その12  夏の特別稽古

 我が社中は8月は稽古が無い。6月頃から稽古日を繰り上げ、7月中に8月分までを終えてしまう。その代わりに8月の最終日曜日に茶室を借切り、普段の稽古ではやれないような事をやる。

 ”夏期セミナー”と称するこの会の今年のカリキュラムは大炉に灰型、荘り紐、立礼。

 大炉とは茶道口の位置や炉の切り方が通常とは反対のいわゆる”逆勝手”で、袱紗を右向きでさばいたりと文字通り普段と勝手が違う為、平手前でも案外難しい。

 灰型とは風炉中の灰の形を整えること。今年で2回目だったので、灰匙も調達する程の気の入れようで、実際楽しかった。

 荘り紐とは口切りの茶事などで使う茶壺を覆う紐の編み方、ほどき方。正直、口切りの茶事で亭主を務めることなど今の自分からすればずっと先のことと思うと、いまいち真剣さに欠けた。

 立礼とは椅子に座った状態で茶を点てる作法。外国人や若年者など、正座が苦手な者でも茶の湯に触れられる1つの方法だとは思うが、そもそもの茶の湯の精神に則るかどうかという点で、疑問を感じざるを得ない、どこか無理なものを感じる。

 と、かなり盛り沢山で消化不良気味であったが、普段出来ない稽古ということで貴重な時間を過ごすことが出来た。

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