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21.灯 |
【作家歴】、メグル、あの日にかえりたい、てふてふ荘へようこそ、四龍海城、ばくりや、向かい風で飛べ! 願いながら祈りながら、モノクローム、森に願いを、ミツハの一族 |
花が咲くとき、わたしの忘れ物、カレーなる逆襲!、コイコワレ、明日の僕に風が吹く、龍神の子どもたち、おまえなんかに会いたくない、水底のスピカ、花ざかりを待たず、葬式同窓会 |
「灯(あかり)」 ★★ | |
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主人公の相内蒼は、母=めぐみと二人暮らし。 といっても母親は友人とレストランを起業し、いつも外で精力的に活動している。 そんな訳で蒼は、食事とか家事とか、小学生の頃から自分でやらざるを得ない。そんな娘に母親は、蒼が自立することに役立つから望ましいこと、と励まします。 そんな蒼は、一人でいることが平気、むしろ人と一緒にいることは苦痛でしかない。 小四、そんな蒼に遠慮なく近づいてくるのが、同級生の坂本冬子であり、米田虎太郎。 その米田から教えられた“夜間街光調査官”という仕事に、蒼は強く惹かれます。 そして高校生となった蒼は、そこで再び、冬子、そして米田(定時制にして野球部のエース)と出会います。 依然として人と一緒にいることが苦手な蒼ですが、明るく積極的な冬子によって女子グループの一員として引き込まれ、米田を応援したいという気持ちから野球部に入部(冬子と共に)することとなり、何だかんだといっても人と関わることで、視野を広げていく。 その一方、母親との気持ちの食い違いは大きくなるばかり。そうした中、母親が祖母と絶縁状態にある事情を知り・・・。 何と言っても、相内蒼という主人公のキャラクターが飛びぬけていて、面白い。その蒼に性懲りもなく関わっていく冬子、米田という登場人物も魅力的です。 そして、単なる成長物語といった枠に閉じ込められないのは、やがて生じる、蒼の母親からの自立、決別にあります。 自分の母親がどういう人物であるのか、それをきちんと見極めることができるようになった処にこそ、蒼の成長を感じるのです。 最後の母娘のシーン、心に残るなァ。 第1章〜第13章 |
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