ジェフリー・ディーヴァー作品のページ No.1


Jeffery Deaver 1950年米国シカゴ生。元弁護士、ミズーリ大学にてジャーナリズムを専攻、雑誌記者となる。その後ロースクール(夜間)で学位を取り、大手弁護士事務所で弁護士として数年間勤務。長い通勤時間を利用して小説を書き始め、デビュー作と別名義の作がアメリカ探偵作家クラブ賞のペイパーバック賞候補作に選ばれる。ヴァージニア州在住。


1.ボーン・コレクター−リンカーン・ライム&サックスNo.1−

2.コフィン・ダンサー−リンカーン・ライム&サックスNo.2−

3.エンプティー・チェア−リンカーン・ライム&サックスNo.3−

4.石の猿−リンカーン・ライム&サックスNo.4−

5.魔術師(イリュージョニスト)−リンカーン・ライム&サックスNo.5−

6.12番目のカード−リンカーン・ライム&サックスNo.6−

7.ウォッチメイカー−リンカーン・ライム&サックスNo.7−

8.スリーピング・ドール−キャサリン・ダンスNo.1−

9.ソウル・コレクター−リンカーン・ライム&サックスNo.8−

10.ロードサイド・クロス−キャサリン・ダンスNo.2−


バーニング・ワイヤー、シャドウ・ストーカー、スキン・コレクター、煽動者

 → ジェフリー・ディーヴァー作品のページ No.2

 


                      

1.

●「ボーン・コレクター」●  ★★☆
 原題:"THE BONE COLLECTOR"    訳:池田真紀子


ボーン・コレクター画像

1997年発表

1999年09月
文芸春秋刊
(1857円+税)

 2003年05月
文春文庫化
(上下)

 

2000/12/28

昔、“鬼警部アイアンサイド” というTVドラマシリーズがありました。狙撃を受け下半身不随となった主人公が、世話をする黒人青年と部下となった男女刑事2人を手足に、引き続き事件捜査にあたるというストーリィです。本作品読み出しの最初から、上記への連想がありました。 
本作品の主人公であるリンカーン・ライムは、事故による四肢麻痺で、首から上と左手薬指が動かせるのみというのですから、究極の安楽椅子探偵と言えます。その分、彼の目・耳・鼻・手足となる人物の造形が重要となる訳です。本作品でその役目を担うのが、女性巡査アメリア・サックスです。 
このサックスの存在が実に魅力的です。女性であるからということでなく、その存在感は登場人物中で群を抜いています。印象度においてライムをはるかに凌駕している、と言っても良いでしょう。その理由のひとつは、ストーリィ中での、彼女の成長ぶりの見事さにあります。したがって、ライム+サックスのコンビによる今後の活躍を願うというのは、当然のことでしょう。 

本作品では、想像するのもおぞましい犯人による冷酷な殺害方法と、ライムの容赦ない緻密な鑑識による捜査が、並行して交互に展開します。そのため、追跡レースのように、緊迫感の絶えることがない点が魅力です。それに加え、ストーリィ展開のスピードが次第に増していきますので、つい熱中してしまいます。ですから、読んでいる途中で中断するのがとても悔しい、一刻も早く続きを読みたいという気分にさせられます。 
アメリカ・サスペンス本の標準的な厚さだろうと思いますが、他の作品のように途中でだれることがないのが、好評価の理由。読み逃すには、勿体無い一冊です。

1.一日王/2.ロカールの原則/3.万年巡査の娘/4.骨の髄まで/5.走ってさえいれば振り切れる

 ※映画化 → 「ボーン・コレクター」

 

2.

●「コフィン・ダンサー」● ★★☆
 原題:"THE COFFIN DANCER"   訳:池田真紀子


コフィン・ダンサー画像

1998年発表

2000年10月
文芸春秋刊
(1857円+税)

2004年10月
文春文庫化
(上下)


2001/01/27

ボーン・コレクター」に次ぐ、“リンカーン・ライム”シリーズの2作目。
“棺桶の前で踊る死神 Coffin Dancer”を刺青した暗殺者から裁判の証人を死守するべく、ダンサーとライム達の間で迫真の闘いが繰り広げられる、というのが本書ストーリィです。?
前作と異なり、ライムを中心にアメリア・サックス、FBIのデルレイらが、チーム一体となって活躍する様子が、気持ち良い印象を与えます。その反面、前作の個性であった、ライム、サックスそれぞれの個人的葛藤が見られないのは残念ですが、第2作とあっては仕方ないことでしょう。その分を補おうとするように、作者は、ライム=サックス2人の関係を新たな問題として描いています。

