豊島ミホ作品のページNo.1


1982年秋田県雄勝町(現湯沢市)生、秋田県立横手高校を経て、2005年早稲田大学第二文学部卒。在学中の02年「青空チェリー」にて第1回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞して作家デビュー。
(※ペンネームは豊島区に住んでいたこと+幼馴染のミホちゃんの名前から)
2008年末、作家休業を宣言。15年01月、ブログで結婚したことを発表。
※「女による女のためのR-18文学賞」  
新潮社主催の、エロティックな小説を読んでみたい、書いてみたい女性のためのネット文学賞。応募は女性限定。 Web上で最終候補作品を公開、クリック投票で「読者賞」を決定。


1.
青空チェリー

2.日傘のお兄さん

3.ブルースノウ・ワルツ

4.檸檬のころ

5.青空チェリー(文庫版)

6.陽の子雨の子

7.夜の朝顔

8.エバーグリーン

9.底辺女子高生

10.神田川デイズ

  

ぽろぽろドール、東京・地震・たんぽぽ、リリイの籠、花が咲く頃いた君と、カウントダウンノベルズ、初恋素描帖、純情エレジー、夏が僕を抱く、リテイク・シックスティーン、やさぐれるにはまだ早い

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1.

●「青空チェリー」● ★★☆    女による女のためのR-18文学賞読者賞


青空チェリー画像

2002年09月
新潮社刊
(1000円+税)

2005年08月
新潮文庫化

  

2004/05/30

スコーンと突き抜けた、爽快な発情小説、いや青春小説。というのが、表題作「青空チェリー」
予備校の隣にできたラブホテルを屋上から覗き、青空の下男の子と並んで仲良くオナニーする予備校生の話というのですから、それだけ聞くとブッ飛んでしまいそうになる。
ところが、実際に読むと、アッケラカンとして健康的なエッチ小説なのですから、楽しいし気分も良い。エッチ小説が不健全であるなどとは、いったい何処の誰が言ったことなのか。
帯には「男子禁制!立ち読み厳禁!」とありますが、前者には臆せず、後者にはしたがって買って読むことをお勧めします。
なお、「のぞきちゃんな日々」「ゆるしてちょうだい、だったあたし18さい。発情期なんでございます」という普段着的文章は、かつての庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」を彷彿させます。

「なけないこころ」は、好きだった男の子との再会を期して、床上手となるためセックス経験を重ね中という女子学生が主人公。これまた発想が突き抜けていますが、その純情さ(?) に思わずほだされてしまう一篇。

豊島ミホさんを侮れない作家だと感じたのが、最後の「ハニィ、空が灼けているよ。」
近代戦争に東京が巻き込まれ、疎開、という古めかしい舞台設定でのストーリィですが、人と人との愛情の繋がりを切々と描いている一篇。軽やかながら、しみじみと感じる深みがあります。
1980年代作家として綿矢リサ、金原ひとみの2人が注目を集めていますが、その話題性はともかく、豊島ミホさんこそ実は見逃せない作家ではないか、と思う次第。

青空チェリー/なけないこころ/ハニィ、空が灼けているよ。

      

2.

●「日傘のお兄さん」● ★★★


日傘のお兄さん画像

2004年03月
新潮社刊
(1100円+税)

2007年11月
新潮文庫化

  

2004/06/08

いいなァ、豊島ミホ。
デビュー作も良かったけれど、本書はさらに良い!の一言。
こうなるとR-18文学賞読者賞受賞という看板は、かえって邪魔なのではないか、余計な先入観を与えてしまうのではないかと危惧される。評判を呼んでいる80年代作家の中でも、群を抜く上手さをもっているのが豊島ミホではないか、と再度感じます。

本書の素晴らしさは、80年代作家だからこその狭い主人公層を相手にしているのではなく、普遍的な小説テーマを土俵にして勝負している点にあります。
人と人の心の繋がりを描いているという点で、本書は古典的とも言える。それでいて、軽やかであり、現代にフィットもし、お互いに信頼し合うという肯定的な姿勢が貫かれている。爽やかで、健全で、瑞々しく、しかも上手い!
こうした小説を読むと、本当に幸せな気分になれます。

