ロゴ

                               より柔らかな光を求めて


ハンドクラフターへの道(その1) クリップオンストロボ用のソフトボックスを作る


ソフトボックス試作品1号

ソフトボックス試作1号


そもそもこのディフューズボックスを作ろうと思い立ったのは、「ストロボ撮影術 ポートレートをきれいに撮る」(馬場信幸著) という本を読んだのがキッカケです。

著者であるプロカメラマン馬場氏の「良い機材が無い場合は、自分で作る、改良する。」と言う姿勢に、「フムフム、なるほどなぁ。」 と共感しちゃった自分が何とも恨めしい。

この本中に、市販品よりも使いやすい手作りディフューザーを作るコーナーがあり、これが今回のディフューズボックスの原型となって います。

クリップオンストロボ用ディフューズ(ソフト)ボックスの市販品としては、K社やG社から英国、米国製品が輸入販売されているよう ですね。
私も当初、「ソフトライティングにはこれこれ。」とか何とか言っちゃって、量販店に購入に走りましたが、実際手にとって見ると、 「ぬぬ、このクォリティでこの値段はちょっと高いなぁ。ほんと効果あるの?」ということで結局見送った経緯があります。

馬場プロの「ストロボ撮影術〜」でも、件の製品紹介はしてあっても、実際、撮影時には自作ディフューザーを自画自賛で 使用されているところをみると、「やはり、そうゆうことねぇ。」と思いましたね。

「良い機材が無い場合は、自分で作る、改良する。」

やはり、これですよね。


■第1日目

まずは、材料を購入する必要があります。

本には詳細に説明がしてありましたので、早速手帳にメモして、ホームセンターにGO。

        (材料)
・アクリル樹脂版(乳白色)1枚 \430-
・ポリプロピレン板(黒)1枚 \560-
  (本では、塩ビ板(黒のつや消し)になっていましたが、これが行きつけのホームセンターに在庫がない。
   その理由を聞くとどうやら環境問題らしい。代替材料を探すとこれが品質・見た目ともなかなか良く合格でした)
・マジックテープ(両面タイプ)1本 \980-
  (これも本では、オスメスタイプ同梱の糊付きマジックテープになっていましたが、ストロボにテープ糊の直張りは
   スマートではないので、結局これをチョイス)
・ボックス用マジックテープ(糊付き)2本 \276-
・つや消し布テープ(黒)1本 \520-
  (本では、畳補修テープということでしたが、見当たらず、いろいろ探し回るうちにこれを見つけた。
   いい感じにつや消しになっていてグッド。)
・クロスカットテープ(クリア)1本 \398-
・アルミテープ1本 \298-

締めて、材料費の合計金額 3,462円也。(っと、おいおいこんなに掛かるわけぇ〜。頭に先日購入しかかった一番小型かつ安価のG社製品 が浮かぶ・・・ほぼ同額だったような・・・涙)


■第2日目

さあて、作るぞ〜。
まずは、アクリル板のカットから。

自宅にあった、カッターで切ろうとするのですが・・・ムム、なかなか切れないぞ。・・あっ、そっちじゃなないだろ。切り取り線どおり 切れなくて、何回もカッターを入れる。・・・切り取り線が何本も・・・。トホホ。

これは、カッターが悪い。定規が悪い。買いなおそう!
他にも必要なツールをリストアップしてっと。

前日に続き、またもホームセンターにGO。

アクリル板の売り場で、説明書を読んだら、専用カッターじゃないとダメですと。(なら、もっと大きく書いとけって・・ブツブツ)

結局、本日の買い物は、アクリル板用カッター、カッティング用シートと定規、製図用定規、コンパスなど等・・・締めて・・・

いや、これはコストに入れないでおこうっと。(;_;)

「良い機材が無い場合は、自分で作る、改良する。」

やはり、これですよね。

一度、はまると行く所まで行く私が怖い。

予定外に高くついたツール達(TT)