天才的とも言えるダンサーと、その残す僅かな跡からダンサーを追い詰めようとするライムらの闘いは、少しの気を抜くことも許されない緊迫したもので、途中本を閉じるのがとても辛い。ストーリィ展開も早いことから、頁に釘付けとなって、目をそらすことができません。その点は第1作と同様です。
ただ、最後の思いもつかないドンデン返しは、私としてはむしろ興をそがれた感があります。好み次第でしょうけれど。
最初から最後までスリリングさは少しも衰えない、読み応え充分な一冊です。

1.幾千万の死に様/2.キル・ゾーン/3.職人気質/4.神通力/5.死の舞踏

   

3.

●「エンプティー・チェア」●  ★★
 
原題:"Empty Chair"   訳:池田真紀子


エンプティー・チャア画像

2000年発表

2001年10月
文芸春秋刊
(1857円+税)

2006年11月
文春文庫化
(上下)

   

2001/12/02

リンカーン・ライムサックスのシリーズ、第3作目。
今回の舞台はNYではなく、ノースカロライナ州。脊椎損傷治療で評判の高い州立大学医療センターに、手術を受ける為ライム、サックス、トムの3人が同州にやって来たというのが始まり。
ところが地元では、16歳の少年が殺人および女性誘拐を犯して逃走中という事件が発生。地元の保安官がライムに手助けを求めてきます。

読み始めたら最後、ストーリィに引き込まれ、頁から目が離せないという面白さは相変わらず。まさに一気読みです。
ただ、前2作に比べると、舞台を変えた所為か、ライムの分析・推論ぶりがちょっと物足りない気がします。また、ストーリィが3つに分たれてしまっている、という印象。(※以下はちょっとネタバレ気味ですので、ご注意!)
第1段階は、容疑者である“昆虫少年”をサックス、ライムが追跡するストーリィ、プロローグ的です。
第2段階は、逃亡した昆虫少年”とサックスを、ライムと地元警察が追跡するストーリィ。緊迫感に溢れ、目がテンとなり、本書中最も面白い部分です。そして、その面白さの一翼を担っているのが、昆虫少年ことギャレット・ハンロン
本書の魅力は、ライム、サックス以上にこのギャレットの登場があるからこそと言って、決して過言ではありません。
そして第3段階、窮地に陥ったサックスを最後に救うのは、ライムの鮮やかな事件解明です。ただ、鮮やかというより、こじつけがましいところもあって、唐突という印象が無きにしも非ず。
この第3段階が、もうひとつ別のストーリィを形成してしまっているという印象が、この3作目のやや惜しまれるところです。
と言っても、本書がスリリングで面白い作品であることは、何ら変わりありません。ライム+サックス・ファンなら、読み逃す手はないでしょう。

1.パコの北/2.純白の牝鹿/3.ナックル・タイム/4.ハチの巣/5.子どものいない町

 

4.

●「石の猿」●  ★☆
 
原題:"The Stone Monkey"   訳:池田真紀子


石の猿画像

2001年発表

2003年05月
文芸春秋刊

(1900円+税)

2007年11月
文春文庫化
(上下)

  

2003/10/15

リンカーン・ライムアメリア・サックスのコンビが活躍する、シリーズ第4作目。今回は中国からの不法移民、密入国問題が題材です。
2人を中心に、FBI捜査官のフレッド・デルレイ、ニューヨーク市警のロン・セリットーらいつものメンバーが、悪質な蛇頭である通称“ゴースト”と対決します。

不法入国請負者であるゴーストを、アメリカ沿岸で待ち構え拿捕する寸前、ゴーストは密入国者もろとも船を爆破して沈め、逮捕の手を逃れます。しかし、中国人2家族らが、危うく沈没船から脱出。
その後は、生き延びた中国人家族を追うゴーストと、逮捕するためゴーストならびに中国人家族を追うライムらメンバーとの、追跡劇、先手争い、という展開が本書の主ストーリィ。
これまでの3作品と比べると、ストーリィ展開が狭い範囲に特定されてしまったこと、ライムならではの鑑識捜査が今一つ迫力を欠いていることから、緊迫感、スリルに充ちた展開という点では物足りないものを感じます。
また、ゴーストの正体もすぐ見当がついてしまい、予想もしなかった犯人像、という興奮もなし。
それらを補うかの如く、中国の公安局刑事、中国系アメリカ人の移民帰化局捜査官が登場し、いつもと違った趣きを加えていますが、全体の評価を上げるには至らず、という感想。

1.蛇頭/2.美しい国/3.生者と死者の名簿/4.悪鬼の尾を切る/5.待てば海路の日和あり

  

5.

