やっぱり、俺は、この世界に居てはいけないんだろうか?
  一人だけ、止められた時間。
  全てが変わった世界で、あの時から、何も変わっていない自分。
  考えないようにしていたそれが、昔の仲間に会う度に強くなる。
     


 
                                         GATE 10


「タイチ?」

 何も言わずにボンヤリと閉ざされた空間を見詰めている相手に、アグモンが心配そうにその名前を呼ぶ。
 しかし、何時もなら直ぐに返される返事も、今は何の反応もない。

「タイチ……」

 再度名前を呼んだ瞬間、デジヴァイスが聞きなれた電子音を響かせた。
 仲間が近くに居る事を知らせるその音。
 聞き間違えるはずも無いその音が、段々と大きな音になっていくのは、相手が近付いてきている証拠。

「アグモン…」

 その音に、何時もの表情を取り戻した太一が、アグモンへと視線を向けた。
 それに、アグモンも頷いて返す。

「一体、誰が……」

 緊張した面持ちで、太一がすっとデジヴ イスを手にして持ち上げる。
 どんどんと大きくなる音を聞きながら、太一は遠のきそうになる意識を感じて、慌てて頭を左右に振った。

「タイチ?」

 太一の様子が可笑しい事に気が付いて、アグモンがそっとその顔を見上げた瞬間、ぐらりと体が揺れる。

「タイチ!!」

 倒れそうになる体を、片膝を付く事で遣り過した太一に、アグモンが心配そうにその名前を呼ぶ。

「……心配、ない…大丈夫だから…」

 自分の事を心配そうに見詰めてくるパートナーに太一が、精一杯の笑顔を見せる。
 しかしそれは、そんな言葉とは裏腹に、表情は、青褪めていてどう見ても、大丈夫そうには見えない。
 アグモンが、慌てて太一の額に手を伸ばした。

「タイチ!熱が!!」
「これくらいは、大丈夫だから……それよりも…」

 冷え切った体とは対照的に、その額の熱に、アグモンがオロオロとするのを見詰めながら、太一は思わず苦笑を零すと、そんな相手を安心させるように、ゆっくりとした動作で立ち上がろうとする。。

「タイチ!」

 しかし、己の意思に反して、体は思うように動かずに、太一の体はゆっくりと力なく地面に倒れて行く。
 そんな太一に気が付いて、アグモンが、慌ててその体を抱きとめようと手を伸ばした。
 だが、その手が届くよりも先に、誰かの手が、太一を支える。

「……触れられるとは、思わなかったなぁ……」

 以外そうな呟きに、アグモンが顔を上げた瞬間、茶金の髪の少年が太一を支えているのが目に入る。

「……幽霊かと思ったけど、ちゃんと体温もあるんだ……」

 感心したように呟かれる言葉は、確かに間違いなく自分達の姿が見えている証拠。

「誰?」

 誰かを感じさせるその少年に、アグモンがそっと問い掛けた。

「……ボクは、高石タケルだよ。オレンジ色の恐竜さん」

 にっこりと人の良さそうな笑顔を見せて、少年が太一を支えたまま自己紹介。

『……タ、ケル……?』

 少年に支えられた状態で、何とか残っていた意識の中、聞こえてきたその名前を最後に、太一の意識は完全に闇の中へと支配されてしまった。

「あっ」

 突然糸の切れたマリオネットのように自分を支えられなくなった人物に気が付いて、少年が支えていた腕に力をこめる。

「タイチ!!」
「えっ?」
「お願い、タイチをコウシロウの所に、連れて行って!!」
「……誰を、コウシロウの所って……」
「案内するから!お願いだよ、タケル!!」

 今にも泣き出してしまいそうな緑色の大きな瞳に見詰められる中、少年が小さく頷く。
 そして、腕の中の存在を確認するようにそっと抱き上げた。

「……軽い…」

 抱き上げた体が、自分が考えていたよりも軽い事に、驚いてしまう。自分と同じぐらいの少年。しかし、その体は、自分よりも小さく、何処か頼りなく映る。
 そして、急かすように前を行く不思議な生き物に案内されながら、歩き出した。



                                                 



   はい、『GATE10』です。
   えっ?短いですか??
   それには、理由があるのです。実は、この中に隠しUPされているんですよ!

   今回、意識が朦朧としている太一さんに代わりまして、タケルくん視点で、もう一つ小説がUPされました。
   興味のある方は、探してやってくださいね。(文中のどこかに、リンクが張られてありますよ)
   一応、太一達が、自己紹介した場合どうなるかと言う、自分が疑問に思っていた事を、解明させてあります。  
   ただし、こちらの『裏・GATE』本編とは関係ありません。
   なので、無理に探さなくっても、大丈夫ですよ。
   でも、どうしても分からなくって、知りたい方は、メールにて、問い合わせお願いいたします。
   その時は、『裏・GATE』問い合わせと、書いていただくと、助かります。
   勿論、何処にあるのか、ちゃんとお答えしますね。


   そして、4人目も無事に出てまいりました!
   今回登場は、タケルくんになります。
   今までの中で、一番美味しい所を持っていってくださいました。流石は、王子様。(意味不明(笑))
  
   そして!
   今回4人目が登場したという事で、第一回クイズの締め切り日を発表いたします!!
   10/21(日)の23時59分にて、締め切りとさせていただきますので、それまでは、何個出して頂いても、OKですよ。
   残り、ヒカリちゃん、ヤマトさん、空さんの3人です。順番考えてみてください!
   細かい時間なのには、深い意味は無いです。
   12時でもOKですよ。(笑)   では、では、皆様の予想を楽しみにしております。