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1986年発表
1990年07月
新潮文庫刊
1991/06/16
2000/09/05
amazon.co.jp
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主人公ジェフ・ウィンストンは、43歳の時心臓発作で突然に死を迎えます。ところが、ジェフが意識を取り戻すと、彼は何と25年前の大学生に生き返っていたのです。
人生をもう一度若い時に戻してやり直したいという思いは、誰しも一度は思うことでしょう。しかし、何度もそれを繰り返すとなると、何度人生をやり直しても運命の時間に必ず死ぬと判っていると、それは“夢”を通り越して“悪夢”または苦しみとしか言いようのないものになります。まして、折角つかんだ愛するものを、その都度失わなくてはならないとなると。
この小説は、そうした夢物語とタイム・トラベルの面白さを、秀逸な構想でストーリィ化したものです。最初は漠然とジェフの人生が繰り返されるだけでしたが、ジェフが何度目かの人生でパメラ・フィリップスに出会った以降は、それまでと打って変わってストーリィは緊迫したものとなります。そして、まるで自分のことのように２人の人生にのめり込まざるを得ませんでした。
このストーリィが最後の局面に達した時、その緊迫感はとても凄いものです。どう言い表して良いのか、思いもよりません。このスリルを味わうためにここまで読んできたと言っても、過言ではないような気さえします。
このような類稀なアイデアから生まれた作品は、他にそうあるものではありません。是非！とお勧めしたい作品です。
※９年前に本書を初めて読んだ時、この作品の面白さ、アイデアに興奮したのは当然ですが、この直後に北村薫「スキップ」を読み、２作の構想の類似に驚愕したことが忘れられません。「スキップ」を読んで本書を未読の方、あるいは本書を読んでいながらまだ「スキップ」を未読の方は、この機会に是非もう一方の作品を読んでみることをお勧めします。
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