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12.東京・地震・タンポポ 13.リリイの籠 14.花が咲く頃いた君と 15.カウントダウンノベルズ 16.初恋素描帖 17.純情エレジー 18.夏が僕を抱く |
【作家歴】、青空チェリー、日傘のお兄さん、ブルースノウ・ワルツ、檸檬のころ、青空チェリー(文庫版)、陽の子雨の子、夜の朝顔、エバーグリーン、底辺女子高生、神田川デイズ |
●「ぽろぽろドール」● ★☆ |
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2011年03月 |
このところ、自らの高校時代を回想するような、青春作品を書き続けてきた豊島ミホさん。そこから足を踏み出たときこそ、本格的な小説作品を書き出すに違いないと期待してきたのですが、本書はまさにその一歩を踏み出した、という観がある作品集。 本書は、いずれも人形をモチーフにした作品ばかり。 尋常でなく、またエロスを感じるという点で挙げるべきなのは、「めざめる五月」「サナギのままで」の2篇なのですが、私の好みから言えば表題作の「ぽろぽろドール」と「手のひらの中のやわらかな星」の2篇。 ぽろぽろドール/手のひらの中のやわらかな星/めざめる五月/サナギのままで/きみのいない夜には/僕が人形と眠るまで |
●「東京・地震・たんぽぽ」● ★☆ |
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2010年08月
2007/09/10
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関東地方に震度6〜7の大地震が発生! その時を描いた14のストーリィ。 関東大震災のような大地震がいつ再び起こっても不思議ないと警告されながらも、そう簡単に起きるものではないよなぁと願いつつ、その際はどうしようもないと半ば諦めているのが正直なところではないでしょうか。 大地震という、それだけでドラマが出来上がってしまうような事件を題材に、それを超える幾つものドラマを描いて見せた豊島さんの勇気と力量に拍手を送りたい。 僕が選ばなかった心中、の話/空と地面のサンドイッチ/ぼくのすきなもの/くらやみ/ぼくらの遊び場/ついのすみか/宙に逃げる/だっこ/どうでもいい子/夢を見ていた/出口なし/復讐の時間/パーティにしようぜ/いのりのはじまり |
●「リリイの籠」● ★★ |
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2007/12/27
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東北の女子校を舞台に、女生徒を含む7人の女性たちの様々な心の内を描いた連作短篇集。 若いうちなら何度となくあるような喜び、苦味。 美術部員の石井春は、冒頭の「銀杏泥棒は金色」で主人公となるのみですが、それから後も度々彼女の名前が登場します。 ※豊島ミホさん、いずれ化ける作家と期待してきたのですが、そろそろその兆しが現れてきたようです。 銀杏泥棒は金色/ポニーテール・ドリーム/忘れないでね/ながれるひめ/いちごとくま/やさしい人/ゆうちゃんはレズ |
●「花が咲く頃いた君と」● ★☆ |
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2013年04月
2008/05/03
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花をモチーフにした青春作品4篇。 青春、友情、恋情等々の心情が切々と描かれていてそれが主筋であることに間違いはありませんが、いずれの作品も“別れ”が重要な鍵になっていることが見逃せません。 「コスモスと逃亡者」は、知恵遅れの19歳の女性を主人公にしている点で、他の3篇とは趣きが異なります。 「僕と桜と五つの春」といい、これだから豊島ミホさんには最後まで気を抜けません。その辺りが、私にとっての豊島ミホさんの魅力。 サマバケ96/コスモスと逃亡者/椿の葉に雪の積もる音がする/僕と桜と五つの春 |
●「カウントダウンノベルズ」● ★ |
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2008/07/01
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J-POPの世界で人気を博する若者たちの姿を連作風に描いたストーリィ。 まずJ-POPの世界を舞台にしたという点に興味が惹かれます。 ヒットチャートの1位を競った歌姫の伊藤ありさ(「あたしはいい子」)と相葉ミリ(「ぜんぶあげる、なんでもあげる」)の2人が、孤高とバイテリティと見事に対照的で刺激的、読み応えがありました。 あたしはいい子/ぜんぶあげる、なんでもあげる/話があるよ/楽園が聞こえる/きらめくさだめ/きたない涙/ピクニック/永遠でなくもないだろう/ラストシングル/絶望ソング大全集 |
