音がする/僕と桜と五つの春

  

15.

●「カウントダウンノベルズ」● 


カウントダウンノベルズ画像

2008年05月
集英社刊

(1300円+税)

 

2008/07/01

 

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 J-POPの世界で人気を博する若者たちの姿を連作風に描いたストーリィ。
週間シングルチャートのトップ10に並ぶ彼らを、チャート順にしたがって順々に描いていくという趣向。

まずJ-POPの世界を舞台にしたという点に興味が惹かれます。
豊島ミホさん、しばらく高校・大学時代の回想的なストーリィを続けてきた後で、このところようやく作品の舞台を広げてきたと感じていたところなのですが、今回 J-POP界を舞台にとったのもその延長線上にあることと思います。
描かれる彼らの姿は様々です。人気の頂点を何とか死守している歌姫、これから躍り出ようとする新人アイドル、人気アイドルグループの一方で、華やかな舞台からの退場を突きつけられたバンドグループもいます。
彼らには単純で爽やかな青春物語は許されません。いつまで人気を保つことができるのか誰も保証してくれないし、そんな崖っぷちの状態の中でいつまで精神的なバランスを崩さずに頑張り続けられるのかも判らない。
そんな過酷な世界に身を置いているからこそ、彼らの一喜一憂はより鮮やか。ヒットチャートという背景は、メリハリの利いた若者像を描くという点で恰好の舞台なのかもしれません。

ヒットチャートの1位を競った歌姫の伊藤ありさ(「あたしはいい子」)相葉ミリ(「ぜんぶあげる、なんでもあげる」)の2人が、孤高とバイテリティと見事に対照的で刺激的、読み応えがありました。
少女アイドルグループ=シュガフルのメンバー間における相反する思いを描く「きらめくさだめ」、このままじゃいけないと始めたライブからチャンスをつかんだ浅田真樹(「きたない涙」)沼倉雄介(「絶望ソング大全集」)辺りも好きですが、年代的にはウィンド・オブ・ソングスの中年デュオ(「永遠でなくもないだろう」)に共感します。
ただし、 J-POPにもうひとつ興味が薄いせいか、作品に余り入り込めなかった感じ。それでも作品の舞台を広げたという点で、本書を評価しておきたい。 

あたしはいい子/ぜんぶあげる、なんでもあげる/話があるよ/楽園が聞こえる/きらめくさだめ/きたない涙/ピクニック/永遠でなくもないだろう/ラストシングル/絶望ソング大全集

    

16.

●「初恋素描帖」● ★☆


初恋素描帖画像

2008年08月
メディアファクトリー刊

(1200円+税)

2011年08月
MF文庫化

  

2008/09/20

 

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中学校の2年2組、そのクラスに属する20人がそれぞれ経験した初恋模様を、掌編スタイルで書き綴った一冊。

中学の2年、こういう時期でしたねぇ、訳も分からず手当たり次第に夢みたいな気持をふくらませていたのは。
一人一人の初恋模様とはいっても、一つのクラスの中でのことですから、それぞれの主役たちは相互に絡み合います。
平田葉木村直樹を好きだと思えば、その木村直樹は福田果歩を好きだと思っている。そしてその福田果歩は室崎建次と付き合っていて、建次と仲の良い幼馴染である吉田美雪はそのために毎日が面白くないと愚痴っている。
同じような連環関係は他にもあって、それらが集積して<2年2組というクラス>を、また<中学校の2年という時期>を作り上げているという塩梅。
一見、アンダーソン「ワインズバーグ・オハイオ」タイプの作品かと思いますが、20の掌篇小説が集まって中学2年という思春期を鳥瞰するように描いている点は、本書独自の世界だと思います。

小学校時代はまるでそんなこと考えていなかったのに中学生になった途端、女の子と付き合うということを意識し出したのは、私の時代には「中○コース」といった学習雑誌に掲載された連載小説に煽られた面が大きい、と思う。
ちょっと可愛いから好き、というのではなく、一緒にいて楽しいということが大事と悟れていたら、その後の青春時代、きっと違っていただろうなぁと今にして思いますが、疾うに遅し。
その意味で、平田葉、佐原杏子、武田陽介辺り、好きだなぁ。