●「魔術師(イリュージョニスト)」●  ★★☆
 原題:"The Vanished Man"   訳:池田真紀子


魔術師画像

2003年発表

2004年10月
文芸春秋刊
(2095円+税)

2008年10月
文春文庫化
(上下)


2004/11/13


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リンカーン・ライムサックスのシリーズ、第5作目。
今回は、ライムと犯人との虚虚実実の闘い。まさに本シリーズ原点の面白さに立ち返った、と言える作品です。

事実の積み重ねから犯罪者を追い詰める“不動にされた男”リンカーン。それに対する今回の敵は、事実を誤導の道具として操るイリュージョニスト“消された男”。まず、この対照的ともいえる者同士の対決という設定が見事です。
そしてさらにストーリィを魅力あるものにしているのが、イリュージョニスト見習中の女性カーラを、ライムとサックスの側に配した点。
捜査側と犯人側、これほど互いに計略と知力を尽くした闘いが他にあったでしょうか。ストーリィはすこぶる多層構造のまま進みます。そして展開は、トリックが幾度も繰り返され、逆転に次ぐ逆転と常にスリリング。まさに一度読み出したら息もつかせぬといった具合。読み終えた後には大いなる満足感が広がります。
巧みなマジック、手の込んだ計略がふんだんに盛り込まれているだけでも読み応えありますが、実の魅力はさらなるサイドストーリィにあります。それは、サックスとカーラ、2人の若い女性の自立、成長の様を描いている点。
本作品の主役は、ライムよりむしろサックスとカーラの2人であると言うべきでしょう。
ミステリ、サスペンス・ファンなら見逃せない一冊!

1.エフェクト/2.メソッド/3.種明かし

 

6.

●「12番目のカード」● 
 原題:"THE TWELFTH CARD"     訳:池田真紀子


12番目のカード画像

2005年発表

2006年09月
文芸春秋刊

(2095円+税)

2009年11月
文春文庫化
(上下)

   

2006/10/24

 

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リンカーン・ライムサックスのシリーズ、第6作目。
今回は 140年前に起きた事件も解明するという筋立てがミソ。

NYハーレムの高校生ジェニーヴァ・セトルは、図書館で自分の先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンに関する文献を調べている最中、突然襲われる。機転を利かして危機を逃れたものの、レイプ犯を装った犯人は執拗にジェニーヴァを追う。
ジェニーヴァは何故狙われたのか。それはチャールズ・シングルトンが 140年も前に巻き込まれた事件と何か関わりがあるのか。ライム、サックス、そして、いつものメンバーによる捜査が開始されます。
トムソン・ボイドという殺し屋が最初から姿を現していて、その手口の完璧さと警察の目を逸らすためなら平気で無関係な人間も巻き添えにする冷酷さは相当なものの、何故か緊迫感が募るまでは至りません。そう、この6作目には従来あったような緊迫感がまるで欠けているのです。
トムソン・ボイドだけが目標ではなく、それ以外にもジェニーヴァを狙う怪しい人物の存在、黒幕は誰なのかという謎が散りばめられていますが、緊迫感を増すどころかむしろストーリィを散漫にしている印象を受けます。
本作品のミソは 140年前の事件までもライムが解決するというところにあるのですが、驚きにも魅力にもあまり繋がってはいません。C・カッスラー“ダーク・ピット”シリーズの仰天するような歴史の謎解明パターンに私が慣れ切っている所為とばかりには言えないと思います。
ライム&サックスのファンとしては、このままこのシリーズがありきたりなシリーズものに低落してしまうことのないよう祈るばかりです。

1.五分の三の人間/2.グラフフィティ・キング/3.ギャローズ・ハイツ/4.デッドマン・ウォーキング/5.解放奴隷の秘密

  

7.

