西條奈加
作品のページ No.4



31.牧谿の猿-善人長屋No.4- 

32.初瀬屋の客
-狸穴屋お始末日記No.2- 

金春屋ゴメス、善人長屋、無花果の実のなるころに、閻魔の世直し、三途の川で落としもの、いつもが消えた日、上野池之端鱗や繁盛記、まるまるの毬、六花落々、睦月童

 → 西條奈加作品のページ No.1


秋葉原先留交番ゆうれい付き、大川契り、九十九藤、みやこさわぎ、雨上がり、月霞む夜、永田町小町バトル、隠居すごろく、亥子ころころ、せき越えぬ、わかれ縁

 → 西條奈加作品のページ No.2


心淋し川、婿どの相逢席、六つの村を越えて髭をなびかせる者、よろずを引くもの、首取物語、うさぎ玉ほろほろ、とりどりみどり、隠居おてだま、姥玉みっつ、バタン島漂流記

 → 西條奈加作品のページ No.3

 


                   

31.
「牧谿の猿-善人長屋- ★☆


牧谿の猿

2024年12月
新潮社

(1500円+税)



2025/01/05



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9年ぶりとなる善人長屋シリーズ第4弾。
久しぶり過ぎて、そういえばこんなシリーズがあった、と思い出すような思いでした。

6篇中、3篇が
“白狐の賊”絡みのストーリー。

悪党ばかりが住み暮らす千七長屋で、唯一人真っ当なのが
加助
余りに善人過ぎてお節介、そんな加助が人助けと持ち込んできた厄介な事を、仕方ないと長屋の悪党たちが始末をつけるというパターンは相変わらず。

ただ今回、加助の善人ぶり、お節介ぶりが然程ではない、もう一つパワー不足という印象で、その分長屋の住人たちも大奮闘というまでには至らず、したがって物足りず、という感じです。
それよりも、敵方となる悪党たちの非道さと、白狐の賊の存在感が目立ちます。

「白狐」:加助からの紹介だと、大店の内儀が白狐の根付を捜してほしいと千鳥屋(お縫の実家)に。
「三枚の絵文」:梶新九郎の袂に誰かが三通の文を。しかし文章はなく絵のみ。これは何を示しているのか?
「籠飼の長男」:菊松・お竹夫婦が那須湯からの帰途、男の子を助けて戻って来る。その幸次の事情は・・・。
「庚申侍」:加助が長屋に連れ帰ってきたのは、ずぶ濡れの武家の奥方。いったい何が・・・。
「白狐、ふたたび」:12年前に姿を消した白狐の賊が、再び現れた?
「牧谿の猿」:非道な悪党への報復篇。

白狐/三枚の絵文/籠飼の長男/庚申侍/白狐、ふたたび/牧谿の猿

                      

32.
「初瀬屋の客-狸穴屋お始末日記- ★★


初瀬屋の客

2025年03月
文藝春秋

(1600円+税)



2025/03/26



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わかれ縁に続く、公事宿<狸穴屋>もの第2弾。

主人公の絵乃は、前作では手代見習いでしたが、3ヵ月の見習い期間を経て正式な手代となり、2ヵ月経ったところ。
それでもまだまだ不慣れなことは多く、
椋郎が引き続き指南役である処は前作と変わらず。

公事宿ですから、狸穴屋に持ち込まれるのは様々な争いごと。
公事=法的な争いという訳で、それらをどう捌くか、如何にして勝つかが腕の見せ処。
人情ものではあっても、勝負ごと。そんな特殊さが本作の面白さです。

「祭りぎらい」:祭りに夢中になり過ぎなのが気に入らんと、想い合って結ばれた娘夫婦の婿に対し、笛師の義父が三行半。何とかしてほしいと頼まれますが・・・。
「三見の三義人」:何と2百年前からの、質入れした海に関する争い。このままでは帰れないと・・・。
「身代わり」:評定所留役である浅生南堂に対し、養子である浅生集堂が何と訴状。いったい何が?
「夏椿」:卒中で寝たきりとなった夫(今は隠居)の我が儘にもう堪えられないと、妻から離縁の申立て。息子、嫁も応援する中、どうやって三行半を了承させるか。

「初瀬屋の客」:狸穴屋主人であるの昔なじみである、旅籠<初瀬屋>女将のお笠からの依頼。30年も前に離縁した元夫が、何か企んでいるらしい、との相談。
「証しの騙し絵」:前章から続き。公事当事者が荒らそう場所でいったい何が起きるのか。サスペンス感たっぷりです。

祭りぎらい/三見(みつみ)の三義人/身代わり/夏椿/初瀬屋の客/証しの騙し絵

         

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