●「初恋素描帖」● ★☆ |
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2011年08月
2008/09/20
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中学校の2年2組、そのクラスに属する20人がそれぞれ経験した初恋模様を、掌編スタイルで書き綴った一冊。 中学の2年、こういう時期でしたねぇ、訳も分からず手当たり次第に夢みたいな気持をふくらませていたのは。 小学校時代はまるでそんなこと考えていなかったのに中学生になった途端、女の子と付き合うということを意識し出したのは、私の時代には「中○コース」といった学習雑誌に掲載された連載小説に煽られた面が大きい、と思う。 自分の中学時代を振り返ると、甘酸っぱい思いがこみ上げてくるような気がします。 出席番号25番 平田葉/出席番号11番 木村直樹/出席番号33番 吉田美雪/出席番号30番 師岡康二/出席番号4番 飯田川理子/出席番号22番 千原淳/出席番号5番 猪俣厚志/出席番号2番 鮎川歌子/出席番号15番 佐々木和代/出席番号3番 安西めい/出席番号21番 田中晴一/出席番号29番 森和也/出席番号27番 松岡鍵太郎/出席番号10番 片山エリナ/出席番号17番 鈴木悠市/出席番号16番 佐原杏子/出席番号20番 武田陽介/出席番号34番 吉野すみれ/出席番号26番 福田果歩/出席番号28番 室崎建次 |
●「純情エレジー」● ★☆ |
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2009/04/18
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豊島ミホさん初の、官能恋愛小説集。 そう、確かに“官能小説”です。そうPRされているのでつい“官能”ということばかりに気をとられてしまうのですが、描かれている中味はれっきとした純愛小説。 本書7篇中、一番印象に残ったのは冒頭の「十七歳スイッチ」。豊島さんのデビュー作である「青空チェリー」の次にくる物語、ついに至った物語、そう感じる作品です。 ※なお、各篇の初めを飾る、艶やかな女性たちを描いたさやかさんによる挿画も、素敵です。 十七歳スイッチ/あなたを沈める海/指で習う/春と光と君に届く/秘密を知ってるメロン/避行/結晶 |
●「夏が僕を抱く」● ★☆ |
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2009/08/07
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幼馴染への切ない想いをテーマにした、青春もの短篇集。 幼い頃どんなに仲が良かったからといって、成長してからもそうとは限らない。むしろ男の子と女の子の場合であれば、関係は薄れてしまう方が普通でしょう。 彼らのそうした想い、判るなぁ。 豊島ミホ作品らしい、回想的な青春ストーリィ。 変身少女/らくだとモノレール/あさなぎ/遠回りもまだ途中/夏が僕を抱く/ストロベリー・ホープ |
●「リテイク・シックスティーン」● ★★★ |
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2013年02月
2009/12/15
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地方の高校生、男女4人。その高1の一年間を描いた青春小説。 地方、高校生、青春小説という題材は豊島ミホ作品としては今や珍しくもありませんが、これまでに増して濃密な高校生活が描かれています。 この孝子の、前回の高校生活と比較しながら今回の高校生活を送っているという設定が、本作品のミソ。 軽い気分で読み始めたのですが、気付いてみると、いつの間にかどっぷりと、彼らの高一時代に嵌った、という感じ。 未来の自分がどうなるか判っていればどんなに楽だろう、とあの頃思ったことはないでしょうか。 |
●「やさぐれるには、まだ早い!」● ★★ |
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2011年12月
2010/01/02
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東京都と首都圏の一部で配布されていた週刊のフリーペーパー「L25」(リクルート刊)に隔週掲載されていたエッセイ50回分の単行本化。 エッセイの中身、質をどうの言う以前に、「底辺女子高生」とはまた違って、豊島ミホさんに一歩二歩と近づけた気がするエッセイであることが、ファンとして何より嬉しい。 休業宣言をした豊島ミホさんの、休業前刊行予定としては本書が最後。 |