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1.アンジェラの灰 2.アンジェラの祈り |
●「アンジェラの灰」● ★★★ |
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1998年07月
2006/02/04
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アメリカ生活に行き詰まり、両親は生まれ故郷のアイルランドに戻ります。しかし、戻ったアイルランドの町リムリックでも、マコート一家の状況は極貧生活。 本書は、そんな著者自身の少年時代を描いた回想記です。
マコート一家の極貧生活の理由は単純。飲んだくれでろくでなしの父親の所為。 貧しいからこそ自立心が育つのでしょうか。フランクは16歳になると働き出し、自らの才覚で「アメリカに行く」ための資金を貯めていく。 |
●「アンジェラの祈り」● ★★☆ |
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2006/03/07
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19歳で単身アメリカに渡ったフランキーのその後を綴る「アンジェラの灰」の続編。前作同様、たっぷりとした読み応えのある一冊です。 アメリカに着いたからといって万事が順調に進むものではない。そのことを著者は思い知らされます。それでも船で知り合った司祭から下宿と仕事先を紹介してもらえたのは未だ幸運だったと思う。 ホテルの掃除人、港湾倉庫会社での肉体労働、そして徴兵。徴兵期間中に書記を命じられタイプに上達、除隊・ニューヨークに戻ってから復員兵援護法を利用してニューヨーク大学に入学する。そこで教員資格をとって、卒業後何とか職業技術高校教員の職にありつく。相当な安給料だったようですが。 アメリカでの生活は常に劣等感に苛まれ、常に底辺にしがみついているような生活。それでも他者を羨んだり、僻んだりすることなく、自分の至りなさばかりを嘆く。つい哀れんでしまいそうになりますが、これって凄いことなのではないか。 恋人にふられ、教師の仕事も満足に全うできないと嘆き節ばかりが聞こえますが、それは著者の素直さ、謙虚さの現れと受け止めるべきでしょう。 |