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12.マンザナ、わが町 13.父と暮せば 15.東京セブンローズ 16.わが友フロイス 17.わが人生の時刻表 19.紙屋町さくらホテル 20.日本語は七通りの虹の色 |
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夢の裂け目、あてになる国のつくり方、太鼓たたいて笛ふいて、話し言葉の日本語、兄おとうと、夢の泪、イソップ株式会社、円生と志ん生、箱根強羅ホテル、夢の痂 |
ロマンス、ムサシ、組曲虐殺、一週間、東慶寺花だより、グロウブ号の冒険、黄金の騎士団、一分ノ一、言語小説集、馬喰八十八伝 |
●「ある八重子物語」● ★★★ |
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1995年09月 1992/08/08 |
女優・水谷八重子さんの評伝劇かと思ったのですが、そうではなく、八重子ファンである古橋健一郎を主人公とした戯曲。 とはいっても、新派劇好きの古橋医院の人達、とくに古橋院長と柳橋芸者ゆきゑの弟である京大生・一夫とのやり取りで、女優としての水谷八重子さんが充分に語られています。 初めと終わりに登場する恋愛物語の部分は、穏やかでつつましく、好ましいものです。二人を見守る周囲の人々の眼も温かい。 |
●「マンザナ、わが町」● ★☆ |
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時は1942年03月下旬、場所は米国カリフォルニア州オーウェン郡マンザナ。 「ひろびろとひろがる平原に、わたしたちの町マンザナが拓かれようとしています。マンザナ・・・」「日本人の血を引くすべての人びとのまほろば」「マンザナ、マンザナ、マンザナ!」 浪曲師を除いては何れも若い女性ということで、志願して戦場に向かった若者たちのことは一切触れられていません。 事実の重さ故か、井上ひさし戯曲に共通する軽妙な可笑しさ、捻った面白さは、比較的薄い印象の作品。 |
●「父と暮せば」● ★★★ |
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2001年01月 1998/05/25 |
原爆の罹災地・広島の悲劇を改めて問いかける二人芝居。実際に舞台に登場するのは、主人公・美津江と父の竹造だけ。 原爆で多くの人が死にながら自分が生き延びたことに対して、美津江は自責の気持ちを捨てきれない。彼女の前に現れた恋に対しても、彼女は自らその気持ちをふさごうとする。そんな美津江をかばい、竹造は彼女を励ます。そういうストーリィ。 広島弁を駆使した二人の会話には、作者ならではのおかしさがあり愉しい。けれども、悲劇をベースにしているだけに、他作品に比べるとそれは抑え気味。 美津江の「うちゃあ生きとんのが申し訳のうてならん」という心からの叫びは、聞くに痛ましい。 本作品は短く軽妙な芝居に仕上がっている分、井伏鱒二「黒い雨」あたりに比べると読み易いのですが、その中味をじっと考えるととても深いものを秘めていることを感じます。 |
※ 映画化 → 「父と暮せば」
●「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」●(井上ひさしほか文学の蔵編) ★★ |
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2002年01月
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岩手県一関市で開催された、主催:文学の蔵(設立委員長:三好京三)、校長:井上ひさしという、3日間の作文教室。
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●「東京セブンローズ」● ★★★ |
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2002年04月
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戦況が行き詰まってきた昭和20年から終戦直後まで、東京根津の、団扇屋だった平凡な一市民・山中信介を主人公にした作品。 井上作品にしてはしみじみとした味わいがあります。それだけに、井上さんの内に秘めた意気込みが感じられるようです。ここまでが前半。 さて「東京セブンローズ」とはどんな意味をもつ題名なのか。そこに井上さんらしい仕掛けが詰まっています。多様な面白さにやっと気づいた時、久しぶりに充実した読後感を手に入れました。 |
●「わが友フロイス」● ★★ |
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戦国時代に布教のため来日したイエスズ会の宣教師ルイス・フロイスの一生を綴った作品です。フロイスは、長大な日本史を書き残した人物でもあります。 |
●「わが人生の時刻表−自選ユーモアエッセイ1−」● ★★ |
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本書の内容は、井上さんの浅草ストリップ劇場時代から、劇作家業当初の頃のこと、戯曲作品への思い入れ等と広範囲に及び、井上ひさしファンとしては充分に楽しめる一冊です。 「ブラウン監獄の四季」1977年講談社刊/「パロディ志願」1979年中央公論社刊/「風景はなみだにゆすれ」1979年中央公論社刊/「さまざまな自画像」1979年中央公論社刊/「聖母の道化師」1981年中央公論社刊/「悪党と幽霊」1989年中央公論社刊/「遅れたものが勝ちになる」1989年中央公論社刊/「ニホン語日記」1993年文芸春秋刊/「死ぬのがこわくなる薬」1993年中央公論社刊/「文学強盗の最後の仕事」1994年中央公論社刊/「餓鬼大将の論理」1994年中央公論社刊 |
●「四千万歩の男 忠敬の生き方」● ★ |
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2003年12月
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題名からして判ると思いますが、「四千万歩の男」=伊能忠敬にまつわるエッセイ、対談、講演録等をまとめた一冊です。 一身にして二生を経る/伊能忠敬先生に叱られて/伊能栄に聞く/足にこだわって話は伊能忠敬に及ぶ/素晴らしきかな伊能忠敬的セカンドライフ/根津の大石/地図ゲーム/歴史は地理にかなわない/歩く論理(対談・安野光雅)/「四千万歩の男」の読み方作り方/読者が聞く「四千万歩の男」/忠敬と同時代人/途方もない大事業 |
●「紙屋町さくらホテル」● ★★ |
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副題に「最新戯曲集」とあります。戦前戦後に時代設定した3篇の戯曲を収録した一冊。 「紙屋町さくらホテル」は、敗戦直前の昭和29年、広島の小さなホテルが舞台。移動演劇隊・さくら隊の面々に、天皇の密命を受けた海軍軍人、それを追う陸軍軍人が混じり、一生懸命舞台を作り上げようとします。庶民の視点から戦争責任を問う、そんなストーリィ。 紙屋町さくらホテル/貧乏物語/連鎖街のひとびと |
●「日本語は七通りの虹の色−自選ユーモアエッセイ2−」● ★☆ |
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自選ユーモアエッセイ、第2弾。 「新東海道五十三次」1976年文芸春秋刊/「ジャックの正体」1979年中央公論社刊/「私家版日本語文法」1981年新潮社刊/「聖母の道化師」1981年中央公論社刊/「本の枕草子」1982年文芸春秋刊/「ことばを読む」1982年中央公論社刊/「にっぽん博物誌」1983年朝日新聞社刊/「自家製文章読本」1984年新潮社刊/「悪党と幽霊」1989年中央公論社刊/「ニホン語日記」1993年文芸春秋刊/「文学強盗の最後の仕事」1994年中央公論社刊/「餓鬼大将の論理」1994年中央公論社刊/「ニホン語日記2」1996年文芸春秋刊 |
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