デイヴ・エガーズ作品のページ


Dave Eggers 1970年生。2000年「驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記」が40週連続で全米ベストセラー入りし、ピュリュツアー賞候補になる。映画「かいじゅうたちのいるところ」で、スパイク・ジョーンズと共に脚本を担当。

 


  

●「かいじゅうたちのいるところ<小説版>」● ★★
 
原題:"THE WILD THINGS A Novel"     訳:小田島恒志・小田島則子

 

 
2009年発表

2009年12月
河出書房新社

(1600円+税)

  

2010/01/01

 

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本書は、モーリス・センダックの世界的名作絵本かいじゅうたちのいるところの映画化に伴う、映画の脚本を担当した一人、デイヴ・エガーズによる同絵本の小説化。

絵本を小説化したものですから、主人公マックスが家出して船出するまで、たどり着いた島でのかいじゅうたちとのあれこれと、絵本では到底描かれなかった部分が詳しく描かれています。

何よりの違いは、マックスが出会ったかいじゅうたちが、姿形こそ人間とは大きく違うものの、各々性格も違えば、好き嫌いもあるといった人間臭さをもっているところでしょう。
巻末「謝辞」での作者の言葉によると、もう1人の映画脚本担当であったスパイクと共に、「かいじゅうたちがいるところはどこか、ではなくて、かいじゅうたちはなにものか、そして、かいじゅうたちは日々の生活とマックスになにを求めているのか、という問題から考えた」そうです。

後先を考えず、思いつきあるいはその場の衝動で行動しては、その結果をみてから後悔することを繰り返している少年マックス。
かいじゅうたちの住む島で、かいじゅうたちの王さまになり、自分の思うままにかいじゅうたちを従わせれば全てうまくいくと思っていたマックスは、ここでも決してそうではないことを思い知らされます。
自分では最高と思ってかいじゅうたちに命令した事々は、結果的にかいじゅうたちの間に反目をもたらし、お互いに傷つけ合うことを残したのみ。
何処へ行っても、結局自分が変わらなくては同じことの繰り返しと、マックスが厳しくも悟るストーリィ。
その意味では、絵本よりマックスに厳しい試練を与える物語になっています。
さて、映画は絵本、小説と比較してどんな物語なのでしょうか。

※映画化 → 「かいじゅうたちのいるところ

      


   

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