自分の中学時代を振り返ると、甘酸っぱい思いがこみ上げてくるような気がします。
中学時代の初恋に悔いを抱えている方に、是非お薦め。(笑)

出席番号25番 平田葉/出席番号11番 木村直樹/出席番号33番 吉田美雪/出席番号30番 師岡康二/出席番号4番 飯田川理子/出席番号22番 千原淳/出席番号5番 猪俣厚志/出席番号2番 鮎川歌子/出席番号15番 佐々木和代/出席番号3番 安西めい/出席番号21番 田中晴一/出席番号29番 森和也/出席番号27番 松岡鍵太郎/出席番号10番 片山エリナ/出席番号17番 鈴木悠市/出席番号16番 佐原杏子/出席番号20番 武田陽介/出席番号34番 吉野すみれ/出席番号26番 福田果歩/出席番号28番 室崎建次

  

17.

●「純情エレジー」● ★☆


純情エレジー画像

2009年03月
新潮社刊

(1300円+税)

 

2009/04/18

 

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豊島ミホさん初の、官能恋愛小説集。

そう、確かに“官能小説”です。そうPRされているのでつい“官能”ということばかりに気をとられてしまうのですが、描かれている中味はれっきとした純愛小説。
ただし、まずセックスありき、というところが官能小説であると謳われてしまう所以でしょうか。
官能、官能と繰り返されている内に、いつしか官能的とは余り感じられなくなってしまうのが、豊島さんらしいところか。
若さにまかせて、これでもかというぐらいまでセックスに明け暮れる、どの篇も舞台は田舎らしい。だからこそ、考えることよりまず行動(セックス)といったパターンが似つかわしく感じられます。
しかし、そんな関係も年数を重ねながらいつまでも続けられていると、そこにあるのはもはや青春物語の残影でしかない。
官能という艶やかさは失われ、切なさばかりが青春の余韻として残る、そんな印象です。

本書7篇中、一番印象に残ったのは冒頭の「十七歳スイッチ」。豊島さんのデビュー作である青空チェリーの次にくる物語、ついに至った物語、そう感じる作品です。
「青空チェリー」がセックスをユーモラスに、主人公たちのこれからを明るく未来あるものとして描いているのに対して、本短篇集はセックスと共に青春の終わりを描いている、という風です。
そう思いながら読むと、なかなかに余韻が深く、味わい深い作品集。
豊島さんがまた一段ステップを上がったと、ファンだからこそ感じることのできる短篇集です。

※なお、各篇の初めを飾る、艶やかな女性たちを描いたさやかさんによる挿画も、素敵です。

十七歳スイッチ/あなたを沈める海/指で習う/春と光と君に届く/秘密を知ってるメロン/避行/結晶

 

18.

●「夏が僕を抱く」● ★☆


夏が僕を抱く画像

2009年07月
祥伝社刊

(1429円+税)

 

2009/08/07

 

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幼馴染への切ない想いをテーマにした、青春もの短篇集。

幼い頃どんなに仲が良かったからといって、成長してからもそうとは限らない。むしろ男の子と女の子の場合であれば、関係は薄れてしまう方が普通でしょう。
でも未だに相手はすぐ傍らにいる。一方が幼馴染の相手に恋心を抱き、もう一方はそうではない。
忘れてしまえるなら簡単なのに、幼馴染という長い付き合いであるが故にそれもできない。
だからこそ、この想いはもどかしい。

彼らのそうした想い、判るなぁ。
異性の幼馴染がいたなら、大なり小なり、誰しも少しは味わった想いではないでしょうか。
たいていの場合、それは自然に薄れていくはず。でも、薄れるどころか、逆に相手への気持ちが強まっていくこともある。
だからこその青春期の悩みが、そこにあります。

豊島ミホ作品らしい、回想的な青春ストーリィ。
ただし、テーマが幼馴染の恋という狭い領域に特定されてしまっている所為か、今一つの観あり。
6篇中では、表題作「夏が僕を抱く」が一番胸に響きます。

変身少女/らくだとモノレール/あさなぎ/遠回りもまだ途中/夏が僕を抱く/ストロベリー・ホープ

   

19.

