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                               より柔らかな光を求めて


ハンドクラフターへの道(その3) 内蔵ストロボ用のレンズフードディフューザーを作る


レンズフードディフューザー試作3号



■プロローグ

このHPでは、3回目になるハンクラ道「レンズフードディフューザーを作る」なんですが、実は私が1番最初に製作に取り組んだのが、 この内蔵ストロボ用のディフューザーなんです。

じゃあ何故、これを最初にアップしなかったか。・・・あまりに最初の試作品が酷かったから・・・皆さんにお見せするのが 恥ずかしかったんです。ホント。

普通、我々アマチュアがストロボというものに最初に出会うのは、やはり内蔵タイプのものですよね。 (プロタイプの一眼には付いてない事が多いですが、あると便利なのが、これですよね。)

全自動モードであればカメラ任せで撮れますし、AVモードであれば、日中シンクロも簡単。屋内撮影でも、シャッタースピードを稼ぐ には少々レンズF値が暗くても、これを使えば何とか手ブレせずに撮れます。

「付いてて良かった」、内蔵ストロボですよね。(^^

ただ、この便利な内蔵ストロボも、使えばやはり被写体の影が気になりますし、テカリも出ちゃいます。 (縦位置ではよりクッキリと出ますよね。)

私が最初に影、テカリを何とかしたいと思ったのは、デジ一眼を購入したての頃です。
室内でパシャパシャ撮影してはPCでモニタリングし、「ほら、よく撮れてるでしょ。」なんて、 被写体の方にお見せしていたところ・・・(嫁さんです。ハイ)

ジ〜と見て一言。


「え〜これ私ぃ。下手ねぇ。」

「んな事ないでしょ。」と憤慨しつつも、よくよく見ると、影クッキリに顔はテカテカと・・・(決してうちの嫁さん脂性ではありません)

そんな訳で、まだクリップオンストロボを使いこなせてなかった私が、一番最初に何とかしたいと思ったのも、この「付いてて良かった」 内蔵ストロボのディフューザーだったんです。

ディフューザーといっても最初試したのは、シャワーキャップの中にティッシュ1枚入れてストロボに被せる方法。 (私が読んだ本には、トレぺを使うって書いてありましたが、そんなの普通の家庭にあるはずない! んでもって、ティッシュ。)

これで、撮ってみると・・・


あらっ不思議、「ケッコ〜いいんじゃない〜。」


一晩考えた末、翌日、頭に浮かんだディフュザーボックスを作成すべく、100円ショップにGO。(当時はクォリティよりコストって事で ホームセンター通いはありませんでしたね。)


でも、これがとんでもない恥ずかしい物を作る原因になるとは・・・トホホ。


作成方法なんて、載せる価値もありませんから、画像だけお見せしますね。お恥ずかしいけど・・・


「試作0号」番外品ということで..(_ _#)



形は不細工ですけど、手間はこれでも掛かってるんですよ。
トレぺは透明シートでサンドイッチして両面テープで照射面に貼り付けてますし、内部にはアルミ箔を全面に貼っています。
(結局説明してる・・・)

その甲斐あって、効果のほどは液晶モニターでも判るぐらいでした。

ただ、あまりの不細工さに、私の製作への興味はクリップオンストロボの方へ移っていきました。


■試作1号ができた!

前述の失敗(効果はともかく見栄えが×)で、製作意欲がなくなっていたんですが、 ソフトボックスの製作過程で、たまたま乳白アクリル板が 余ったんです。

前述の馬場プロの著作本に「レンズフードに取り付けるディフューザーを作ろう」コーナーがあったことを思い出し、 よくよく見直してみると・・・

試作0号は、手持ちカメラに合わせて作ったんで、カメラが変われば使えない可能性大。 でも、レンズフード取付けであれば、 メーカーに左右されないで使えます。

但し、フォーカス時に前レンズが回る(フードも一緒に)タイプは、使用が難しい反面、大口径レンズや望遠レンズの大きなフード 使用時でもケラレをまったく心配しないで使えるのは、すばらしい。


