シャルル・トリッテン作品のページ


Charls Tritten


1.
それからのハイジ

2.ハイジの子どもたち

 


  

1.

●「それからのハイジ」● ★★
原題:"HEIDI GROWS UP/A Sepuel to HEIDI”   訳:各務三郎




1939年発表

2003年8月
ブッキング刊
(1500円+税)

 


2004/06/05

 


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シュピリ「ハイジの仏訳を手がけた著者が、ハイジのその後を読みたいという多くのファンの期待に応えて書いた、後日物語です。
こうした原作者ではない人の手がけた後日物語を読むことは、良いことなのか、それとも悪いことなのか。原作を上回るということはまず考えられないので、場合によってはかえってがっかりしてしまう、ということもあるでしょう。
私自身は、原作とは別の物語、として読むことにしています。そう思って読めば、気楽なものです。

さて、本書のハイジは、冒頭で14歳になっています。
となれば、純粋無垢の小さな女の子だったハイジと同一でありえないのは、たとえシュピリが書いたとしても同じこと。後日物語とは、そもそもにしてこうしたハンデを負っているものです。
本書の前半は、ローザンヌにある寄宿制の学校に入ったハイジの物語。この辺りはウェブスターの小説が思い浮かびます。
そして後半は、ドルフリの村に戻り、学校の先生になったハイジの物語。今度はアンの青春が思い浮かびます。そして、可哀相な村の男の子を、ハイジやペーターたちが救うストーリィ。「ハイジ」でハイジやペーターを温かく見守る大人達がいたように、今度はハイジたちが子供達を見守る立場です。
「ハイジ」のような奥深さ、自然の美しさや人の深い心情に触れる感動はありません。ハイジのその後の物語をざっと追った、という観があります。それでも、別の物語として読めば、感動する場面は幾つもあります。
原作を損なうことなく、それなりに楽しめる良質の後日物語と言って良いでしょう。

  

2.

●「ハイジの子どもたち」● ★★☆
 
原題:"HEIDI'S CHILDREN/A Sepuel to HEIDI GROWS UP”   訳:各務三郎




1980年3月
読売新聞社刊

2003年8月
ブッキング刊
(1500円+税)

 


2004/06/06

読み終えた印象において、「それからのハイジ」と本書では大きな違いがあります。
それは、「それからのハイジ」がシュピリ原作の後日物語をなぞったという観があるのに対して、本書はトリッテンが築き上げたハイジの物語世界だからです。
もはや原作の「ハイジ」を気にする必要はありません。本書は原作とは違った、別のハイジ物語と言うべきでしょう。

前作の最後で結婚したハイジは、本書において愛情に溢れた一家の主婦であり、堂々たる中心人物になっています。
そのハイジの家に新たな家族の一員として加わるのが、マルタという少女。前作のローザンヌの寄宿学校でハイジの親友となり、誘われてハイジの後任として学校の先生になったジャーミーの幼い妹です。彼女は両親の愛情に恵まれず、愛しんでくれた祖母を喪ってヒステリックになっている女の子。
そのマルタを、ハイジは、そしてアルプスの美しい山々はどう受け入れて癒すのか。本書は、そのマルタ救済のストーリィといって間違いではありません。
ハイジの“子どもたち”とは、そのマルタと、ハイジのトビ、マルタリという双子を指しています。
人が生きていくうえで、何が大切か、何が幸せか。それについて語っているのはもはやトリッテン自身です。
単に後日物語といって済ませてしまうには勿体ない、それだけの感動が本作品にはあります。

   


 

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