■第3日目

さあ今度は大丈夫、と自分に言い聞かせつつ、アクリル板をカットする。

専用カッターで厚さの半分ぐらいまで切れ目を入れて折り曲げると、パリッと見事に割れる。ん〜OK牧場。

ディフューズ面の大きさは、18×13センチ。ほぼB6の大きさです。市販品も何故かこのサイズに近い物が多い。 

後で分かったことですが、ストロボブラケットを使って撮影する場合、この大きさはカメラとのバランスを考えても非常に使いやすい サイズだと納得しました。 メデタシ、メデタシ。

次に、ボックスサイド面になる部分を、本の指示サイズ通りポリプロピレン板を台形形状に慎重にカットする。

この4枚の板の出来不出来がストロボ光の照射角や取付精度に影響するわけだから・・・。 
こちらは通常のカッターでも専用カッターでもどちらでもカットできる。

ただ、切り取り線を描画する筆記具に困った。

通常のものでは書いたつもりが、いざ切る段になると、真っ黒の板ゆえに「え〜どこだっけ?」状態。
今から適当な筆記具を買いに行くわけにもいかないので、手元にあったペイントペンで上書きマーキングし、何とかカット出来た。 (後日、超極細のホワイトペンを見つけた。)

結果、初めてとは言うもののストロボ側でマイナス1〜2mmの狂いが出たが、幸運にも使用するストロボの発光部は設計サイズに 対して小さかったので、まずは良しとしよう。(因みにマイストロボは、サンパックのauto36SRと30SR)

次に、このポリプロピレン板の裏側にアルミテープを張って、ストロボ発光部からの光を有効活用できるようにする。

接着面に空気が結構残ってしまった。この作業工程は今後の課題になりそう。

さぁ、いよいよディフューズ面のアクリル板と4枚のポリプロピレン板を張り合わせて、ボックスを作る。

まず、裏側はクロスカットテープで張り合わせる。

アルミ面に被るわけなので、できる限り透明クリアな材料を使う必要がある。 (後日、より質のよさそうなスコッチの透明テープがあった)

次に表側に、黒のつや消し布テープを5mm程度ディフューズ面に被るようにして張り合わせる。(これも後日、写真機材製品の中でより 良いテープを見つけた。)

はみ出たテープ部分をカットして、ボックスの出来上がり。

この段階で、ストロボに仮取り付けしてみる。


「なんじゃぁ、こりゃぁ〜」

短辺側のサイド面が短かぁ〜い。 しばし呆然・・・。

本をもう一度取り出して読み返す。

う〜〜ん、切れてなぁ〜い。じゃなくて間違ってなぁ〜い。


4枚の上辺(それぞれ7cm、4cm)、下辺(それぞれ18cm、13cm)、高さは11.5cmにちゃんとなっている。

しばし考えた末、わかった。(これを読まれてる方は、アホやなぁと笑っておられると思いますが)

水平角と垂直角が違ってくるので、ディフューズ面とストロボ発光面の距離に対して、コサイン角が違ってくるわけだから ムニャムニャ・・・。(まぁややこしい事は置いといて、試作2号以降は、新たに設計図を引いて作成することとなりました。)

しかしながら、誤差は数mmということもあり、見かけは別として結果オーライで使えます。これ。

気を取り直して、4枚のポリプロピレン板それぞれのストロボ発光部との接続面に当たる部分に、メスマジックテープを貼り付ける。

次に、ストロボ発光部に適当に切った両面タイプのマジックテープを、表面がオスになるように巻き付ける。
(対のオスマジックテープは使わない。ストロボ側に張れば良いんだろうけど、接着しちゃうのが私は嫌なんです。)

さぁ〜、これで完成。
ちょっとドキドキしながら、テープ同士を張り合わせる。


1号試作品だしなぁ。う〜〜ん・・・オッケェ〜!・・牧場!(もうイイって)

わが愛機の10Dに取り付けてみる。

バランスも悪くない。
明日、とりあえずクリップオン形式でテストしてみようっと。

これでやっと、寝れそ。 ア〜疲れたぁ。

(左写真)

数字を信じて作成したら、これぐらいサイド面が短くなってしまった。

ただ、実用にはこれぐらいだと何とかOK!


