4:黒羽家のヒミツ

 黒羽先生を語る前に、悪魔&天使召喚の大原則を。人間が天使なり悪魔なりを召喚する場合、それは『この世』から上の階層もしくは下の階層にいる方々に呼びかけて、『この世』まで出てきて頂くということデス。そうすると、0地点から±1階層にいる者を呼ぶのと±3階層にいる者を呼ぶのとでは、もちろん絶対値の大きい階層から呼び出す方が大変に決まってます。ここで、例えば天魔界2階層から誰かに来て貰おうとすると、呼ばれた方は階層を一つ越えないと『この世』まで出て来られない。この『階層を越える』ことを『界越え』と称しまして、召喚はこの界越えで飛び越える階層が多ければ多い程、呼ぶ方も呼ばれる方もしんどいということになるワケです。

 天魔界3階層くらいから出てきて頂くようなことになると、出る方も実体を備えたカラダで直接出て行けないので、通常は幽体や幻影という形でしか現れません。もし実体化(物質化)させたいと思ったら、それには召喚した術者の能力がものを言います。ま、よっぽどの術者でもない限りは、仮に物質化させても豆腐並みの強度も得られないことでしょうが(笑)。そんなワケで、通常、黒羽先生がベリアル氏を召喚する時は、自らの肉体を依代として貸すことになるのです。その方がベリアル氏としとてもラクだし、黒羽先生も召喚する度に実体化させるなんて非効率的なことをやらずに済むのでありマス。

 上でさらりと『黒羽先生がベリアル氏を召喚する時は、自らの肉体を依代として貸す』なんて書いてしまいましたが、これはそんじょそこらの術者にできるような芸当ではとうていありマセン(汗)。何しろ、ベリアル氏は高魔力を誇る上級悪魔です。そんな高エネルギー体を普通の人間の『器』にうっかり入れたらどうなるか。細い導線に落雷があったようなもので、憑依された方の魂は消し飛んでしまうことにもなりかねません。憑依状態を脱したとしても廃人になることは確実デス。それをごく自然にこなしてしまう黒羽先生の霊的キャパシティーのデカさは何と『生まれつき』のものだったりする(笑)。

 黒羽家の家紋まで設定したんですが(細かッ)、『丸に逆さ晴明』といいます。逆さ五芒星を丸で囲んだ家紋です(実際にはそんな家紋ありませんので。多分)。黒羽の姓は、平安の昔から続く神祇の家系で、主に天文、星辰専門の陰陽寮の役人であったことから、八咫鴉の守りある家=黒羽家、となったようです。江戸時代まで細々と続いていたこの黒羽家に、幕府から密命が下ります。それは黒羽家代々の人間が持っていた霊力に幕府が目をつけたからなのですが。幕府から課せられた命令とは、西洋神学(魔術)と日本古来の神祇系呪術のいいとこ取りをして組み合わせた、より高度な術式を開発し、江戸の霊的守護力を高めよという壮大なモノでした。そして、この時幕府から恐れ多くも頂戴した黒羽家の家紋こそが『丸に逆さ晴明』だったわけです。五行のシンボルでもあり、地水火風霊の五大元素のシンボルでもある五芒星を『邪宗門の研究』という職務故に上下反転させ、その力を安全に封じるために、完全なる形『円』で囲った印。黒羽家の家紋には、そんな意味があったのデス。黒羽先生が生まれ持った霊的キャパシティーの異常なまでの大きさもこれで納得して下さい(コラ)。

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