何も、変わらない。
  真っ直ぐに、見詰めてくるその
  自分の大好きなその瞳と、日の光にキラキラと輝くその髪が、彼である事を教えてくれる。

  会いたいと願った、彼であると……。


 
                                         GATE 22


 驚いて自分を見詰めてくるその瞳に、太一は苦笑を零す。
 相変わらず胸はドキドキしているし、本当は今すぐに逃げ出したいと思うほど緊張している。
 なのに、その場を動けないのは、真っ直ぐに見詰めてくるその瞳が、変わっていなかったから……。
 昔のままの瞳が、見詰めてくるのに、何処か安心して、大きく息を吐き出した。
 そのお陰で、幾分落ち着いて、再度、ほっと息をつく。

「……お前は……」

 じっと自分を見詰めていた相手が、初めて口を開く。
 ポツリと呟かれるように絞り出されたその声は、昔の声からはやはり少しだけ低く感じられた。

「ヤマトは、俺の事、どう思う?」

 自分の事は、何も説明できない。
 名前だって相手に伝える事は出来ない事を、少しだけ寂しく思いながらも、それを隠すように、ただ、真っ直ぐ相手の視線を受け止めて、笑みを浮かべる。

「……どう思うって………」

 自分の質問に、相手が複雑な表情を見せた。
 眉間に皺を寄せて、不機嫌そうな表情を見せる相手に、太一は苦笑を零す。

 本当に、変わらない。

 真面目で、あの頃のままの相手。
 一体何処が変わってしまったと言うのか、自分には分からないほど、目の前の相手は、昔のままの相手だった。

「……変な奴だ……」

 真剣に考えて、ポツリと呟かれたその言葉に、笑みを零す。

 本当に、変わってない。

 『変な奴』『自分勝手』その言葉を何度も聞かされた。
 それでも、そんな事を言われた相手なのに、誰よりも安心できると思った人。

「…だろうなぁ」

 相手の言葉に、太一は楽しそうに笑みを浮かべた。
 そんな太一の様子を、アグモンはただ黙って見詰めている。

「それに、その隣の変な生き物……」
「変な生き物じゃなくって、デジモン」

 自分たちの遣り取りをただ黙って見詰めているアグモンに、視線を移しながら尋ねようとしたそれは、太一の言葉によって遮られた。

「……デジ…モン…?」

 自分の言葉に、ヤマトが不思議そうな表情を見せる。
 そんな表情を見せる相手を前に、太一はもう一度笑みを浮かべた。

「そう、デジモン。こいつは、俺のパートナーデジモンだ」

 そして、ニッコリとアグモンへと笑顔を見せて、優しくその頭を撫でている。
 アグモンも、そんな太一に、嬉しそうに微笑んだ。

「……どうして、ここに居るんだ……」

 そんな自分達に、新たな質問が投げられる。
 それに、太一は視線をヤマトへと戻した。

「………呼ばれたから……」

 真剣な表情で、相手を見詰めながら、小さくだがはっきりとした声で、質問に答える。

「ヤマトが、俺を呼んでくれたから……だから、俺はここに戻ってこられた………」

 どうして、こんな言葉が口から出てくるのか、自分でも分からない。
 それなのに、それが答えだと分かっている自分が何処かに居る。

「……タイチ?」

 真っ直ぐ相手だけを見詰めているのに、まるで何処か遠くを見詰めているような、そんな瞳を見せる太一に、アグモンが、心配そうにそっと小さく名前を呼ぶ。

「えっ?」

 名前を呼ばれて、ハッとしたように太一は、自分の名前を呼んだ相手を見た。

「……俺、何、言ってるんだ……」
「俺に呼ばれたって、どう言うことだよ!!」

 我を取り戻した太一のその呟きと同時に、ヤマトが声を荒げて質問を投げ掛けてくる。
 しかし、言われた内容に、太一は首を傾げた。

「俺、そんな事言ったのか??」

 分からないと言うようにアグモンを見詰めれば、小さく、はっきりと頷いて返される。

「……お前、俺の事、馬鹿にしてるのか?」

 自分のそれに、ヤマトが明らかに不機嫌な表情をして睨む。

「……してねぇよ……」

 そんなヤマトに、太一は思わず苦笑を零した。

 本当に、自分は、目の前の人物を怒らせるのだけは、得意なのだと改めて思い知らされる。
 勿論、自分には、悪気など少しもないのだが……。

「ふざけるな!」

 苦笑交じりに呟いたそれに、相手が完全に怒りを露にした。

 ふざけてないんで居ない。
 自分でも分からないのだ。

 どうして、そんな言葉が自分の口から出てきたのか……。

「俺は、ただ、ヤマトに会いたかっただけなのに、な……」

 怒らせたかった訳ではない。

 どうして、自分は、彼を怒らせる事しか出来ないのだろうか。
 自分が嫌になる。

 ずっと、誰よりも会いたかった相手なのに、どうして、上手く話が出来ないのだろう。

「……ふざけている訳でも、馬鹿にしている訳でもねぇんだ。ただ、たださぁ、俺は、お前に会いたかっただけなんだ……」

 本当に、ただそれだけ。
 他には、理由なんて無い。
 本当は、彼にパートナーを会わせる事が最優先事項だと言う事は分かっている。
 彼に会いたいと思うことが、自分の我侭だと分かっているのだ。

 そう、分かっていても、それを後回しにさせてでも、会いたかったのだ。

「……悪い、迷惑な話だよな……」

 しなくてはいけない事を後回しにて、自分の我侭を優先させている事への罪悪感。
 一つの失敗は、命にかかわると言う事を知っているのに、こうして自分は、彼に会いに来てる。

 もし、この選択が間違ってれば、自分だけではなく、彼をも危険な目に合わせると分かっているのに……。

「…帰る、よ……」

 ポツリと呟いて、そのまま踵を返す。
 これ以上、彼を怒らせたくは無いから……。

「待てよ!」

 しかし、彼に背を向けた自分の耳に、呼び止める言葉が聞えて、太一は驚いてもう一度彼を振り返った。


                                                 



   す、進まない……xx
   あう〜っ。どうして、こんなに思い通り動いてくれないんでしょう。
   太一さん、立ち去ろうとしないで下さい!!ヤマト、止めえくれて、有難う。(違うだろう!)
   それにしても、本当に、話が進まないです。<ため息>
   一体、何時になったら、最後の一人であるヒカリちゃんが出て来るんでしょうか?
   その前に、一体この話は何話まで続くんだぁ〜!!
   軽く30話は過ぎそうですね。<ため息>

   と、言う訳で、『GATE 22』をお届けいたしました。
   予告通り、明日には、この中に『裏・GATE』をUPいたします。
   また、興味のある方は、探してやってくださいね。