●「ウォッチメイカー」● 
 原題:"The Gold Moon"     訳:池田真紀子


ウォッチメイカー画像

2006年発表

2007年10月
文芸春秋刊

(2095円+税)

2011年11月
文春文庫化

(上下)

 

2007/11/18

 

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リンカーン・ライムサックスのシリーズ、第7作目。

残忍な殺人現場に残されていたのはアンティークな時計。そして犯人“ウォッチメイカー”が購入したその時計は10個。それは10人の殺人予告を指し示すのか。
冷酷な殺人鬼が先行し、緻密な鑑識捜査をもとにライムとサックスを中心とするチームが追いかけるといういつもの展開。
ただし、これまでと少し異なるのは次の2点。
ひとつは、アメリア・サックスが刑事に昇格し、初めて殺人事件の責任者となります。自殺を偽装した殺人。その背後には警察官による大規模な汚職事件が隠されているのか。結果的にサックスは、ライムの事件と自らの事件の2つを同時担当することとなります。
もうひとつは、今回臨時に尋問の専門家=キャサリン・ダンスが捜査チームに加わること。ダンスが駆使するのは「証人や容疑者のボディランゲージや言葉遣いを観察し分析する科学」(=キネシクス)。証拠至上主義であるライムと相反するような立場ですが、いわゆる「刑事の勘」ではなく、厳然たる「科学」であるとライムも認めるに至ります。今回の捜査では、このダンスの存在が大きい。

そうした新味を加えても、緊迫したサスペンスという興奮はもう感じられなかった。率直に言って、飽きたという他ないのだと思います。
ライムの操作方法はすっかり型にはまり、サックスとライムの関係も出来上がっていて安定してしまっている。訳者の池田さんは「もしかしたら、シリーズ史上最強の敵の一人かもしれない」とあとがきに記していますが、それはこれまでに登場した強敵を超える敵ではもうないということに通じる。
どんでん返しの繰返しはあるものの、それも興奮、面白さというまでには繋がらなかった。
もうこの辺りで読むのは終りにしようかと、思った次第。

1.火曜日 午前零時二分/2.水曜日 午前九時二分/3.木曜日 午前八時三十二分/4.月曜日 午後零時四十八分

  

8.

●「スリーピング・ドール」● ★☆
 原題:"THE SLEEPING DOLL"     訳:池田真紀子


スリーピング・ドール画像

2007年発表

2008年10月
文芸春秋刊

(2381円+税)

2011年11月
文春文庫化
(上下)

 

2008/11/03

 

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ウォッチメイカーに登場した審問のプロ、即ちキネシクス(証人や容疑者のボディランゲージや言葉遣いを観察し分析する科学)の専門家であるカリフォルニア州捜査局の捜査官=キャサリン・ダンスを主人公とする新シリーズの第1弾。

富裕な実業家=クロイトン一家虐殺事件で終身刑を受けたカルト指導者=ダニエル・ペルが、脱獄、逃走。その捜索チームを率いるのがキャサリン・ダンスという設定。
逃走した月曜日から事件解決に至る土曜日までの6日間を色濃く描くハード・サスペンス。
ダニエル・ピルは狡知で非常に勘の鋭い男。しかも他人を心理的にコントロールする力に長けている。したがって、ダンスら捜査陣の追跡は後手後手に廻らざるを得ない。
表題の「スリーピング・ドール」とは、クロイトン一家でただ一人生き残った少女にマスコミが付けた仇名。
その沈黙を守っているテレサから、キャサリン・ダンスはどうやって真実を聞き出すのか、そしてそれはどんな内容なのか、という点もまた本ストーリィの興味どころ。

極めて頭脳的な相手を持てる力を総動員して追い詰めるというストーリィ構図は、“リンカーン・ライム”シリーズと共通するものです。
ライム・シリーズとの違いは、ライムが現場に残された証跡という物質的なものを手がかりにするのに対し、ダンスは相手の心理を読み解くという精神的なものを手がかりにするという点。
ただ、キネシクスで全てを貫こうとするのはかなり無理があるなぁと感じてしまうのも事実。
“キネシクス”という新趣向に新味はあるし興味も湧きますけれど、上記の違いを除くと、ライム・シリーズと特に変わるところありません。その所為か、新しい面白味は感じれど、ワクワクするまでの面白さは感じられず、というのが率直な感想。

※なお、最後に主筋と関係ないどんでん返しを付け加えること、私は悪い癖だと思わざるを得ません。

    

9.

