泉 ゆたか作品のページ


1982年神奈川県逗子市生、早稲田大学第二文学部卒、同大学院政治学研究科修士課程修了。2016年「お師匠さま、整いました!」にて第11回小説現代長編新人賞を受賞し作家デビュー。

 


                   

「お師匠さま、整いました! ★☆   小説現代長編新人賞


お師匠さま、整いました!

2017年01月
講談社刊

(1400円+税)



2017/02/07



amazon.co.jp
江戸時代、舞台となるのは大岡越前守の菩提寺である茅ケ崎の浄見寺にある寺子屋。
そこで師匠を務める
は、元々貧乏漁師の娘でしたが15歳の時に60歳間近の清道と夫婦になり、夫の死後その跡を継いで寺子屋の師匠を務めているという次第です。
清道との8年間にわたる夫婦生活の結果、なんとか師匠を務めているものの、実は算術嫌いという、おいおい大丈夫か?という人物設定。

幼馴染で今は大工の
平助は会うたび桃に遠慮ない口を聞き、9歳ながら利発で生意気な金持ち商人の娘であるは、算術好き。
そこへさらに、両親を増水で亡くしたという15歳の
が小田原から入塾を願って訪ねてくるのですが、これがまた算術好きで天分にも恵まれているという次第。
師匠である以上、算術は分からないと逃げる訳にもいかず、春や鈴を前にして桃が大奮闘、というストーリィ。

清道と夫婦になって一番楽しかったことは〇〇することだったと述懐したり、算術なんて人を不幸せにするだけ
と思っていたという桃と、算術問題を解くのが大好きという春や鈴、桃を師匠扱いしない平助という個性的なキャラクターが実に生き生きとしていて、その4人の絡み合いがとても楽しい。
また、算術に関しては頼りないながら、生意気ぶりを発揮する鈴をピシッと叱りつける辺り、桃の寺子屋師匠ぶりは中々です。

ストーリィや桃の人物設定に多少バランスの悪さを感じることや、寺子屋なのにまるで教え子が2人しかいないかのような展開にはちょっと不満が残りますが、その一方、4人のコミカルで生き生きとしたやりとりは十分魅力的。
江戸時代の女性版“お仕事小説”というところでしょうか。

※なお、題名の
「整いました!」とは、算術の解答が出せた、という意味のようです。

桃の寺子屋/天賦の才/大岡越前守の量地塾/清道の手紙/酒匂川へ/算額の誉

        


   

to Top Page     to 国内作家 Index