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交響曲第10番ホ短調 op.93-第4楽章
last updated: 2001.3.1

交響曲第10番概説

第4楽章概説

比較的長いゆるやかな序奏は、前の楽章との関連も見せながら、主部では(ベルリオーズ「幻想交響曲」のように)大胆に変身する。明るくはじまる主部は、展開部で(第2楽章を思い出すかのような)狂乱の渦となるが、圧倒的な力で姿を現すDSCH音型によって(序奏の)静けさを取り戻す。コーダではDSCH音型が繰り返され、最後は嵐とティンパニによるDSCH連打で曲を閉じる。

第4楽章 Andante-Allegro 序奏付き(ロンド)ソナタ形式

144 序奏 H音ではじまり途中の3音順次進行(CDS)を経てH音で終わる低音弦のモノローグで開始。

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同じく3音順次進行(CDS)を含む(この次はHではじまる)哀調を帯びたオーボエのレチタティーボがそれに続く(145)。

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訴えるような動きが現れる(146)。

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フルートがそれを CDSDCDSDCDS と引き継ぎ(147)、最後は高音のピッコロに消えていく。
148   低音弦のモノローグに戻り、今度はファゴットでレチタティーボが続く(149)。また訴えるような動きがオーボエにでて(150)、フルートがそれを DSDC#DSDC#DC#DSDC#DC#DC#DSD と引き継ぐが、今度はピッコロに続いて、
クラリネット次いでフルートに第1主題を予感させる五度の跳躍があらわれる(151)。
テンポを落として、DSCH の音でできたDies Irae 風の旋律を挟み、

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テンポを戻して、五度の跳躍はEAEDA 音型に似た形に発展する(152)。

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DC#DSDC#の動きは低音弦に移るが、ティンパニのトリルとホルンが伴奏につくため、第一楽章のコーダの雰囲気を回想することになる。(このフィナーレの主部が第一楽章から続くものであることを感じさせる。) 再び五度の跳躍にはじまる音型を繰り返し、それを合図に呈示部へ進む。
153 呈示部 アレグロの呈示部はこれまでの雰囲気と一転して軽く明るい調子の五度の跳躍で始まる第1主題で始まる。

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序奏のモノローグは、スタッカートのリズムに変わってあらわれる(157)。 (変身1)

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158   煽るような第2主題(第1楽章展開部や第2楽章を思い出させる)が風雲急を告げる。

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飛び跳ねるようなDSCHの変型が現れるが、第2主題にかき消される。

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162   いったん第1主題に戻るが、
すぐに力強いリズムを持つロシア舞曲風の第3主題が弦にあらわれ(164)、木管に移って(166)しだいに盛り上がる。

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170 展開部 第1主題は民謡風の歌(「学生時代」に似てる?)に変化し、第2主題が絡む。

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さらに序奏に現れた訴えるような動機が木管群に加わると、少しずつ激しさを増していく。
176   オーボエのレチタティーボがスタッカートのリズムに変わってあらわれる。(変身2)

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第2主題訴えるような動機とともにさらに激しさを加えて行進曲風の高まりを見せる。さらに3音順次進行が加わると第2楽章のような狂乱の渦となる。突然、DSCH が雷のように響いて、静寂が戻る。(ムソルグスキーの「禿山の一夜」を思い出させる展開である。)
185 再現部 序奏部の静けさが回帰する。打楽器群の伴奏を伴った第1主題の行進がはじまる(192)。第1主題が元の姿に戻る(194)と第2主題も加わり(196)徐々に激しさを増す。DSCHを合図に第3主題になり(198)、第2楽章のパッパラのリズムも現れる(199)。
200 コーダ 第1主題第2主題が短く交互にでて盛り上がると、金管群がDSCHを連呼する。さらに木管の吹雪のような動きを伴う引き延ばされたDSCHが奏される。激しさを加える中、もう一度DSCHが強奏するが嵐は止まない。最後は嵐の中のティンパニによるDSCH連打で曲を閉じる。

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