「バイバイラジオスター」「すこやかなのぞみ」「あわになる」3篇は、いずれも気分の良い、良質の前菜。
そして主皿となるのが、中篇「日傘のお兄さん」。幼い頃親しんだ日傘のお兄さんが中学生になった夏実の前に現れますが、彼はロリコン変態者としてネット上追われる身になっていた。そんな彼と夏実との逃避行を描いたストーリィ。つかみどころのないお兄さんと伸びやかな夏実の人物造形が素晴らしい。
陰鬱なストーリィになりそうなのに、むしろ気分は爽快。その辺りに豊島ミホさんの魅力があると言えます。

バイバイラジオスター/すこやかなのぞみ/あわになる/日傘のお兄さん/猫のように

   

3.

●「ブルースノウ・ワルツ」● 


ブルースノウ・ワルツ画像

2004年05月
講談社刊

(1200円+税)

 
2004/06/20

13歳のはお屋敷で、学校に行かず、専門の教育係やメイドに囲まれて何不自由なく暮らしている。おまけに2歳下の婚約者まで既にいる。
そんな楓の生活に変化が生じたのは、俄かに弟が出現してから。弟といっても、父親が研究のために引き取った野生児であり、山中一人で生きていたことから、言葉さえも通じない相手。
ユキと名付けられた野生児は、何に反応し、何を喜ぶのか。ユキと同じ館で暮らすうち、やがて楓の胸中に大人になることへの不安、抵抗感が芽生えるというストーリィ。

前2作と異なり、抽象的かつ非現実的なストーリィです。率直に言って馴染めないものを感じます。
少女から大人へ変わる時期の葛藤を描くにしろ、このような抽象的なストーリィ、野生児の登場が必要だったのか。

ブルースノウ・ワルツ/グラジオラス/タイムカプセルのこと(あとがきにかえて)

     

4.

●「檸檬のころ」● ★★


檸檬のころ画像

2005年03月
幻冬舎刊
(1400円+税)

2007年02月
幻冬舎文庫化

 

2005/03/27

田んぼと山に囲まれた、コンビニもないような田舎の県立高校。
その県立北高校を舞台に、高校生たちの青春風景を描いた連作短編集。

「あとがき」によると、「地味な人なりの青春」を書いてみたかったというのが執筆の動機とのことですが、そんな風に書かれたこの青春物語は本当に気持ちいい。
瑞々しくかつ爽やか。そんな魅力が本書にはたっぷり詰まっています。
高校を卒業して未だあまり時間が経っていない作者だからこそ書ける高校生ストーリィだと思うのです。作者と等身大の高校生たち、そして懐かしくもある高校生活。いい奴もいれば、ズルイ奴もいて、彼らに振り回される大人たちもいます。本書を読んでいると、もう一度あの時間に戻ったような、そんな気持ちに駆られます。
7篇の中では「タンポポのわたげみたいだね」「ラブソング」が特に素敵です。
そして最後の「雪の降る町、春に散る花」では、高校生活に別れを告げて都会へと巣立っていく彼らの姿がとても愛おしい。
素敵な物語をありがとう、そう豊島さんに言いたい一冊です。

タンポポのわたげみたいだね/金子商店の夏/ルパンとレモン/ジュリエット・スター/ラブソング/担任稼業/雪の降る町、春に散る花

   

5.

