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●「千年の祈り」● ★★☆ フランク・オコナー国際短篇賞他 |
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2007年07月 2023年10月
2007/08/17
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デビュー短篇集にもかかわらず、数々の文学賞を受賞した書。 作者は中国人女性で、米国に留学して免疫学で修士号を取得した後小説家を志したという変り種ですが、本書を読み終えるとその辺りの事情もなんとなく納得がいきます。 僅か
240頁余りの中に合計10作品。したがってどれもごく短い作品ですが、読んだ印象ではとてもそんな風には思えません。中篇小説というに値する濃さ、深みが本書にはあります。 収録された10作品の中では、創作科卒業前に雑誌掲載されたという「不滅」と冒頭作「あまりもの」、そして「市場の約束」が特に心に残りましたが、それらをはるかに超えて表題作「千年の祈り」が抜群に秀逸。 ※なお、何故あれだけの中国人が外国へ出て行くのか。その理由が本書を読んで初めて判った気がします。 あまりもの/黄昏/不滅/ネブラスカの姫君/市場の約束/息子/縁組/死を正しく語るには/柿たち/千年の祈り |