乾 ルカ
作品のページ No.2



11.
花が咲くとき

12.わたしの忘れ物

13.カレーなる逆襲!

14.コイコワレ

【作家歴】、メグル、あの日にかえりたい、てふてふ荘へようこそ、四龍海城、ばくりや、向かい風で飛べ! 願いながら祈りながら、モノクローム、森に願いを、ミツハの一族

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11.
「花が咲くとき」 ★★


花が咲くとき

2016年03月
祥伝社刊

(1600円+税)



2016/04/01



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主人公は札幌に住む小学6年生、瀬川大介
その大介は、学校では同級生から執拗なイジメを受けており、家では両親から成績のことで怒られてばかり。その積もり積もった鬱積を大介は、隣に住む
佐藤北海という、近所から気味が悪いと言われている独居老人が庭で育てているらしい貧弱な木の花芽を削りとることで解消しています。
夏休み、成績のことでまたもや両親から叱りつけられた大介は、佐藤北海さんがボストンバックを持って家を出ようとしているのをみかけ、咄嗟にその軽トラックに潜りこみます。
そして北海さんの跡を付けるまま、苫小牧港から大洗行きのフェリーに乗り込みます。

本書は、何か秘密を抱えているらしい北海老人と、老人が仕出かそうとしている結果を見極めようとする小学生=大介という不釣り合いな2人によるロードノベル。
ストーリィ設定もキャラクター設定も全く異なりますが、どこか
マーク・トウェイン「ハックルベリー・フィンの冒険に通じるものがあるように感じます。

大介にとっては「可愛い子には旅をさせろ」という言葉通りの、様々な人との出会いによる貴重な人生体験・社会学習となる旅。
一方、佐藤北海老人にとっては、大介が介入してきたことにより続けざるを得なくなった旅。
前半はまるでお互いに敵視し合うかのような緊張を孕んだ旅ですが、後半に入るとそれが一転、お互いに支え合うような旅へと変化していきます。
その微妙なバランス具合とその苦みが、本ロードノベルに惹きつけられる理由と言ってよいでしょう。

忘れ難い思い出となるだろう、札幌から長崎までという長い旅を描いた長編作。お薦めです。


1.出立/2.取引/3.同行/4.対価/5.矜持/6.反発/7.強者/8.過去/9.覚悟/10.約束

               

12.
「わたしの忘れ物 Lost and Found ★★


わたしの忘れ物

2018年03月
東京創元社刊

(1700円+税)



2018/04/09



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H大学3年の中辻恵麻、なんとなく大学の学生課に足を運ぶと、奨学係の女性から強引にバイトを押し付けられます。
しかたなく恵麻が赴いたそのバイト先は、大規模商業施設の中にある
“トウッティ忘れ物センター”
しかし何故、
ユウキという奨学係の女性は恵麻に「行くべきよ」と言ったのか。
バイトの期間は、係長の女性が介護休暇中の03/19〜05/06までという短期間。
水樹凛、橋野聡一という共に年上の20代職員に見守られるようにして、恵麻は忘れ物センターでバイトを始めます。

忘れ物と言っても、誰からも見向きされないようなガラクタ同然のものばかり、と恵麻には思えます。
しかし、忘れ物センターに届いていないかと探しに来る人がいます。他人からみればガラクタでも、本人にとっては大事なもの。それは、そこに大事な思いが籠っているから。
自分には存在感がない、ミス・セロファンと自嘲する恵麻の気持ちが、幾つもの忘れ物に関わるうち次第に変化していく、というストーリィ。

そして最後は、恵麻自身に関わる忘れ物のストーリィ。
しかし、そこにまさかそんなドラマが待っていようとは!
でも、恵麻と高校時代の親友=美影との間にそうしたドラマがあったからこそ、本作は心に残る、忘れ難いストーリィに至ったという気がします。
乾ルカさんらしい、切れ味の良い結末。読了後の余韻は、深いものがあります。


妻の忘れ物/兄の忘れ物/家族の忘れ物/友の忘れ物/彼女の忘れ物/私の忘れ物/エピローグ

                 

13.
「カレーなる逆襲!−ポンコツ部員のスパイス戦記− ★☆


カレーなる逆襲!

2018年07月
文春文庫刊

(780円+税)



2018/10/12



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一年生部員が急性アルコール中毒で重体、というマスコミ報道がされたことによって、小樽経営大学野球部は廃部の危機。
野球部員たちに救済条件として示されたのは、
北海道総合大学との定期対抗戦に設けられた特別競技種目<カレー戦>に出場すること。
適当に作ればいいんじゃないのと適当な気持ちで臨んだ樽大野球部員たち、道大が作ったカレーの美味さに圧倒され、大差による惨敗。
しかも、相手は正式なカレー部。そして今回の対抗戦は、15年前に行われた同じカレー対抗戦で道大が樽大に惨敗した遺恨試合だったと聞かされ、衝撃を受けます。

そこから樽大のリベンジが開始されます。道大に再試合を申し入れた結果、あと2試合を行い、計3試合での結果で決着をつけるということで合意。
さっそく樽大メンバーたち、全て受け身で生きて来た院生主将の
森一郎、マネージャー兼コーチの白石苗穂、貧困家庭育ちの恵山(えさん)光、36歳の新入部員=砂原健介という面々、さっそく樽大を凌ぐ美味カレー作りに挑みますが、そう簡単に作れる筈もなく・・・。
最後は、樽大OBで伝説のカレー伝道師
“カンチョウ先輩”に頼ることになります。

大学対抗戦という大学もの青春ストーリィ。
如何にカレーとはいえ、部員たちが協力し合って挑戦するという展開は、青春ストーリィに他なりません。それは、樽大野球部に限らず道大カレー部にとっても同じこと。

なお、このカレー対決は、乾ルカさんが北海道大学で臨時職員をしていた頃、小樽商科大学との対抗戦において実際に行われたことだそうです。
編集担当者からこれで一作書けますと言われたものの、結局10年かかってしまったとのこと。
 
青春もの、やっぱり好きなんですよねぇ。本作もコミカルとはいえ、誤りなく青春&成長ストーリィ。
単にカレー対決だけでなく、そのための準備、練習を通じて、それぞれに問題を抱えていた部員たちが、そのトラウマを乗り越え、一歩成長していくストーリィなのですから。その辺りが読み処です。


プロローグ/1.残党のお仕事/2.ポンコツ部員がけっぷち/3.見つけた!カンチョウ先輩!/4.まだ負けてない/5.雲ひとつない/エピローグ

          

14.
「コイコワレ --


コイコワレ

2019年06月
中央公論新社

(1700円+税)

2019/07/--

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       近日中に読書予定






      

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