●「青空チェリー(文庫版) ★★☆


青空チェリー文庫版画像

2002年09月
新潮社刊

2005年08月
新潮文庫刊
(400円+税)

 

2005/08/11

本書は、単行本「青空チェリーから大幅に改編。
原型を留めているのは表題作「青空チェリー」のみで、「ハニィ、空が灼けているよ。」は大幅に書き直し。「誓いじゃないけど僕は思った」は新たな書き下ろし。

「ハニィ、空が灼けているよ。」は単行本時に比べてグッと良くなっています。ギャルっぽさがあった前作に比べて、ずっと落ち着きが良くなったという印象です。
教授、ダーリン、それぞれへの麻美の思いが胸を打ちます。

単行本収録の「なけないこころ」に替えて本書に収録された「誓いじゃないけど僕は思った」は、中学時代の同級生の面影を忘れられない主人公という点では同一ですが、主人公は女性から男性に代わり、ストーリィも全く別のものになっています。
「なけないこころ」では、好きな男の子の気を惹くために床上手になりたいという女子大生のキャラクターが強烈で、ストーリィが負けていた観がありました。
「誓いじゃないけど僕は思った」の男子学生・浩介は、次から次へと女の子と関係を結びながらいつも冷たく相手を突き放す。それも全ては中学の時同級生だったアッコを忘れられないが故。
理屈を超えて好きだという、浩介の切々とした想いが凄く良い。忘れたくない、大切にしておきたいような彼の気持ちが見事に描かれています。「なけないこころ」に比べると、女っぷりが、いや小説家っぷりが格段に上がったと強く感じる一篇です。
本書は、豊島ミホさんの原点。是非お薦めしたい一冊です。

ハニィ、空が灼けているよ。/青空チェリー/誓いじゃないけど僕は思った(解説:藤田香織)

   

6.

●「陽の子雨の子(ひのこあめのこ) 


陽の子雨の子画像

2006年03月
講談社刊

(1400円+税)

2010年04月
幻冬舎文庫化

   

2006/04/23

中学生の男の子・神田川夕陽、24歳になりながら未だ子供っぽさをひきずっている小畑雪枝、家出した15歳の時に雪枝に拾われそれ以来4年間同棲している梶間聡、その3人の物語。

夕陽の担任教師の元に、高校の同級生だった雪枝が遊びに来ていたのが2人の出会いのきっかけ。
それ以来夕陽に一緒に遊ぼうと誘いかけてくる雪枝は、どんな女性なのか? その疑問は、そのまま本ストーリィの疑問に通じます。
雪枝が夕陽に声をかけてきたのは、4年間同居してきた聡が「聡、大きくなりすぎたよ」という理由らしい。
夕陽と、雨の日に雪枝と出会った聡が、ちょうど雪枝を間に挟むようにして対照的。
でも、本ストーリィは夕陽と聡の物語というより、大人になりきれず自分を持て余している観のある雪枝がやっぱり主体と受け止めるべきでしょう。
家族に恵まれず、お金はあるという境遇は、かえって雪枝にとって為にならないことだったのかもしれない。

24歳の雪枝、19歳の聡に対して、まだ中学生ながら夕陽の健やかさ、聡明さが印象的。年上の女性に惑わされず、小学校の同級生だった清水という女の子の元へちゃんと戻っていく夕陽くんは、かなり出来過ぎの観があります。
どういうストーリィかつかみ難いところがありますが、ひと夏を経て再出発する3人の姿を目にしての、爽やかな読後感は気持ち好い。

     

7.

●「夜の朝顔」● ★★


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2006年04月
集英社刊
(1300円+税)

 

2006/05/21

田舎の女の子・センリ(大原千里)の小学校時代、その成長していく過程を連作短篇風に描いた作品。

私の好きなケストナーはその作品の中で、子供にだって大人と同じように悲しいこと、辛いことがあるんだと語っています。本作品もそれと同じような内容を含んでいます。
田舎ですくすくと育ったと思われるようなセンリの中にも、苦い思い出、悔いを残すような思い出、仲良かった友達の言動に不信を抱いた思い出等々があるということです。
大人は子供の感情なんて単純なものと思いがちですが、決してそうではないということをさりげなく描いた本書は、豊島作品の中でも注目に値する一冊だと思います。

