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【作家歴】、一朝の夢、いろあわせ、迷子石、柿のへた、夢の花咲く、ふくろう、お伊勢ものがたり、宝の山、立身いたしたく候、ことり屋おけい探鳥双紙 |
桃のひこばえ 、ご破算で願いましては、連鶴、ヨイ豊、葵の月、五弁の秋花、北斎まんだら、花しぐれ、墨の香、父子ゆえ |
赤い風、はしからはしまで、お茶壺道中、とむらい屋颯太、菊花の仇討ち、三年長屋、漣のゆくえ、本日も晴天なり、噂を売る男、吾妻おもかげ |
広重ぶるう、空を駆ける、我鉄路を拓かん、焼け野の雉、こぼれ桜、江戸の空水面の風、雨露、商い同心−人情そろばん御用帖−、紺碧の海、京屋の女房 |
| 「雷 電」 ★★☆ | |
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江戸相撲最強の力士、雷電為右衛門。その勝率は9割6分2厘。 一度敗れた相手に二度は敗けない、そんな雷電が唯一人、二度敗れた相手がいた。その相手は花頂山喜三郎。 雷電と花頂山の対決は、雷電の3勝2敗1預り。 しかし、その勝負の裏には、また大関・雷電が横綱免許を与えられなかったのには、当時の様々な事情があった。 雷電為五郎という稀代の力士、お抱え力士による各藩の威信を掛けた代理戦争といった江戸相撲の有り様を描いた、相撲の熱気溢れる時代小説の佳作。 主人公は、雲州松江松平家で江戸留守居役を務める伯父=石積権太夫の養子となり、江戸に出て来たばかりの多平太。 その松江藩、藩主の松平治郷が大の相撲好きとあって“相撲藩”という異名をとるほど。 そしてその相撲に関わるあれこれが、江戸留守居役のもう一つの役目という次第。 雷電は、松江藩のお抱え力士。だからこそ、主君を満足させるため勝ち続けてもらわねばならぬ、敗北などとんでもない。 雷電為右衛門という力士に関する物語という点も興味深いのですが、それ以上に、お抱え力士をもつ各藩の意地の張り合いが凄まじい。 それに絡んで、大相撲の裏側事情も、各藩のエゴ剥き出し、といった様。 相撲取り、相撲が嫌いだという多平太、雷電と共に、そうした身勝手な武家たちが振りまわす江戸大相撲の中で、どう身を処していくのか。 ※なお、多平太が親しくなる肥後細川藩の渡海喜十郎という存在が面白い。ストーリー中、多平太の案内役という風。 現代の大相撲とは似ている処もありますし、大きく違う処もあります。だからこそ、相撲の歴史を読む面白さあり。 そして、違うといっても、いざ取組となれば、熱気が文章の間から立ち上って来るようです。そこが圧巻。 歴史の面白さ、相撲の面白さ、雷電という力士の魅力、抜群の面白さです。お薦め! 序/1.土俵の外/2.因果の邂逅/3.申し合い稽古/4.疑惑の勝敗/5.横綱の行方 |
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