ヨハネの黙示録第6章〜第10章


   

第6章
:1)小羊がその七つの封印の一つを解いた時、わたしが見ていると、
四つの生き物の一つが、雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。
:2)そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗
っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上
にもなお勝利を得ようとして出かけた。
:3)小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「きたれ」と言う
のを、わたしは聞いた。
:4)すると今度は、赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者
は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取る
ことを許され、また、大きなつるぎを与えられた。
:5)また、第三の封印を解いた時、第三の生き物が「きたれ」と言う
のを、わたしは聞いた。そこで見ていると、見よ、黒い馬が出てきた
。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。
:6)すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が
、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デ
ナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。
:7)小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「きたれ」と言う
声を、わたしは聞いた。
:8)そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに
乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らに
は、地の四分の一を支配する権威、および、つるぎと、ききんと、死
と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。
:9)小羊が第五の封印を解いた時、神の言のゆえに、また、そのあか
しを立てたために、殺された人々の霊魂が、祭壇の下にいるのを、
わたしは見た。
:10)彼らは大声で叫んで言った、「聖なる、まことなる主よ。いつ
まであなたは、さばくことをなさらず、また地に住む者に対して、わ
たしたちの血の報復をなさらないのですか」。 
:11)すると、彼らのひとりびとりに白い衣が与えられ、それから、
「彼らと同じく殺されようとする僕仲間や兄弟たちの数が満ちるまで
、もうしばらくの間、休んでいるように」と言い渡された。
:12)小羊が第六の封印を解いた時、わたしが見ていると、大地震が起
って、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようにな
り、
:13)天の星は、いちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落される
ように、地に落ちた。 :14)天は巻物が巻かれるように消えていき、
すべての山と島とはその場所から移されてしまった。
:15)地の王たち、高官、千卒長、富める者、勇者、奴隷、自由人らは
みな、ほら穴や山の岩かげに、身をかくした。
:16)そして、山と岩とにむかって言った、「さあ、われわれをおおっ
て、御座にいますかたの御顔と小羊の怒りとから、かくまってくれ。
:17)御怒りの大いなる日が、すでにきたのだ。だれが、その前に立つ
ことができようか」。 

第7章
:1)この後、わたしは四人の御使が地の四すみに立っているのを見た
。彼らは地の四方の風をひき止めて、地にも海にもすべての木にも、
吹きつけないようにしていた。
:2)また、もうひとりの御使が、生ける神の印を持って、日の出る方
から上って来るのを見た。彼は地と海とをそこなう権威を授かってい
る四人の御使にむかって、大声で叫んで言った、
:3)「わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまう
までは、地と海と木とをそこなってはならない」。
:4)わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのす
べての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった。
:5)ユダの部族のうち、一万二千人が印をおされ、ルベンの部族のう
ち、一万二千人、ガドの部族のうち、一万二千人、
:6)アセルの部族のうち、一万二千人、ナフタリ部族のうち、
一万二千人、マナセの部族のうち、一万二千人、
:7)シメオンの部族のうち、一万二千人、レビの部族のうち、
一万二千人、イサカルの部族のうち、一万二千人、
:8)ゼブルンの部族のうち、一万二千人、ヨセフの部族のうち、
一万二千人、ベニヤミンの部族のうち、一万二千人が印をおされた。
:9)その後、わたしが見ていると、見よ、あらゆる国民、部族、民族
、国語のうちから、数えきれないほどの大ぜいの群衆が、白い衣を身
にまとい、しゅろの枝を手に持って、御座と小羊との前に立ち、
:10)大声で叫んで言った、「救は、御座にいますわれらの神と/小羊
からきたる」。
:11)御使たちはみな、御座と長老たちと四つの生き物とのまわりに立
っていたが、御座の前にひれ伏し、神を拝して言った、
:12)「アァメン、さんび、栄光、知恵、感謝、ほまれ、力、勢いが、
世々限りなく、われらの神にあるように、アァメン」。
:13)長老たちのひとりが、わたしにむかって言った、「この白い衣を
身にまとっている人々は、だれか。また、どこからきたのか」。
:14)わたしは彼に答えた、「わたしの主よ、それはあなたがご存じで
す」。すると、彼はわたしに言った、「彼らは大きな患難をとおって
きた人たちであって、その衣を小羊の血で洗い、それを白くしたので
ある。
:15)それだから彼らは、神の御座の前におり、昼も夜もその聖所で神
に仕えているのである。御座にいますかたは、彼らの上に幕屋を張って
共に住まわれるであろう。
:16)彼らは、もはや飢えることがなく、かわくこともない。太陽も炎
暑も、彼らを侵すことはない。
:17)御座の正面にいます小羊は彼らの牧者となって、いのちの水の泉
に導いて下さるであろう。また神は、彼らの目から涙をことごとくぬ
ぐいとって下さるであろう」。 

