2006.4
子供を中心に据えた支援再考

インタビュー(奥山真紀子)
子供の存在は、かつては子供期は存在せず、小さな大人として認識されていた。しかし、子供は守られるべきだと言うことで、思春期が特定されるようになる。さらに、守られる権利が子供にはあると言うことで、大事にされるようになる。少子化によって、養育の質が大切になる。
乳幼児の虐待死は社会の中に未だ「小さいのでしかたがない」と思っている節
がある。子供は親の意図でどうにでも育てられるという考えが残っているのでは。子供にはケアや教育を受ける権利があり、それを行わない親はペナルティがなければいけない。
愛着関係
はいわゆる親子の絆であり、子供が示す愛着行動は大人になってから現れる子供への態度・行動によって形成される。また、親の側にも遺伝子として子供に愛着を抱くようにインプットされている。愛着行動は幼少期から形成されるが、幼少期にトラウマがあっても、人との出会いや経験によって修正されることもある。
親は誰でも誰かに支えられ、精神的に包含されているかそうでないかによって子供との愛着関係の形成に差が現れる。
愛着関係の基本
は、まず親と子供の波長を上手く合わせて同調すること。次に相手の気持ちになること。また、体温やリズム、包含されている感覚を体得することが、子供にとって安心感が得られ、守られていることを感じることが出来る。
育児の社会化が言われているが、それを担う保育士や里親には、愛着形成のプロとして、乳児や幼児とどうやって波長を合わせるか、同調することを体感できるようなトレーニングを積み、身体面にも作用するような保育技術を高めていただきたいと思う。更に、それを親にも伝えられるように技術も習得して欲しい。

庄司順一「今、求められる子供の自立支援とは何か」

自立
については、経済的・心理的・生活の自立について述べている。〜人間関係が大変重要である。パラサイトシングル・フリーター・ニートについての簡単な説明。次にアタッチメント〜愛着関係について、これはインタビューで詳しく述べている。
法解釈や流れ
について説明〜児童福祉法の改正(平成9年)では、保護から自立支援へてんかんしたこと。翌年に児童自立支援ハンドブックで基本的信頼感を育むことの重要性、児童自立支援計画では、養育の補完代替によって自立を支援する。平成16年には「社会的養護のあり方に関する専門委員会」の報告書で、国として初めて社会的養護のあり方を議論した。同年の児童福祉法改正では、児童養護施設の定義が、養護プラス自立支援が求められるようになる。平成17年には、子供家庭の自立を支援するために〜子供自立支援ハンドブックが刊行された。そして、「子供自立支援計画ガイドライン」が作成された。

山崎晃資「発達障害の基礎理解」

発達障害
とは

特別支援教育との関係では、いわゆる軽度発達障害という言葉がしばしば用いられ、高機能自閉症、アスペルガー症候群、特異的発達障害(学習障害)、境界レベルの発達遅滞が含まれる。
AD/HDとボーダーライン・チャイルドの症状がいわゆる軽度発達障害と非常に似ているが、AD/HDは行動の障害であり、発達障害と連続する生物学的基盤を持っているが、多くの例で思春期・成人期にその症状が減弱するため、生涯を通じて基本的な症状が継続する発達障害のカテゴリーには分類されていない。
2005年4月には発達障害者支援法が施行され、2007年には特別支援教育が始まる予定である。
福祉関係者の多くは、「今までの経験を基に、ただ漠然と環境整備に終始すればよい」と捉えてはいないだろうか。それぞれの障害への理解を深め、科学的な知識に基づいた支援が図れなければ、適切な援助には結びつかないだろう。

内山登紀夫「気になる子供に対する支援のあり方」
落ち着きがないという問題には、子供側の要因と環境側の要因の両面から考える必要がある。しかし、両者は複雑に絡み合っているので容易ではない。そういう意味でも診断=一義的な薬物療法ではないものの重要性を考える必要がある。
診断は単なる分類でもレッテルを貼るものではない。診断は適切な支援の選択のための優れてヒューマスティックな営みである。

井上登生「被虐待児への支援のあり方」
2004.62002.11を参照のこと。アタッチメントが大切である。

加賀美尤祥「生活単位の小規模化と個別ケアの重要性」
子供のケアは重要だといわれているが、欧米先進地では随分前から子供と職員の数が1対1となってるが、日本ではいまだに6対1となっている。これは1976年からである。
子供の虐待体験から派生するトラウマの表出を職員が被る代理受傷によるバーンアウトしてしまう危険性がある。職員をバックアップするために、スーパービジョンの機能や心理的な援助を含めてファシリテート機能など、重層的な支援体制が用意されなければならない。

2006.10.10

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