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1.いちばんここに似合う人 2.あなたを選んでくれるもの 3.最初の悪い男 4.はいつくばって |
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「いちばんここに似合う人」 ★★ |
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2010年08月
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フランク・オコナー国際短篇集を受賞した短篇集、16篇を収録。
どれもとりとめのないストーリィのように感じますが、いずれも現代社会に生きる人々の、癒されることのない孤独感を描き出した作品ばかり。 生きる営み=孤独と向かい合うこと=孤独こそ彼らの人生。彼らにそんな姿は、まるで現代社会における殉教者のように感じられます。 16篇の中でも印象に残ったのは、次の4篇。 共同パティオ/水泳チーム/マジェスティ/階段の男/妹/その人/ロマンスだった/何も必要としない何か/わたしはドアにキスをする/ラム・キエンの男の子/2003年のメイク・ラブ/十の本当のこと/動き/モン・プレジール/あざ/子供にお話を聞かせる方法 |
| 「あなたを選んでくれるもの」 ★★ 原題:"It Chooses You" 訳:岸本佐知子 |
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2015年08月
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映画の脚本に行き詰まった作者が、ふと思いついて始めた、フリーペーパー「ペニーセイバー」に売買広告を出しているごく普通の人を訪ね歩いて行ったインタビュー集。 売り出されているものはというと、黒革ジャケット、スーツケース、おたまじゃくし、アルバム、古いドライヤー等々。 ごく普通の人々に対して行った地味で日常的なインタビューと思っていた処、その様相は次第に印象を変えていきます。 考えてみればすぐ気づくことですが、普通の人であればいきなり見知らぬ相手から自宅を訪ねてのインタビュー依頼など、応じない筈なのです。 それに応じるというところから、どの人物もごくフツーの人とは言い難い、依頼に応じるのは誰かに自分の存在を認めてほしいという願望が心底にあるからこそ、と思うのです。 カメラマンと一緒に相手を訪ねて行った作者、時としては、普通だったら同席などしたくない相手、早く立ち去りたいという衝動を堪えるようなこともあったと語られています(一方、中には穏やかな人物もいますが)。 ごくフツーの人たちに比べると、どこかズレてしまった人たち。そんな相手に対して優越感をもつことは簡単ですが、しかし、その当人たちは自分のことをどう感じているのでしょう? 変なところなど何処にもない、自分が問題を抱えているなどとは思ってもいないのではあるまいか。 時に不気味ささえ感じてしまう、これらの人たちとの距離感、どう捉えれば良いのやら。 自分の思いもしない世界がこんなにも広がっているなんて・・・と感じるばかり。 最後に作者が出会った老人ジョーとの関わりには、ホッとさせられるところがあります。 |
| 「最初の悪い男」 ★★☆ 原題:"The First Bad Man" 訳:岸本佐知子 |
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2018年08月
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主人公のシェリル・グリックマンは、43歳、独身、という現代社会における寂しい女性の一人。 現実での寂しさを紛らわすかのようにシェリルは、持ったこともない子供や荒々しいセックス等々、妄想を繰り広げながら生きています。 そんなシェリルが、頼まれて上司夫婦の娘=21歳のクリーを一時的な居候として受け入れた途端、シェリルのそれなりに安定していた世界は散々に破壊されていくばかり・・・。 ヘンテコと言えばヘンテコなストーリィ。 シェリル、何故クリーに対し、嫌だ、出て行けと言えないのか。無理矢理自分を納得させて我慢しているのだろうか。 妄想ばかり繰り広げているから、現実の難局になんら対応できない、ということなのか。 そのクリー、美人、巨乳とはいえ、だらしないうえに傍若無人、そのうえ足がひどく臭いと、もう最低の同居人。 それだけクリーの存在は、生々しい現実と言えます。 妄想は現実に全く対抗し得ず、シェリルはクリーの前にじりじりと後退を余儀なくされるばかりなのですが、そのシェリルとクリーの関係があれよあれよという間に一転二転していく。 そこは面白いというか、呆気にとられるというか、破天荒な可笑しさがあります。 ところが、そんなシェリルとクリーの2人に、予想もしなかった事態が・・・。 ひょんなことから現実世界での喜びを手に入れたシャリルがその一方で覚悟するのは、いつか捨てられ、また孤独になるのではないかということ。 決して愛が足りない訳ではない、ただ不器用なだけ。そんなシェリルが孤独の再来を予想する心情は、切なく、そしてとても愛おしい。 それなのに、あえて勇気をもって一歩を踏み出したシェリルに、精一杯のエールを送りたい気持ちになります。 ※エピローグの場面、胸にじ〜んと届いてくるなぁ。 可笑しさと切なさと、愛しさが籠った作品。是非お薦めです。 |
| 「はいつくばって」 ★★ 原題:"All Fours" 訳:岸本佐知子 |
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2026年08月
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主人公の「私」は45歳、名の知れたアーティストであり、レコードプロデューサーの夫=ハリスと、7歳の息子=サムとの三人暮らし。 昔の作品が大手会社に買い上げられ、そのおかげで二万ドルの臨時収入を得ます。それをリフレッシュの良い機会として、車で一人大陸横断しニューヨークまで行くという計画を立てます。期間は二週間半。 さて出発、一路NYを目指して・・・という筈なのですが、何故か僅か30分で高速道路を降り、そのモンロビアの町のモーテル<エクセルシオール>に投宿します。 そこからが凄い、いや呆れるというか、えっ何なの?と。 勝手に部屋の模様替えを始め、その代金として二万ドルを費やします。 さらに、レンタカー店の若い男=デイヴィーと親密になり、二人で逢引しては、互いに性的妄想を繰り広げるという始末。 その背景には、子育てにおける不満があり、また更年期を目前にした焦りがあり、それが私をして暴走、性的妄想にかき立てた、という次第。 そうした年代の女性たちがいろいろ登場し、本音トークや性的痴態を繰り広げるという内容ですから、本作の発表以降大きな反響を呼び、多くの女性読者たちから熱い支持を受けた、というのも納得です。 男性読者としては、へーそういうものなのかぁと、教えられた感じ、かつ少々呆れ気味、という処なのですが、本作の衝撃度は理解できる気がします。 結末はどうなったかというと、人生はいろいろあるよね、という処で、更年期になったからといって人生はまだまだ終わりじゃないと納得した思いです。 |