■第4日目

本日は、試作1号のディフューズ効果の検証です。

自分なりにいろいろ撮り比べてみました。

本当は、人物を撮る予定でしたが、身近な人に拒否されて・・・(嫁さんです。ハイ・・涙)

我が家にある手近なお人形さんをモデルに見立てて、比較撮影を行いました。

カメラは、10D、クリップオンストロボは、SUNPAK auto36SRを使用しています。
出来るだけ比較しやすくするために、フラッシュメーターによるマニュアル撮影で行いました。


        (比較写真)左側が、クリップオンストロボダイレクト。右側がソフトボックス使用です。



どうですか?

明らかに違いますよね。

影がよりハッキリ出るように、縦位置で撮影しましたが、我がソフトボックス使用の写真は影がより柔らかくなっていますし、 ストロボ光も撮影面全体により均一に拡散されています。テカリも軽減されていますよね。

よっしゃぁ〜、OK!OK! 我が工房第1号作品は、成功のようです。

調子に乗って、ストロボ発光時のボックスディフューズ面の拡散状況を見てみようってことで、撮影したものが次の画像です。

ソフトボックス発光の瞬間



ストロボ出力を1/16まで落とし、絞りは22、ISOは最低感度、シャッタースピードはX接点を無視してぎりぎりまで速くして撮影 したのが、上の画像です。

どうでしょうか?

ハッキリ言って、よくわかりませんです。ハイ。(きれいに拡散しているようには見えますが・・・)

皆さんもオッケー牧場?



■あとがき

試作1号以降、使用材料などについては、暇があればあちこちのホームセンター巡りをしまして、(ほとんどこれが趣味化してしまった) 本文にもあるように、より良い物を見つけては、試作をしてみました。

サイズに関しては、ディフューズ面の大きさは使い勝手が良いこともあり、18×13センチは変えていませんが、発光角について はより広角に設計し直しました。(試作1号は、35mmレンズの焦点距離換算で30〜35mm程度でしたが、完成品はほぼ24mm程度 に広げてあります。)

広角に広げたソフトボックスのモックアップ



現在の完成品は、上記のモックアップとも少し形状を変えてあります。

各メーカーのクリップオン型大容量ストロボの発光口のサイズを調べた結果、(ヨドバシ様に感謝)
より汎用性を持たせ、取り付けた際のサイド面の隙間を出来にくくするためです。

⇒ 完成品の詳細はこちらです


このソフトボックスの製作以外にも、
 より柔らかな光を求めて、ディフューズ面サイズの大きなディフューザーボックス、
 内蔵ストロボ用ディフュザーや
 室内撮影用トレペディフュザー、屋外用手作りレフ板及び支持アタッチメントなど等、現在もいろいろ試行錯誤中です。

また、その製作日記は折を見て、このHPでも公開していきたいと思っています。


最後に、まぁ、このHPをご本人がご覧になることはないと思いますけど、一応・・・

本を通じて、アイデア、モチベーションを与えてくださった、馬場プロカメラマンに感謝とお礼を申し上げたいと思います。

ありがとうございました。


また、このHPをご覧の皆様で、ご意見、ご感想などありましたら、メールなどいただければ参考にさせていただきます。
但し、滅法気が弱いほうなので、厳しい内容のものはちょっと・・・(直ぐに落ち込んだりしますので)
励ましのメール「haniwajin@trade.email.ne.jp」など頂ければ嬉しいです。(^^)(@は迷惑メール防止のため全角になってます)


 

「ハンドクラフターへの道(その2)」に進む