「うん、これなら汎用性もあるし、効果抜群、持っててよかった便利グッズになるね。イッチョ作ってみっかな。」


まずは人まねからと言うことで、本を見ながら試作に取り掛かりました。

ソフトボックス製作と同じく、アクリル板の加工は難しい。

レンズフード装着面にあわせて、円形にカットするところが全然うまくいかない。

本には、円形カッターでうまく切れると書いてあるんだけど、ホームセンターで買ってきた大型円形カッター (またまた出費を強いられた、涙) を使うも、全然だめ〜。切り取り線が何本も・・・トホホ。

ついに、キレちゃってはさみでカット!の暴挙にでる。

結果最悪!アクリル板に割れ目が入ってしまった・・・トホホパート2。

本に載ってたあのカッター・・・あれはきっと魔法のカッターに違いない・・・マチガイナイ!

・・・とかブツブツ愚痴りながら、何とか試作を完成させた。それが下の画像。


「試作1号」割れ目は透明テープで誤魔化した(^^;



割れ目以外は、マアマアの出来だったが、見栄え重視の私としては、いくつか許せない点が・・・。



■試作第2号に取り掛かる


完成を目指すにあたって、一番の問題を解決しなきゃ。

キレないで、アクリル板を円形にカットすること。(洒落にならないよ。ホント)

困った時のホームセンター頼み。行きましたよ。私は。


どこ探しても、魔法の円形カッターは売っていない。(当たり前か)

糸ノコはどうだろ? 売場には、NASA開発の360度刃を使った「宇宙ノコ?」を売っていた。 おもわず買いそうになる。

アクリル板の売場に何かあるかも。

あ〜これこれ、電熱カッター。 説明書読んでみたら、厚さ2mmまでOKらしい。

これで駄目なら、諦めよう。 (しかし、またもや出費がかさむ〜涙)


うちに戻って、再挑戦。

やった〜OK!とは行かないね。世の中甘くない。 まあしかし、熟練度が解決しそうなので、これでいく事にする。

許せない点のもうひとつ。

それはフードとの装着面の形状について。 試作第1号は、つや消し布テープで縁取り(粗隠し)したんだけど、 これの断面が丸形状で、装着するとぐらぐらして安定しない。

これは、面で装着できる凹断面の縁取りゴム材料を運良く見つけられたことで、解決。


最後の許せない点は、まぁ後日何とかなるだろうと言うことで、試作第2号の製作に着手する。

試作に当たって、サイズについても設計しなおすことにした。

標準、広角、望遠の各レンズ長の平均を調べ、照射角(水平・垂直角)とレンズ中心から内蔵ストロボの平均距離を 想定し、ディフューザープレートの大きさを変更した。(18×19cmから18×15cmへ)

また、対応フードの直径を最大90mmと設定して、アクリル板のフード装着面をカットした。参考になったのは、自分が所有する レンズの中で、あのでかいシグマの15-30mmの花形フードに使えることを条件とした。

結果、第2号は1号に比べコンパクトになった。 これで、一眼タイプのカメラであればまずOKのはずである。

真ん中から半分に折り曲げて収納する形にしたので、使用しないときはバッグポケットに入るし邪魔にならない。

上部のクリップは、取り付けゴムの張力から照射面の平面を保つため、取り付けた。
(これは見た目がイマイチなので、完成品では何とかするつもり)


「試作2号」を取り付けたところ、発光面の前進によりフードによるケラレは発生しない




■ディフューザー効果をテストする

ほぼ、完成に近づいたところで、その効果をテストしてみた。

結果は、下の画像を見て欲しい。




(比較写真)左側が、内蔵ストロボダイレクト。右側がディフューザー使用です。



どうですか?

