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21.探花−隠蔽捜査9− |
【作家歴】、隠蔽捜査、果断、疑心、同期、初陣、転迷、確証、欠落、宰領、自覚 |
精鋭、プロフェッション、真贋、去就、継続捜査ゼミ、変幻、棲月、エムエス継続捜査ゼミ2、清明、宗棍 |
21. | |
「探 花−隠蔽捜査9−」 ★★ |
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大森警察署の所長から神奈川県警の刑事部長へ。 本作は、竜崎伸也が神奈川県警の刑事部長として腕を揮う、その最初の巻。 竜崎の着任早々、横須賀署管内で殺人事件が発生。目撃者の証言によると、その場から逃走したのは白人らしい。 神奈川県警で竜崎の部下となったのは、阿久津重人参事官、板橋武捜査一課長。お互いに相手のことをまだよく知らず、少なくとも竜崎は手探り状態のようです。 それでも事件に白人が絡んでいるとすると、米軍基地と関わらざるを得ない。その対応のため竜崎は、横須賀署内に設置された捜査本部に出向きます。 そこからの展開が竜崎らしいところで、これまでの刑事部長とはまるで異なる行動をして周囲を驚かせます。 とはいっても大森署長であった時のように遠慮なく指示をすることはできず、捜査の陣頭指揮を執る板橋課長に任せる、口は出さないと明言し、遠慮しつつというのがスタート時点での姿勢。 それでも、徐々に竜崎らしさが出てくる処が楽しいのですが、まだまだ部下に気遣いつつという感じです。 一方、竜崎と入庁同期で、入庁試験トップ合格だったという八島圭介が福岡県警から異動し、神奈川県警の警務部長に着任。 伊丹曰く、奴には黒い噂があるから用心しろ、とのこと。 出世争いにばかり拘る典型的なタイプがこの八島、「俺は、ただの官僚じゃない、警察官僚だ」と断言する竜崎とは、考え方を大きく異にする相手のようです。 今回の事件そのものは大して複雑なものではなく、新たに刑事部長となった竜崎と、新たな刑事部長を迎える部下たちとが、折り合っていくための第一歩を描いた巻、と言って良いでしょう。 今後の巻が楽しみです。 ※竜崎の上司となる佐藤県警本部長が良識人であり、フランクな人柄らしい処、竜崎にとっては有難いことですね。 |
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