豊島さんは「あとがき」の中で、小学校時代には楽しいことも沢山あった筈なのに、あの頃の記憶には「しこり」が多い。明るい子どもでいることに精一杯だったので気持ちに余裕がなく、言葉にならないかたちで後に残ってしまったのかもしれない、と語っています。
そして、誰にでも共通する小学生時代のアルバムになるように、というコンセプトで作った短篇集とのこと。
そうした思いを着実にきちんと描いていこうとする豊島さんの方向性は素晴らしいと思う。

センリは女の子なので、小学生時代の思いには私と異なるところがありますが、センリの気持ちには共感できるところが多い。センリと同級生の女の子たちの関係を描いている部分はとくに秀逸なところです。センリが特に目立ちもしない、ごくフツーの女の子であるところが何といっても好い。
寝グセも直さずにそのまま登校して、妹に「ねえちゃんくらい見た目にかまわない人なんていないよ」と言われてしまう辺り、そんなセンリがとても愛しくなります。

入道雲が消えないように/ビニールの下の女の子/ヒナを落とす/五月の虫歯/だって星はめぐるから/先生のお気に入り/夜の朝顔

    

8.

●「エバーグリーン」● ★★


エバーグリーン画像

2006年07月
双葉社刊
(1400円+税)

2009年03月
双葉文庫化

   

2006/08/16

 

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高校最後の文化祭で直前にバンド解散となり、舞台で一人歌ったシン。そのシンを密かにずっと想っていたアヤコ。バンドが直前解散してふてくされていたシンをアヤコが励ましたことから、2人は口をきき合うことになる。
特に目立つところのなかったシンと、そのシンが誰だったけと思うくらい目立たない存在だったアヤコ。田舎の中学生でお互いに内気な2人は特別に付き合うこともなく、10年後再会することを約束して別々の高校に進学する。

シンにも共感を覚えますが、シンへのときめく想いを大切に抱えているアヤコの人物像がとても瑞々しい。特に初めてシンに一緒に帰ったとき家の玄関に倒れ込んだまま「しあわせをかみしめている」シーンは圧巻。
そんなピュアな気持ちをいったいどれだけの人が心に抱いたことがあるのでしょうか。
2人が約束した中学卒業後の10年はとても大きな時間だと思う。それは自分の歩もうとする人生を選択する時間に他ならないのですから。2人の再会の約束は、お互いの過ごしたその時間を見せ合おうということであり、お互いへの信頼と連帯感があって初めてできる約束でしょう。
結果的にアヤコはシンへの憧れが強すぎて彼との約束に自分を縛り付けてしまった観がありますが、そんな純粋さを失わずに抱えているアヤコはとても愛おしい存在です。
ピュアなラブ・ストーリィの漫画を連載しているアヤコが担当の女性編集者から、好きだったらヤリたいじゃないですか、と言われて顔を赤らめるシーンは、アヤコのひとつの曲がり角を示していて象徴的。10年目の再会は2人にとってもひとつの区切りなのです。

健やかでとても爽やかなストーリィ。すぐセックスが飛び出す最近のラブ・ストーリィと好対照と言える作品です。それは豊島さん自身のデビュー作青空チェリーと比較しても言えること。現実に有り得ないことのように思えるからこそ、なおさら愛おしく大切にしたくなります。
檸檬のころと好一対になるラブ・ストーリィ。私はこうした作品、大好きです。

 

9.

●「底辺女子高生」● ★★


底辺女子高生画像

2006年08月
幻冬舎文庫刊
(495円+税)

 

2006/08/19

豊島ミホ・ファンであるにもかかわらず、豊島ミホさんてどんな人なのか判らない。そんな私にとって、本書は待ってました!と言うべき一冊です。
豊島ミホさんの高校時代を語ったエッセイ。「Webマガジン幻冬舎」に2005年 3月から06年 3月まで連載したエッセイを文庫化したものだそうです。