●「ソウル・コレクター」● ★☆
 原題:"The Broken Window"     訳:池田真紀子


ソウル・コレクター画像

2008年発表

2009年10月
文芸春秋刊

(2381円+税)

2012年10月
文春文庫化
(上下)


2010/09/18


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リンカーン・ライムサックスのシリーズ、第8作目。
今回の敵は、データマイニング会社が集めたあらゆる個人情報を盗み取り、人を殺害し、他人に無実の罪を着せその人物の人生を破壊し楽しむ、という極悪にして卑劣な犯罪者。

事件は、リンカーン・ライムの従兄弟アーサーが殺人の罪で逮捕されたところから始まります。
証拠が余りにも揃い過ぎている。その不自然さから最近の状況を当たると、同じような事件が2件見つかります。
何者かが自分の犯した凶悪犯罪を、標的とした人物について証拠をねつ造し無実の罪を着せているのか。
非公式に、ライムとアメリア・サックスらのチームが捜査を開始します。
しかし、相手はこれまでの敵に優るとも劣らない強敵。
終盤、ライムやサックスらチームメンバーまで予想もしなかった敵の逆襲を受け、切歯扼腕。ある意味、これまでにない強敵。

一時は飽きてもう読むのは止めようと思った本シリーズ、そのため、第8作となる本書を思い直して読むまで、刊行から1年という期間が空いてしまいました。その所為か、読み始めると久々に懐かしい場所に戻ってきたという楽しさあり。ワクワクするような気分です。
予想外の面白さに興奮、というまでのことはありませんが、慣れ親んだシリーズ本を読む楽しさあり。

1.共通点/2.トランザクション/3.予言者/4.アメリア7303/5.すべてを知る男

          

10.

●「ロードサイド・クロス」● ★☆
 原題:"Roadside Crosses"     訳:池田真紀子


ロードサイド・クロス画像

2009年発表

2010年10月
文芸春秋刊

(2381円+税)

2013年11月
文春文庫化
(上下)

  

2010/11/20

 

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ウォッチメイカーに登場したキネシクス(証人や容疑者のボディランゲージや言葉遣いを観察し分析する科学)の天才であるカリフォルニア州捜査局の捜査官=キャサリン・ダンスを主人公とする新シリーズ第2弾。

女子高校生を狙った事件が発生。
その女子高生、交通事故を起こした同じ高校の男子生徒を、ネット上で容赦なくバッシングしていたらしい。犯人はその少年か?
その少年トラヴィスが失踪、そして更なる連続殺人事件が発生、しかも事件を予告する十字架がまたしてもロードサイドに発見される。
その少年
トラヴィスは、ネットのゲーム世界に入れ込んでいた人物。残虐な戦闘シーンも繰り広げられるネットのゲーム世界、そしてトラヴィスがバッシングされた舞台はニュースレポートを売り物にする個人のブログ。否応なくダンスは、ネット専門家の協力を得てネット世界でもトラヴィスを追跡します。
一方、看護師として働くダンスの母親
イーディが、重症患者安楽死事件の容疑者として逮捕されるという事態が発生。
公私ともに追い詰められた観あるダンスが、新たな犠牲者を防ごうと必死に犯人を追う、迫真のサスペンス。

遺留品という証拠物件から徹底的な科学調査を進めるリンカーンに対し、キネシクスというまだ珍しい技術を駆使しての捜査というのが本シリーズのミソ。
しかし、遺留品分析は年中駆使できるのに、キネシクスを駆使できる場面は少ないというのが、本シリーズの苦しいところ。
本ストーリィでは、ネットのゲーム社会が意外な現実性を秘めている、ダンスがそこに捜査の主眼を置くという点の方が、むしろ面白かった。
ただし、いつもながら思うのは、こんなに多くの頁を費やす必要があるのかということと、意外性を狙い過ぎた真相はかえって興を削ぐということ。
なお、本ストーリィには、2人の子供を抱えて働く女性捜査官ダンスのロマンス要素もあります。女性読者にはそこも注目に値する部分ではないかと思います。

      

ジェフリー・ディーヴァー作品のページ No.2

    


                   

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