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05.11.18 チョムスキー、民意と人権を語る
ノーム・チョムスキー
岡崎玲子(聞き手)
集英社新書
2005

滅多なことで新書などを紹介しないが、これは読みやすかった。そして、ここまで痛烈にアメリカを批判している学者だったことにビックリだった。チョムスキーは、言語学では歴史に名を為した人である。というか、伝説の学者である。そんな学者が政治評論でも有名だったとは知らなかった。
で、本書は20代の作家がこの大学者にインタビューをした記事と、チョムスキーの論文を載せたもの。論文といっても平易な文章ですごく読みやすい。また、インタビューでもものすごく熱く語っている。こんな人だったんだナァと目から鱗が落ちる思いだった。
ちょうど、ジジェク、サイード、スピヴァクなど現代の哲学者にとって、ポストコロニアル(植民地の言説)がさかんになっているいま、格好の入門書だと言える。
本文にも書いているが、より正確な情報を探り当て、判断材料を頭の中で反芻すれば、既成の常識から離れ、独立した認識にたどり着くことが出来る…

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2002.11〜2003.8
2003.9〜2003.11
04.1.10 Daddy Face
ダディ・フェイス伊達将範
角川電撃文庫
2005年3月10日現在、2005年1月25日刊行のメドゥーサシリーズ4巻が最も新しい。

ぱたりと刊行が途絶えていたダディ・フェイスシリーズであったが、メデゥーサシリーズはドバッと出た感じがする。前にも書いたかもしれないが、このシリーズは、アトランティス大陸をめぐる冒険大作。なんせ、1巻から4巻にまたがる1巻の分量は400ページを超えている。あとがきにもあったが、頭から1.5冊分書き直したという苦闘の末の出版。単なるジュブナイル小説はない気合の入れようであったと…この書き直し、結構しんどいのはよく分かるなぁ。
内容の方は、構成をし直しただけあって緊張感もあり伏線も最終巻ではほとんど解消され、次への物語への引きもばっちりである。このシリーズを通じて、ほとんどのキャラクターの特徴や秘められた能力なんかがほとんど明らかにされ、今後の活躍も安心して読めるかなと。
物語自体は、私の好きなトレジャーハントもの…菊池秀行系、インディ・ジョーンズとか…サイバー、伝奇、冒険。やはり秘められた世界への挑戦、発見、ハプニングは手放しに面白いと思ってしまう。再び読めといわれるとこの分量だからちょっと引いてしまうが、時間をかけてまた読み直していきたい。

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2002.11〜2003.8
2003.9〜2003.11
04.1.1 でたまか
でたまか前にも書いたかと思うけど、随分速いペースで発売されたし、この日記風感想文もおざなりになったので、まとめて紹介します。
ほぼ一年このコーナーが更新されていないことに気づいたので…

鷹見一幸
角川スニーカー文庫

現時点(2005.3.10)では、アウトニア王国.人類戦記録3.漆黒無明編(初版 2005.2.1)が最も新しい巻になっている。コンスタントに発売され、ほぼ3ヶ月のペースである。このシリーズがはじめた頃は、まぁ、よくある下克上のスペースオペラものかなと思ったし、辺境からのし上がっていき、帝政を糾弾し、ひっくり返していく様はよくある手法とはいえ、安心して読むことが出来た。しかし、人類戦記録では、全く展開が異なり、いきなり異星人が人類を襲うという設定。う〜ん、ハッキリ言ってついていけませんでしたが、それはそれとして、ライトノベル。なんでもありっていうことで。
作者もいっていたけど、後残り2巻、実質一巻で終わりとのこと。作者は結構淡泊な書き味で飽きは来ないけど、少し物足りなさも感じたりする。しかし、まぁ、はじめの頃は面白かったし、読みやすくて何度も読んでいた。ドキドキしながら読み込んだ主人公の行動や主人公の姫君の結末が最後に控えている。それを知りたくて、最後まで買い込んでしまったといっても過言ではない。それはしっかりと書いてほしいナァ…

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2002.11〜2003.8
2003.9〜2003.11
03.12.20 砂塵の舞う大義
新ゴーマニズム宣言第13巻
小林よしのり
小学館

イラク戦争後の国際状況と日本における論壇に対する批判。
最近、また著者の戦争論とかゴーマニズムを読んでいるが、熱い人だナァといつも思う。私は、昔からアイデンティティに拘ったことはないが、まぁ、この程度の良識は持っていたいナァと思う。

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03.12.10 木島日記
大塚英志
角川文庫

現在、2巻まで出ているけど私は久しぶりに小説を読んだナァと思う。ジャンルは、ジュブナイルとホラーに偏っていたので…この作者、「多重人格探偵サイコ」という漫画の原作者だったりする。また、サブカルの文化論みたいなことも書いている人。
で、この木島日記は、戦前〜第2次世界大戦に突入するまえの怪しい時代背景、オカルトや民俗学など、虚構と現実が入り乱れる怪しい物語。大正ロマンを引きずっているような民俗学の学者の周りに集まる軍部のオカルト部隊ごとき人々に巻き込まれるという話。
とにかく語り口調が面白い。なれないといつまでも句読点がなく、ずらずらっとなってしまうスタイルだが、時代の描写や会話の掛け合いがすごくシュールである。是非お薦めの一品。


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