それにしてもなァ、豊島さんがこんな高校生だったとは思いも寄りませんでした。やっぱり作家になるような人は、ちょっと人と違う道を辿ろうとするのかもしれない。
豊島さんは「県境に接する町村」の出身。そして入学した高校は秋田県主要3都市のひとつにある県立高校だったとか。それだけでもカルチャーショックが大きかったそうです。「オラ」と「あたし」という違いがあるというのですから、そうだよなぁ。
2年に進級して時クラスに馴染めず、自分は底辺にいると思い込み、不登校、別室登校、大阪へ家出、下宿生活、補習を経てやっと一人だけの卒業式、という高校時代。
順調な方が良いことに間違いないでしょうし、底辺に落ち込むのは勘弁して欲しいことでしょうけれど、豊島さんが語るとそんな高校生活も味があるなァと感じてしまいます(ゴメン)。
そんないろいろあった高校生活を、皆に遅れてたった一人で迎える卒業式というのは、ジンと来るものですね。
それにしても「直木賞をとる方法」にはマイッタ。
ご本人によるイラストも、豊島さんにそれだけ近づけたような気がしてファンとしては楽しい。本書は、檸檬のころ」「エバーグリーンとセットで読むとより楽しめると思います。
※評価2つ星は、豊島ミホ・ファンであるが故。

一人称問題/通学電車の先輩へ/完敗家出マニュアル−旅立ち篇/〃−大阪篇/〃−金銭問題篇/〃−捕獲篇/学祭の絶望/地味女子は卓球/下宿生活の掟/紅ショウガの夏休み/夏の終り/あんたらなんかだいきらい/男子こわい/雪と花束/チョコレイト/直木賞をとる方法/赤点クィーンの思考回路/ぼくたちの屋上/もさもさ/夜空の向こう/下宿生の一日/あの二月/卒業式は二回

 

10.

●「神田川デイズ」● ★☆


神田川デイズ画像

2007年05月
角川書店刊

(1400円+税)

2010年11月
角川文庫化

 

2007/05/23

 

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大学に入学した主人公たちが送る瑞々しい青春小説、なんてのと本書はまるで異なり、豊島さん曰く「五月病の大学生をさらにいたぶるような痛々しいキャンパス小説」とのこと。
つまり、大学に入ったからといって必ずしも面白い学生たちと知り合い、面白い日々を送れるとは限らない。
本書はそんな、せっかく大学に入ったのになんで?と思う「面白くない人」サイドの大学生活を描いた連作短篇集です。

そうなんですよねぇ、大学に入ったから、都会に出てきたからといってそう面白いことが起きるはずはない。・・・ない、のでしょうか?
というのは、私の場合東京育ち故に大学に入っても実家住まいであることは変わらず、大学生活の自由さ、気楽さを満喫したというものの生活にそう変化があった訳でもないからです。
都会での大学生活に夢を抱いて入学してきた人たちとは、その点かなり違うのだろうな、と思います。

3年間を下宿の部屋に埋もれて過ごした男3人、友達がちっともできない地方出の女の子、大学生活を謳歌したいとジタバタしている男子学生、自分たちの夢が浅はかであったことを気づかされた女子学生2人、周囲との違和感を知ってしまった女子学生、等々。
最初はつまらない生活だよなァと思ったものの、読み進んでいくうちにそんな彼らの生活もまた大学生活そのものだったことに気づき、懐かしい気分になります。
そんなにハッピーだったとは言えないにしても、“童貞メガネーズ”というコントチームを結成して騒ぎ始めたり、それなりに彼等にもこれはと思うことが起きてくるのです。
要は彼らは不器用だっただけのこと。そんな不器用な学生生活は私自身にも通じるところがあり、彼らが愛おしく感じられます

なお、本書は田舎の高校生活を描いた檸檬のころ連なる青春小説だろうと私は受け留めています。この先さらにどう連なる作品が書かれていくか、私としてはそれが楽しみです。
それにしても何故「神田川」なのかなァ? 南こうせつの唄にイメージが引っ張られてしまうではないですか。

見ろ、空は白む/いちごに朝露、映るは空/雨にとびこめ/どこまで行けるか言わないで/リベンジ・リトル・ガール/花束になんかなりたくない

   

豊島ミホ作品のページ No.2

 


   

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