●「リテイク・シックスティーン」● ★★★


リテイク・シックスティーン画像

2009年11月
幻冬舎刊
(1600円+税)

2013年02月
幻冬舎文庫化

 

2009/12/15

 

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地方の高校生、男女4人。その高1の一年間を描いた青春小説。

地方、高校生、青春小説という題材は豊島ミホ作品としては今や珍しくもありませんが、これまでに増して濃密な高校生活が描かれています。
主人公の小峰沙織が高校に入ってから仲良くなった親友の貫井孝子、突然に、2009年の27歳から戻ってきた、高校から人生をやり直したいのだと沙織に打ち明けます。
本当なのかどうか?を別にして、沙織にとっては初めて、孝子にとっては2度目だという高校生活が始まっていく。

この孝子の、前回の高校生活と比較しながら今回の高校生活を送っているという設定が、本作品のミソ。
孝子が主人公ではなく、主人公の親友で、自分にもうひとつ自信がなく思い悩むことの多い女の子、という設定が実に良い。
沙織と孝子、さらに2人と仲良くなる村山基和、大海ちひろという男子生徒を加えて、彼らの高校生活が立体映像のように、かつリアルに、目の前に繰り広げられている気がします。

軽い気分で読み始めたのですが、気付いてみると、いつの間にかどっぷりと、彼らの高一時代に嵌った、という感じ。
時間を遡ったのは孝子だけでなく、読者もまたそうなのです。

未来の自分がどうなるか判っていればどんなに楽だろう、とあの頃思ったことはないでしょうか。
でも、もし判っていたら、夢をもつことなく、苦味の入り混じった大切な思い出を手に入れることがも、できなかったのではないかと思います。
だからこそ、様々に揺れ動きながら一歩一歩、前へ進んでいく4人の姿がとても愛おしい。
是非お薦めしたい、読み応えたっぷりの、高校青春小説!

    

20.

●「やさぐれるには、まだ早い!」● ★★


やさぐれるには、まだ早い!画像

2009年12月
メディアファクトリー刊
(1200円+税)

2011年12月
MF文庫化

 

2010/01/02

 

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東京都と首都圏の一部で配布されていた週刊のフリーペーパー「L25」(リクルート刊)に隔週掲載されていたエッセイ50回分の単行本化。
豊島ミホさんのエッセイとしては、底辺女子高生に続く2冊目。「底辺」が秋田での高校時代を語ったものであるのに対し、本書はそれから後、上京して東京で一人住まいしながらの学生時代を語ったエッセイ。
AV初鑑賞、10年パンツ、一人花火見物、先輩後輩関係、同棲計画、自炊、東京を去り故郷に帰ることにしたこと、等々。

エッセイの中身、質をどうの言う以前に、「底辺女子高生」とはまた違って、豊島ミホさんに一歩二歩と近づけた気がするエッセイであることが、ファンとして何より嬉しい。
これだけの作品数を既に発表している作家となれば、普通見上げる気持ちになるのですが、本書を読んでいるとむしろ身近な人。いっそう親しみを増す気持ちになります。
何故かというと、豊島ミホさん、少しも作家らしくない。
人と交わることが苦手、引きこもり性、だから大学卒業後就職することなくそのまま専業作家になったのでは、と思われるのですけど、どうなのでしょう。
他人とちょっと違ったところのある自分を許し、自分のできる範囲で生きていく、そんな気取らない姿勢であるところもまた、作家=豊島ミホに惹かれる理由です。

休業宣言をした豊島ミホさんの、休業前刊行予定としては本書が最後。
故郷、秋田の実家に戻った豊島さんの休業がどのくらいの期間になるのか、今現在ご本人にも判らないことだろうと思いますが、ファンとしては作家業再開が何時になろうと、ゆっくり待っていようと思います。

            

豊島ミホ作品のページ No.1

 


   

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