もしも、こんな運命があるのなら、受け止めてもいいかもしれない。
何度離れても、必ず出会えると言うのなら、それは、とっても素敵な事かもしれないから……。
だから、君に出会える事が、自分にとって、運命であるのだと、少しだけ願ってもいいだろうか?
君が居る事で、俺は、ちゃんと前に進む事が出来るから、だから、ずっと願っていた。
君に再び出会える事を……。
GATE 21
服は、アグモンに協力してもらって焚き火を起こして頑張って乾かした。
公園でこんなことしても良かったのか分からないけど、お陰で冷えていた体も何とか温まってきたし、良しとしよう。
その所為で、かなりの時間はかかってしまったけど、漸く目的の場所に向う事が出来る。
ずっと会いたかった彼に、やっと、会えるのだ。
「……静かだね」
大きな建物。
それを見上げながら、アグモンがそっと呟いたそれに太一も小さく頷く。
勿論、授業中である今の時間が、静かなのは当然かもしれないが……。
「入るの?」
大きな門を見上げて、尋ねられたそれに頷く。
本当なら、自分もここに生徒として通っていたであろう建物。
今は、自分には無縁のその場所に、太一は小さく息を吐き出した。
そして、意を決して、一歩を踏み出す為に、デジヴァイスを取り出す。
「ヤマトは、ここに居るんだよな……」
手に持ったそれを強く握り締めて、そっと瞳を閉じる。
ずっと、会いたかった相手。
自分とは正反対の性格なのに、惹き付けられずには居られなかった人。
彼の言い分は、何時だって自分に違う道を示してくれた。
彼の真っ直ぐにぶつかって来る瞳と、そして、嘘の付けない性格が、一緒に居る事を願いたくなるような、そんな相手。
「タイチ?」
「行こう、アグモン。俺は、あいつと会って話がしたいんだ」
本当は、一番初めに彼に会いたかった。
でも、その気持ちとは反対に、一番彼に会うのが怖かったのだ。
自分の事を覚えていない、彼に会う事が……。
彼の性格は、誰よりも知っている。
人見知りの激しい相手が、覚えていない自分を受け入れてくれるとは思えない。
親友と言う立場は、もう昔の話なのだ。
それでも、今は彼に会いたいと願っている自分が居る。
タケルやパタモンの話から、ヤマトが変わってしまったと聞いた時から、それが信じられず、願った事。
彼に会いたいと……。
信じたくなかったから、誰よりも真っ直ぐで優しく、そして、照れ屋な彼が変わってしまったと言う事が……。
すっとデジヴァイスが反応を示すように、独特の音が鳴り響く。
それが、光子郎に反応しているのではないと言う事は、示されている画面の点滅色で分かった。
その色は、今自分が会いたいと願う相手の忘れもしない心の輝きの色。
「タイチ?」
「……正直、怖い。だけど、逃げたくないから、俺は行くよ」
校舎のある方ではなくその点滅は、全く違う場所を示していた。
それは、彼が授業など受けていないと言う証。
「……真面目なあいつが、授業サボリなんてな……」
昔なら、信じられなかった事だろう。
丈や光子郎に続いて真面目な相手が、授業をサボって居る事が……。
「…あそこに、ヤマトが居る……」
相変わらずの金茶の髪。それが日に照らされて、キラキラと反射している。
何もかもを拒絶するように、耳にヘッドフォンを付け、寝転がっているその姿に、太一は知らず笑みを零した。
確かに、お台場中学の制服を着たその姿は、昔の彼からは想像できない程変わってしまったが、自分には彼がヤマトであると分かる。
勿論、それは、髪の色だけではなくい。会いたいと願った相手だから……。
金茶の髪は、昔よりも長くって、どうしてか笑えてしまう。
昔、ロン毛にするのは、絶対に嫌だといっていたのに、今の彼の髪は昔よりもずっと長い。
瞳は、閉じられているけど、昔自分が好きだった、色のままなのだろうか?
ドキドキする気持ちは、止められない。
「……授業サボっていいのかよ?石田ヤマト
」
止められないドキドキを隠して、そっと声を掛ける。
少し大きな声で、呼びかけた俺の声に、何かを感じたのか、相手がゆっくりと瞳を開いて、太一を見る。
そして、驚いて起き上がって自分を見詰めた瞳は、昔と何も変わっては居なかった。

と、言う訳で、再UP『GATE21』です。 そして、お約束しておりました『裏・GATE』も同時にUP!!
しかし、こちらも無茶苦茶短くなっております。(すみません(><))
理由は、そちらの方に……。
『裏・GATE』も結構隠しましたので、何処にあるかは、もうお分かりですよね?
単純な管理人なので、もう本当に簡単。興味のある方は、覗いて見ましょう!(笑)
そでも、分からず興味のある方は、メールにてご連絡ください。
今回は、答えをそのままお教えいたします。
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