どちらがどうとの説明がなくても、一目でわかりますよね。

影がよりハッキリ出るように、縦位置で撮影しましたが、我がレンズフードディフューザー使用の写真は影がより柔らかくなっていますし、 ストロボ光も撮影面全体により均一に拡散されています。テカリも軽減されていますよね。

サービスで、もう1点。

日も落ちた夕闇時、窓ガラス越しに、ベランダのお花をパッチリ。(外は風が強く、寒そうだったので・・・)
ストロボなしでは、絞り開放でもシャッタースピードは2秒の表示が・・・

そこで、ストロボアップしてプログラムモードにて撮影。

こんなシーンよくあるのでは?




(比較写真)上が、内蔵ストロボダイレクト。下がディフューザー使用です。



ないでしょうね。(笑)

当初、この比較写真は掲載予定になかったのですが、何気なく撮ってみたら、作った私がその違いにビックリしたもんですから。

私の常用レンズでもあるタムロンの28-75mmの花形フードは、広角側では外さないと画像のようにケラレが出てしまいます。

何回かこれで痛い目にあいました。

しかし、ディフューザー使用では全然平気! それよりも、使用した時の写りの自然さにちょっとビックリしました。

ストロボダイレクトの写りの硬さや影が、ホントに柔らかくなっています。 ストロボ光をうまく拡散させた結果なんでしょうね。


よっしゃぁ〜、OK!OK! 我が工房第2号作品は、大成功のようです。

あとは、より完成度を高めるだけです。



■試作第3号・・・これでほぼ完成かな?


第2号で未解決だった気になる点。

それは、取り付け用ゴムなんです。

第1号、2号で使用していたのは、厚手、幅広のゴムバンド。 あの事務用品でおなじみのアメ色の製品です。

これが、どうも見た目がシックリ来ない。

2号試作では黒っぽく写っていますが、これは黒の油性マーカーで着色してみたからで、手で強く持つと色が付いちゃう。

機能としては、これでOKなんですが、どうも納得できない。

それで、黒色の合成ゴム製品の中からチョイスして、太さをこちらで調整し、使用することにした。
(既に、私はホームセンターの達人である。いや、ホント)

着色のため、多少油分を含んでいるが、時間をかけて接着すればアクリル板にしっかりと固定できたので、これを完成品に 採用することにする。取り付け位置も自然な位置へ移動させる。

弾性は生ゴムに劣るけど、伸長が短くても張力が出るので、この方が使いやすい。

次に、アクリル板平面化のために、試作2号では事務用クリップであったものを、同色のワンタッチクリップで上下を留めることにした。  これで見た目も俄然良くなった。


「試作3号」を取り付けたところ、1枚目の写り込みは愛嬌で(~~;



どうですか、いい感じでしょ。

ゴムの取り付け位置も適切になったので、アクリル板の反りもなくなり、一枚板に見えるようになりました。

フード装着面の縁取りゴムが半周回らずに途中で切れているのは、全部に貼っちゃうと厚みがあるために二つ折りが難しくなるためです。 でも、ここにクリップを付ける事ができたので、結果オーライでしたね。


■あとがき

今回のレンズフードディフューザーの製作にあたっては、ハッキリ言ってナメてました。

製作日記なんぞ書くとこナイと思ってましたが、いやいや結構難しくて手間も掛かりましたね。

見かけなんかどーでもイイヤと思えるんなら、一番最初の試作0号(試作と呼びたくない)でも良い訳なんですが、 人前で付けるとなるとそうはいきませんからね。


今回の我が工房第2号作品として、この試作3号でほぼ完成品と呼べるレベルになったわけですが、取り付け取外しはワンタッチ、 折り畳めばバッグの隅っこに入るコンパクトさ、これは「持ってて良かった便利グッズ!」となること、 マチガイナイ!・・・かな?



今回は、この辺で。次のレポートをお楽しみに。



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