第8章
:1)小羊が第七の封印を解いた時、半時間ばかり天に静けさがあった。
:2)それからわたしは、神のみまえに立っている七人の御使を見た。
そして、七つのラッパが彼らに与えられた。
:3)また、別の御使が出てきて、金の香炉を手に持って祭壇の前に立
った。たくさんの香が彼に与えられていたが、これは、すべての聖徒
の祈に加えて、御座の前の金の祭壇の上にささげるためのものであった。
:4)香の煙は、御使の手から、聖徒たちの祈と共に神のみまえに立ち
のぼった。
:5)御使はその香炉をとり、これに祭壇の火を満たして、地に投げつ
けた。すると、多くの雷鳴と、もろもろの声と、いなずまと、地震と
が起った。
:6)そこで、七つのラッパを持っている七人の御使が、それを吹く用
意をした。
:7)第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹
と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼
け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。
:8)第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっ
ている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三
分の一は血となり、
:9)海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわ
されてしまった。
:10)第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのよ
うに燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の
三分の一とその水源との上に落ちた。
:11)この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」
のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死
んだ。
:12)第四の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一
と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれて、これらのものの
三分の一は暗くなり、昼の三分の一は明るくなくなり、夜も同じよう
になった。
:13)また、わたしが見ていると、一羽のわしが中空を飛び、大きな声
でこう言うのを聞いた、「ああ、わざわいだ、わざわいだ、地に住む
人々は、わざわいだ。なお三人の御使がラッパを吹き鳴らそうとして
いる」。 

第9章
:1)第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。するとわたしは、一つの
星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開
くかぎが与えられた。
:2)そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙
が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空気も暗
くなった。
:3)その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っ
ているような力が、彼らに与えられた。
:4)彼らは、地の草やすべての青草、またすべての木をそこなっては
ならないが、額に神の印がない人たちには害を加えてもよいと、言い
渡された。
:5)彼らは、人間を殺すことはしないで、五か月のあいだ苦しめるこ
とだけが許された。彼らの与える苦痛は、人がさそりにさされる時の
ような苦痛であった。
:6)その時には、人々は死を求めても与えられず、死にたいと願って
も、死は逃げて行くのである。
:7)これらのいなごは、出陣の用意のととのえられた馬によく似てお
り、その頭には金の冠のようなものをつけ、その顔は人間の顔のよう
であり、
:8)また、そのかみの毛は女のかみのようであり、その歯はししの歯
のようであった。
:9)また、鉄の胸当のような胸当をつけており、その羽の音は、馬に
引かれて戦場に急ぐ多くの戦車の響きのようであった。
:10)その上、さそりのような尾と針とを持っている。その尾には、
五か月のあいだ人間をそこなう力がある。
:11)彼らは、底知れぬ所の使を王にいただいており、その名をヘブ
ル語でアバドンと言い、ギリシヤ語ではアポルオンと言う。
:12)第一のわざわいは、過ぎ去った。見よ、この後、なお二つの
わざわいが来る。
:13)第六の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、一つの声が、
神のみまえにある金の祭壇の四つの角から出て、
:14)ラッパを持っている第六の御使にこう呼びかけるのを、わたし
は聞いた。「大ユウフラテ川のほとりにつながれている四人の御使
を、解いてやれ」。
:15)すると、その時、その日、その月、その年に備えておかれた四
人の御使が、人間の三分の一を殺すために、解き放たれた。
:16)騎兵隊の数は二億であった。わたしはその数を聞いた。
:17)そして、まぼろしの中で、それらの馬とそれに乗っている者たち
とを見ると、乗っている者たちは、火の色と青玉色と硫黄の色の胸当
をつけていた。そして、それらの馬の頭はししの頭のようであって、
その口から火と煙と硫黄とが、出ていた。
:18)この三つの災害、すなわち、彼らの口から出て来る火と煙と硫黄
とによって、人間の三分の一は殺されてしまった。
:19)馬の力はその口と尾とにある。その尾はへびに似ていて、それに
頭があり、その頭で人に害を加えるのである。
:20)これらの災害で殺されずに残った人々は、自分の手で造ったもの
について、悔い改めようとせず、また悪霊のたぐいや、金・銀・銅・
石・木で造られ、見ることも聞くことも歩くこともできない偶像を礼拝
して、やめようともしなかった。
:21)また、彼らは、その犯した殺人や、まじないや、不品行や、盗み
を悔い改めようとしなかった。 

第10章
:1)わたしは、もうひとりの強い御使が、雲に包まれて、天から降り
て来るのを見た。その頭に、にじをいただき、その顔は太陽のようで
、その足は火の柱のようであった。
:2)彼は、開かれた小さな巻物を手に持っていた。そして、右足を海
の上に、左足を地の上に踏みおろして、
:3)ししがほえるように大声で叫んだ。彼が叫ぶと、七つの雷がおの
おのその声を発した。
:4)七つの雷が声を発した時、わたしはそれを書きとめようとした。
すると、天から声があって、「七つの雷の語ったことを封印せよ。
それを書きとめるな」と言うのを聞いた。
:5)それから、海と地の上に立っているのをわたしが見たあの御使は
、天にむけて右手を上げ、
:6)天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあ
るものを造り、世々限りなく生きておられるかたをさして誓った、「
もう時がない。
:7)第七の御使が吹き鳴らすラッパの音がする時には、神がその僕、
預言者たちにお告げになったとおり、神の奥義は成就される」。
:8)すると、前に天から聞えてきた声が、またわたしに語って言った
、「さあ行って、海と地との上に立っている御使の手に開かれている
巻物を、受け取りなさい」。
:9)そこで、わたしはその御使のもとに行って、「その小さな巻物
を下さい」と言った。すると、彼は言った、「取って、それを食べて
しまいなさい。あなたの腹には苦いが、口には蜜のように甘い」。
:10)わたしは御使の手からその小さな巻物を受け取って食べてしま
った。すると、わたしの口には蜜のように甘かったが、それを食べた
ら、腹が苦くなった。
:11)その時、「あなたは、もう一度、多くの民族、国民、国語、王
たちについて、預言せねばならない」と言う声がした。 

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