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2.指輪をはめたい 3.フラミンゴの家 |
●「ミカ!」● ★☆ 小学館児童出版文化賞 |
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2004年04月
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小学校6年生の双子、ミカとユウスケを主人公にした作品。 子供時代から、大人への入り口に差しかかる時期における、2人の心の揺れを描いたストーリィ。誰しも経てきたこうした時期、思い返すと懐かしくも、すっぱくもあります。 |
●「指輪をはめたい」● ★☆ |
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2006年11月
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スケートリンクで頭を打ち病院で意識を取り戻したと思ったら、ここ数時間の記憶を失っていた、というのが幕開け。 本書の直前に読んだ藤堂志津子「つまらない男に恋をして」と、奇しくも対照的なところが面白い。 |
●「フラミンゴの家」● ★★ |
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6年前に別れた妻が急に手術をすることになったからと、ずっと会っていなかった娘の世話を急に託され、困惑しつつも奮闘するというストーリィ。 舞台となる場所は関西のとある町で、賑やかな駅の北口に対して“町の下半身”といわれる南口。俗に「シャッター通り」とも言われるほど寂れた商店街で、主人公の正人はスナックの店長をしている。 お互いに寄り添い、支え合う必要があるからこそ、初めて家族という関係が成り立つ。単に血が繋がっているという単純な理由からでなく、もっと真摯な人と人との関係がそこにはあります。 |
4. | |
「はやく老人になりたいと彼女はいう」 ★★ |
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小学4年の和馬と美優は、仲間たちにわざとか置いてきぼりにされ、夜の暗い森の中を二人だけで歩き続ける。 その2人が出会ったのは、認知症を患っているらしい老女。 さらに、和馬と美優の母親と父親が、和馬の行方を捜して森の中に入り込みます。この2人、かつて恋人同士、現在は離婚済と別居中の状況。さて・・・。 少年と老女が森の中を彷徨い、さらに少年を探してかつて恋人同士、現在は共に結婚生活に破たんが生じている中年男女が森に入り込んでいく。 森の中を彷徨うというと、西欧おとぎ話のイメージ。本ストーリィはおとぎ話の一つと言って良いのでしょうか。 行き先のわからない森の中を彷徨う、まるで現在の和馬、そして和馬の母親である内海麻里子、美優の父親である久我敬吾の状況そっくりのようです。 でも森の中を彷徨っている限りは様々な面倒事から逃げていられます。しかし、いずれ彼らは森から連れ出される、あるいは森の出口に行き着く筈。 現代おとぎ話なのか、それともシリアスな人生ドラマなのか。 おとぎ話的だよな、と思い、「そんなこともあるさ」と笑って共感できる、そんなストーリィと感じます。 |