池澤春菜作品のページ


1975年ギリシャ生。声優、舞台女優、歌手、エッセイスト。「SFマガジン」での連載のほか、文芸各誌で文筆家として活躍。第20代日本SF作家クラブ会長(2020〜2022年)。父は作家の池澤夏樹、祖父は同・福永武彦。


1.わたしは孤独な星のように 

2.光雨往来 

 


                    

1.
「わたしは孤独な星のように ★★
  I Wandered Lonely as a Star and Other Stories


わたしは孤独な星のように

2024年05月
早川書房

(2100円+税)



2024/06/01



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豊かな着想を堪能できるSF短篇集。
清新な味わいが魅力です。

「糸は赤い、糸は白い」:真菌が人間の脳に感染、その結果協調性が生まれ平和になったという舞台設定。そこに年頃の少女たちの青春期らしい感情を絡めたところが面白い。

「祖母の揺り籠」:地球、人類の未来を予想すると、やはり海に行き着くのでしょうか。上田早夕里作品に通じるものを感じました。
「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」:突然のリアル女子会開催企画。油断して太ってしまったのを慌てるのが可笑しい。

「Yours is the Earth and everything that' in」:SFというより、これはもうリアルな近未来の姿ではないでしょうか。
 2067、2040、2038、2067年と4つの時期に分けて描かれるストーリー。豊かな物語性を感じる篇。

「宇宙の中心でIを叫んだワタシ」:「あるいは脂肪・・・」の主人公=上出萌が再登場。かつてのヒット作のモジリか。

「わたしは孤独な星のように」:母親の遺言を果たすため、母親の友人と共に旅する、ロードノベル。
SFであってもロードノベルはやはり楽しい。


糸は赤い、糸は白い/祖母の揺籠/あるいは脂肪でいっぱいの宇宙/いつか土漠に雨の降る/Yours is the Earth and everything that' in it/宇宙の中心でIを叫んだワタシ/わたしは孤独な星のように

                

2.
「光雨往来 ★☆


光雨往来

2026年04月
角川書店

(1800円+税)



2026/06/03



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池澤春菜さんの台湾好きがいっぱいに感じられる短編集。

でも確かに台湾といえば、明るくて気さくで親日的、気軽に入っていって楽しめる、という雰囲気があります。
私が台湾へ観光旅行で行ったのは一度だけですが、実体感以上にそんな空気、雰囲気が感じられるようです。

本作はその台湾を題材にした短編集で、5篇の内4篇は台湾が舞台。
日本国内で心が傷ついた人がふと台湾へ心が向く、そんな主人公を台湾の人々、お茶が優しく受け入れてくれて癒される。
しかし、大日本帝国時代に我が国が台湾の人々を傷つけたという歴史も現にあり、それが消える訳ではありません。
そうした事実があったことを、日本人の我々は忘れてはいけないことでしょう。

「光を飲む」:主人公は凪、傷ついた心を癒すため台湾に。
「神様のお粥」:小さな神様メイメイは、最近元気のない小莉のことが心配なのですが・・・。
「猫猫馬馬虎虎」:長谷川眞朱は、会社の仕事で適応障害。気分替えに台湾へ二週間の語学研修に。
「ペトリコール」:國際芸術村の企画に参加した佐々野命。彼が出会ったのは、雨の日にだけ現れる郵便局・・・。
「光をほどく」:日本にやって来たノノが洩らした台湾人の辛さとは・・・。

※「光を飲む」、何処かで同じような話を読んだ気がすると感じ、やっと思い出したのは
古内一絵「女王さまの休日でした。

光を飲む/神様のお粥/猫猫馬馬虎虎(マオマオマーマーフーフー)/ペトリコール/光をほどく

         


   

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